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注文毎に、ありがとう … 大衆酒場「岸田屋(きしだや)」(月島)

 大門(だいもん)駅から都営地下鉄・大江戸線に乗って、やってきたのは勝どき(かちどき)駅。ここから、月島(つきしま)の商店街に沿って、月島方面に向かうと、その商店街の入口付近(月島駅側から見ると出口付近)にあるのが、グルメ漫画「美味しんぼ」の第1巻にも登場した有名な大衆酒場「岸田屋」です。

 この店もいつもいっぱいで、外に並んで待っている人がいるほどの人気店。今日も、まだ開店前にもかかわらず、外には二組のカップルが、少し遠巻きに開店を待っている状態です。

 そして、開店時刻の午後5時ジャスト。店のおねえさんによって、まん中に白字で「酒」と大書された、大きな紺ののれんがかけられて、「岸田屋」の開店です。

 店内はコの字型のメインカウンターと、右側の壁に作りつけられたサブカウンターの、全24席。

 開店と同時に入ったのは、先ほどの二組のカップルと私の5人のみ。いつもは人でごった返していて、とても狭く見える店内が広いこと!

 「いらっしゃいませ」と笑顔で迎えてくれる店のおねえさんに、燗酒(新泉、330円)と、名物の牛にこみ(450円)を注文すると、「はい。ありがとうございます!」という気持ちのいい返事。この店は、お母さん(=女将さん)も、きれいな娘さんふたりも、注文のたびに「ありがとうございます」と笑顔で注文を受けてくれるのです。

 昭和4(1929)年に、酒屋として創業した、このお店。何年か前に、当時の店主(女将さんのご主人)が亡くなった後、メニューもちょっと減ったりして、大丈夫かと心配したりしたものですが、今や、お母さんと娘さんふたり(他にも、もうひとり厨房を手伝っている女性がいて、全部で4人のようです)で切り盛りする、大人気の酒場として見事な復活を遂げています。冒頭でも書いたとおり、なにしろ入れないほどですからねぇ!

「煮込みはネギを入れますか?」と聞いてくれる、おねえさんに、

「ネギ無しでお願いします」と返事。

 東京三大煮込みのひとつとして取り上げられることが多い、この店の煮込み。その内容は牛のシロ、フワや、ナンコツっぽい部分など、様々です。私自身、ネギを入れずに、この店の煮込みを食べるのは、これがはじめて。前回来たときに、となりに座っていた常連さんが「ネギを入れないほうが本来の姿なんだよ」と教えてくれたので、今回はその食べ方をしてみたものです。

 ネギの風味は、けっこう強烈なので、微妙な味わいが飛んでしまうところがあるんですよね。この店の牛にこみもそうですが、いい店のもつ煮込みは、その具材がとても新鮮なので、変な臭みなんてのは、まったくないと言ってもいい状態。だから、本来はネギなんて必要ないんでしょうね。ネギの風味が好きな人は、入れてもらって楽しめばいい、という程度だろうと思います。

 5時半を回ることには、店内はほぼ満席になってきました。この時間帯は、近所の年配男性客(ひとり客)が多いようです。フッとカウンターを見渡して、コの字カウンターの手前(入口側)のほうにしか空きがないと見ると、右手のサブカウンターの奥のほうに入って行きます。そのサブカウンターで、壁に向かうんじゃなくて、入口に向かって身体を捻るように座るひとり客が多いのは、入口の右手上部にテレビが設置されてるからなんですね。

 燗酒をチビチビとやりながら、ゆっくり煮込みをつついていたら、皿の底のほうの煮込み汁は、だんだんと煮こごりのような状態になっていきます。こりゃまた、相当、濃厚なスープなんですねぇ。開店と同時に出してくれた煮込みでも、この濃厚さがあるというのが驚きです。

 燗酒は、今飲んでいる新泉(330円)と菊正宗(360円)とがあり、「お酒」とだけ注文すると、新泉のほうが出されます。その新泉・燗酒をおかわりし、2品目の肴(さかな)を選びます。

 月島あたりは、築地(つきじ)も近いので、魚メニューも並んでいます。今日は、子持ちカレイの煮付け(450円)や、キンメの焼いたのや煮たの(どちらも600円)。となりのおじさんは銀ダラの煮付け(550円)を食べてるなぁ。アナゴ煮付け(500円)や新サンマ焼き(550円)もおいしそうだ。定番のくさや(500円)は、だれかが必ずたのむつまみ。くさやを焼く匂いが漂ってくると「オレも、もらおかな」と便乗注文する人も多いのです。いわしつみれ吸物(280円)や、はまつゆ(400円)も人気の品ですね。

 野菜類は、れん草おひたし(300円)や、もろきゅう(200円)、新しょうが(300円)、なす焼(300円)、枝豆(400円)など。そういえば、この店で野菜類を食べることは少ないなぁ。今日は煮込みもネギ抜きだったので、2品目の肴は野菜類にしてみましょう。お新香(300円)をお願いします!

「ありがとうございます」

 ニッコリと注文を受けてくれたのは、女将さんです。

 そして出されたお新香は、キュウリ、カブ、シソ漬け、菜漬けの4種盛り。しみじみと燗酒が進みます。

 6時を回ると、会社帰りのグループ客も顔を見せますが、さすがにもうグループは入れない。ひとりが帰ったところに、新たなひとり客が入れるといった感じです。今日、月曜日から、また大混雑になりそうですね。

 さあて。燗酒を飲み終わったところで、私もボチボチ腰を上げますか。どうもごちそうさま。

 1時間半の滞在。2品と2本をいただいて、お勘定は1,400円でした。

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「岸田屋」 / 牛にこみ / お新香

店情報前回

《平成19(2007)年7月30日(月)の記録》

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