大正12年創業の老舗 … 大衆酒場「大坪屋(おおつぼや)」(南千住)
北千住から、ちょっと移動して、南千住へ。この駅の南側にある泪橋(なみだばし)が、かつての江戸の境界。千住からが江戸の外だったんですね。そんな南千住駅の南側ガード下にあるのが、大正12年創業という、「超」が付くほどの老舗大衆酒場、「大坪屋」です。
店頭の置き看板に、「元祖・25度 酎ハイ、どぜう、おでん、牛煮込」と書かれているところを見ると、これらの品が名物なんですね。入口脇には、大関の菰樽(こもだる、4斗)が、デーンと3個、積み重ねられており、入口の引き戸の横には、「酎ハイ200、ウーロンハイ250、ホッピー350。柳川なべ500、どぜうなべ500、どぜうからあげ600。牛にこみ、おでん、焼餃子、とうふ、ぶつ納豆、チーズ、おしんこ各200。もつ焼(1皿3本)200、焼鳥(1皿3本)250、つくね(1皿3本)250、まぐろさし350」といったメニューも書き出されています。これはまた安いですねぇ。
そんなこんなで、しばらく店の外側を観察した後、「大坪屋」と大書された、のれんをくぐり店内に入ります。店は入り口側から見て、横に長い造り。その横長い店内に、手前の左端から、店を横断しながら右側で奥に向かって曲がり、奥で再び左側に曲がって戻ってくるという、J字型の横長いカウンターが広がっています。右側や奥側の壁沿いには、5卓ほどのテーブル席もあって、全体では40人(カウンター20人、テーブル20人)ほど入れるでしょうか。
そのカウンターの入口側、一番左端に酒友・にっきーさんが座り、瓶ビール(アサヒスーパードライ大瓶、500円)を飲んでいます。先ほど、メールでやり取りしつつ、この店で合流ということになったのでした。
さっそくグラスをもらって乾杯すると、すぐに出てきたのは、牛にこみ(200円)と、しらすおろし(200円)の2品。「この2品だけ、あらかじめ、たのんでおきました」と、にっきーさん。ありがとうございます。着席するなり、酒も肴(さかな)も、そろっているというのは嬉しいものですね。
牛にこみは、牛もつと玉ネギを煮込んだタイプ。東京らしく甘辛い醤油味に、煮込んだときの脂がフッと浮いたものが、長方形の小皿に盛られます。モツだけだと、けっこうギトギトするところを、玉ネギがいいアクセントになってますねぇ。
このこってり感と対比させるように、しらすおろしも注文しているのが、さすが、にっきーさんです。それにしても、この両者がともに200円というのは、すごいことだなぁ。なにしろ、この店は200円のつまみが多いのです。こんな値段で、大正時代から頑張ってきてるんですね。
カウンターの中には、この店の二代目である現店主と名物おかみ。その名物度合いは、「下町酒場巡礼」では『カウンターの中で切り盛りするママさんは、昔フラメンコでもやっていたようで、背筋のぴんっと伸びた人。興がのると腰をくねくねとひねってダンスを踊る』と書かれ、吉田類さんの酒場放浪記のページでは、『女将は3歳から日本舞踊で鍛えた切れのある動きで店を仕切り、リズムある威勢のいい会話で常連さんを楽しませている』と紹介されるほどです。目の前に見る、実物の名物おかみは、想像していたよりも若いなぁ(失礼!)。
追加注文したニラ玉(250円)は、たっぷりの汁(つゆ)の中に、ニラ玉があるタイプ。
「ニラ玉は、しっかりと火を通した硬いのあり、トロトロにやわらかいのあり、こうやって汁の中に入っているものありと、店によっていろいろですねぇ」と、にっきーさん。
瓶ビールを2本飲んだあとは、看板に「元祖」と書かれている酎ハイ(200円)をいただきます。酎ハイはキンミヤ+ニホンシトロンという、下町らしい組み合せ。単品でもらっても、焼酎が150円、炭酸が50円で、合わせて200円(=酎ハイと同じ)になります。炭酸が50円って、ものすごく安くない!?
メニューに「レモン 200円」とあるのは、レモンハイではなくて、レモン汁のようです。レモンハイにする人は、酎ハイとは別に、このレモンを注文して、自分でレモンハイにするんでしょうね。
1時間ちょっと楽しんで、今日はふたりで2,050円(ひとりあたり1,025円)でした。瓶ビールという高級品(?)を2本飲んでも、ひとり千円程度というのは、すばらしいコストパフォーマンスですね。どうもごちそうさま。
・店情報
| 固定リンク | 0
コメント