なるほど、噂の木曜姫 … バー「ペルル(ぺるる)」(鷺ノ宮)
「木曜日に新しい女の子が入って、その子がまた、かわいいんですよ」
わが家の近くにあるバー「ペルル」は、80歳とは思えないほど若々しい古川マスターが切り盛りしているのですが、そのマスターを、曜日替わりでやってくる女性が手伝っているのです。お店もいいし、客層もいいし、ということもあって、女性陣の定着率は高く、手伝っている女性陣たちは、マスターに次いで、「ペルル」の顔(かお)、あるいは「ペルル」の主(ぬし)的な存在でもあるのです。
そんな環境なもんだから、新人そのものが入ることが珍しい。今回は、これまで木曜日を手伝っていた女性が遠くへ引っ越されたため、新人の採用となったのだそうです。そして、最近よく耳にする、冒頭の噂。これは行ってみないといかんでしょう。
が、しかーし。なにしろ単身赴任のわが身。月から金までの平日は横浜に住んでいるので、木曜、夜の「ペルル」には通常はやって来れないのでした。木曜日の夕方あたりに、都内への出張がないかなぁ、なんて思っていたのですが、こういうときに限って、そんな都合のいい仕事はありません。行ってみなきゃなぁ、と思いながら、延び延びと今日に至っていたのでした。
「夏休み中に、ふだん行くのが難しい店々に行ってみよう!」
そんなテーマを掲げた、この夏休み。木曜日の「ペルル」というのも、ある意味、「ふだん行くのが難しい店」ですよね。
「スタミナ苑」での食事を終えて、ウイスキーをちびちびといただきながらの一家団欒のときを過ごした後の午後9時過ぎ。
「それじゃ、おとうさんは大切な地域交流に出かけないといけないから!」
と家族に声をかけて、いそいそと「ペルル」に向かいます。わが家から「ペルル」までは、歩いて7~8分といったところ。すぐに到着した「ペルル」の店内からは、酒場らしいざわめきが漏れています。
「こんばんは」
「やぁ、いらっしゃい。どうぞこちらへ」
笑顔のマスターが、おしぼりを用意してくれながら、やわらかく「く」の字に曲がったカウンターの中央部を指し示してくれます。
すぐに出されるキープボトル(ブラック・ニッカ)。最初はハイボールで飲みましょうと、炭酸をお願いすると、カウンターの中の女性が「はいどうぞ」と、栓を抜いた炭酸を出してくれます。
なーるほど、彼女が噂の木曜姫ですね。噂どおり、かわいいですねぇ。二十代らしいのに、どう見ても十代にしか見えない。どっちかというと、大人っぽい女性が多い「ペルル」では、たしかに目立つ存在かもしれません。
「居酒屋に入ろうとすると、よく身分証明書の提示を求められるんですよ」
本人も、そう苦笑するほど、幼い感じの顔立ちなのです。
木曜姫が来るようになって、木曜日を目指してやって来るお客さんも増えたのだそうで、今日も、ほぼ満席に近い状態。曜日ごとに客層も変わるのか、金曜・土曜を中心にやって来る私には、知らないお客さんが多いですねぇ。
「まぁ、飲みなよ」
カウンターのお客さんが、そう言いながら木曜姫にビールをすすめると、
「はいっ。いただきますっ」
ニッコリと笑ってグラスを差し出し、注いでもらったビールをキューッと飲みます。先ほどから、何度か目にするこの光景。カウンターのお客さんたちは、みんな、木曜姫のファンらしく、自分の飲み物を彼女に注いだり、話しかけたりと、それぞれ自己アピールに余念がない。
そんなことにはまるで気づかないのか、本人はニッコニコと楽しそうに、みんなと話し、ビールやワインを注がれたら、おいしそうにコクコクと飲み、それでいて様子はちっとも変わず、ケロッとしている。もしかすると、大酒豪!?
いつもベロンベロンになるまで酔っ払う常連さんも、さっきからしきりに木曜姫にビールをすすめている。「今日は大丈夫ですか?」と聞いてみると、
「はいはーい。今日はまだ、酔ってませんよぉーーっ」
という、その声が、すでに呂律(ろれつ)が回ってない!(爆)
木曜姫は、もともとお客さんとして、この店に来たことがあるんだそうです。マスターが散歩をしているときに、そんな彼女とばったりと出会って、その場でスカウトした(マスターは「ナンパした!」と強調しているんだけど……)のだそうです。他の曜日と同じく、強力な助っ人になってくれそうで、よかったですね、マスター。
11時過ぎまで、2時間ほど地域交流を楽しんで、今日は800円でした。なにしろ、課題になっていた木曜姫に会うことができて、良かった、良かった。
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