ジュワッとサンマ焼き … 焼き鳥「川名(かわな)」(阿佐ヶ谷)
「よじかわ」(=開店時刻の午後4時に「川名」)の予定が、かなり出遅れて、店に到着したのは午後5時前。さすがにこの時間は満席だろうなぁ。ダメだったら少し歩いて「バクダン」か、先日ちらりと入った「立呑風太くん」、あるいはちょっと引き返して「丸山」に向かおうか。心の中では、すでに次の候補店を探しながら「川名」の店内へ。
「ごめん。今日はいっぱいだ」
店主の顔が、申しわけなさそうに、ゆがみます。いやいや、開店1時間後だから、当然といえば当然でしょう。残念ながら、今日は別の店にしますか。
「川名」の店内はカウンターが7席。そのカウンターの後ろに4人がけのテーブル席が3卓。そして奥の小上がりに、4人がけ座卓が4卓の、全部合わせて35席。この35席を目指して、毎日、開店直後の早い時間から、呑ん兵衛たちがやってくるのです。
引き返そうと振り返ると、入口すぐ近くのテーブル席に座っているのは、なんとなおとんさんではありませんか。
「こちらに相席でどうですか」
と、なおとんさん。これは、ありがとうございます。ではちょっと失礼して。
なおとんさんも、私も、けっして小柄とは言えない体格。ふたりでキュッと身を縮めあって、小さなテーブルの一辺に並んで座ります。テーブルの向かい側に座っているのは、はじめてお会いする男性ひとり客。このおにいさんも、なおとんさんも、それぞれ独り客として入ってきて、このテーブルで相席になったんだそうです。
「お飲みものは?」
すぐに注文を取りにきてくれたハルカさん(=店を手伝っている、おねえさん)に、今日は酎ハイ(336円)を注文します。この店の酎ハイは、ジョッキにたっぷりの酎ハイ(焼酎+タンサン)に、レモンが半個ついてくるもので、他の店で言うところの生レモンサワーに相当する飲み物です。ただし、糖分はいっさい足されていないので、すっきりのレモンの酸っぱさと甘みだけ。今日のような暑い日にピッタリの飲み物なのです。
お通し(サービス)は、小皿に一切れのスイカ。これまた涼しげでいいですねぇ。
さてと、つまみは……。おっ。今日はサンマ刺し(420円)と、サンマ炭火焼(294円)がホワイトボードメニューに載ってます。なにしろ、サンマは大好物ですから、こりゃ、いかなきゃだめでしょう。炭火焼のほうをお願いします。
サンマは、カウンター上段に置かれたガラス製のネタケースの中に、ずらりと積み上げられています。注文が入ると、ここから1尾ずつ取り出して、刺身にしたり、炭火焼にしたりするのです。
なにしろ、刺身で食べられる鮮度をもったサンマを炭火焼にするんですからねぇ。これほどうまい物はありません。まず内臓のところからいきますか。腹のまわりの小骨ごと、ガッツリと箸でつかんで、そのままほお張る。これだけ新鮮だと、内臓も苦い一方ではなくて、しっかりとした旨みを感じるのです。ちょっと骨ばった、腹身(はらみ)もいいではありませんか。ウナギのバラ身にも負けてないですねぇ。
この時期のサンマは、普通にグリルで焼いただけでも美味しいのに、この店の場合は焼き台で、炭火で焼いてますから、火のとおり具合もまた格別です。遠赤外線効果というのか、外はしっかりと焼けてるのに、内部はフワッとやわらかいんですよね。
これまで食べたサンマで、一番おいしいと思ったのは、鎌倉の「でんがく屋」で食べたものかなぁ。同じ炭火焼なんだけど、こちらは炭の周りに立てて焼くタイプ。直火(じかび)ではなくて、炭火の輻射熱だけでジワッと焼きあげるので、フンワリ、ジューシーな度合いがより強くなります。
中野の「陸蒸気(おかじょうき)」も、同じように炭火の輻射熱だけで魚を焼いてくれる店なのですが、ここでは残念ながらサンマを食べたことがありません。焼き方からすると、ここもまた、おいしそうですけどね。
酎ハイをもう1杯いただいて、ゆっくりとサンマ炭火焼を食べ終えると、今日のお勘定は966円でした。さぁ、これから帰って、家族で夕食だ。どうもごちそうさま。みなさん、お先に!
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コメント
いや、本当にあの日は窮屈な思いでしたね~
あの日以降、川名でカウンターに座ることに大変な幸せを感じてしまう単細胞でした(笑)
しかし、本当に炭火で焼く魚はうまい! 大いに同感です。
投稿: なおとん | 2007.09.21 18:45