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秋鮭ときのこの包み焼 … 小料理「燗酒屋(かんざけや)」(阿佐ヶ谷)

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「この店は、熱燗屋(あつかんや)だったっけ?」

「もう。知ってるのに、わざと聞くんだから。燗酒屋(かんざけや)です!!」

 ぷんとホホを膨らませる女将。

 JR中央線・阿佐ヶ谷駅北口の荻窪寄りに広がるスターロード商店街。焼き鳥の「鳥久」や、おでんの「米久」、酒亭「善知鳥」、バー「アルフォンソ」などの名店が軒を連ねる中、2年ほど前(2005年末)にオープンしたのが、ここ「燗酒屋」です。

 名前のとおり、日本酒が売りの小料理屋さんなのですが、最大の特長は、ひとりで切り盛りしている美人女将が、年中、和服に割烹着姿であるということ。まだ三十台半ばという若さながら、その和服姿も板についていて、女将を目あてに通う常連さんも多いお店なのです。

「お店の名前がなかなか覚えてもらえないんですけど、よく『あぁ、あの和服に割烹着のお店ね』なんて言われるんですよ」

 と女将自身も語るほど、和服に割烹着は、この店のトレードマークになっているのでした。

 そんな「燗酒屋」の店内は、L字カウンター7席(手前の短辺に3席、奥に向かう長辺に4席)と、店の奥に2席分程度のミニ小上がり席という、小ぢんまりとした造り。

 なにはともあれ、まずは小瓶のビール(アサヒスーパードライ、500円)を注文すると、今日のお通しは酢の物。もずく酢を主体として、カニ(赤)、キュウリ(緑)、そして食用菊(黄)と、彩りも鮮やかです。

 ビールで喉を潤しつつ、1杯目の燗酒を選びます。メニューには本醸造550円、純米620円、吟醸/純米吟醸750円としか書かれていませんが、女将が、その日、用意されている日本酒を教えてくれるのです。

「今日の燗酒は、白鷹(はくたか、本醸造)と大七(だいしち、純米)、それと天穏(てんおん、純米吟醸)です」

 そう言いながら、1本1本の一升瓶を見せてくれる女将さん。まずは島根の「天穏」(純米吟醸・無濾過中汲み)からいただきます。

 毎日、黒板に書き出される料理は、ざっと20種類ほど。今日は青鯛刺(800円)やミンク鯨刺(880円)、ミル貝刺(880円)などの刺身類のほか、穴子の白焼(660円)、イカ肝焼(680円)、穴子と秋野菜の天ぷら(680円)、きのこの天ぷら(580円)、地鶏の竜田揚げ(650円)、牛スジの煮込(700円)、松茸と鱧(ハモ)の土瓶蒸風小鍋(960円)などなどと、心引かれる品々が並んでいます。

「居酒屋というよりは、小料理屋かな」

 女将自身が、そう語るとおり、日本酒のみならず、料理にも力を入れているのです。そんな料理の中から、秋鮭ときのこのホイル包み焼(680円)を注文します。

 ホイル包み焼ができあがるタイミングで、おかわりした燗酒は、今度は福島の「大七」(純米・生もと)です。

 「燗酒屋」という店名ながら、燗酒しかないわけではなくて、冷酒や焼酎(芋/麦、580円)や、生レモンサワー、生グレープフルーツサワー、ウーロンハイに、ソフトドリンクも置いています。燗酒を2本いただいた後は、「ひやおろし呑み比べセット」(800円)」を注文。目の前で注がれるのは、宮城の「墨廼江(すみのえ)」(限定純米・中汲み)、富山の「幻の瀧(まぼろしのたき)」(純米吟醸)に、最初に燗でいただいた、島根の「天穏」(純米吟醸・無濾過中汲み)の3種類で、それぞれ50mlずつ。今回は、秋らしく、ひやおろし3種のセットですが、前(今年の春)に来たときも、「春の新酒呑み比べセット」というのが、同じく3種800円でした。季節、季節に合わせたテーマで「飲み比べセット」を出してくれるんですね。

 冷酒を飲みつつ、料理のほうは、焼きたて玉子焼(480円)を注文します。熱々、ふわふわの玉子焼は、出汁(だし)がよく効いていて、とっても美味。

 最初は2~3人だったカウンターも、いまやもう満席。そのお客さんたちから、お酒に関する質問が飛ぶと、女将が真剣な表情で説明をしてくれます。

「私も勉強しているところなので、あまり詳しくはないんですが……」

 と遠慮がちながらも、「中汲みってどういうことなの」とか、お酒の味など、どんな質問に対しても、きちんと答えられるところは、さすがです。知識面での勉強もさることながら、店で出すお酒についても、自分で燗をしてみたり、冷してみたりと、いろんな飲み方を試されてるんでしょうね。

 最後に「白鷹(はくたか)」(本醸造・上撰)の燗酒をいただいて、ゆっくりと過ごした土曜日の日本酒タイムを締めくくります。

 午後5時過ぎから、たっぷり3時間半の滞在は、4,750円でした。あぁ、美味しかった。どうもごちそうさま。

 入口まで出てきてくれた美人女将に見送られながら、店をあとにしたのでした。

 冒頭にも書きましたとおり、お店は小規模で、おなじみのお客さんが多い状態です。足を運ばれるときには、できればひとり、多くても二人くらいで、静かに出かけるのが、いいのではないかと思います。

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「燗酒屋」 / ビールとお通し / 天穏・純米吟醸

071006d 071006e 071006f
お猪口を選ぶ / 大七・純米 / 秋鮭ときのこのホイル包み焼

071006g 071006h 071006i
ひやおろし呑み比べセット / 焼きたて玉子焼 / 白鷹・本醸造

店情報前回

《平成19(2007)年10月6日(土)の記録》

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» 松茸とハモの土瓶蒸風 … 小料理「燗酒屋(かんざけや)」(阿佐ヶ谷) [居酒屋礼賛]
 和服に割烹着の美人女将の店、「燗酒屋」にやってきました。この店は真夏(7月と8月)は土日が休みだったので、平日は横浜に短距離単身赴任している私は、なかなか来ることができなかったのです。  開店時刻の午後5時に合わせて店に出かけると、口開け直後にもかかわらず、すでにL字カウンターの手前短辺のところと、店の奥へと向かう長辺の奥側には、それぞれ男性ひとり客が座り、飲み始めています。  私も長辺手前の位... [続きを読む]

受信: 2008.10.12 10:17

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