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2007年11月

つけ揚げで無双湯割り … 居酒屋「兵六(ひょうろく)」(神保町)

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 四ツ谷の「鈴傳」をあとに、やって来たのは、一度ひとりでじっくりと飲んでみたかった神保町の「兵六」です。

 平日(火曜日)の午後9時という時刻ながら、店内は満席模様。コの字カウンターの一番奥がかろうじて空いていて、その場所にすべり込みます。

 やぁー、よかった。入れた。

 この店の椅子は、それぞれがコの字カウンターの1辺全体をカバーする長椅子なので、明確な定員はありません。ギュッと詰めれば、たくさん入れるのです。

 ほっとして店内を見渡すと、コの字カウンターの向かい側には、酒友・呑んだフルさんをはじめ、以前、門前仲町の「だるま」から、新宿「川太郎」にご一緒させていただいた、「兵六」の常連のみなさんがずらりと座っています。

 どうもどうも。ごぶさたしてます。

 さすがは二日と空けずに通っているという常連さんたちですねぇ。

 コの字カウンターの真ん中で、店を仕切っているのは、三代目の店主。常連の呑んだフルさんによると、若いながらも熱血漢なんだそうです。

 その店主に、この店の名物でもある焼酎湯割り(「無双」、650円)を注文すると、その注文は、店主の後ろにある小窓から、奥の厨房に通されます。

 焼酎湯割りは、徳利に入れられたあったかい焼酎とお猪口。それとはべつに、アルマイトの急須で、お湯が出されます。この徳利の焼酎と、急須のお湯を、お猪口の中で混ぜ合わせて、湯割りを作るのです。ックゥ~ッ、うまいっ。

 お通し(サービス)で出されたのは、四角い小皿の対角線の位置2箇所に、ちょんちょんと見栄えよく盛られたヒジキと納豆。こういう昔からの肴を、チマチマとつまみながら飲むのがいいんですよねぇ。大袈裟(おおげさ)かもしれませんが、日本に生まれて良かったなぁ、と思ってしまいます。

 この焼酎。ひとつもらうと、徳利1本の焼酎+急須のお湯ですから、5:5のお湯割りにしても、都合、徳利2本分のお湯割りができるのです。

 飲むうちにチマチマとつまんでいた、お通しもなくなり、次はカウンター上の大皿にならんでいる、つけ揚げ(500円)をもらいます。つけ揚げは、薩摩揚げの鹿児島地方での呼び方。丸皿に、四角いの、丸いの、棒状のと、3つのつけ揚げが盛られ、横に練りガラシが添えられています。酒場で薩摩揚げをたのむと、おろしショウガが添えられることが多いのですが、練りガラシとは珍しいですね。

 ゆっくりと1時間ほどくつろいで、今日のお勘定は1,150円でした。ごちそうさま。

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「兵六」 / つけ揚げ / 店内の様子

店情報前回

《平成19(2007)年11月6日(火)の記録》

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嘉永3年創業の超老舗 … 立ち飲み「鈴傳(すずでん)」(四ツ谷)

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 四ツ谷方面での仕事を終えて、久しぶりにやってきたのは、酒屋としての創業は江戸時代末期の嘉永3(1850)年という超老舗、「鈴傳」です。

 古い酒屋の左端にある、知る人ぞ知る扉を開けて、左側の壁に張りつくように作り付けれた立ち飲みテーブルの並ぶ細長い通路を進むと、その奥がドーンと広がる立ち飲みスペースになっているのです。

 火曜日、午後7時の店内は、立ち飲みカウンターも、立ち飲みテーブルも、まだ若干の余裕がある状況。

 立ち飲みカウンターの一番手前にある注文場所で、小瓶のビール(キリンラガー、350円)と刺身(350円)を注文し、支払いを済ませて、立ち飲みカウンター中央部の、やわらかく弧を描いたところに陣取ります。

 地酒が安く楽しめるこの店ながら、最初はやっぱりビールですね。小瓶は350mlで、きれいに泡立てながら注いで、ビアタンに3杯分程度。飲みはじめの喉潤しにちょうどいいのです。プハァーッ。今日の仕事が終わった感じがしますよねぇ。この瞬間が一番好きです。

 喉が潤ったところで地酒ですね。

「燗で飲めるのはどれ?」

 と聞いてみると、

「上の段に並んでるものなら大丈夫よ」

 とカウンターの中のおねえさん。

 地酒のメニューは、注文カウンター横の壁に、上下2段に短冊で張り出されているのです。今日の上の段は、宮城「日高見」(450円)、静岡「正雪」(380円)、富山「満寿泉」(380円)、千葉「腰古井」(380円)、宮城「一ノ蔵」(380円)に、北海道「千歳鶴」(350円)の6種類。これが、ビールメーカーのビアタン1杯にちょっと溢れる量(つまり正一合以上!)の値段なのだから、うれしいではありませんか。酒屋に併設された立ち飲みならではですよね。

 そんな中から、『漁師の酒』と注記された、千葉の「腰古井(こしごい)」(380円)を燗で注文すると、カウンターの中では、いったんは冷蔵庫で保存されている「腰古井」を、普通に冷酒でもらうようにビアタンに溢れさせて注いだ後、その溢れた分も含めて、カウンター内の燗づけ器の注ぎ口から注ぎ込みます。その受け皿付きのビアタンを、今度は燗づけ器の下に置き、蛇口を開けると、ちょうどよく燗のついた「腰古井」のできあがりです。

 刺身は、ここに来るたびに、だいたいいつも注文している定番の品。最初のころは、立ち飲みカウンターの上にあるガラスケースをのぞき込んで、「マグロください」なんて単品で注文していたのですが、あるとき、常連さんが注文しているのを見てると、単に「刺身!」と注文している。これで、その日の刺身を小皿に盛ってくれるんですね。それ以来、私も真似して「刺身」と注文しているのでした。

 今日の刺身はカツオのたたきとネギトロ。横に刻んだミョウガも添えられているのがうれしいですね。醤油を回しかけて、ちょいちょいとワサビを付けながらいただきます。燗酒ともよく合いますねぇ。

 刺身をつまんでは、酒を飲み。酒を飲んでは、刺身をつまみ。あっという間に、酒も魚もなくなります。

 今日の2杯目は、今度は『由比漁港の銘酒』と書かれた静岡の「正雪(しょうせつ)」(380円)を、これまた燗で注文し、つまみにはガラスケースの中で、私に一番近いところにあった煮物(350円)をいただきます。

 煮物は、厚揚げ、つみれ、さつま揚げ、がんもどき、など。具材のひとつひとつが、それぞれ酒に合うのがいいですねぇ。

 ちなみに、2段に並んだ地酒のうち下の段(冷酒で飲むのがおすすめ)は、山形「楯野川」(500円)、宮城「撰勝山」(600円)、福島「にごり酒」(600円)、富山「成政」(500円)、栃木「四季桜」(500円)、山形「出羽桜・吟醸生」(600円)の6品です。

 となりにやって来た若いおねえさんは、つまみを1品に、地酒(冷酒)を1杯、キューッと飲んで「ごちそうさま」と帰っていきました。店内に15分も居たかどうか。粋(いき)ですねぇ。

 それに引き換え、私のほうは、ゆっくりとチビチビと飲み進めて、1時間ほどの滞在は1,810円でした。どうもごちそうさま。

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看板 / 刺身 / 煮物

店情報前回

《平成19(2007)年11月6日(火)の記録》

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もつ入り野菜スープ? … 焼き鳥「川名(かわな)」(阿佐ヶ谷)

豚もつ煮込み

 先日、飲み仲間で集まったときに、どこの煮込みが好きか、という話題になりました。以前なら、すぐに東京三大煮込みとか、五大煮込みと言われている店が挙げられたのでしょうが、日本酒や焼酎の進化と同じように、もつ文化も、このところ大きく進化していて、挙げられる店名も幅広い!

「私が宇ち多゛以外の店を挙げるわけないでしょう」

 と語るのは、「宇ち多゛」中毒を自称する宇ち中さん。もつ焼きもさることながら、豚のアゴや、ハツモトなども入った煮込みも大人気ですもんねぇ。

「もう二度と食べることはできないんですが、鳥芳の煮込みが好きでした」

 と、なおとんさん。おぉ、そうでしたねぇ。冬場だけ登場する「鳥芳」の煮込み。ひとり用の土鍋の真ん中に、よく煮込まれた輪切りの大根を置いて、そこに寸胴で煮込まれている、もつ煮込みがたっぷりと入れられる。これをコンロでガァーッと加熱して、仕上がりとなるのです。ひとり用サイズとはいえ、土鍋にたっぷりですからねぇ。これで満腹になったもでした。最後のころは、豆腐や油揚げを入れてもらったり、玉子を入れてもらったりと、いろんなオプションで楽しんでたなぁ。そんな「鳥芳」が閉店してから、もう4年になります。

 他にも「石松」の幻の煮込みや、「米山」の名物・あっさり煮込みなどなど、店名が出るたびに、集まったみんなから「おぉーっ。なるほどぉ」と、ざわめきが起こります。

 にっきーさんに順番が回ってきました。

「私もそうなんですが、うちの家族みんなで川名の煮込みが好きなんですよ」

 うおぉーっ。灯台下暗し。そういえば「川名」の煮込みも、他にはない非常に個性的な煮込みで、途中で売り切れてしまうことが多い一品なんですよねぇ!

 前置きがとっても長くなりましたが、そんなわけで、今日、日曜日の「よじかわ」(=開店時刻の午後4時から「川名」で飲むこと)は、最初に「黒牛」(和歌山の地酒、462円)でカンパチ刺身(420円)をいただいたあと、「黒牛」をおかわりして、その豚煮込み(252円)です。

 もつ煮込みというと、もつが主役であることが多いのですが、ここ「川名」の煮込みは“もつも入った野菜スープ”といった風情。ニンジン、ダイコン、皮付きのゴボウなどがどっさりと入っていて、それらから、野菜の持つ自然な甘み、うま味が、たっぷりと出たところに、豚もつのコクと食感が加わっていて、具もさることながら、その汁がうまいのなんの。最後の一滴まで、酒の肴になる逸品なのです。

 この煮込み、店頭でお土産用にも売っていて、ポリ袋に入れて、密封シール機でピタッと密封してくれます。にっきーさんは、これを持ち帰って、家で豆腐を足したりして楽しむことも多いのだそうです。スープとしての味がいいので、豆腐を足せば、けんちん汁風にもなって、これまた美味しそうです。

 ゆっくりと1時間ほどの「よじかわ」は、1,596円でした。

 そうそう。「川名」の店主・川名さんは、例年のとおりホノルルマラソン(12月9日(日)開催予定)に出場される予定だそうですが、なんと、今年はお店は休みにしないのだそうです。店主不在のため、刺身や、調理が必要なメニューは扱わないそうですが、焼き鳥などの品物を中心に店は営業するとのこと。まさに、店の看板どおりの「やきとり川名」に戻る2週間(12月4日(火)~15日(土))となりそうですね。

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「川名」 / 黒牛・純米酒 / かんぱち刺身

店情報前回

《平成19(2007)年11月4日(日)の記録》

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全国から200種以上 … インスタントラーメン「さくら」(新井薬師前)

ワンタンメン


 「パニパニ」を出て右(北)へ。早稲田通りを渡ると、そこは新井薬師商店街です。この商店街を西武新宿線・新井薬師前駅方面に進むと、途中にはなかなか渋そうな、やきとり「金亀」があったり、ちょっと路地の中に入ると、もつ焼き「四文屋」や、魚がおいしいと評判の「焼串(やくし)」なども並んでいます。

 今日は、それらの酒場をやり過ごして、駅前にあるインスタントラーメン専門店「さくら」です。

 昨年(2006年)の1月にオープンした「さくら」は、その肩書き(?)どおり、インスタントラーメンの専門店で、200種類以上そろえているという、全国のインスタントラーメンを、その場で調理して食べさせてもらえるのです。

 もともと居酒屋だったという店内は、7~8席分程度の直線カウンターと、店の外に3~4人分程度の補助席が出されています。

 土曜日、午後7時半のこの時間、店内のカウンター席は、ゆるやかに満席なので、外の補助席に座ります。この補助席も、カウンター風の細長いテーブルになっているので、パッと見には、平行2連カウンターのような感じですね。

 店内は、バックバーに相当する場所(カウンターの中の壁)に、ずらりと袋入りのインスタントラーメンが並んでいます。なるほど。メジャーなものから、地方でしか食べられないようなもの、さらには海外(韓国など)のラーメンまで、圧倒されるくらいの種類のインスタントラーメンが並んでますねぇ!

 値段は、よく見かけるメジャーなものが280円、地方のものが340円か380円といったところ。

 お水を持って注文を取りに来てくれたロングヘアーのおねえさんが、この店をひとりで切り盛りされている店主ですね。先日、「アド街ック天国・新井薬師編」(2007年9月1日放送分)で拝見しましたよー。

「どのラーメンも、チャーシューとメンマに、ほうれん草とネギは付きます。他に、こちらにあるようなトッピングも選べますよ」

 とカウンター上に置かれたメニューを示しながら教えてくれます。なるほど。煮たまご、バター、コーン、のり、とろろ昆布、キムチ、めんま、チャーシュー、ほうれん草(各50円)などが選べるんですね。

「えーと。エースコックのワンタンメンの、醤油味(280円)をお願いします」

 子供のころ食べていた「イトメンのチャンポンめん」(380円)や、徳島製粉の「金ちゃんラーメン」(340円)。さらには学生時代に、よく食べていた「味の丸泰(まるたい)棒ラーメン」なども並んでいて、目移りしてしょうがない中、まずは無難に「エースコックのワンタンメン」にしてみたのでした。

 件の「アド街ック天国」の中では、常連さんと思しき男性客が、

「ここは、もともと居酒屋だったんだけど、料理が下手だったんだよ。インスタントラーメンを作るのだけが上手かった」

 なんてことを、店主の目の前で語ってくれてました。店主自身も「そうそう」なんてうなずいてるのが面白い。

 そんなラーメンは、麺を鍋でゆでたあと、ザルでしっかりと湯切りし、丼の中で溶いたスープの中にすべり込ませます。自家製のチャーシューに、メンマ、ほうれん草、ネギをトッピングしたらできあがり。

 スープを別に作ること以外は、割りと普通の作り方と言っていいのですが、食べてみるとこれが本当にうまいのです!

 スープを別に作ることで、スープの味に切れが出てくるというか、ピシッと、そのラーメンの個性を感じることができる仕上がりになっています。それに加えて、このトッピングの品、それぞれがまたうまいよなぁ。

 扱っているのはインスタントラーメンだけかと思いきや、生ビール(500円)や、レモンハイ、ウーロンハイ、日本酒などの飲み物(400円ほど)や、各種つまみ類(オール300円)などもあって、酒場としても楽しめるようになっています。実際、カウンターの右端のほうに陣取っている、常連さんらしき2~3人は、生ビールのジョッキを傾けながら談笑中です。

 この店が大人気のため、今やフランチャイズ展開もしているのだそうで、2号店が南砂(江東区)に、3号店は遠く離れた長崎県の対馬に、4号店は秋葉原に、そしてこの10月、池袋に5号店ができたのだそうです。すっごい勢いですねぇ。

 この店は、インスタントラーメンですが、このように何かの分野に特化して、その分野を徹底的に極めていく、というのが成功の鍵(少なくとも必要条件)なのかもしれませんね。

 1杯280円のラーメンをすすりながら、そんなことを考えたような次第です。

 今度は、ゆっくりと飲んで、〆(シメ)にインスタントラーメンを食べる、というパターンで来てみたいお店です。どうもごちそうさま。おいしかったです!

店情報

《平成19(2007)年11月3日(土)の記録》

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店情報: インスタントラーメン「さくら」(新井薬師前)

  • 店名: インスタントラーメン専門店「さくら」新井薬師本店
  • 電話: 03-3388-5201
  • 住所: 164-0002 東京都中野区上高田3-38-5 YLビルB1-2
  • 営業: 15:00-24:00、日休
  • 場所: 西武新宿線・新井薬師前駅を南側に出てバス通りを新井薬師方面に約100mの左手地下。
  • メモ: 平成18(2006)年1月にオープンした、全国のインスタントラーメン約200種類(190、280、340、380円)が食べられる、インスタントラーメンの専門店。ラーメンには自家製のチャーシューに、メンマ、ほうれん草、ネギが添えられるほか、煮たまご、バター、コーン、のり、とろろ昆布、キムチ、めんま、チャーシュー、ほうれん草などのトッピング(各50円ほど)を選ぶこともできる。ビールなどの飲み物のほか、おつまみ類(オール300円)もある。平成20(2008)年6月16日に現在の場所に移転。公式サイトあり。

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流行りの店に口開けで … 立ち飲み「パニパニ」(中野)

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 昨年(2006年)の夏にオープンした、立ち飲み「パニパニ」。今や、夜な夜な人があふれかえる大人気店です。

 本来は、日曜、祝日は定休日のお店なのですが、ミクシィの「パニパニ」コミュニティに「営業させていただきます」というコメントを発見し、土曜日ながら祝日(文化の日)の今日、その大人気店に、ひとりでじっくりと出かけてみようと、やってきたのでした。

 午後5時半ごろ、お店に到着すると、先客はなし。店内がすごく広く感じます。

 「パニパニ」を運営するのは、店主と、その奥様のふたり。店内の掲示物には、随所に「パニパニ・スタッフ一同(2名)」という表記があり、みんなから「一同って、ふたりのことなのぉーっ!?」と笑いを誘っているのです。今の時間帯は、店主がひとりで切り盛りされています。

 まずはビンビール(アサヒスーパードライ中瓶、480円)をもらって、最初の1杯をグイッと飲み干し、おもむろにメニューを確認します。

 この店が大人気なのは、まさにパニパニ(=沖縄の言葉で「とても元気な」みたいな意味らしい)そのものの店の雰囲気もさることながら、店主の作る料理が、安くて、おいしいということが一番の要因に違いないと私は思っているのです。この店ならでは、といったメニューもたくさんあり、そのために通う人も多いようですからねぇ!

 「今日のFOODメニュー」という手書きボードには、復活!うずら卵の醤油煮250、鶏手羽の辛煮270、えびとアボカドの和風あえ290、メンマチャーシュー290、〔熱あつ〕焼ギョーザ3P250、4P330、焼きプチトマト210、串カツ300、ゴーヤチャンプル380、チャーハン490、おつまみ茄子カレー250(パン90、ライス140)、〔スピード〕味付ザーサイ100、茶まめ180、新じゃが明太マヨ180、砂肝のピリ辛200、冷しトマト210、冷しキューリ210、おかかチーズ250、セロリ漬け270といったメニューがずらりと並んでいます。

 そんなメニューの中から、BUSHさんの「ぶぅログのーと」にもよく登場する、おつまみ茄子カレー(250円)を、パン付き(+90円)で注文します。

 小鉢で出されたおつまみ茄子カレーには、大きく切られた茄子が、ごろん、ごろんと入っています。あぁ、これは、ビールにもよく合いますねぇ!

 するりとビールを飲み干したあとは、ちょっと気になる“赤玉割り”(450円)という飲みものをもらってみます。これは焼酎を、赤玉スイートワイン(旧名:赤玉ポートワイン)で割った飲みもの。つまり、焼酎のワイン割りというか、ワインの本醸造(!?)というか…。

「意外と人気があって、これを何杯も飲む人もいるんですよ」

 と店主。氷も入って、とっても飲みやすいので、逆にとっても危険を感じるお酒です。あぁーあ。飲みやすいから、すぐに飲み切っちゃいました。

 続いては、パニ茶割り(360円)をもらって、名物の焼ギョーザ(3個250円)と、新じゃが明太マヨ(180円)を注文します。

 気がついてみると、店内はすでにゆるやかに満員(10人ちょっと)。なにしろ立ち飲みだけに、ギューッとつめれば、この倍くらい入るんですよね。実際、金曜日の夜なんか、いつもそれくらい(20人規模)の状態だし!

 ゆっくりと1時間半ほど楽しんで、今日のお勘定は2,060円でした。どうもごちそうさま。

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赤玉割り / パニ茶割りと焼ギョーザ / 新じゃが明太マヨ

店情報前回

《平成19(2007)年11月3日(土)の記録》

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幻の梅でイクラ醤油漬 … やきとり「鳥佳(とりよし)」(横浜・上大岡)

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 私が知らないだけかも知れませんが、横浜地区には、もつ焼き屋さんが少ないのです。昔から外国人が多かったので、牛や豚の内臓も、肉と同じように、ごくごく普通の食材として消費されてしまっていて、もつ焼き用として、安く市場に出回ることがなかったのかなぁ、なんて推測したりしていますが、実際のところどうなんでしょう?

 そんな横浜の地で、創業者であるお母さんの代から、もう30年以上、もつ焼きを提供し続けているのが、上大岡(かみおおおか)の「鳥佳」です。

 店の正面に向かって両側に入口があり、駅から遠い右側(信号交差点の側)が、カウンター&テーブル席への入口です。木曜、午後8時過ぎの店内は、ゆるやかに満席に近い状態。テーブル席には空きがなく、カウンターに2席分程度の空きがあります。そのカウンター席に腰を落ち着けて、瓶ビール(キリンラガー大瓶、520円)と、小腹セット(700円)を注文します。

 小腹セットというのは、おまかせの、やきとり7本盛り。目の前の焼き台で、店主が一所懸命焼いてくれる様子がよく見えます。最近、焼き台と客席の間に、アクリル板のような、透明の仕切りがあるお店が多いのですが、ここは、まさに目の前が焼き台。炭火の強い火力を、客席からも実感することができるのです。

 まず出されたのは、カシラ、ハツ、タン、鳥ネギの塩焼き。お皿の脇にはキャベツの酢漬けも添えられています。

 やきとりは、基本的には1本130円ですが、タンは150円、ボンボチ、トンタマは210円、さがり(牛串)は350円と、単価が高めの串も、いくつかあります。

 続いては、レバーとシシトウのタレ焼き。大ぶりのレバーのプリプリ感が、あいかわらずいいですねぇ。そして、シロタレ。くるりと巻き込むようにして、串に刺されたシロの弾力感といったら! 感服です。

 ビールが空いたところで、「幻の梅サワー」(420円)を注文します。“幻の”なんて言葉を見ると、つい気になっちゃいますよねぇ。

 すぐに出された幻の梅サワーは、サワーグラスの底に梅干の実が入り、グラスの底のほうは梅酒のような薄茶褐色。そこからグラスの上のほうに向かって、グラデーションに透明感が増していき、グラス上部は完全に透明です。なんだかテキーラサンライズのような、カクテル系の飲み物なんですね。

 上のほうを飲んでみると、さすがに透明だけあって、このあたりは、ほとんど味はない。添えられたマドラーでグルグルとかき混ぜて、全体が透明っぽい褐色になったところで、いただきます。ふーん。けっこう甘めの飲み物ですねぇ。

 やきとりを食べ終えて、G.Aさんの「陸ボケ日記」にもよく登場する、コブクロ刺しがないかどうか確認してみたところ、残念ながら今日は無いとのこと。それじゃと、黒板にずらりと書き出されている「本日の美味」から、イクラ醤油漬け(500円)を注文します。

「はい。イクラ醤油漬けです」

 と、カウンターの上部越しに手渡された醤油漬けは、透明なガラス小鉢に盛られた、とても美しい透きとおるオレンジの粒々。うわぁーっ、としばらく観賞してから、おもむろに数粒を口に運びます。

 ックゥゥゥ~~ッ。こりゃまた、うまいもんじゃのぉぉっ。

 その様子をニコニコと見守っていた店主から、

「熱いご飯が欲しくなるでしょう!?」

 と声がかかります。まったく、まったく。熱いご飯に、このイクラをたっぷりと盛り上げて、丼を口につけたまま、ザクザクとかき込むと、死ぬほどうまいだろうなぁ!

 日本酒とも、ものすごく合いそうですが、合い過ぎて、酒が3本(3合)くらいは軽く空いちゃうかもなぁ。残念ながら、まだ木曜日だから、ちょっと控えておきますか。

 キラキラと輝くイクラを食べ終えて、1時間ちょっとの滞在は2,140円でした。どうもごちそうさま。

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カシラ、ハツ、タン、鳥ネギ(塩) / シシトウ、レバー(タレ) / シロ(タレ)

店情報前回

《平成19(2007)年11月1日(木)の記録》

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わざわざ出かけるお店 … 豚の「味珍(まいちん)」(横浜)

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 ふらり、ふらりと、ひとり酒。そんなときに行くお店は、たとえば大衆酒場であったり、立ち飲み屋であったり、もつ焼き屋であったり、そしてたまには小料理屋であったり。

 「専門的な料理で飲める店」というジャンルもあります。そば屋で飲む酒や、寿司屋で飲む酒などが、それにあたりますが、それとは別に、その店でしか食べられない料理があるお店、というのもあります。

 鳥唐揚げの「とよ田」(自由が丘)や「鳥房」(立石)、うなぎ串焼きの「川二郎」(中野)や「むら上」(大井町)などなど、いずれも『その料理を食べるために、わざわざその店に行く』というお客の多い名店ぞろいです。

 横浜駅西口、狸小路にある「豚の味珍」もそんな『わざわざ出かけるお店』のひとつ。この店オリジナルの醤油ベースのタレで、じっくりと煮込まれた豚の頭、耳、舌、胃、足、尾の6種を味わうことができるのです。

 「味珍」は、狸小路をはさんだ両側に、本店と支店(新店)が向かいあって建っていて、そのそれぞれに1階店と2階店があり、都合4店舗で営業してます。

 今宵、向かったのは本店の2階。急な階段を上って店内に入ると、ひとりで切り盛りしている店長が、L字カウンターの奥のほうに空きがあることを教えてくれます。

 その席に座り、瓶ビール(中瓶、500円)と、豚の胃(700円)を注文。瓶ビールは中瓶が500円で、キリンラガーか、アサヒスーパードライが選べます。豚の胃は、常連さんたちは豚肚(チート)と呼びます。

 すぐに出されたビールを飲みながら、小皿に辛子とお酢、ラー油を入れて、グリグリとかき混ぜます。これが、ここの豚料理をいただくときのつけダレになるのです。人によっては、ちょっと醤油をおとしたり、あるいは別に注文した腐乳(醗酵豆腐、150円)を溶き込む人もいます。

 私の座っている、L字カウンター短辺のこの位置は、店長が豚の支度(したく)をするのが、とてもよく見える場所。豚はすべて、あらかじめじっくりと煮込まれて冷めたものが、カウンターのガラスケース内にずらりと並んでいて、注文を受けてから食べやすい大きさにカットされるのです。豚の胃は、大人の手のひら大のものが、ずらりとガラスケースに入っています。それを数枚取り出して、スィーッ、スィーッとスライス。丸皿に盛り付けて、「はいどうぞ」と出してくれます。

 よーく煮込まれて、茶色に光る豚肚スライス。この1片を箸で取り、すでにスタンバイを終えているつけダレをちょいちょいと浸けていただきます。んー。この弾力感が、胃ならではですね!

 惜しむらくは、1人前のボリュームがけっこう多いところ。ひとりだと1品だけで、もう十分、って感じになってしまいます。この半分くらいの量が1人前だと、少なくとも2種類くらいは楽しめるんですけどねぇ。あるいは「2種ミックスで1人前」なんてメニューがあるといいのですが…。

 そんなわけで、豚をもう1人前もらうと残しそうなので、もう1品は、これまたこの店の名物のひとつ、中国風の白菜漬物、辣白菜(ラーパーツァイ、300円)をいただきます。飲み物は老酒(ラオチュウ、350円)を注文。受け皿つきのグラスに、あふれるまで注いでくれます。甘ーい感じの味わいの中に、ピリッと唐辛子の辛みが入った辣白菜に、コクのある老酒がよく合います。

 目の前では豚頭肉(カシラ)がスライスされています。なるほど。頭肉は煮込み汁のゼリー状のゼラチンとともに固められて、まるでボンレスハムのような形に整形されています。これをハムと同様に、薄くスライスして盛りつけるとできあがり。頭肉の断面が美しいですねぇ。ちなみに「ぶつ切りで」と注文すると、ブロック状に切り分けてくれます。豚舌も同様で、通常は薄くスライスで、「ぶつ切り」だとブロックです。あぁーあ。見てると食べたいものばかりだなぁ。もっと大きな胃がほしい。

 1時間ほどの滞在は1,850円でした。どうもごちそうさま!

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豚肚(チート) / 辣白菜(ラーパーツァイ) / 老酒(ラオチュウ)

店情報前回

《平成19(2007)年11月1日(木)の記録》

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いつの間にやら六百万 … 居酒屋「三州屋(さんしゅうや)」(銀座)

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 午後4時現在、台風20号が八丈島の北60キロの海上を、北東に向けて時速50キロで進行中。午後6時から8時にかけて、関東地方に最接近の模様なのだそうで、東京地方も雨風が厳しくなってきています。

 そんな天候の中、飲み仲間たちと集結したのは、銀座の「三州屋」の2階座敷。このサイトに設置しているアクセスカウンターが600万を超えたということで、有志のみなさんが、お祝いの席を設けてくれたのです。

 なにしろ「三州屋」名物の鳥豆腐(とりどうふ)は、はずせませんね。きっちりと人数分を注文します。

 鳥豆腐は、その名のとおり、鶏肉と豆腐のスープで、1人前が丼鉢に1杯ずつ。添えられたポン酢醤油にちょいと浸けていただくのです。言ってみれば、鶏の水炊きのようなものですね。

 もちろん、この季節ならではのカキフライもいただかなくっちゃ。もともとフライ類のメニューが多い、このお店。レアめの仕上がりが、カキにぴったりなのです。

 さて、このサイトのこと。

 元々、趣味でニフティサーブというパソコン通信をやっていたのですが、そのニフティが、平成9(1997)年になってホームページサービスを開始したのです。当時は、ちょうどインターネットが日本の中でも普及し始めたころで、新しもの好きの私も、すぐにホームページを開設してみたのでした。(アクセスカウンターを設置したのは、その翌年で、アクセスカウンターのサービスが開始された平成10年2月です。)

 そうやってホームページを作ってみたものの、特に書くこともない。そこで、パソコン通信時代に書き込んでいた記事を、分野ごとに整理して、それをホームページに載せてみたのでした。その分野のひとつが、「居酒屋礼賛」だったのです。

 当時は、その分野だけが、こんなに読まれるようになって、のちにブログにまで発展するという予想はまったくなかったので、ネーミングもいい加減で、当時の愛読書だった、「居酒屋礼讃」(森下賢一著)から、そのまま無断拝借していたのでした。

 ちょうどそのころ、勤めている会社で、工場の移転(東京から横浜へ)計画が持ち上がってきたのです。これは大変。もしかすると、家も横浜へ引っ越さないといけないかもしれません。居酒屋本を読んでるだけじゃなくて、それらのお店に行っておかなきゃ、もう都内の酒場には行けなくなるかもしれない。そんな思いにかられて、酒場めぐりを始め、その記録をサイト内の「居酒屋礼賛」コーナーに記録していくようにしたのでした。

 当時は1日に100くらいのアクセスしかなかった(それでも当時は多いほうだったらしい)のですが、それが200になり、500になりと、自分でもびっくりするくらい増えていって、ホームページ開設から9年(カウンター設置から8年半ほど)で、累積アクセス数600万を迎えたのでした。

 こんなに読んでいただけるようになったら、タイトルも無断拝借のままじゃダメだろうということで、3年ほど前に、森下さんに直接お会いできる場を設けていただいて、改めてタイトルの使用についても、ご了解をいただいたような次第です。

 その後、工場は予定どおり移転したものの、私自身は都内に自宅をおいたまま、単身赴任で横浜勤務をこなすことになったので、今は都内の酒場に加えて、横浜近辺の酒場にも行くことができるという、とてもいい環境(?)で過ごさせてもらっているのでした。

 午後9時過ぎまで、4時間ほどを「三州屋」で過ごし、台風のピークをやり過ごしたところで、二次会へと向かいます。

 酒場通のみなさんが、これだけ集結していると、二次会は店の選択がむずかしいんじゃないかなぁ、と、かなり心配していたのですが、どういうわけだか「二次会はサイゼリヤで、安ワイン(失礼!)をガブガブ飲もう!」という話が盛り上がり、これまたどういうわけだか、みんなで地下鉄に乗って、渋谷の「サイゼリヤ」に向かいます。

 ところがっ!

 台風の日でも、土曜日の渋谷は、やっぱり人・人・人。「サイゼリヤ」も満員で、1時間以上は待たないと入れないのだそうです。それじゃ、と向かったのが、すぐ近くにある居食屋「和民」。今やテレビなどでも大活躍中の渡辺美樹社長が、平成4(1992)年に志高く創めたチェーン居酒屋で、2008年に1,000店舗を、そして2020年には売上高1兆円を目指しているのだそうです。

 若い人たちからも大人気の酒場のようですが、私自身は、飲みに行った先でまで「一所懸命の企業努力」というのを見せつけられるのは、ちょっと落ちつけない感じがするので、個人的にはあまりチェーン居酒屋には行かない。会社で飲んだり、こうやって大勢で二次会に来たりするときに、そういうお店が、どんなメニュー構成になっていて、どんな接客なのかということを見ることができる程度なのでした。

 居酒屋ではなくて、あえて居『食』屋とうたっているだけあって、さすがにメニューは幅広い。居酒屋で考えられるたいていのメニューがずらりと並んでいるほか、食事ものや、デザートまで数多くそろっています。

 「三州屋」で、つまみ的な料理が主体であったことや、時刻がすでに午後10時を回っていることもあって、注文はシメタン(〆の炭水化物)に集中。焼きうどん、焼きそば、五目チャーハン、カキ・チャーハンと、これでもか、これでもかと畳み掛けるように炭水化物が出てくるんだけど、これらがまたあっという間になくなっちゃうのが素晴らしいですね。

 終電間際にボチボチと解散。台風が接近する中、どうなることかと心配しましたが、とても楽しい1日となったのでした。

 このような会を開いてくれたみなさん、改めまして本当にありがとうございました。

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カキフライ / ブリ照焼き / タイかぶと煮

店情報前回

《平成19(2007)年10月27日(土)の記録》

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禁断の金曜フルコース … バー「ペルル」(鷺ノ宮)など

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 「ほ里乃家」を出たのが、午後10時半。西武新宿線・鷺ノ宮駅を反対側に渡り、2軒目は駅北口の「居酒屋ペルル」です。この店は午後11時半ピシャリまでの営業なので、あと1時間ほど楽しめますね。

 昭和35(1960)年創業の「ペルル」を、創業時から一貫して切り盛りするのは、昭和2年生まれ、今年でちょうど80歳の店主(マスター)、古川さんです。

 アニメ「笑ゥせぇるすまん」の主人公である、喪黒福造(もぐろふくぞう)の行きつけのバー「魔の巣」のモデルになったという、このお店。「魔の巣」のマスターは、古川さんそっくりに描かれています。「魔の巣」のマスターは、とっても無口。古川さんは、しゃべりがとても楽しい方なので、その点は異なっていますよね。

 カウンター10席程度のみの店内を、店主の古川さんと、曜日替わりのお手伝い女性1名の、計2名で切り盛りしているのです。

 飲み物は1杯500円前後、食べ物も1品500円前後で、「居酒屋ペルル」という看板どおり、チャージやチャームもないので、お会計は自分の飲み食いしたものを単純に足し算した金額。本当にリーズナブルに楽しむことができるお店なのです。

 馴染みになったお客さんの多くは、1本4,500~5,000円のボトルをキープしていています。このボトルがあると、500円の氷代、水代を払うだけで、ボトルの続く限り何杯でも飲むことができるのです。氷や水(水道水?)もどんどん追加してくれます。そんなわけで、ボトルがあって、料理はあまり注文しない私は、ほとんどの場合、お勘定は500円なのでした。儲からない客ですみません。

・「ペルル」の店情報前回


 閉店まで「ペルル」で過ごした後は、その「ペルル」店内で合流したにっきーさんと「満月」に流れます。金曜、午後11時半過ぎの「満月」の店内も、「ペルル」と同じく、ほとんど見知った顔ばかりで、なおとんさんや、ふじもとさんの姿も見えます。

 カウンター上段に並ぶ大皿料理から、野菜や豆腐も入っていて、やさしい味のもつ煮込み(300円)や、砂肝炒め(300円)、コンビーフ炒め(400円)などをもらって、コーヒー割り(300円)です。

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もつ煮込み / 砂肝炒め / コンビーフ炒め

・「満月」の店情報前回


 わいわいと楽しく過ごすうちに、どんどん酔いも回ってきて「よーし、もう1軒!」と、にっきーさん行きつけの「ゴテンズバー」から、最後は「御天」で、せん菜炒め(550円)からラーメン(680円)に至るという、金曜日の禁断のフルコースの道をたどり、自宅に着いたのは午前3時半でした。うぅーっ、よく飲んだ。

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せん菜炒め / ラーメン / にっきーさんは、つけめん

・「御天」の店情報前回

《平成19(2007)年10月26日(金)の記録》

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おでんつまみに燗酒を … 居酒屋「ほ里乃家(ほりのや)」(鷺ノ宮)

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 このところ、ぐんぐんと気温が下がってきて、今日(10月26日)は雨模様の上に、最高気温が20度を下回るという肌寒さ。金曜日、午後9時前の「ほ里乃家」は、J字カウンター13席のみの店内に、空席がかろうじて1席という込み合った状況です。でもまぁ、1席残っていて、良かった良かった。私が、その席に座って、これできっちりと満席です。

 寒くても、やっぱりまずは瓶ビール(アサヒスーパードライ大瓶、580円)ですね。これでプハーッとやらなければ、今日1日の仕事が終わった感じがしません。

 店主夫妻は、大勢のお客さんからの注文を一所懸命さばいている状態なので、しばらくはお通し(200円)の煮物(高野豆腐、昆布、こんにゃくなど)をつつきながらしのぎ、手があいたところで、おでんを注文します。

 ここ「ほ里乃家」は、店の看板にも「おでん、やきとり」と書かれているとおり、その二つは“本来は”目玉商品だったようです。近隣の人たちも、「あぁ、あの駅前のおでん屋さんね」と、すっかりおでん屋さんとして認識しているほどなのです。

 でも、あえて“本来は”と記載したのは、現在はおでんと、やきとりのみならず、刺身などの生ものも、焼き物も、煮物も、酒場として考えられるメニューは、ひとしきりそろっていて、おでんや、やきとりも、ワンノブゼム的な位置付けになっているからです。

 それでも、おでんがこの店の看板商品のひとつであることには変わりはない。特に今日のような寒い日には、おでんは欠かせません。ふんわり、ぷっくりの、はんぺんと、呑ん兵衛の友、豆腐の2品を、まず取ってもらいましたが、両方とも白いので、ビジュアル的にはあまり良くなかったですね。

 ビールを飲み終えて、燗酒(剣、340円)を注文。おでんには、やっぱり燗酒ですね!

 この店は、カウンターの中で調理が進む様子を、J字カウンターのどの席からも見ることができます。「あの刺身、きっとオレのだな」なんて思いながら、スィ~ッ、スィ~ッと刺身が引かれていく様子を見てるのが、これまた楽しいんですよねぇ。

 そんなふうに目の前で調理が進むこともあって、常連さんの中には、けっこうわがままな注文をする人もいます。

「マスター、ニラモヤシを作ってもらえる? ニラとモヤシを、塩だけでパパッと炒めてくれればいいから」

「ボクは、レバニラ炒めのレバだけ。ニラは、いらない」

 さすがに常連さんたちも、どんな食材があるのかということは把握していて、できる範囲で注文を聞いてもらっているようです。そんなワガママ料理なのに、できあがってお皿に盛られたところを見ると、とっても美味しそうなのが、くやしいなぁ。なにしろ、ワガママ料理だけに「あれと同じものを私にも」、とは注文しにくいですもんねぇ。

 燗酒(340円)をおかわりし、おでんのほうは、玉子、ちくわぶに、野菜入りさつま揚げの3品を取ってもらいます。

 はんぺんや、ちくわぶは、東京に出てきてから初めて出合った、おでん種です。魚(サメ?)のスジも、こっちならではかなぁ。おでんも、単純な料理のようでいて、地域、地域で色々と違いがあるようで、おもしろいですよね。

 午後10時まで、1時間ちょっとの滞在は、2,070円でした。

 値段が分かっているものを差し引くと、おでん5品で610円だったんですね。一品あたり平均122円とは、安いですねぇ。

 おでんに燗酒で、すっかり暖まって店を後にしたのでした。

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「ほ里乃家」 / 瓶ビールとお通し / おでん(豆腐とハンペン)

店情報前回

《平成19(2007)年10月26日(金)の記録》

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最新流行にときめいて … 立ち飲み「車橋もつ肉店(くるまばし-)」(横浜・石川町)など

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 「武蔵屋」をあとに、本日、野毛に集った飲み仲間たちと再集結したのは、バス通りを渡ったところにあるイタリアンバール、「バジル」です。すぐとなりにある、スペインバル「ボデゴン・ノゲ」とともに、最近、野毛で大人気の立ち飲み屋なのです。

 先ほどの「武蔵屋」のキーワードが「万古不易」だとしたら、こちらのキーワードは、さしづめ「最新流行」といったところ。しかしながら、バールといった形態自体は、ヨーロッパではすっかり根付いた食文化なので、このまま3年以上、人気を保ち続けることができれば、きっとこの両店も野毛の地に根付いてくることでしょう。

 軽いつまみ(3点盛りが900円)に、サングリア(500円)などをいただいて、次へと向かいます。

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店頭の樽で飲む / 前菜3種盛り / サングリア(バナナ)

 ・「バジル」の店情報前回


 続いてのお店は、大岡川のほとりに三日月型に広がる都橋(みやこばし)商店街の2階にある「ホッピー仙人」です。ここは、ホッピー・バーという、とても珍しい形態のお店。バックバーに並ぶスピリッツ(蒸留酒)類は、カクテル用ではなくて、すべてホッピーで割るためのもの。この店もまた、「最新流行」のお店だったのですが、平成13(2001)年9月15日の創業以来、すでに6年以上の歴史を重ねて、もはや「最新流行」の時期は過ぎ、野毛を語るときに、決してはずせないお店の1軒になっています。

 飲み仲間たちと、仙人(=「ホッピー仙人」の店主)渾身のホッピー(500円)を1杯ずついただいて、さらに次へ。

 ・「ホッピー仙人」の店情報前回


 タクシーに乗って、ビュイーンと向かったのは、車橋(くるまばし)にある、これぞ「最新流行」の立ち飲みもつ焼き店、「車橋もつ肉店」です。

 今日は4人なので、金宮のボトル(600ml、980円)を1本と、瓶入りホッピー(ソト)を2本ばかりもらってスタートです。つまみはもちろん、大人気の塩ユッケ(450円)から。細く切った生牛肉を、刻みネギとともに、塩と胡麻油で和え、仕上げに卵黄を1個落として、白胡麻パラリの、ビジュアル的にも美しい状態で出されます。これに、横に添えられた櫛切りのレモンをちょいと搾りかけ、グルグルとかき混ぜていただくのです。ックゥ~~ッ。やっぱりうまいなぁ!

 さらにセンマイ刺し(300円)や、レバ刺し(300円)、焼き物は牛ロース(1本150円)や、砂肝(1本100円)に鳥ネギ(1本100円)。最後にもう一度、塩ユッケ(450円)と、牛肉刺し(300円)をいただいて、飲み終わったのは午後11時前。

 私は平日は横浜市内にいるので近いものの、同行の泥酔院さんは小田原に、にっきーさん宇ち中(うちちゅう)さんは東京まで帰らないといけません。ここから一番近いJR石川町駅までは、歩いて10分ほど。急げ急げ。

 こんな陸の孤島(失礼!)のような場所にありながら、美味しいものがあるとわかると、みなさん遠くからでも、今日のようにタクシーに乗ってでも、やってくるんですよねぇ。安くて旨いつまみに、ついつい引き寄せられちゃうのが、正しき酒飲みの姿なのでした。(笑)

 「万古不易」はもちろんですが、「最新流行」もいいもんですねぇ!

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金宮ボトルでホッピー / レバ刺し / センマイ

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牛ロース / 砂肝と鳥ネギ / 牛肉刺し

 ・「車橋もつ肉店」の店情報前回

《平成19(2007)年10月25日(木)の記録》

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万古不易にくつろいで … 酒亭「武蔵屋(むさしや)」(横浜・桜木町)

武蔵屋にて


 「万古不易(ばんこふえき)」。ずっと変わらないことを示す四文字熟語です。その対義語で、その時々に合わせて変化を重ねていくのが「一時流行(いちじりゅうこう)」と言えば、両者の違いが際立つでしょうか。

 そんな「万古不易」を具現化した酒場が、横浜・野毛にある酒亭「武蔵屋」です。

 酒飲みというのは勝手なもので、自分自身は会社の中で、日々これ改善・改革という変化に追いまくられているにも関わらず、同じように経営努力がいるはずの酒場には、ガンとして不変を求めるようなところがあります。いやむしろ、日々、変化の波にさらされているからこそ、ゆっくりとくつろぐことのできる酒場には不変を求めてしまうのかもしれませんね。

 私自身も酒場にはできるだけ変わってほしくありません。たとえば、まだ20代だった独身時代(20年ほど前)に、よく通ったおでんの「あわもり」(広島県呉市)。最後に行くことができたのも、東京に転勤してから15年ほど経ち、店に行くのも15年ぶりとなる、平成14年(2002年)のことでした。当時とちっとも変わっていない店主や、出してくれるおでんに、思わずウルウルとなりながら、懐かしさにどっぷりと浸ったものでした。今でも、機会があればぜひ出かけたいお店です。

 さて「武蔵屋」。この店は、どういう経緯からか「いらっしゃいませ」という言葉は、けっして使いません。静かに入って、空いた席があれば、そこにすっと座る。

 店は、お姉さんが85歳、妹さんが83歳と、ともに80歳を越えてお元気な店主姉妹と、それを手伝う若いアルバイト2~3人の、合わせて4~5人で切り盛り中。その若い手伝いのおねえさんから、

「お酒ですか?」

 と問いかけがきます。だまって座れば、お酒3杯に、決まった料理が5品。これが飲むに連れて出されて、ひとり2千円というのが、まさに万古不易のこの店のルール。それなのに、なぜ「お酒ですか?」の問い合わせがくるかというと、これら定番の3杯・5品のほかに瓶ビールをもらうこともできるのです。

「はじめに小瓶のビールをください」

 ビールは、ビール用の料理1品(たいてい豆菓子)とともに出され、大瓶が700円、小瓶は500円です。

 最初に出される料理は、玉ねぎの酢漬けと、おから。そして、お客の顔を見て作り始めるタラ豆腐の3品。あぁ、「武蔵屋」に来たなぁ、と実に安心する瞬間でもあります。

 お酒をおかわりして2杯目になると、小皿の納豆が出されます。この店の特徴は、カウンターやテーブルの上に、調味料などがいっさい置かれていないこと。みんなの酒と肴だけがずらりと並んでいるだけなので、景色がいいのです。そうやって、調味料要らずの状態に味つけされているのに、だれからも味が薄いだとか、濃いといった文句が出ないのがまた素晴らしいところ。これも長年の積み重ねがあってこそなんでしょうね。

 この店の別名は「三杯屋」。お酒が3杯きりしか飲めないからです。「このくらいの量がちょうどいい。これだけ飲んだら、あとはまっすぐ家に帰ること」というのが、先代の木村銀蔵さん(店主姉妹のお父さん)のときからの、この店のルールなのです。

 その3杯目に合わされる肴は、小皿のお新香盛り合わせ。こうやって並べると、すべてご飯のおかずにもなるような品ばかりですね。ご飯に合うものは、日本酒にもピタリと合うのです。

 いつも変わらぬ、「万古不易」の店、酒、肴で、1時間半ほどくつろいで、今日は(というか、“今日も”)2,500円でした。

「なるべく、まっすぐ帰ってくださいね」(姉)

「わざわざ、ありがとうございます」(妹)

 という見送りの言葉もまた、いつもと変わらぬ安心感です。どうもごちそうさま。

店情報前回

《平成19(2007)年10月25日(木)の記録》

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立ち飲みでハイボール … バー「ロックフィッシュ (Rockfish)」(銀座)

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 新橋での2軒を楽しんだあと、トコトコと少し歩いて、本日ラストは銀座のバー、「ロックフィッシュ」です。

 午後9時過ぎの店内は、カウンター席も、奥のテーブル席も満席模様。これはダメかな、と思っていたら、

「おひとりさま? こちらでの立ち飲みなら入れますが、よろしいですか?」

 と、店の奥のほうで、やわらかくL字に曲がったカウンターの短辺のところを指し示してくれます。

 これはありがたいですねぇ。「ロックフィッシュ」でも立ち飲みができるとは!

 さっそく示された場所に立ち、ハイボール(735円)を注文します。

 薄いガラスのタンブラーに、氷を入れずに作られたハイボールは、京都や銀座の「サンボア」などでもおなじみの、関西風ハイボールです。パチパチと小さな泡が、ウイスキーの味や香りを、より分かりやすくしてくれるんですよねぇ。この甘~い感じが大好きです。

 つまみは目の前に置かれた、さや付き落花生。

「殻は、この辺に置いておいたのでいいですか?」

 と聞いてみると、

「では、これをお使いください」

 と空のグラスをひとつ出してくれました。

 東京のバー、中でも銀座あたりのバーは、お洒落で、慇懃無礼な感じのところも多いのですが、ここ「ロックフィッシュ」などは、バーとしての凛とした空気を持ちつつも、お客が肩に力を入れずにゆっくりとくつろげるという、いいバランスの酒場になっています。

 こういうお店が増えてくると、バーも、みんなが普通に楽しめる酒場として、ますます認知されていきますよね。がんばれー!

 ハイボールをおかわりすると、すぐとなり、カウンターの一番端っこの席に座っているお兄さんも、ハイボールをおかわりです。

「ハイボール、おいしいですよねぇ」

「本当に!」

 ひとり客同士で、ニコッと交わす短い言葉もまた、心をゆったりとほぐしていってくれます。

 このサイトのタイトルとしても使わせていただいている、図書「居酒屋礼讃」の著者・森下賢一さんと、酒場詩人・吉田類さんのお二人に、初めてお会いしたのも、ここ「ロックフィッシュ」でした。あれから、すでに3年ですか。月日がたつのが早いなぁ。

 そんなことを思いながら、ハイボール2杯で1時間弱。今日のお勘定は1,470円でした。

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「ロックフィッシュ」 / ハイボール / 店内の様子

店情報前回

《平成19(2007)年10月23日(火)の記録》

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もつ焼き3~4本!? … もつ焼き「くら島(くらしま)」(新橋)

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 新橋の2軒目は、古いもつ焼き屋、「くら島」です。

 店内は、左手が店の奥まで、まっすぐ続く直線カウンターで、右手はテーブル席。店は店主夫妻(かな?)二人が切り盛りしていて、店主は入口すぐ横の焼き台で、もつ焼きを担当しており、おかみさんがホール全般を見ているようです。

 火曜日、午後8時過ぎの店内は、カウンターは手前側3分の2くらい人が入っていて、テーブル席はグループ客で埋まっている状態。カウンターの一番奥の席に座り、目の前にいた、おかみさんにお酒(日本酒)を注文すると、

「ひや…?」

 と短く返す、おかみさん。あぁ、そうだ。ここのおかみさんは、無口(無愛想!?)なことで有名だったのでした。

「えぇ、冷やでお願いします」

 今日はなんだか冷や酒気分です。ちなみにお酒は、一級酒が380円、二級酒が320円と、昔の等級で書かれています。特に指定せずに注文した場合は、きっと二級酒だろうな。一級酒、二級酒は、今の呼び方なら、本醸造酒と普通酒かな。

 お通しは、小皿にパラリと盛られた柿の種(ピーナッツなし)です。

 無口なおかみさんは、他のお客さんたちからの注文や、問いかけに対しても、必要最小限の対応です。うーむ。どうすれば、このおかみさんがもうちょっと話してくれるかな。そうだ。今日は、この店でもつ焼きを食べようと思ってたので、そのもつ焼きを、銘柄指定なしで注文してみよう。

「すみません。もつ焼きを3~4本お願いします」

 近くを通り掛かったおかみさんに、そう注文してみます。壁の短冊メニューには「もつ焼き100円」としか書かれていないのです。

 こうやって、メニューに「もつ焼き」としか書かれていない店の場合、そのメニューのとおり、「もつ焼きをください」と注文すると、たいていの場合、「もつ焼きには、レバー、タン、ハツ、…などがありますが、どれにしますか?」と聞き直してくれるのです。おかみさんも、きっとそう聞き直してくれるに違いない。しかも、数だって3~4本と、あいまいに注文してるから、これも確認されることでしょう。

「しお…、たれ…?」

 おろっ。予想外の問いかけが返ってきました。味付けを確認しておいて、その後、もつ焼きの種類や本数を言及するつもりなのかな。

「塩でお願いします」

 するとおかみさん、クルッと入口の店主のほうに顔を向けると、

「カウンター、奥のお客さん、もつ焼きを塩で3~4本だそうです」

 あちゃーっ。そのまま注文を通しちゃいましたか。

「はいよっ」

 あらら。なんでもないように、店主も注文を受けちゃった。何が出てくるんだろうなぁ。これはこれで、ある意味、楽しみです。

 柿の種をポリポリとかじりながら、待つことしばし。

「はい。もつ焼きの塩ね」

 そう言いながら、店主が長方形のお皿に盛られた、もつ焼き3本を持ってきてくれます。ほほぉ。タン1本と、ハツ2本かな。どちらもネギをはさんだ、ネギ間焼きになっています。

 どーれどれ。へぇ、なかなか、おいしいじゃん。新橋で、もつ焼き1本100円というのも嬉しいですねぇ。

 ちなみに他のつまみも、冷奴や、冷やしトマト、お新香などが300円。たこぶつや、エイヒレ、山芋千切り、ジャガバターなどが350円。そして、最高値の湯豆腐や、煮込み、肉じゃがが400円と、とにかく安いのです。

 お酒をおかわりし、「もつ焼きを、今度はタレで」と注文します。

 ややあって、店主が持ってきてくれたのは、レバー、シロ、カシラのタレ焼き3本。なるほど、本数を指定せずに「もつ焼き」と注文すると、3本ずつ出してくれるんでしょうか。

 この店で、はじめて注文するもつ焼きだったので、試しに「もつ焼き!」なんて注文の仕方をしてみましたが、普通のもつ焼き屋さんと同じように、「レバーをタレで2本と、タンを塩で4本」といった注文の仕方でも、もちろんOKです。

 ちょうど1時間の滞在は、1,240円でした。ごちそうさま!

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お酒 / もつ焼き・塩 / もつ焼き・タレ

店情報前回

《平成19(2007)年10月23日(火)の記録》

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牛すじカレー煮&玉子 … 立ち飲み「ぼんそわ」(新橋)

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 呑ん兵衛の町、新橋にやってきました。

 1軒目に向かったお店は、立ち飲みの「ぼんそわ」です。ここは比較的新しいお店ながら、フローズンなホッピーや、もつカレー煮込みなどで、このところ大ブレーク中の立ち飲み屋さんなのです。

 火曜日、午後6時半の店内には、先客は7人ほど。これまで、満員状態の店しか見たことないので、7人くらいだと、すっごく少なく感じちゃいますねぇ。

 ここのホッピー(350円)や酎ハイ(300円)を飲んでしまうと、1軒目でダウンとなりかねないので、今日は生ビール(400円)からスタートすることにしましょうね。

 店主が真剣な表情で注いでくれた生ビールは、サントリープレミアムモルツ。専用のグラスで出されます。

 今日のお通し(サービス)は、小鉢のワカメ酢です。私の知っている限り、最初にサービスのお通しが出される店で、悪い店はないように思います。

 さてさて、料理のほうは、まず絶対に、もつカレー煮込み(300円)を食べたかったのですが、店の表に「今日は、もつカレー煮込みはありません」という張り紙があったのでした。

「風邪を引いちゃって、もつの仕込みに行けなかったんですよ」

 と店主。この店は、若い店主と、そのお母さん(←きっと私より若い!)の二人で切り盛り中で、昼間はまた別の仕事にも使っている(というか、元々そちらが本業)という、二毛作のお店。夜の部の中心となる店主が風邪を引いちゃうと、もつなどの専門的な食材については、仕込みにも行きにくくなるんでしょうね。

 でも、もつカレー煮込みの代わりに、牛すじカレー煮(350円)はあるとのことなので、それを玉子入り(+100円)、フランスパン付き(+100円)でいただきます。

 このカレーがね。サラッとしてるようでコクがあり、そんなに辛くないようでいて、どこかピリッと辛く。半熟玉子もいいですねぇ。

 なんて、ひとりで牛すじカレー煮を楽しんでいると、次々と入ってくる常連さんたちの中にたーぼーさんの姿を発見! って、本当は分からなかったんです、最初。だって、スーツ姿のたーぼーさん、初めて見ましたから。なんだか、たーぼーさんに似てるんだけど、見知らぬ人が、飲み物を注文して、ネクタイをはずし、スーツの上着を脱ぎ捨てたところで、やっと「あれ? もしかして」と、やっとそれが、たーぼーさん本人であることが認識できたような次第です。いやはや、まったく馬子にも……(殴蹴)

 そのたーぼーさんをはじめとして、常連のみなさんが必ずといっていいほど注文しているのが自家製コロッケ。

「あ。今日は自家製コロッケがある。それ、ひとつね!」

 みなさん、一様にそんな注文の仕方をされます。ということは、この自家製コロッケは、普段はあまりメニューに登場しなくて、たまーに登場する人気の品、って感じのメニューなんでしょうか。

 かなり気になりますが、これだけ何人もが、店に入ってくるなり自家製コロッケを注文した後で、「じゃ、私も自家製コロッケをひとつ」とは、たのみにくい(恥ずかしい)ので、残念ながら、また今度かな。呑ん兵衛は、妙なところでシャイだったりするんです、はい。

 生ビールのあとは、日本酒(澤乃井、300円)を注文すると、カウンター上段に置かれたグラスに、表面張力までたっぷりです。口から迎えにいって、まず表面張力部分をすっかり無くしておいてから、カウンター下段の通常ポジションに降ろします。

 ックゥーッ。この日本酒に、カレーが合うから不思議なり。ま、ごはんに合うものは、たいてい日本酒に合いますからねぇ。カレーが合わないわけがない、ということでしょうか。(カレーって、ビールにも合いますよね!?)

 たーぼーさんは、なんとワインの炭酸割りを飲んでいる。これが「酔わせて下町」・藤原さん推奨の“下町のシャンパン”なのか! さっそく、ひと口飲ませてもらうと、たしかにこれはうまいや。でも、すいすい飲めちゃって危ないお酒だなぁ。

 そうこうしているうちに、ほぼ毎日、この店にやって来ているという熊さんも登場です。

 熊さんとも話をしながら、古漬(150円)をつまみに、もう1杯、日本酒(300円)をいただいて、本日は1時間半で終了。キャッシュ・オン・デリバリーでの支払い総額は1,700円でした。どうもごちそうさま。みなさん、お先に!

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「ぼんそわ」 / 生ビールとお通し / 古漬と澤乃井

店情報前回

《平成19(2007)年10月23日(火)の記録》

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TOKIO古典酒場Ⅲ … 居酒屋「龍家(たつや)」(高円寺)

 今年4月に、三栄書房から創刊された「TOKIO古典酒場」。好評だったのか、その3カ月後の7月には、その第二弾である「TOKIO古典酒場-昭和下町和み酒編」が出版され、そしてなんと、来る11月29日には、第三弾の「TOKIO古典酒場-闇市・横丁編」が出版されるそうなのです。美人編集長の倉嶋さん。お若いのに、毎回、呑ん兵衛好みのする、渋い路線をついてきますねぇ!

 東京の闇市や横丁は、再開発などの波にさらされて、今やもう風前の灯(ともしび)状態。まさに、特集するのであれば、今しかない。いや、もうすでに遅きに失したかもしれないというタイミングでしょう。

 そして、今回もまた「居酒屋通ブログ三人衆よもやま話」という対談記事を掲載予定とのことで、前回と同じく早稲田の「加賀屋」での対談とあいなりました。

 集まったのは、格差社会や階級社会をテーマに研究されており、今回のテーマ、闇市などは、まさにご専門分野の一角という、武蔵大学社会学部教授・橋本さん。今回は、関連図書や資料を、たくさん携えての対談参加です。資料の中には、闇市を中心として、昔の東京の様子を写した写真集などもあり、たまたま居合わせて、まわりで飲んでいた年配のお客さんたちも興味津々の様子で、のぞき込んでいます。

 「酔わせて下町」の藤原さんは、今回も、しょっぱなからホッピーに、人数分のスタミナ焼きを注文してくれて、ばっちりとスタートダッシュです。藤原さん、昨夜(10月19日深夜)の「タモリ倶楽部」に、「炭酸ソムリエ」としてゲスト出演されたのだそうで、そのときの様子なども面白おかしく紹介してくれます。

 これまでの2回は、この3人で対談を進めていたのですが、今回は闇市・横丁特集ということで、闇市横丁の酒場に精通されているゲストブロガーもお迎えすることになりました。軽く見積もっても、年間1千軒を超える酒場(酒が飲める料理屋も含む)に通い、闇市・横丁の大衆酒場から、銀座・赤坂・六本木あたりの高級酒場まで、幅広いジャンルでご活躍されているY-TABEさんです。

 さらにさらに、今回は飛び入りゲストとして、藤原さんが「駅のホームで、ばったりと会ったので、引っ張ってきた」という、やなちゃんです。いやぁ、「やなちゃんの大阪一人酒の日々」というサイトは、かねがね拝見していたのですが、お目にかかるのは初めてですねぇ。よろしくお願いします。

 毎回、感心することですが、まぁ、みなさん、いろんな店をよくご存知なこと!

 対談の内容につきましては、間もなく発売予定の「TOKIO古典酒場-闇市・横丁編」をご覧くださいね。(爆)

「普通の飲み会のように、すっかり楽しんで飲んじゃったけど、こんなんで本当に大丈夫なんですか?」

 事前に関連図書もたくさん買い込んで今日に備えたというY-TABEさんは、なんだか心配そう。それに対して、1回目から参加している3人は、

「大丈夫なんです! こっちは酔っ払って話してるんだけど、記事になるときは、編集長が理路整然とした対談にまとめあげてくれるんです」

 と、口々に太鼓判を押します。編集長のブログを見てもわかるとおり、さすがに若くして編集長を務めるだけあって、ものすごい文章力。呂律が回らないほどに酔っ払って話している内容のエキス部分だけを、ズバリとまとめてくれるのでした。

 「加賀屋」での対談の後の二次会は、橋本さんは先約があり参加できなかったものの、残るメンバーで高円寺です。Y-TABEさんが、「いい店があるんですよ」と紹介してくださったのは、高円寺駅ガード下にある、山海里人料理「龍家」。新しい店で、創作料理に、地酒や焼酎などの品揃えもいい、言ってみれば“最新流行”的なお店なのに、店内はなんだか“万古不易”の大衆酒場のような空気も持ち合わせている。おしゃれ過ぎず、値段も高過ぎず、といった雰囲気がいいのでしょうか。となり町に住んでいながら、こんな酒場あることを、はじめて知りました。

 「よーし、もう1軒」と、タクシー2台に分乗して向かったのは、鷺ノ宮のバー「ペルル」です。土曜日とあって、店内は満席ですが、後ろのテーブル席で立ち飲みさせてもらって、何席か空いたところでカウンターに移動します。「ペルル」のマスターが、美人編集長に会いたがっていたのでお連れしたのですが、残念ながら、今宵はマスターは不在でした。

 「ペルル」ときたら、次はもちろん、大衆酒場「満月」ですね。こちらも、道路にまで張り出すほどの満席状態でしたが、どう工夫してくれたのか、なんだか入れました。先客のみなさん、ありがとうございます。みなさんの終電もあるので、1~2杯ずつ飲んだところで、お開きです。

 毎回そうですが、同好の士との飲み会というのは、本当に楽しいですね。

 次号(第3号)「TOKIO古典酒場-闇市・横丁編」もまた、おもしろい本になりそうです。11月29日が楽しみ楽しみ。

 参加されたみなさんの、当日のブログ記事は次のとおりです。
 ・「「TOKIO古典酒場」編集長の酔いどれブログ」の記事
 ・「Y-TABEのレミング2」の記事
 ・「橋本健二の居酒屋考現学」の記事

店情報

《平成19(2007)年10月20日(土)の記録》

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店情報: 居酒屋「龍家(たつや)」(高円寺)

  • 店名: 山海里人料理「龍家」
  • 電話: 03-3330-4345
  • 住所: 166-0003 東京都杉並区高円寺南3-68-1
  • 営業: 17:30-00:30LO、月休
  • 場所: JR中央線・高円寺駅南口を出て、ガード下を阿佐ヶ谷方面へ、徒歩約3分、左手。
  • メモ: カウンター10席、テーブル14席、座敷34席。公式サイトあり。

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久しぶりに焼き鳥注文 … 焼き鳥「川名(かわな)」(阿佐ヶ谷)

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 焼き鳥屋なのに、この店で焼き鳥を食べたのは久しぶり。なにしろ、休みの日の午後4時にやってくることが多いので、こうやって会社帰りの遅い時間に来ること自体も久しぶりです。遅い時間帯も込んでるんですねぇ!

 店に到着したのは、午後10時前。ここ「川名」は、11時半にはピシャッと閉店するので、あと1時間半ほどしかありません。

 店内は、金曜日ということもあるのか、お客さんが多くて、カウンターはかろうじて1席空いているのみ。その席に腰をおろし、生グレープフルーツサワー(336円)を注文すると、今日のお通し(サービス)は柿です。

 お通しとして、必ず季節の果物が出されるのも、この店の定番。私なんか、嫌いじゃないんだけど、好んで果物を食べるということは少ないので、ここ「川名」で果物の季節を学習しているような次第です。

 まず注文した肴(さかな)は、ブナしめじバター(252円)。こんなメニューもあったんですね。

 たっぷりとお皿に盛られて出てきた、ブナしめじバターは、塩バターで炒めて、最後にこれまたたっぷりと削り節をトッピングしたもの。ブナしめじって、まっ白なものもあるんですね。シャッキリとした食感が嬉しい一品です。

 そして、いよいよ焼き鳥です。今日、注文したのは、鳥中おち串(126円)と、豚とろ串(126円)の2本。味つけ(塩・タレ)は「塩」にしました。

 ここ「川名」は、店の表で、お土産用の焼き鳥や、豚煮込みなども販売しています。お土産用の焼き鳥は、すでに焼きあがった状態で大皿にずらりと並んでいて、注文すると電子レンジで温めて出してくれます。

 これは、あくまでもお土産用を買って帰る人の、店の外で立って待たないといけない時間を短くするための措置で、店内からの注文に対しては、生の状態から、炭火できっちりと焼きあげてくれるのです。

 プリップリに焼きあがった焼き鳥のうまいことよ。ックゥ~ッ。サワーも進みますなぁ。

 ちなみに、ここの焼き鳥は豚系と鶏系の両方があって、豚のほうは、白もつ(84円)の他、タン、ナンコツ、カシラ、豚レバ、ハツ(各105円)というラインナップ。一方、鶏のほうは、鳥皮(84円)の他、鳥レバ、すなぎも、若鳥、ねぎま、つくね(各105円)が並びます。

 これら定番メニューのほかに、ホワイトボードに豚とろ串、豚ばら串(各126円)、豚にんにく串、鳥にんにく串(105円)、鳥中おち串(126円)などの追加メニューが書き出されるのです。

 簡単に注文したいときには、タン、ハツ、カシラ、豚レバ、ナンコツ、白モツという、焼きトン(豚)系の6本をセットにしたニュートンセット(609円)や、若鳥、ねぎま、鳥皮、砂肝、鳥レバの5本セットであるチキンセット(504円)もあります。

 なにしろ焼き鳥屋さんだけあって、焼き鳥は当然おいしいのですが、口開け(午後4時)にやってきて、どれか1~2品を、となると、ついつい刺身などに走っちゃうんですよねぇ。

 そんなわけで、久しぶりに「川名」の焼き鳥を愉しんで、今夜は、一番最後のお客として、お店のみなさんが掃除をはじめる午後11時半にお勘定。1時間半の滞在は、1,218円でした。どうもごちそうさま!

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生グレープフルーツサワーとお通しの柿 / ブナしめじバター / 玉ねぎ

店情報前回

《平成19(2007)年10月19日(金)の記録》

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金曜日は古漬けの刻み … 酒亭「北国(きたぐに)」(中野)

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 中野駅南口の小さな路地の中に、毎日、常連さんたちが集う店、「北国」があります。今年で創業50年ですので、開店したのは昭和32(1957)年のこと。

 カウンター8席、テーブル4席、小上がり4席の小ぢんまりとした店内は、今日もやっぱりカウンターは満席模様。かろうじて空いているのは、カウンター中央部の特等席、1席のみ。

「いらっしゃい。ここへどうぞ」

 と、女将(ママ)さんが、その席を指し示してくれます。

 この席がなぜ特等席かというと、この空間のど真中に1本だけある柱が、この席のすぐ後ろにあって、そこにもたれかかることができるからなのです。そのため、たいていの場合は、この店が開店したころから通い続けている大常連さんが座っていることが多い、私のような新参者には、ちょっと恐れ多い席でもあるのです。

 遠慮がちに、その席に腰をおろし(諸先輩たちがずらりと並ぶ中、もちろん、後ろの柱にもたれることなんて、できません!)、ウイスキーの水割りを注文すると、今日のお通しは、なんと、もつ煮込み。これは珍しいですねぇ。

「寒くなったから、作ってみたのよ。おでんが始まるのは来月からだからね」

 店を手伝っているユミさん(女将さんの姪)が、そう話してくれます。この店の名物でもある、おでんは、毎年11月10日から始まると決まっているのです。

 ウイスキーは、サントリーホワイト。氷入りの大ぶりのグラスに、レモンスライスを1切れ入れて、計量用の小グラスでホワイトを注ぎ、水道水を入れてかき混ぜたらできあがり。このなんでもない、まるで単身赴任寮で飲むような水割りが、妙においしく感じるんですよねぇ。店の雰囲気のなせる技か、それとも料理のなせる技か。熱々のもつ煮込みもうまいよなぁ。

 この店は、カウンター席以外は、どっちかというと補助席的な位置付けで使われることが多くて、ほとんどのお客さんは、ひとりでやってきてカウンター席に座ります。最初に書いたように、長年通っている常連さんが多いので、店内はまるで親戚、兄弟同士で話をしているような感じで、店全体で、ワイワイと楽しく会話が進行していくのです。

 そんな常連さんたちの会話もつまみに、水割りをおかわりすると、グラスにはレモンスライスが1枚追加されます。

 水割りの杯数は、レシートにチェックされてますし、レモンスライスは「入れないで」と言っておけば、レモンスライスなしの水割りを作ってくれるので、レモンスライスの数で杯数を確認しているわけではないようです。でも、(ウイスキーを注文する)たいていの人は、レモンスライスを入れてもらってるので、そのレモンスライスの枚数を見ただけで、その人が何杯飲んでるかが、だいたい分かるのでした。

「白菜漬(300円)をください」と注文すると、

「今日は金曜日だから、古漬けの刻みがあるわよ。普通の白菜漬でいいの?」と確認してくれるユミさん。

「そうなですか。じゃ、古漬けの刻みのほうをお願いします」

 この店は、土日が休みなので、金曜日になると漬物各種を小さく刻んで出してくれるのだそうです。これ自体、ちゃんとした名称のつまみだったのですが、なんていう名前だったか失念してしまいました。

 この古漬けの刻みが、これまた、やたらおいしくて、水割りもさらにもう1杯、おかわりです。

 約1時間半の滞在は、ウイスキーの水割り3杯に、もつ煮込み(お通し)と、古漬けの刻みで、1,650円でした。どうもごちそうさま。

店情報前回

《平成19(2007)年10月19日(金)の記録》

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檜一枚板のカウンター … 居酒屋「東菊(あずまぎく)」(荻窪)

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 荻窪駅北口にわずかに残る、旧・闇市の名残を残す飲み屋街。今夜は、そんな闇市の歴史を知る大女将がいる居酒屋、「東菊」にやってきました。

 「東菊」は、昭和28(1953)年に、この地で創業して以来、地元の呑ん兵衛たちから愛され続けてきた酒場です。平成13(2001)年の改築で、残念ながら、昔の風情ある建物は取り壊され、店もカウンター10席のみの小規模なものに変身して、建てなおしたビルの2階に移転したのでした。

 昔の名残を留めるものは、前の店から引き継いだ、檜(ひのき)一枚板のカウンターと、必ず、そのカウンターの一番手前の席に和服姿で座っている大女将だけなのです。

 金曜日、午後7時半の店内には、先客がふたり。それぞれ年配の男性ひとり客で、カウンターの一番奥と、一番手前(大女将の次の席)に座っています。私は、そのふたりの中間に腰をおろし、まずはビール(サッポロラガー中瓶、550円)を注文します。

 「東菊」の1階入口は、まるでマンションの一室の入口のような外観で、扉の上に「東菊」と書かれた木製の看板がなければ、ここが酒場であることはわかりません。その扉を開けて、2階へと続く螺旋階段を上り、「土足のままお上がりください」と書かれた玄関を入って、やっとお店にたどりつくのです。

 そんな店なので、一見さんや、通りすがりのお客さんは、まず入ってこない。やって来るのは、昔の「東菊」に通っていた常連さんたちで、とにかく「東菊」で1杯やらなければ1日が終わらない、といった感じの人たちばかりなのです。

 大女将とともに店を切り盛りしているのは、カウンターの中にいる女性ひとり。もしかすると、大女将の娘さんなのかな。大女将は、定位置に座って、昔からの常連さんたちと会話を交わすのが主たる仕事のようで、酒や肴の段取りは、ほぼすべて、カウンターの中の女性ひとりで担当です。

 「はいどうぞ」と、立派なお盆にのせられたお通しセット(500円)は、ミニ煮込みハンバーグの小鉢と、ミニ冷やっこの小鉢の2品です。

 ビールで、のどを潤した後は、飲み物を燗酒(菊正宗、400円)に切り換えて、ブリ大根(600円)を注文します。ボードに書き出されたメニューは、このブリ大根も含めて10品ほどの少数精鋭で、600円か700円の2価格です。

 ブリの旨みをたっぷりと吸収して、よーく煮込まれた大根をいただきながら、大女将に、闇市だった頃のことを聞かせてもらいます。

「そうねぇ。酒場は、うちも入れて2軒しかなかったわねぇ」

 最初の頃は、ここ「東菊」も、小さな闇市店舗から始まったのだそうです。そして段々と大きくなって、前の店になった。私の記憶の中では、木造っぽいイメージがあったのですが、

「前の店からビルだったのよ」

 と大女将。内装の和風感が強かったから、木造のイメージだったのかなぁ。

「駅の反対側(南側)には闇市はなかったんですか?」と聞いてみると、

「向こうは道が狭かったからねぇ」とのこと。闇市ができるには、ある程度の道の広さ(交通の便)が必要だったんですね。

 燗酒(菊正宗、400円)を、もう1本おかわりして、1時間半ほどの滞在は、2,450円でした。どうもごちそうさま。

店情報前回

《平成19(2007)年10月18日(木)の記録》

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店情報: 居酒屋「東菊(あずまぎく)」(荻窪)

【このお店は現在閉店しています】

  • 店名: 居酒屋「東菊」
  • 電話: 03-3391-1839
  • 住所: 167-0043 東京都杉並区上荻1-4-10
  • 営業: 18:00-22:00、土日祝休
  • 場所: JR荻窪駅北口をおり、線路沿いの道を新宿方向へ戻り、突き当たりを道なりに左折して、ラーメン屋の先の左手。マンション風の入口を入って、らせん階段で2階にあがる。
  • メモ: 昭和28(1953)年創業。平成13(2001)年に改築して、そのビルの2階に移転した。カウンター10席程度のみ。カウンターは、昔のものをそのまま使っているそうである。生ビール550、中瓶ビール550、菊正宗400、いいちこ400、白波400、サントリー角400、ニッカ水割り550など。つまみは10品くらいあり、600~700円ほど。商店街サイトあり。
  • HTML版(2003年以前): (03.11.10)(02.11.01)(02.05.25)(01.05.12)(00.08.17)(95.12.31)

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たっぷり唐揚&ポテト … 居酒屋「柳津(やないづ)」(横浜・洋光台)

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 JR根岸線・洋光台駅のすぐ近くにある居酒屋「柳津」。先日、久しぶりにやってきたときに、魚料理のみならず、洋風の料理も並んでいることを発見したので、今日はそちらにトライです。

 「こんばんは」と入った、水曜日、午後9時前の店内は、なんと先客なし。前回はほぼ満席だったのに、この違いはなんなんだ。まずは瓶ビール(アサヒスーパードライ中瓶、490円)を注文しながら、

「今日は静かなんですね」

 と店主に声をかけてみると、

「そうなんですよ。開店して7年になるけど、こんな日は珍しいですよ」

 とのこと。先日の「竹よし」の夕食会も、人数が集まらずに流れたみたいだし、10月は、みなさんあまり飲まない時期なんでしょうか? それにしても、お客さんが入っていないと、店内がとても広く感じるなぁ。

 1杯目のビールをググゥーッと飲み干して、おもむろにテーブル上のメニューを確認します。魚介類を中心とした、本日のおすすめメニューは、壁の黒板に書き出されていますが、洋風の料理などの定番ものは、テーブル上のメニューに載っているのです。

 おっきいメンチ(450円)に、肉じゃが風コロッケ(2ヶ、490円)。前回、となりの人たちが食べていたアサリの辛い焼きそば(590円)もおいしそうだったなぁ。とろ馬刺し&こうね(790円)なんてのもある。塩辛ジャガチーズ(490円)や、さんまのガーリックバター(590円)なんかにも引かれますねぇ。うーん、迷う迷う。

 父ちゃんの唐揚&ポテト(490円)ってなんだろう。店主夫婦と、その息子さんの、家族3人で切り盛りしている店で、洋風の料理はどっちかというと息子さんのほうが得意そう。それにもかかわらず「父ちゃんの…」と書かれているところをみると、この料理は、店主自らが作る自信作なのかもね。これにしてみましょう。

 待つことしばし。店の奥のフライヤーでジャァーーッと揚げられた鳥の唐揚げと、フライドポテトが、楕円の大きなお皿に盛られて出てきます。いやぁ、けっこうなボリュームですねぇ。これで490円は安いっ! 揚げたてのアツアツがおいしいなぁ。

 たっぷりの揚げ物に、瓶ビール(490円)もおかわりです。

 この店は、ひとり客は少ないようで、BGMこそ流れているものの、店内にはテレビもなければ、雑誌や新聞なども置いていません。グループ客は、それぞれそのグループで話をするので、店主も、カウンター越しにお客さんと会話をしたりするのには慣れていない様子。

「柳津(福島県)のご出身だから、柳津という店名にしたんですか?」

 なんて質問にも、まじめで、人の良さそうな店主が、

「えぇ。私じゃなくて家内がね……」

 と、照れくさそうに、言葉少なく返事してくれます。

 あまり声をかけるのも悪い(?)ので、今日はゆっくり静かに飲みましょうね。となると、バーで楽しむように、強いお酒をチビリチビリといった感じがいいなぁ。そんなのがあるかな。カウンター上に置かれた、飲み物メニューに手を伸ばします。

 おぉ、あるじゃないですか。黒糖焼酎「ルリカケス」(120ml、550円)。アルコール度数40度、「オーク樽で熟成」という説明書きにも引かれますねぇ。

 お酒が徳之島(奄美諸島)産なので、つまみも南方系のものをと、黒板メニューの中から、沖縄もずく酢(390円)を選びます。

 ロックで出された「ルリカケス」は、オーク樽熟成らしく、薄い琥珀色で、口に含むとふわりと甘さが広がります。んーーっ、これは立派な国産ラム酒ですねぇ。

 そして、もずく酢。もずくが太いのが沖縄産の特徴ですね。沖縄のほうでは、もずくをかき揚げにしたりもするそうですが、この太さのもずくなら、おいしいかもなぁ。

 お店の人たち同士がおしゃべりしたりすることもなく、静かーに時が流れていきます。

 あぁ、酔ってきた。ひとりで静かに飲んでいると、自分が酔っていく過程が、とってもよく分かるんですよね。頭の中がジーンと痺れた感じになってくる。これがまた気持ちいいのです。お酒は、脳内マッサージ器なのかもなぁ。

 さぁて。ちょうどいい、ほろ酔い気分になったところで、帰りますか。どうもごちそうさま。

 2時間弱の滞在は、2,410円でした。結局、お客は私ひとりだけだったなぁ。

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店頭の黒板メニュー / 「ルリカケス」ロック / 沖縄もずく酢

店情報前回

《平成19(2007)年10月17日(水)の記録》

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日曜日にスタミナ六品 … 魚料理「竹よし(たけよし)」(都立家政)

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 毎月、第2土曜日の翌日は、「竹よし」の夕食会のなごりを楽しむ会。…って、私が勝手にそう名付けて、ひとりで出かけているだけですが、今月も、その日がやってきました。今月は冬の味覚・鱈(たら)がテーマという噂だったのですが、どうだったんでしょうね。

 そんなことを考えながら、午後5時過ぎに「竹よし」に到着です。

 「こんにちは」と入った店内には、すでに先客がひとり、カウンターの一番奥で飲み始めています。私はその逆側、入口のすぐ近くに腰をおろして、今日は最初から燗酒(菊正宗、350円)を注文します。

 すぐに出されるお通し(200円)は、魚の子と芋の煮つけ。こりゃまた、燗酒にぴったりの肴(さかな)ですね。

「実は昨日の夕食会はなかったんですよ」

 と店主。聞けば、前日の段階で、参加希望者が2名しかおらず、急きょ夕食会を取りやめたのだそうです。長い夕食会の歴史の中でも、参加者が集まらずに中止になったのは、はじめてのことかも。そんなこともあるんですねぇ。

 すばらしいタラを期待しながらやってきたのに、ちょっとがっかりです。もちろん、季節がら、この店のメニューにも、タラ白子(500円)や、みそ味タラ鍋(800円)、タラあら煮(600円)といった品々も並んでいるのですが、そういう、いわゆる通常メニューのタラと、夕食会のときのタラとでは、残念ながら、かなりモノが違うんですよねぇ。なにしろ夕食会は、完全予約制なので、それ専用の新鮮な材料を、歩留まりよく仕入れられますもんね。

 こんな日は、魚料理以外の品をいただいてみることにしましょうか。

 「竹よし」は「天ぷらと魚料理の店」という看板どおり、そのふたつが店の主力商品。しかしながら、それ以外のメニューもあるのです。

 そんな品物の中から注文したのは、スタミナ六品(600円)。大ぶりの器の5個所にバランスよく、刻みネギ、納豆、山芋、オクラ、マグロが配置され、その真ん中にポンと生玉子(黄身だけ)が割り入れられて、ちょうど6品。醤油をちょっとたらして、グリグリとかき混ぜたら、すすり込むようにいただきます。

 6品の中にマグロが入っていますので、厳密には「魚料理じゃない」とは言い切れない品ですが、このスタミナ六品も「必ず注文する人がいるからはずせない」と店主が語る一品です。

 燗酒(350円)をおかわりして、今度は大常連のTさんが、しばらく注文し続けていた、アンキモ豆腐(500円)をもらってみます。

 六つにカットされたアンキモ豆腐の上に、刻みネギと紅葉おろし。これにポン酢醤油を回しかけていただくと、なめらかな豆腐の食感のあとに広がるアンキモの風味。うーん。アンキモよりも、いいつまみになるかもしれない。Tさんが注文し続けてたのもわかるなぁ。

 でも、厳密に言えば、このアンキモ豆腐も「魚料理じゃない」とは言い切れないかも。今日のメニューの中で、完全に「魚料理じゃない」のは、野菜天ぷら(700円)に、玉子とニラ炒め(450円)、山いも千切り(350円)、焼き鳥(1本150円)、アスパラ焼き(500円)、そしてなぜか牛モツ鍋(700円)と馬肉薫製スライス(400円)の7品です。全部で50品近いメニューのうちの6品だから、14%ほどが魚料理以外ということですね。

 午後7時前まで、2時間弱の滞在は、ちょうど2千円でした。ごちそうさま。

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燗酒とお通し / 混ぜたあとのスタミナ六品 / アンキモ豆腐

店情報前回

《平成19(2007)年10月14日(日)の記録》

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ひとりでクールダウン … バー「アルフォンソ(Alfonso)」(阿佐ヶ谷)

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 昼過ぎから、大勢でワイワイと飲み騒いだ日は、最後は独り静かにクールダウンして締めくくりたい。

 そんな思いで、阿佐ヶ谷駅で後輩Aを見送った後に立ち寄ったのが、北口ガード下にあるバー、「アルフォンソ」です。

 カウンター6席と、壁に造りつけの補助席があるだけの小さな店内は、土曜日の深夜(0時半)にもかかわらず、先客が4人。空いていた、カウンター一番手前の席に座り、ジンリッキー(700円)を注文します。

 店の外にも明示されたチャージは300円で、今日はグリーンピースの煎り豆が出されます。

 先ほどの「善知鳥」もそうですが、この店も、非常に志の高い、若い店主がひとりで切り盛りされていて、「善知鳥」同様に、店内には凛とした空気が漂います。この凛とした感じが、いい飲み屋に共通の空気ですよねぇ。

 この「凛とした空気」は、たとえば先客が誰もいないときに店に入っても、店主が一所懸命グラスを磨いていたり、注文された飲み物や食べ物に真剣に取り組んでいたり、お客とのいい距離感を保って、けっして馴れ合ったりしなかったり、といったようなことの積み重ねで、じわりじわりと、年月をかけて醸成されていくものではないかと思います。心から一所懸命であることの集大成なんでしょうね。

 あぁ、この空気が心地よい。ジンリッキーのおかわりをもらいましょう。

 最初にバーに行きはじめた頃は、何を注文していいのか、よくわからず、とても困ったことを思い出します。バー自体、あまり知らなかったので、つい雑誌などによく登場する、いわゆるオーセンティック・バーに行くことが多かったのも敗因だったのかもなぁ。

「こちらさまは、なにをお造りいたしましょう」

 と慇懃無礼な態度で、じっと目を見つめられたりすると、もう上がっちゃって、上がっちゃって。

「え、、えぇーっと、……、ジントニックを…」

 なんて、たったひとつしか知らないカクテルを、繰り返し、繰り返し注文していたものでした。

 いや。実際にはマティーニとか、ギムレット、ダイキリといった、「超」がつくくらい有名なカクテルも、名前だけは知ってたんですよ。でも、そんな有名なカクテルの名前が、自分の口から出ること自体が、こっぱずかしくて、注文することができずにいたのでした。

 今、考えれば、なんでもないことなんですけど、当時は、「ひとりで酒場に入る」というのと同じくらい、最初の壁を乗り越えるのが大変でした。

 これからバーを楽しもうという方は、ここの店主もそうですが、バーテンダーは、みなさん飲み物のプロですので、

「お酒が弱めで、甘くないもの」

 とか、

「うーんと強いお酒で、スカッとミントの効いたもの」

 と、自分の好みを伝えさえすれば、「それじゃ、こんなのは」と、美味しい飲み物を提案してくれるはずです。

 特に、ここの店主はいつもニコニコと優しそう(実際に優しい!)なので、とっても相談しやすいと思いますよ。

 ありゃありゃ。もう1時半になっちゃいましたか。じゃ、ボチボチと腰をあげますか。

 約1時間のクールダウン。お勘定は1,700円でした。どうもごちそうさま!

店情報前回

《平成19(2007)年10月13日(土)の記録》

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路地の奥の日本酒バー … 酒亭「善知鳥(うとう)」(阿佐ヶ谷)

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 バーは、お酒そのものをおいしく飲ませてくれるお店。ホステスさんのように、接客を主たる業務とするおねえさんはいませんし、カラオケや、テレビなどもない。BGMは、流れているお店もあるかな。

 おいしいお酒は必ずありますが、料理は店によって、あったり、なかったり。カウンター席も必ずありますが、テーブル席は店によって、あったり、なかったり。

 ひるがえって、阿佐ヶ谷駅北口の小さな路地にたたずむ、「善知鳥」。

「うちには日本酒しかありませんが、よろしいでしょうか?」

 はじめてのお客さんには、店主が必ずそう確認する、日本酒だけの店。つまみも、莫久来(ばくらい)や、くちこ、海鼠腸(このわた)、ズワイ内子、鯛腸塩辛といった、呑ん兵衛好みする品々が、ずらりと並びます。

「どう考えても、ここはバーだ。日本酒を徹底的にうまく飲ませてくれるバーそのものなんだ」

 ここに来るたびに、だんだんとそんな思いが強くなってきます。飲み物が洋酒ではなくて、日本酒を扱っているというだけで、ここ以上にバーらしい雰囲気をもったバーがあるでしょうか。

 そんな「善知鳥」に、今日は会社の後輩Aを連れてやってきました。後輩Aも、昔から相当な酒好きで、連れ合いとも、飲み歩き・食べ歩きがきっかけで結婚に至ったような人物なのです。

 店に着いたのは午後9時過ぎ。店内には5~6人の先客がいて、我われ2人は、カウンターの一番奥のほうに陣取ります。

 実は今日は会社の関係の飲み会で、昼過ぎから飲んでいたので、もうけっこうヘロヘロになりながら、同じ中央線仲間でもある後輩Aと、やっと阿佐ヶ谷までたどり着いたような次第。日本酒の店と知りながら、まずは1本、ビール(ハートランド)を出してもらいます。

「あぁーっ。ビールを飲んで、やっと落ち着いたね。長い道のりだったよ」

 と人心地。ゆっくりと、店主の今(こん)さんに、おすすめの日本酒を出してもらいます。

「これなんかどうでしょう」

 と出してくれたお酒は、「生もとのどぶ」という、奈良で造られた純米にごり酒。これがまた、にごり酒らしいコクがあるのに、味わいはしっかりとしていて、甘くないのです。

 一升瓶に「19号 +13.5」と書かれているのは、「19号タンクで作られていて、日本酒度が+13.5」ということを示しているんだそうです。仕込みのタンクまで表示されているとは、まるでカスクですね!

 合わせる肴(さかな)は、海鼠腸(このわた)です。

「ぜひ、くちこを」

 と、珍味好きの後輩Aが、酔った勢いで注文したのですが、

「これは、1枚が7千円ほどしますから……」

 と、やんわりと断ってくれて、「その代わり」と、この海鼠腸をすすめてくれたのでした。

 くちこは、海鼠(なまこ)の卵巣を大量に重ね合わせて干した高級珍味。もう少し大人数でやって来たときに、1枚炙ってもらって分け合うくらいがいいかもね。いずれにしても、今日のように、すでに酔ってる状態のときは、ちょっともったいない。

 しかしながら、代わりにいただいた海鼠腸もまた、呑ん兵衛にはたまらない肴のひとつ。つるりと含むと、えもいわれぬ海の香りが、口の中いっぱいにふくらみます。

「次のお酒を!」

 と注文すると、出してくれたのが、先ほどの「どぶ」と同じ奈良の酒、「篠峯(しのみね)」(純米吟醸無濾過)。酔ったノドにも、すっきりと心地よい日本酒です。

 つまみに、クリーム帆立を注文すると、小皿にのせられて出てきたのは、ドロリとしたかたまり。これは陸奥湾でとれた帆立を、卵黄と油に浸け込んで、4週間ほど寝かしたものなんだそうです。こいつがまた、ことのほか旨くて!!

 ゆっくりと過ごすうちに、気がつけば日付けが変わる時刻です。後輩Aは、このあと、さらに中央線で西に帰らないといけないので、ボチボチとお開きにしますか。

「今日はちょっと高いですよー」

 と言いながら計算してくれたお勘定は、ふたりで8千円(ひとりあたり4千円)と、びっくりするほどではありませんでした。

 美味しい日本酒と、その日本酒を盛りたてる珍味に大満足しながら、店を後にしたのでした。ぜったいにバーだよなぁ、この店は!

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熱く語る店主 / クリーム帆立 / 篠峯・純米吟醸無濾過

店情報前回

《平成19(2007)年10月13日(土)の記録》

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シメ炭はペスカトーレ … バー「ピュアー(PURE)」(野方)

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 中野の「路傍」で樽酒を楽しんだ後は、自宅のすぐ近くの野方まで帰ってきて「ピュアー」です。

 前回もいただいた、生ビール添えのアクアビット(630円)を注文すると、今日のお通し(310円)は生ハムのサラダです。

 バーで、ひとりで飲み始めたのは、今から10年ほど前。三十代後半だったでしょうか。

 若い頃は、バーとスナック、クラブなどの区別がついてなかったのです。そういう形態のお店は、否応なくボトルキープさせられたウイスキーの水割りが出て、これまた否応なく値段のわからない料理が出てきて、店には(けっこう年配の)おねえさんがいて、そのおねえさんの飲み物も「1杯いただいていいかしら?」なんて、これまた否応なくおごらざるを得なくて、しかも会話が途切れてくると、半ば無理矢理にカラオケを歌わされる。区別なくそんなイメージだったのです。

 十数年前に、海外出張時にホテルのバーで飲んだりしたのをきっかけに、国内でもホテルのバーや、ガイドブックなどに書かれている、いわゆるオーセンティック・バーと言われるような店に行きはじめたのですが、それでもなんだか慇懃無礼な感じがするし、値段も決して安くないしと、大衆酒場とくらべると、あまり好んで行きたい酒場ではありませんでした。

 しかし、その後もときどきバーに顔を出したりしているうちに、自宅近くにある「日登美」や「ブリック」「ペルル」、そしてここ「ピュアー」などの、気取りがなくて居心地がよく、値段も安く、それでいて、きちんとしたお酒や料理が楽しめるようなお店に出会い、徐々に「バーもいいなぁ」と思い始めたのでした。そんなバーの良さに気づいてしまうと、実は自宅近くだけではなくて、各地にいいバーがあることも分かりはじめてきました。

 さらに、ここ5年ほど、横浜に単身赴任しているうちに、横浜ではバーが大衆酒場的な位置づけで、ごくごく普通にくつろげる空間であることを知るに至り、やっと自分でもバーが楽しめるようになってきたのでした。

 そんなことを思い出しながら飲んでいるところへ、

「マスター、ペスカトーレをお願いします」

 と隣のおにいさんが、スパゲティを注文します。

「じゃ、私も同じものを、小さいので!」

 と便乗注文。この時間(午前1時前)になると、なんだかお腹がすいてきて、シメの炭水化物(略して“シメ炭(しめたん)”)が欲しくなってくるんですよねぇ。メタボリックへまっしぐらのシメ炭ですが、これがなかなか止められない。サイズを「小さいの」にすることで、せめてもの自己弁護です。

 この店は、もともと店主が料理人だったこともあって、料理がうまいし、種類も多い。しかも、料理の量が、M(1人前)とS(半人前)で選べるものが多いので、ちょっとつまみたいときや、最後にちょっと小腹に入れたいときに、ちょうどいいのです。

 ペスカトーレは魚介類とトマトソースのスパゲッティ。私のもらったSが520円で、となりのおにいさんのMは840円です。いつもは、もうちょっと太い麺で作るのだそうですが、今日は麺のストックが切れていて、急きょ細麺で対応してくれたのですが、これがソースによく絡んで、飲んだあとにはちょうどいい。

 スルスルと、あっという間に食べ終えて、今日のお勘定は1,460円でした。やぁ、おいしかった。

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「ピュアー」 / アクアビット、生ビール添え / お通しの生ハム

店情報前回

《平成19(2007)年10月12日(金)の記録》

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小さな囲炉裏を囲んで … 樽酒「路傍(ろぼう)」(中野)

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 昭和36(1961)年に、この地で創業し、今年で46年。BGMのない店内は、小さな囲炉裏を囲むようなJ字のカウンター、8席程度のみ。この薄暗い、古びた(←ともに褒め言葉です!)小さな空間を、二代目のご夫婦ふたりで切り盛りされています。

 飲み物は日本酒(千福の樽酒と本醸造)と、瓶ビール、ウイスキーのみ。料理は季節の野菜や、豆腐、岩魚などの、ごくごく自然なものが、シンプルに並んでいます。

 金曜、午後9時の店内には、先客が3人ほど。それぞれ、ひとり客ながら、お互いによく知っているようで、いつものとおり、店主夫婦を中心にして会話がはずんでいます。この店の最大の特長は、小さな囲炉裏を囲んだ、この会話なのです。みんなの話を聞いているだけでも楽しいのですが、店主夫婦のさりげない采配で、たとえ一見(いちげん)さんでも、気がつくと会話の輪の中に入っているのです。

 まず瓶ビールをもらって喉を潤したあと、千福の樽酒(800円)です。この店に来たら、この樽酒を飲まなければ始まらない。ここの樽酒は、樽の香りがほのかに漂う上品なもので、すいすいと、とても飲みやすいのです。

 料理のほうは、お通しのキンピラに続いて、生揚げを焼いてもらいます。

 となりのおにいさんは、囲炉裏で餅を焼いてもらっています。みんなと話をしながら、ときどきちょいちょいと餅をひっくり返す店主。目の前でプクゥーッと膨らんでいく餅が、おいしそうです。

 J字カウンターの頂点のところのお客さんは、ウルメイワシです。これも囲炉裏の上に金網をのせて、さっと炙ってできあがります。こうやって、目の前でつまみができあがっていく様子が見えるのがいいですねぇ。

 樽酒をおかわりし、野菜皿の中にある食用菊を注文します。

「サッと茹でて、わさび醤油で食べるのも美味しいのよ」

 という、おかみさんのオススメにしたがって、その食べ方を試してみると、これがまたシャキシャキとした、菊(もってのほか)の食感によく合うこと。赤紫の色合いもいいですねぇ。

 ワイワイと2時間半の樽酒タイムは、3,600円でした。どうもごちそうさま。

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樽酒 / 生揚げ / 食用菊

店情報前回

《平成19(2007)年10月12日(金)の記録》

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家族3人分のアラ煮? … 居酒屋「鳥恵(とりけい)」(鎌倉・大船)

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 大船在住の同僚から、「大船で飲むなら、ぜひここで」と勧められたのが、地元の鶏肉屋が経営しているという居酒屋「鳥恵」。現在も、肉屋そのものも並行して営業中なので、その鶏肉で作る料理も、もちろん自慢の品らしいのですが、

「それよりも素晴らしいのが、魚なんですよ。ぜひ魚を食べてみてください」

 ということなので、今日は、おいしい魚を目指して、大船に出かけてきました。

「開店早々に満席になってしまうことも多いので、行くなら早めに!」

 とも言われていたのですが、すでに時刻は午後6時前。大丈夫かな?

 「居酒屋」と書かれた白い暖簾(のれん)をくぐり、店内に入ると、うなぎの寝床のように細長い店内に、奥に向かって直線カウンターが伸びています。奥にも部屋がありますが、入口からは奥の部屋の様子は見えません。

「いらっしゃいませ。お一人様ですか?」

 フロアのところで迎えてくれた、店のおねえさんが、

「ここにどうぞ」

 と、かろうじて空いていた、カウンターの1席を指し示してくれます。その席に座りながら、まずは瓶ビールを注文すると、

「瓶ビールは、キリンとアサヒがあります」

 と、おねえさん。今日はキリンをもらうことにしました。どちらを選んでも、大瓶が490円。中瓶を500円くらいで出している店が多い中、大瓶で500円を切っているというのは良心的ですね。

 一緒に出されたお通し(250円)は、サイコロに切ったポテトが瑞々しいポテトサラダ。そのポテトサラダをつまみに、ビールを飲みつつメニューを確認します。

 カウンター内の壁には、

「当店では、湘南一美味しいお刺身を目指して頑張っています。店主」

 という張り紙が張り出され、そのとなりの黒板に、本日のおすすめメニューがチョークで書き出されています。

 刺身は、まず本マグロがトロ1,350円、中トロ840円、赤身740円と並び、それに続いて、それぞれ「活」と注記された、ヒラメ、シマアジ、カンパチ、ハマチ、真ダイが各840円。アジや、ツブ貝、カツオ、サンマ、甘エビに、なんとクラゲが680円。

 うーん。クラゲの刺身というのも気になるなぁ。おいしいのかなぁ。

 …。あ。「ハマチとカンパチの半々」(840円)というのもある。どちらも大好物の刺身です。今日は初回なので、冒険せずにハマチとカンパチにしておきますか。

 出された刺身は、ハマチ3切れに、カンパチ4切れ。いやいや、これはまた、見た目も美しいですねぇ。見るからに、おいしそうです。こいつは、ぜひ燗酒で食べなけりゃ。

 目の前に置かれた地酒メニューには、10種類ぐらいの地酒が、それぞれグラス1杯が420~730円で、リストアップされています。後ろを通りかかった店のおねえさんに、

「すみません。燗酒にできるのは、どれでしょう?」

 と確認してみると、燗酒は1種類しかなくて選べないとのこと。なるほど、メニューの中の、日本酒(大)500円、(小)320円というのが、それですね。銘柄がなにかは分からないけど、「じゃ、その燗酒をお願いします。大きいほうで」と注文します。

 左どなりはカップルで、すっかり二人の世界で飲んでいますが、右どなりは男性ひとり客。見事な戻りカツオの刺身(680円)をつまみながら、飲んでいるのはジョッキに入った焼酎湯割りです。

「焼酎湯割り、ってたのんだら、こんな大きいのが出てきちゃってさぁ。まいっちゃったよ」

 と言いつつも、すでにジョッキの中身は、あとわずか。このおにいさんも、はじめてこの店に来たんだそうで、「刺身がおいしいねぇ」と、うれしそうです。

 ハマチとカンパチで燗酒をいただいて、次なる飲物は、ジョッキにたっぷりの緑茶ハイ(350円)です。ここの酎ハイ類は、ほぼすべてジョッキ1杯が350円なのですが、それぞれ「ジャンボ」というサイズも選べるようで、こちらは650円。どんな大きさで出てくるんでしょうねぇ。

 大船と言えば、忘れてはならないのがG.Aさん。そのG.Aさんが、そのサイトの中の1コーナーである「不言実食/ゆりかごから酒場まで」の中で、「家族3人分のおかずになるぞ(爆)」と驚いている料理があるので、ぜひそれを注文しましょう。

「すみません。アラ煮(480円)をお願いします」

 出されたアラ煮を見て、私もびっくり。これがアラ煮!? 立派な魚の煮物やん。

「これは、なんのアラなんですか?」

 カウンター越しに、店のおにいさんに聞いてみたところ、

「今日のアラ煮は、真ダイと、ハマチ、シマアジです」

 ですって! うまいはずだよ。しかも、本当に家族3人分くらいの量があるし!

 ゆっくりと2時間ちょっとの滞在は、2,910円でした。やぁ、満足した。大船も、なかなか名店ぞろいですねぇ。

 そうそう。途中でお手洗いに行ったときに分かったのですが、うなぎの寝床のようなカウンター・スペースを抜けた奥は、どーんと広がった大広間の座敷席。その広間にずらりと座卓が並んでいて、そちらにも、ほぼ満席のお客さんがいたのでした。入口の感じから、もうちょっと小ぢんまりとした店を想像していたのですが、けっこうな規模のお店だったんですね。

 次の機会には、鶏料理も食べなくっちゃね。

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ポテトサラダとビール / ハマチとカンパチ / アラ煮と緑茶ハイ

店情報

《平成19(2007)年10月9日(火)の記録》

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店情報: 居酒屋「鳥恵(とりけい)」(鎌倉・大船)

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  • 店名: 活魚・鶏料理「鳥恵」
  • 電話: 0467-44-9914
  • 住所: 247-0056 神奈川県鎌倉市大船1丁目19-13
  • 営業: 17:00- 、日祝休
  • 場所: JR大船駅の南改札を出て東口に下り、右へ。道成りに200mほど(4分弱)進むと、左手角に「サンクス」があるので左折。そこから70mほど先の左手。東口の階段を下りてからの全行程は、徒歩5分弱。
  • メモ: 鶏肉屋が経営する居酒屋ながら、「当店では、湘南一美味しいお刺身を目指して頑張っています。店主」という張り紙のとおり、魚目当ての客も多い。
    〔鳥恵人気メニュー〕鳥恵豆腐450、鳥わさび和え500、鳥梅和え500、鳥ユッケ590、手羽餃子400、アラ煮480、本日おすすめのお刺身・天ぷらは黒板で。〔納豆料理〕山芋と納豆のオムレツ480、鳥納豆480、イカ納豆480、まぐろ納豆480、納豆月見290、納豆おろし290、納豆キムチ400、納豆とろろ400。
    〔一品料理〕もつ煮込み400、肉じゃが400、豚の生姜焼き490、砂肝のバター炒め450、えのきベーコン390、帆立バター480、じゃがバター290、じゃがベーコン480、なすみそ炒め400、なすバター390、なす揚げ出し390、コーンバター380、コーンベーコン400、豚キムチ480、ゆで鳥の中華ソース490、肉詰(ピーマン、なす、しいたけ、はんぺん)各400。
    〔揚げ物〕手羽餃子400、鳥の唐揚げ400、イカリングフライ390、ちくわ磯辺390、ちくわチーズ390、チーズ揚げ390、はんぺんチーズ390、ポテトフライ320、ゲソ揚げ390、帆立フライ480、川エビ唐揚げ400、春巻390、串かつ400、コロッケ320、手作りメンチ400、タコ天480、カルシウム揚げ390。
    〔サラダ/豆腐〕豆腐としらすのサラダ500、鳥サラダ500、わかめサラダ500、生野菜サラダ480、ポテトサラダ300、トマト290、大根サラダ380、冷奴260、梅奴290、やまかけ豆腐400、揚げ出し豆腐400、スタミナ豆腐400。
    〔串焼〕鳥ねぎ120、若鶏120、皮120、レバー120、砂肝120、はつ120、たん120、しろ120、なんこつ120、かしら120、つくね120、手羽120、ピーマン110、ねぎ110、しいたけ110、玉ねぎ110、ししとう110、帆立串焼290、ささみ梅しそ(2本)320、ささみ明太子(2本)320、ささみワサビ焼(2本)320。
    〔焼き物〕ぶりかま480、ほっけ480より、ししゃも300、丸干250より、さば焼400、ゲソ焼320、イカ丸焼490、えいひれ400、さつま揚げ290、厚揚げ320、なす丸焼380、はんぺん220。
    〔軽いおつまみ〕キムチ300、タコキムチ480、鶏キムチ590、もろきゅう290、梅きゅう290、オニオンスライス300、山芋千切り320、しらすおろし290、生わかめ280、わかめ酢280、月見とろろ400、お新香320。
    〔飲物〕酎ハイ350、ウーロンハイ350、緑茶ハイ350、レモンサワー350、オレンジサワー350、グレープフルーツサワー350、ライムサワー、梅干酎ハイ350、梅サワー350、巨峰サワー350、青りんごサワー350、カルピスサワー350、パインサワー350(各ジャンボ650)。ガックハイ580、瓶ビール(アサヒ・キリン大瓶)490、生ビール大650、中430、日本酒大500、小320、樽酒650、生酒620、いいちこ(900ml)1,680、二階堂(900ml)1,680(焼酎、地酒などは別リストあり)。ワイン(赤・白)620。ウイスキー水割シングル380、ダブル580、ロック580。100%トマトジュース320、100%オレンジジュース320、100%グレープフルーツ320、ジュース210、コーラ210、ジンジャエール210、ウーロン茶220。
    〔特選地酒(グラス)〕高清水(秋田)420、高清水・生貯(秋田)420、立山(富山)530、浦霞(宮城)530、月の輪(岩手)530、菊水(新潟)530、開運(静岡)530、八海山(新潟)690、出羽桜(山形)730、久保田・千寿(新潟)730。
    〔ある日の黒板メニューの例〕本まぐろトロ1,350、中トロ840、赤身740、平目刺身840、しまあじ刺身840、かんぱち刺身840、はまち刺身840、はまち・かんぱち半々840、真ダイ刺身840、(殻付)生カキ(4個)740、あじ活造り680、つぶ貝刺身680、カツオ刺身680、サンマ刺身680、甘えび刺身680、クラゲ刺身680、とりユッケ590、とりさし500、とりわさ500、とりうめ500、サンマ焼480、イカリングフライ390、あら煮480、もつにこみ400。あなご天680、しらうお天590、まいたけ天500、やさい天480。(2007年10月調べ)

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