小さな囲炉裏を囲んで … 樽酒「路傍(ろぼう)」(中野)
昭和36(1961)年に、この地で創業し、今年で46年。BGMのない店内は、小さな囲炉裏を囲むようなJ字のカウンター、8席程度のみ。この薄暗い、古びた(←ともに褒め言葉です!)小さな空間を、二代目のご夫婦ふたりで切り盛りされています。
飲み物は日本酒(千福の樽酒と本醸造)と、瓶ビール、ウイスキーのみ。料理は季節の野菜や、豆腐、岩魚などの、ごくごく自然なものが、シンプルに並んでいます。
金曜、午後9時の店内には、先客が3人ほど。それぞれ、ひとり客ながら、お互いによく知っているようで、いつものとおり、店主夫婦を中心にして会話がはずんでいます。この店の最大の特長は、小さな囲炉裏を囲んだ、この会話なのです。みんなの話を聞いているだけでも楽しいのですが、店主夫婦のさりげない采配で、たとえ一見(いちげん)さんでも、気がつくと会話の輪の中に入っているのです。
まず瓶ビールをもらって喉を潤したあと、千福の樽酒(800円)です。この店に来たら、この樽酒を飲まなければ始まらない。ここの樽酒は、樽の香りがほのかに漂う上品なもので、すいすいと、とても飲みやすいのです。
料理のほうは、お通しのキンピラに続いて、生揚げを焼いてもらいます。
となりのおにいさんは、囲炉裏で餅を焼いてもらっています。みんなと話をしながら、ときどきちょいちょいと餅をひっくり返す店主。目の前でプクゥーッと膨らんでいく餅が、おいしそうです。
J字カウンターの頂点のところのお客さんは、ウルメイワシです。これも囲炉裏の上に金網をのせて、さっと炙ってできあがります。こうやって、目の前でつまみができあがっていく様子が見えるのがいいですねぇ。
樽酒をおかわりし、野菜皿の中にある食用菊を注文します。
「サッと茹でて、わさび醤油で食べるのも美味しいのよ」
という、おかみさんのオススメにしたがって、その食べ方を試してみると、これがまたシャキシャキとした、菊(もってのほか)の食感によく合うこと。赤紫の色合いもいいですねぇ。
ワイワイと2時間半の樽酒タイムは、3,600円でした。どうもごちそうさま。
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