幻の梅でイクラ醤油漬 … やきとり「鳥佳(とりよし)」(横浜・上大岡)
私が知らないだけかも知れませんが、横浜地区には、もつ焼き屋さんが少ないのです。昔から外国人が多かったので、牛や豚の内臓も、肉と同じように、ごくごく普通の食材として消費されてしまっていて、もつ焼き用として、安く市場に出回ることがなかったのかなぁ、なんて推測したりしていますが、実際のところどうなんでしょう?
そんな横浜の地で、創業者であるお母さんの代から、もう30年以上、もつ焼きを提供し続けているのが、上大岡(かみおおおか)の「鳥佳」です。
店の正面に向かって両側に入口があり、駅から遠い右側(信号交差点の側)が、カウンター&テーブル席への入口です。木曜、午後8時過ぎの店内は、ゆるやかに満席に近い状態。テーブル席には空きがなく、カウンターに2席分程度の空きがあります。そのカウンター席に腰を落ち着けて、瓶ビール(キリンラガー大瓶、520円)と、小腹セット(700円)を注文します。
小腹セットというのは、おまかせの、やきとり7本盛り。目の前の焼き台で、店主が一所懸命焼いてくれる様子がよく見えます。最近、焼き台と客席の間に、アクリル板のような、透明の仕切りがあるお店が多いのですが、ここは、まさに目の前が焼き台。炭火の強い火力を、客席からも実感することができるのです。
まず出されたのは、カシラ、ハツ、タン、鳥ネギの塩焼き。お皿の脇にはキャベツの酢漬けも添えられています。
やきとりは、基本的には1本130円ですが、タンは150円、ボンボチ、トンタマは210円、さがり(牛串)は350円と、単価が高めの串も、いくつかあります。
続いては、レバーとシシトウのタレ焼き。大ぶりのレバーのプリプリ感が、あいかわらずいいですねぇ。そして、シロタレ。くるりと巻き込むようにして、串に刺されたシロの弾力感といったら! 感服です。
ビールが空いたところで、「幻の梅サワー」(420円)を注文します。“幻の”なんて言葉を見ると、つい気になっちゃいますよねぇ。
すぐに出された幻の梅サワーは、サワーグラスの底に梅干の実が入り、グラスの底のほうは梅酒のような薄茶褐色。そこからグラスの上のほうに向かって、グラデーションに透明感が増していき、グラス上部は完全に透明です。なんだかテキーラサンライズのような、カクテル系の飲み物なんですね。
上のほうを飲んでみると、さすがに透明だけあって、このあたりは、ほとんど味はない。添えられたマドラーでグルグルとかき混ぜて、全体が透明っぽい褐色になったところで、いただきます。ふーん。けっこう甘めの飲み物ですねぇ。
やきとりを食べ終えて、G.Aさんの「陸ボケ日記」にもよく登場する、コブクロ刺しがないかどうか確認してみたところ、残念ながら今日は無いとのこと。それじゃと、黒板にずらりと書き出されている「本日の美味」から、イクラ醤油漬け(500円)を注文します。
「はい。イクラ醤油漬けです」
と、カウンターの上部越しに手渡された醤油漬けは、透明なガラス小鉢に盛られた、とても美しい透きとおるオレンジの粒々。うわぁーっ、としばらく観賞してから、おもむろに数粒を口に運びます。
ックゥゥゥ~~ッ。こりゃまた、うまいもんじゃのぉぉっ。
その様子をニコニコと見守っていた店主から、
「熱いご飯が欲しくなるでしょう!?」
と声がかかります。まったく、まったく。熱いご飯に、このイクラをたっぷりと盛り上げて、丼を口につけたまま、ザクザクとかき込むと、死ぬほどうまいだろうなぁ!
日本酒とも、ものすごく合いそうですが、合い過ぎて、酒が3本(3合)くらいは軽く空いちゃうかもなぁ。残念ながら、まだ木曜日だから、ちょっと控えておきますか。
キラキラと輝くイクラを食べ終えて、1時間ちょっとの滞在は2,140円でした。どうもごちそうさま。
カシラ、ハツ、タン、鳥ネギ(塩) / シシトウ、レバー(タレ) / シロ(タレ)
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