里いも煮はホクホクと … 居酒屋「金田(かねだ)」(自由が丘)
自由が丘の名店、「金田」にやってきました。昭和11(1936)年創業のこの店は、今年で創業71年の大老舗です。
午後6時半の店内は、平日ながら、ゆるやかにいっぱいですが、そこは独り呑みの気楽さ。ダブル「コ」の字カウンターの一角に空いている隙間に入れてもらって、燗酒(菊正宗、420円)を注文すると、すぐに冬場の定番お通し(サービス)である、ミニスープ豆腐が出されます。
その燗酒を手酌で注いで、まず1杯。……あぁ、身体中に染み渡りますねぇ。
お酒が染み渡ったところで、カウンター上に置かれたメニュー(手書きでA3用紙にコピーされているもの)を手にとって、ずらりと並んだ百品目近いメニューを確認します。
ここは居酒屋と和食屋(割烹)の中間的な感じの料理がそろっていることでも知られており、今日もカキ山椒焼き(840円)や、カキおろし煮(840円)、穴子煮こごり(700円)、ウニ煮こごり(750円)、フグぬた(700円)、マグロぬた(650円)、魚の子煮(530円)、カニとも和え(530円)、イカ塩辛(530円)、ホヤ塩辛(420円)、フグ皮の酢物(600円)といった、呑ん兵衛心をくすぐる品々が並んでいます。
そんな中から、いかにも冬らしい一品、能登産のナマコ酢(400円)を注文します。
ナマコ酢は大好物のひとつで、呉(広島県)に住んでる頃は、冬になると同好の独身寮生と連れだって、わざわざナマコ酢を食べに出かけていたものでした。こちら(東京)に来ると、ナマコ酢はちょっと高級っぽい食材なのか、大衆酒場ではあまりお目にかからないんですよねぇ。
んー。紅葉おろしもピリッと効いて、ポン酢の酸っぱさの中に、コリコリとしたこの食感がいいではありませんか。燗酒とも実によく合いますねぇ。
となりに座っているカップルも、
「たくさんあり過ぎて、困っちゃうよねー」
と言いながらメニューを選んでいます。
高いものは高く、そして安いものは安く。それでいて安くても、うまいっ、というのがこの店のメニューの特徴。今日のメニューの最高値は、トラフグ刺身とスッポン鍋の2品で、それぞれ2,000円。でもまぁ、2,000円と言われても、さもありなん、といった感じの食材ですよねぇ。
逆に最安値は、焼き鳥(1本150円)と、つくね(1本160円)を別格とすると、自家製・切干大根の350円。切干大根も「自家製」と言われると、なんだか食べてみたいと思わせますよね。
そうだ。この店は煮物もおいしいんだった。里いも煮(450円)や、炊き合わせ(湯葉・ニシン・里いも、630円)がありますねぇ。
「お酒のおかわりと、里いも煮をお願いします」
すぐに出された燗酒(菊正宗、420円)を飲みながら、待つことしばし。出された里いも煮は、なんとなんと、できたて熱々の一品。ホクホクといい按配に煮あがっていて、味もよく染み込んでいます。どこまで下ごしらえして、どうやって仕上げたら、この状態になるんだろうなぁ。「里いもって、こんなにうまかったんだ」と思わせる一品です。
ゆっくりと1時間ほど愉しんで、今日は1,690円でした。どうもごちそうさま。
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