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食のブロガーは健啖家 … 創作料理「北品川(きたしながわ)」(北品川)

鴨のスモーク穴子フライギアナ海老フライ
厚岸の酢牡蛎ポークシチュー・ライス赤ワイン・白ワイン
氷見のブリ刺カブの煮物柿バター炒め


 先日、錦糸町の「井のなか」での飲み会のときに話題に上った「北品川」にやってきました。

 集まったのは、築地王・小関さんくにさんいずへいさんという「井のなか」オフ会メンバーに加えて、今回の幹事役を引き受けていただいた、む~とんさんに、そのむ~とんさんの友人で、「北品川」の常連さんでもあるsakuさん、築地王・小関さんの奥様、「フードジャーナリスト会議」主宰で放送作家のわぐりたかしさん、「ゴージャスカレー姉妹」の華麗叫子さん、「フェティッシュダディーのゴス日記」のジュネさん、そして以前、木場・門仲方面でもご一緒させていただいた「春は築地で朝ごはん」のつきじろうさん、というとっても豪華な面々です。

 ここ「北品川」は、一見(いちげん)さんは入ることができないお店なのだそうで、今日も、この店の常連さんであるsakuさんと、そのsakuさんとともに、何度もこの店に来たことがある、む~とんさんの予約により、みんなでこの店に来ることができたのでした。

 まず生ビール(キリン・ブラウマイスター)をもらって乾杯すると、すぐに出されたのは、片面に黒胡椒がビッシリとまぶされた、鴨肉のスモーク。「これはうまいっ」と食べ始める私に、向かい側に座る、いずへいさんや、む~とんさんが、

「この先、すごい量の料理が出ますから、最初から飛ばし過ぎると、後のほうは食べられなくなりますよぉーっ!」

 と教えてくれます。

「知り合いの女性ブロガーのみなさんも、けっこう食べる人たちだけど、途中でギブアップしたそうですからねぇ」

 と、優しい表情でドキッとすることをおっしゃる、つきじろうさん。

 うーむ。もともと、それほど健啖家ではないほうなので、そんな量が食べられるだろうか。鴨のスモークは2切れぐらいで抑えておこうっと。

「伊勢で捕れた、朝開きの穴子です。ひとり3尾ずつありますからね」

 ニコニコと嬉しそうに説明してくれる店主。店は店主夫妻で切り盛りしており、店主は料理をするのが楽しくて仕方がない様子です。

 穴子は、開いたものを1本丸ごとフライにしてあります。塩も一緒に出してくれたのですが、何も味をつけなくても、おいしくいただけます。

「熱いうちに食べなきゃね!」

 と、みんなで一所懸命、穴子フライと向きあいます。

 続いて出されたのは、大きな海老フライ。ギアナ海老という、この店以外ではあまりお目にかからない種類の海老なんだそうです。

 む~とんさんとsakuさんは、次の飲みものの相談中。といっても、この店には生ビールの他はボトルのワイン(赤・白)しかなくて1本9千円ほど。

「料理は、ひとり4千5百円というお決まりコースなんですが、ワインを飲みすぎると高くついちゃうんですよ」

 とsakuさん。たしかに! 呑ん兵衛が集まると、ひとり1本分くらいは、すぐに空いちゃうから、えらいことになってしまいそうです。

「次は牡蠣なんだけど、厚岸(あっけし)産のとてもいい牡蠣だから、食べられる人にだけ出すからね。食べる人?」

「はーい!」

 と元気よく手が挙がりますが、やはり何人かは食べられない人もいるようです。けっこう好き嫌いがはっきりと出る食材ですもんね。

 厚岸の牡蠣は、大ぶりの身が、ひとり5個ずつ。酢ガキで出されます。さっそくツルリと1個いただくと、なんとも濃厚な牡蠣だこと!

 オーストラリアなど、海外で牡蠣をいただくと、まさに「海のミルク」というたとえがピッタリとくるような牡蠣が出てくることが多いのですが、国内の牡蠣は生食用の処理をしているからか、なんだか淡白なことが多いんですよねぇ。こんな濃厚な牡蠣は久しぶりです。あぁ、うまいっ。やっぱり牡蠣はこうでなくっちゃ。

「この店では的矢(まとや)の牡蠣が出ることが多いんですけどね…」

 と、常連のsakuさん。そこへ、ちょうど店主がやってきて、

「今の時期は、厚岸の牡蠣がキロ(55個分ほど)あたり5千円ほどなのに対して、的矢のものは1万円ほどするから、予算に合わないんですよ。的矢のものは、もうちょっとしてからですね」

 と説明してくれます。

 牡蠣の次の料理は、なんとポークシチュー。ご飯にかけて、ハヤシライス風に出してくれます。それにしても、よーく煮込まれたポークの大きいこと!

 それにしても、揚げ物2品に続いて、生もの(酢ガキ)が出て、そのあとにポークシチュー・ライスとはねぇ。ものすごく考えられてるのか、それとも考えられてないのか、さっぱり分からないような順番ですよねぇ。

 と、そんなことを思っていたら、次にドーンと大皿で出されたのは、ひと切れあたりの厚みが3センチほどはあろうかという、ブリの刺身です。いやぁ、ここで刺身ですかぁっ!

 この刺身、ひと切れ、ひと切れの大きさも、相当大きいのですが、なにしろ厚みがあるので、写真に撮ってしまうと、バランス的に普通のブリ刺しのように見えてしまいますねぇ。でも、本物は、普通にイメージしたブリ刺しを、厚さ方向にも、幅方向にも、それぞれ2~3倍したくらいの量ですからね!

「これは氷見(ひみ)の寒ブリで8キロものです。これくらいの厚さに切らないと、ブリのおいしさはわからないですよ」

 と店主。ブリも届いてすぐ使うんじゃなくて、ちょっと寝かして熟成させてから、大きくカットするんだそうです。こんなに大きな刺身なのに、トロリととろけるように軟らかくて、脂(あぶら)ののりも絶妙です。あぁ、燗酒がほしい。

 ブリの刺身をペロリと平らげたら、今度はカブとブナシメジの煮物です。カブは、ひとりずつに、直径15センチほどもあろうかという大きなのが丸ごと1個ずつ。こんなに大きなカブなのに、箸でさっくりと切り分けられるほどの軟らかさ。いったい、どれほど煮込んだんでしょう。

 最後に出されたデザートは、柿のバター炒め。テレビで紹介されていたのを見て、真似して作ってみたのだと言います。櫛切りにした柿をバターで炒めて、生クリームを足しただけという簡単な料理なんだそうですが、柿の甘さと、生クリーム&バターの風味がよく合って、不思議なおいしさです。

 いやいや。ものすごい物量に、どうなるかと心配しましたが、となりに座っている、つきじろうさんをはじめとして、グルメブロガーのみなさんは健啖家が多いので、なんとかすべてを完食です。やぁ、よかった、よかった。量もさることながら、そのすべてが美味しいのが嬉しいですね。

 と安心していたら、向かい側に座る、いずへいさんから、

「ポークシチューライス、おかわりしていいですか。食べられるかどうか、わからなかったので、全部出終わるまで、おかわりするのを待ってたんです」

 という、驚くべき「おかわり」のコール! いやぁ、この華奢な身体のどこに、こんなにたくさんの料理が入っていくんでしょう!

「あんまり飲むと高いからねぇ」

 と釘を刺されていたワインも、気がつけばたっぷりといただいてしまった3時間半。お勘定は、11人で10万5千円でした。うー、苦しいほど満腹じゃーっ。

 あ、そうだ。この夏ご一緒させていただいたときに企画中だった本が、いよいよ今日(11月22日)発売されたのだそうです。本のタイトルは「東京ランチレボリューション」(東京書籍)。築地王・小関敦之さんを筆頭に、OL美食特捜隊のみなさん、ラーメンの大崎裕史さん、カフェの川口葉子さん、美食の王様・来栖けいさん、カレーの水野仁輔さん、うどんの蓮見壽さん、焼肉のYAKINIQUESTのみなさん、B級グルメ・柳生九兵衛さんという豪華な執筆陣の各々が、自分のおすすめのランチを紹介した1冊です。奇しくも、話題の「ミシュランガイド東京2008」と同じ発売日となった「東京ランチレボリューション」ですが、こちらは、より身近なランチが対象ですので、読んですぐに出かけることができそうですね!

店情報

《平成19(2007)年11月22日(木)の記録》

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