ハムエッグスで燗酒を … 大衆酒場「大山酒場(おおやまさかば)」(大井町)

大井町は、東小路、平和小路などの、昭和闇市の名残を残す横丁のある街。今日は、そんな横丁の入口にある大衆酒場、「大山酒場」にやってきました。
水曜日、午後7時過ぎの店内は、右手フロアはけっこうお客さんが多いものの、左手のカウンター席は比較的空いている状況。右手フロアにはテレビが置かれているので、そちらのほうが人気が高いのでしょうか。
左手カウンターの一角に座り、
「いらっしゃいませ」
と声を掛けてくれる、カウンターの中のおかあさんに、
「瓶ビール(大瓶、560円)と、湯豆腐(350円)をお願いします」
と注文します。
「瓶ビールはアサヒとキリンがありますけど」
「じゃ、キリンで」
すぐに出された瓶ビール(キリン一番搾り大瓶)をコップに注いで、まずは今日の1杯目をググゥーッと飲み干します。あぁ、うまいっ。この1杯が、まさに甘露ですねぇ。
今日も、最高気温が12度くらいまでしか上がらないような、11月にしては寒い1日だったのですが、それでもやっぱり最初の1杯は、よく冷えたビールをグイッとやりたい。そのかわりに、つまみは温かい湯豆腐にしたのでした。
1杯目のビールを飲み干して、改めて短冊メニューを確認すると、この季節、おでんもあるようです。おでんのタネの中では、豆腐が一番高くて300円。ロールキャベツ、肉だんご、シューマイが各200円。大根、はんぺん、こんにゃく、しらたき、里いもが各150円。ちくわぶ、ちくわ、つみれ、がんも、さつま、すじ、玉子が各120円と、大衆酒場らしい価格設定です。
「はい。湯豆腐です」
受け皿つきの器には、半丁分くらいの熱々豆腐がドンと入っていて、カツオ節と刻みネギを載せて、温かいポン酢醤油がかけられています。熱い間に、ツルリ、ツルリといただきます。飲み始めの、お腹がすいているときに、この温かい豆腐はありがたいですよねぇ。
湯豆腐で、すきっ腹も落ち着いてきたところで、玉子料理を1品注文しますか。
ここ「大山酒場」は、玉子料理が豊富なことも特徴の、ひとつなのです。そのラインナップは、目玉焼き(380円)、ハムエッグス(420円)、にら玉(380円)をはじめ、特筆物はオムレツ。その種類が半端じゃないのです。プレーン、キャベツ、ネギのオムレツが各500円。チーズ、しらす、ハム、納豆、ちりめんのオムレツは各550円。そして最高値のハムチーズオムレツが600円と、オムレツだけでも実に9種類。
玉子料理が好きじゃない呑ん兵衛というのは、あまり見たことがありません。お客さんからの注文で、ひと品、またひと品と増やしていってるうちに、今のような品ぞろえになったんじゃないかと推測します。
にら玉の注文が飛び交っていて、とても人気がある様子ですが、ここはやはり、大好物のハムエッグスをもらいますか。
玉子料理類は、いずれも注文を受けてから、店のおかあさんがカウンター内で調理して、できたての熱々を出してくれるのです。
そのハムエッグスができあがったところで、燗酒(300円)を注文すると、湯煎されている大きな徳利から、受け皿にあふれるほどのお酒を注いでくれます。
となりに入ってきたおにいさんは、樽酒(280円)を冷やで注文。私が注文した燗酒は、「連山」という銘柄のお酒なのですが、こちら樽酒は、銘柄が「樽酒」だし、樽酒なのに普通のお酒よりも値段が安いしと、なにかとおもしろいお酒なのです。
樽酒を受け取ったおにいさん、まずは口から迎えにいって、コップの上のほう1センチ分くらいをクイッと飲み、受け皿にこぼれたお酒をコップに移したあと、ググゥ~ッと一気に飲み干してしまって、すぐに2杯目をおかわりです。
『ほぉーっ。なかなかすごい飲みっぷりだなぁ』
と思いながら、ハムエッグスをひと口つついて、燗酒をチビッと飲むと、となりからコンッというグラスの音。あららぁーっ。となりのおにいさん、2杯目ももう飲み干しちゃいましたか。はやっ。
さらに3杯目も、1杯目と同じく、一口目で表面張力のところから数センチをまでを飲み、受け皿の酒をコップに移すと、二口目で全部飲み干してしまいます。
「なにか料理を作る?」
という、カウンターの中のおかあさんからの問いかけにも、
「今日はいいや」
と答えて、4杯目となる樽酒をもらっています。
その4杯目も、同じペースでググゥーッと飲み干して、「ごちそうさん」と席を立ちます。店には15分いたかどうか。お勘定、1,120円を支払って、スゥーッと帰っていきました。
おかあさんとの会話の様子から判断すると、かなりの常連さんのようでしたが、ものすごい飲み方ですねぇ。びっくりしてしまいました。真似して飲んだら、急速に血中アルコール濃度が上がって、ぶっ倒れてしまいそうです。
燗酒をもう1杯いただいて、1時間ほどの滞在は、1,930円でした。どうもごちそうさま。
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