15周年おめでとう! … 立ち飲み「和一(かずいち)」(門前仲町)
さて、今日この日に森下賢一(もりした・けんいち)さん、吉田類
(よしだ・るい)さんの両巨頭が「河本」の店内でそろったのは、決して偶然ではなくて、門前仲町の立ち飲み屋、「和一」が開店15周年を迎えたので、そのお祝いのために、ここ「河本」で待ち合わせたのだそうです。
「おもしろい店ですから、いっしょにどうですか」
と誘ってくださる類さんのお言葉に甘えて、祝さんご夫妻とともに、ご一緒させていただくことにします。
「和一」のことは、類さんたちが、立ち飲み研究会というグループとして著した「立ち飲み屋」(ちくま文庫)という本でも紹介されていて、前から気になっていたのです。15周年記念のこの日に初訪問できるとは。
「こんばんは。おめでとう!」
先頭を切って店に入って行く類さん。手には、先ほど近くの花屋さんで購入した大きな花束を抱えています。
「やぁ、類さん。ありがとう」
店主の声が返ってきますが、10人も立てるかどうかの店内は、すでにお祝いのお客さんでいっぱいです。
「15周年だから、あいさつだけでもさせてもらおうと思ってね。いっぱいだねぇ」
という類さんに、常連のお客さんたちがギュギュギュッと詰めてくれながら、
「なに言ってんだよ。せっかく来たんだから入っていきなよ。久しぶりだねぇ」
「ほら、類ちゃん。こっちこっち」
と口々に声をかけてくれます。さすが類さん。この店でも人気者ですねぇ。
ギュギュッと詰めてもらったところに入り込んだのは、森下さん、類さんに、森下さんの句会に参加されているというジャズシンガー・REIKAjjさん、祝さんご夫妻と私の、合わせて6人。いっぱいだったはずの店内に、さらに6人も入れちゃうというのが、立ち飲みならではですよねぇ。
類さんが、「立ち飲み屋」の中で『客たちの話題はもっぱら山の話である。経済性重視の立ち飲み屋に対し、むしろ精神的な安堵を求めるサロン的要素が魅力の店。10人も並べばいっぱいになるカウンターに、馴染み客との会話が楽しみでやってくる』と書かれているとおり、店内がひとつの話題で盛り上がっていくタイプの酒場の様子。
類さんご自身が、どこの酒場でも、すぐにお客さんたちの会話の中に溶け込んでいって、その場の雰囲気を共有されるタイプなので、こういうサロン的な酒場は、まさにピタリとはまります。
「類ちゃんが来たんなら、オレはちょっと家からワインを持ってくるから。待っといてな」
と、すぐ近くらしい自宅に走る大常連さん。すぐにマグナムボトルを持って現れます。もちろん本来は飲み物の持ち込みなんてご法度ですが、今日はお祝いのホールケーキも持ち込まれているし、15周年記念の無礼講ですね。居合わせたみんなで、おいしくワインをいただきます。
「ここは魚がうまいんだよ」
類さんにそう言われてカウンター内の黒板メニューを見ると、そこには、天然平目刺(800円)、平政刺(700円)、生牡蠣酢(500円)といった魚介類が15品ほど、魚介類以外の、湯豆腐(鯵つみれ入り、650円)、ポテトサラダ(250円)、煮合せ(大根・蒟蒻・厚揚・椎茸、400円)、牛モツ煮込み(550円)などと合わせると全25品ほどが並んでいます。すべて漢字で記載されているところも、なにやら割烹風です。
そんな中から、刺身盛合せ(1,200円)を注文すると、大皿に盛られて出てきた盛り合せは、マグロ、ヒラメ、ヒラマサ、アオリイカ、コハダ酢、甘エビの豪華六点盛り。
森下さんがセイコ蟹(400円)を注文すると、小さいながら、まるごと一杯の蟹が出されます。
ジャーッと、その音も豪快に、熱した油をかけて仕上げるのは蛸皿(たこさら、550円)です。丸皿にレタスを敷きつめて、薄く切ったタコを並べ、その上に輪切りのピーマンや、白髪ネギをトッピングし、最後にジャーッとやってできあがる、この蛸皿も「和一」の名物なんだそうです。
「こっちも蛸皿をもらおうか」と類さんが注文してくれますが、
「ごめん。今、作ったので終わっちゃった」とのこと。
「今日はアジのナメロウ(700円)もあるよ」と代わりのオススメを教えてくれます。
「ナメロウがあるんだったら、それをもらおうか」
類さんは、ここのアジのナメロウが大好きで、よく注文していたんだそうです。
今日は15周年記念で、全品表示価格の半額とのこと。ゆっくりと3時間ほどの立ち飲みは6人で4,800円(ひとりあたり800円)という15周年スペシャル価格。しかも、類さんにご馳走になってしまったのでした。どうもありがとうございます。>類さん
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コメント
加藤さん。
ご無沙汰しております。笠原さんのことでお知らせしたいことが、あります。
投稿: 尼崎忠男 | 2010.08.20 16:10