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2008年1月

怒濤の年末年始特集4 … 「軼菁飯店」「竹よし」

「竹よし」の刺身盛合せ


 1月3日・木曜日は、パソコン通信のフォーラム時代のメンバー3人が集まって、吉祥寺の上海料理や「軼菁飯店」(いじんはんてん)で新年会です。生ビール(330円)の後は、紹興酒(ボトルで2,100円)をもらって、白身魚の醤油煮(780円)や揚げ餃子(320円)、豚耳と胡瓜の和え(400円)などをつまみながら談論風発。私自身は、はじめて来たお店ですが、この店を選んでくれたEさんによると、ここは安くておいしい中華料理が食べられる店として有名なのだそうです。なにしろ味付け卵なんて、櫛型に切られた玉子がお皿に盛り付けられて80円ですからねぇ。木須肉(キクラゲと豚肉の玉子炒め、650円)や焼きビーフン(600円)に舌鼓を打ち、最後は杏仁豆腐(200円)をいただいて、3時間の滞在は、3人で7,800円(ひとり2,600円)でした。

 1月5日・土曜日は今年初の刺身を食べに「竹よし」です。まずは瓶ビール(アサヒスーパードライ中瓶、500円)を注文すると、今日のお通し(200円)は、ヤリイカと里芋の煮付けです。ブリの卵も入った煮付けは、これだけで十分に酒の1本くらいいけちゃうような一品です。ビールの後は燗酒(菊正宗、350円)をもらって、刺身の盛り合せ(1,000円)です。いつもは3切れずつ5品盛りなのですが、今日の盛り合せは、正月らしくタイ、アカエビ(甘エビ)、中トロ、マグロ赤身、カンパチ、ヒラメ、サーモンが2切れずつの7品盛りです。

 燗酒をおかわりし、今度は焼き魚。笹かれい(600円)にしようか、さわらかぶと(500円)にしようかと、ちょっと迷って、さわらに決定。さわらの頭を左右にまっぷたつに割った両側が大きなお皿で出されます。このカマから、ほっぺたにかけての身をチマチマと取りながら食べるのが、またいいんですよねぇ。

 店には常連のFさんやなおとんさんにっきーさんや、たっつんさんご夫妻もやってきて、新年らしい賑わいです。飲み物も、Fさんがみんなの名前入りでキープしてくれているキンミヤの一升瓶に切りかえます。

 地域の長老・Sさんが、好物の茶碗蒸し(600円)を注文されたので、私も便乗注文。たくさん飲んだあとに、こういう温かい料理がまた美味しいんですよね。

 閉店時刻までワイワイと楽しい新年会になったのでした。年末年始休暇も、明日で終わりだなぁ。さぁ、今年もがんばるか!

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ヤリイカと里芋煮(お通し) / サワラかぶと / 茶碗蒸し

・「軼菁飯店」/「竹よし」(前回

《平成20(2008)年1月3日(木)~5日(土)の記録》

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店情報: 中華料理「軼菁飯店(いじんはんてん)」(吉祥寺)

  • 店名: 上海料理「軼菁飯店」
  • 電話: 0422-21-2301
  • 住所: 180-0004 東京都武蔵野市吉祥寺本町1-8-5 レンガ館B1
  • 営業: 11:30-23:30、無休
  • 場所: 伊勢丹の吉祥寺駅より入口から見て、右手向かいにあるレンガ館の地下にある中華料理屋。
  • メモ: 生ビール330、紹興酒(三年)ボトル2,100、あげ餃子320、白身魚の醤油煮780、生姜焼き600、味付け卵80、豚耳と胡瓜の和え400、木須肉650、焼きビーフン600、杏仁豆腐200など。ランチは650円から。1,500~20,000円のコース料理も可。すべて注文を聞いてから作るオーダーバイキングは、2時間制(30分前LO)、4名(幼児除く)以上で、料理45品+飲物20品から好きなものが選べで、大人3,000円、小学生2,000円、幼児500円。(2008年1月調べ)

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怒濤の年末年始特集3 … 「川名」「くんちゃん」

元旦の「越乃寒梅・大吟醸」


 1月1日・火曜日。新年明けましておめでとうございます。今年のお正月のお酒は、いただきものの「越乃寒梅・大吟醸」。特撰(吟醸)や別撰(特別本醸造)の「越乃寒梅」は飲んだことがありますが、超特撰(大吟醸)は、これがはじめてです。あくまでもすっきりと軽やかで、非常に飲みやすいお酒でした。さぁ、今年もたくさん飲むぞ!

 1月2日・水曜日は、近所に住む酒友・にっきーさんと示し合わせて「よじかわ」(=4時に「川名」)です。瓶ビール(アサヒスーパードライ大瓶、504円)で乾杯した後、トマト玉子焼(399円)やポテトコンビーフチーズ(504円)などをもらって、飲み物も地酒「黒牛」(462円)へと進みます。

 例年は、大晦日に「川名」で飲み納めて、元日に「川名」で飲みはじめるというパターンでしたが、大晦日が月曜で「川名」の定休日だったので、12月30日の「竹よし」の納会で飲み納め、今日、1月2日の「川名」で飲みはじめるという新しいパターンでの年明けとなりました。

 ここ数年、年の初めにテーマを掲げて、それに添った飲み歩きを繰り広げてきました。たとえば2005年のテーマは「人を広げる」。それまでのひとり飲みスタイルから幅を広げて、いろんな人と一緒に飲みに行く機会もたくさん作ってきました。

 2006年は「地域を広げる」と称して、飲みに行く地域を広げ、「西へ、東へ、まん中へ」という具体策のもと、湘南・横須賀エリアや、東京下町エリア、そして東京と横浜の間に横たわるエリアへと足を伸ばしました。

 昨2007年は「原点回帰」。2年間に渡って、人、地域と拡張路線をとってきたのですが、一旦その拡張路線を止めて、ひとり呑み主体の方向に回帰。しばらく行っていなかった有名店にも再訪するように心がけました。

 2008年の今年は「じっくりと」という方針の下、行きたいのに行けていない、あるいはもう1度行きたいのに再訪することができていない店などへ、じっくりと出かけてみたり、地元近くの店々もじっくりと探訪してみようと考えています。店をじっくり、地域をじっくり、ですね。

 「川名」を出てタクシーで野方へ。今年、2軒目の酒場は、野方みつわ通りにある焼酎バー「くんちゃん」です。年末に改装工事を終えたばかりという「くんちゃん」は、以前と比べると、ぐんと広くなり、店全体がすっきりとなりました。バックバーにずらりと並ぶ焼酎の一升瓶も、前と比べるとゆったりと感じます。おせち料理をつまみながら、焼酎を2~3杯ずついただいて、新年第1回目の飲み会を終了したのでした。

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「川名」 トマト玉子焼 / ポテトコンビーフチーズ / ホノルルマラソン完走!

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「くんちゃん」店内 / 佐藤(麦) / お正月のお通し

・「川名」(前回)/「くんちゃん」(前回

《平成20(2008)年1月1日(火)~2日(水)の記録》

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怒濤の年末年始特集2 … 「御天」「川名」「竹よし」

「川名」の塩辛豆腐


 12月29日・土曜日の4軒目は、地下の「ゴテンズバー」から、地上の「御天」に上がって玉露ハイ(400円)や、甘くないシークワーサーサワー(400円)などをもらって、せん菜炒め(550円)。この1年を振り返ってみても、せん菜炒めには非常にお世話になりました。そもそも、この店以外で「せん菜」を見かけないんですよねぇ。最後はラーメン(680円)で締めます。決め手は、本来トッピング用のものを別皿で出してもらった生ニンニク(50円)。これを3人でシェアしてラーメンに入れるのですが、この少量の生ニンニクが効くこと、効くこと! テーブル上には、おろしニンニクがサービスで置かれているのですが、このおろしニンニクと生ニンニクは、まるで別物といっていいくらい効きが違うのです。満腹になってお勘定は3人で4,600円ほど(ひとり1,500円強)でした。

 12月30日・日曜日。今日、最初に向かったのは年末最終営業日の「川名」です。「川名」は店主のマラソン参加等に合わせて1週間前後の休暇が年に数回あるほかは、年末年始だろうが、お盆だろうが、ゴールデンウイークだろうが無関係に営業をしているのですが、月曜日は定休日。ちょうど明日、大晦日が月曜・定休日なのです。

 「よじかわ」(=開店時刻の午後4時に「川名」に行くこと)で店に到着すると、カウンターの一番入口近くにいるのは、新橋「ぼんそわ」の牢名主とも呼ばれているクマさんです。「今年もお世話になりました」とご挨拶しつつ、ふたりで奥の座敷席へと移ります。今日のお通し(サービス)はパイナップル。私は瓶ビール(サッポロラガー大瓶、504円)からスタートし、つまみには名物・豚煮込み(252円)をいただきます。

 そのビールを飲み切ったところで、和歌山の地酒「黒牛」(462円)に塩辛豆腐(252円)をもらいます。塩辛豆腐は、その名のとおり、冷奴の上にイカの塩辛を載せたもの。日本酒にぴったりのつまみです。

 年内最終営業日ということで、木耳(きくらげ)の入った湯豆腐や、煮こごり(マカロニ添え)なども出してくれて、そうこうしているうちに赤羽の大衆酒場「大久保」の最終営業に行っていたというjirochoさんも到着されて、マーボー春雨です。たっぷりと2時間半の滞在は、それぞれ個別会計で私の分は1,932円でした。

 「川名」を出て、3人でタクシーで向かったのは都立家政の魚料理と天ぷらの店「竹よし」。「竹よし」は、毎年12月29日が年内営業の最終日で、30日が納会なのです。本来、残りものを平らげてしまう会なのに、今日もまた納会用の新しい食材がたっぷり。常連さんたちと、みんなでワイワイと今年の終わりを締めくくったのでした。

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「御天」 せん菜炒め / 別皿の生ニンニク / ラーメン

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「川名」 豚煮込み / 黒牛と湯豆腐など / マーボー春雨

・「御天」(前回)/「川名」(前回)/「竹よし」(前回

《平成19(2007)年12月29日(土)~30日(日)の記録》

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怒濤の年末年始特集1 … 「秋元屋」「ピュアー」「鳥竹」「満月」「ゴテンズバー」

「鳥竹」の肝なべ


 12月28日・金曜日。今年の仕事も今日まで。会社での納会を終えて、ひとり「秋元屋」です。氷なしホッピー(380円)に煮込み(320円)、お新香(180円)でスタートし、氷なしの黒ホッピー(380円)でレバ生(300円)へ。ツルリツルリといただくレバ生のなんとうまいことよ。最後はガツとテッポウを1本ずつ(各100円)醤油で焼いてもらって、今年の「もつ納め」は、午後9時半から1時間ちょっとで、席料100円も加えて1,860円。

 「秋元屋」からの帰り道に立ち寄った「ピュアー」では、温かいアメリカン・レモネード(580円)で身体を暖めます。ポートワイン+レモンの甘酸っぱさがいいですね。今日のお通し(310円)は2種類のチーズ。特にカニみそのチーズがたまりません。2杯目にはシングルモルトウイスキーのロングジョン(ワンジガー630円)をロックでいただいて、これまた1時間ちょっとの滞在は1,520円でした。

 12月29日・土曜日は飲み仲間たちとの忘年会で渋谷の「鳥竹」です。ここ「鳥竹」での忘年会も今年で3度目。定番となってきました。あらかじめ予約を入れると2時間縛りになってしまうので、今年もまた予約はせずに、午後6時の地下の座敷席オープン時刻に合わせて9人で集結です。

 まずは「鳥竹」ならではの大ぶりの焼き鳥(1本315~368円)や、唐揚げ(840円)などをいただいて、これまた定番の鍋物コースに突入。肝なべ(1,260円)は毎年いただいている一品で、鳥もつの他に、鳥皮もたくさん入っています。すき焼きのように割り下で煮て、溶き玉子に絡めていただくのです。

 鍋の追加は、はじめていただく鳥なべ(1,260円)です。割り下で煮た鳥の身もうまいもんですねぇ。これまた燗酒が進みます。

 最後は雑炊でしめて、3時間の滞在は9人で30,840円(ひとりあたり3,430円ほど)でした。

 渋谷駅で解散し、自宅が近いメンバー3人で向かったのは鷺ノ宮駅近くの大衆酒場「満月」です。ブロッコリー(300円)をもらってサワー(各300円)に燗酒(大600円)などで小一時間。お勘定は2,400円(ひとり800円)。

 「満月」を出て鷺ノ宮駅前からタクシーで、となり駅、下井草近くにある焼酎バー「ゴテンズバー」へ。水で割った状態で寝かしてある芋焼酎を、美人バーテンダー・Rちゃんに黒じょかで燗をつけてもらってチビリチビリで、お勘定は3人で2,800円ほど(ひとり900円強)でした。

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「秋元屋」 三冷ホッピー / レバ生 / ガツとテッポウ(醤油)

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「ピュアー」 / 「鳥竹」 / 焼き鳥いろいろ

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「鳥竹」 唐揚げ / 鳥皮、煮こごり、サラダ / ボンボチなど

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「鳥竹」の燗酒 / 「満月」の燗酒 / 「ゴテンズバー」

・「秋元屋」(前回)/「ピュアー」(前回)/「鳥竹」(前回)/「満月」(前回)/「ゴテンズバー」(前回

《平成19(2007)年12月28日(金)~29日(土)の記録》

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冬は温たかヌクッピー … ホッピーバー「ホッピー仙人(ほっぴーせんにん)」(横浜・桜木町)

ヌクッピー(手前)


「冬場には、ヌクッピーという、あったかいホッピーもやってるんですよ」

 以前からそんな話は聞いていたのですが、てっきりお遊びの、なんちゃってカクテルかと思っていたのです。

 ところが今日、常連のシンタロウさんが注文したヌクッピーを、ひと口飲ませてもらって驚いた。なんちゃってカクテルかと思いきや、これが本格的なカクテルで、実に完成度が高いのです。

「仙人、私もヌクッピーをお願いします!」

 と、飲んでいた黒生ホッピー(500円)もそこそこに、さっそくヌクッピー(500円)を注文したのでした。

 仙人がこのカクテルを思いついたのは、大阪のキリンシティでホット・ビールを出しているという話を聞いたとき。ちょうど大阪に出張が入っていた仙人のお友だちに、その店に行ってもらい、店から携帯電話でライブ・レポートをしてもらいながら研究したのだそうです。

 ヌクッピーの決め手は、暖めながらも炭酸を飛ばさないことと、暖めたときに出る炭酸独特の香りを抑え込むこと。このために、何度も何度も試行錯誤を繰り返し、やっと現在のスタイルにたどりついたのだそうです。

 最後にちょっと振り入れられるシナモンにも、そういう努力のあとが感じられます。

 ヌクッピー専用のジョッキ(←普通のホッピージョッキより、二回りほど小さい)が何個もあるというところからも、仙人の本気度合いが伝わってきますよねぇ。

 今日いただいたのは、黒のヌクッピーですが、白のヌクッピーは、また別のレシピがあるんだそうです。これはもう明らかに「ホッピー仙人」のオリジナルカクテルですよね!

 ただし、ヌクッピーは、そのレシピ研究段階の都合上、今のところ1杯ずつしか作ることができないので、たくさん注文が入ると困ってしまうのだそうです。忙しくなさそうなときに注文しましょう。

 閉店時刻の午後10時まで。1時間半ほどの滞在は、黒生ホッピーとヌクッピーで、ちょうど千円でした。

店情報前回

《平成19(2007)年12月26日(水)の記録》

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ハフハフと手羽唐揚げ … 居酒屋「天国(てんくに)」(横須賀中央)

手羽唐揚


 横須賀での2軒目は、すでに行ったことがあるお店でゆっくりとくつろごうと、「坂戸屋」からも、ほど近いところにある「鳥好」に向かいますが、午後7時前の店内は、店の外から見ただけでそれとわかるほど、お客さんでいっぱい。念のため入口引き戸を開けて見たものの、カウンター内の店主が「ごめん。今、いっぱい」と申しわけなさそうに顔をゆがめます。「また来ます」と軽く手をあげて店を出て、来た道を戻りながら、次の候補の検討です。

 うーん。「鳥好」でホッピーを飲みながら、まず鳥皮みそ煮(1串60円、3串から)をつついて、続いてはササミの天ぷら(350円)、お腹に余裕があれば鳥ももの唐揚げ(450円)か、すなぎもの唐揚げ(400円)でもいってみようか、というプランが心の中でできあがっていたので、なかなか切り換えがむずかしいなぁ。

 そうだ。同じ唐揚げつながりということで「天国」に行ってみよう。「鳥好」の唐揚げは、食べたことはないんだけど、見た目は自由が丘の「とよ田」や、大船の「小山」と同様に、衣をつけずにそのまま揚げる、素揚げっぽい感じでした。こちら「天国」は、衣をつけてあげる普通の唐揚げなのですが、その鶏肉が、素揚げのものと同じくらい大きいのです。

 縦に、うんと長いJ字というか、コの字カウンターの一辺だけが奥に向かってぐんと突き出した感じの店内は、こちらもこの時間帯、お客さんがいっぱい。しかし、J字一番手前の、テレビのすぐ前あたりが空いています。広い店内で、この辺りの席だけが、振り返らないとテレビが見えないので、人気がないようなのです。しかも、この席に座ると、テレビを見ているお客さんたちは、みなさん自分のほうを見ている感じになりますからねぇ。居心地があまりよくないのです。でも、ここしか空いてないんじゃ仕方がない。今日は、この席で飲みましょう。

「なんにしますかー?」

 いかにもアルバイトといった感じの、若い女性が、とっても事務的に注文を取ってくれます。

「手羽唐揚げ。それと、あったかいお酒と、キュウリのお新香ください」

「はい。熱燗(あつかん)ですねー」

 燗酒は、横に置いている燗酒器(一升瓶を逆さに差し込んでいる機械)から、ジャーッと注ぐタイプで、お酒の銘柄は「百万石」。徳利1本が300円です。

 鶏の唐揚げには、手羽唐揚げと、もも肉唐揚げの2種類があって、どちらも570円。個人的には軟骨なども多くて、いろんな食感が楽しめる手羽のほうが好きなんですよねぇ。

 その唐揚げは、肉が大きいこともあって、できあがるのに時間がかかります。それをお新香と燗酒で待とうという考えです。お新香は180円で、キュウリかナス、カブが選べます。キュウリ、ナスなら丸1本、カブも丸1個を切ってくれるのが嬉しいですね。

 そのキュウリのお新香をポリポリ、燗酒をチビチビとやりながらメニューを確認していると、地酒のところにある「八海山」がなんと400円。おそらく6~7勺くらいの量なんでしょうが、それでもこの普通の燗酒1合が300円であるのと比べると安いかもなぁ。

 できあがった手羽唐揚げを持って来てくれたおねえさんに、さっそく確認してみます。

「すみません。この八海山も燗酒にできるんですか?」

「ちょっと待ってください。聞いてきます」

 と店の奥に向かったおねえさん、しばらくして帰ってくると、

「できるけど、(横の燗付け器を指差しながら)この機械は使えないので、昔みたいにお湯で温めないといけなくて、少し時間がかかるそうです」

 なんと! もちろん、そうやって湯煎で燗をつけてもらったほうが、いいに決まってる。

「時間がかかってもいいですから、八海山を燗でお願いします」

 できたて熱々の手羽唐揚げをハフハフとほお張っているところへ、八海山の燗酒も出てきました。先ほどと同じく1合の徳利。レシートには「酒」(300円)のところと、「八海山」(400円)のところの両方にチェックが付けられます。なるほど、この燗酒1合で700円ってことなんですね。

 どうしても齧りきれない大きな骨だけをのぞいて、骨までバリバリといただいて、最後の仕上げに燗酒をグビリ。あぁ、こういう日本酒ばかりだといいのになぁ。

 目の前にあるレシートには「サ」という項目があって、あらかじめ100円となっています。お通しは出ないお店なので、この100円はサービス料、もしくは席料といったところなんでしょうね。

 1時間ちょっとの滞在は、1,850円でした。

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満員だった「鳥好」 / 「天国」 / お新香と燗酒

店情報前回

《平成19(2007)年12月26日(水)の記録》

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かぶおろぬきおひたし … 大衆酒場「坂戸屋(さかとや)」(横須賀中央)

横須賀湯豆腐 & 横須賀ホッピー


 先週末は「酔わせて下町」のFさんに、酒場の密集する葛飾区は立石の町をご紹介いただいたのですが、ここ横須賀中央駅界隈も酒場が多い町のひとつ。これまでに何度かやって来ているのですが、行くことができたのは、まだまだほんの一部分のお店にしか過ぎません。

 今日の1軒目は、創業90年を超えるという老舗大衆酒場「坂戸屋」です。

 店は15年ほど前に建て替えたのだそうで、外観からは残念ながら超老舗であることはうかがえません。

 店内は、左手にL字カウンター10席ほどと、右手壁際に4人掛けのテーブル席が3つ並び、奥には小上がりの座敷席もあるようです。左手のL字カウンターの入口側、L字の短辺のところは非常に短く、しかもカウンター上に一升瓶などが並んでいるので、実際にカウンター席として使えるのは、店の奥に向かって伸びるL字長辺の部分のみ、席数にして8席程度です。

 水曜日、午後5時半の店内は先客はひとり。かなり厳(いか)つい感じのジャンパー姿の中年男性が、カウンター中央部分でホッピーを飲んでいます。

 ちょっと怖いので、席ふたつ分くらい離れた、一番入口側の席に座り、注文を取りに来てくれたおねえさんに、ホッピーと湯豆腐を注文します。店は女将さんと、このおねえさん(お嫁さんらしい)のふたりで切り盛りしているようです。

 すぐに出されたホッピーは、横須賀にしては珍しく、あらかじめ作られたもの。横須賀では、ホッピーは生ビールジョッキで出すのが標準なのか、ここ「坂戸屋」のホッピーも、サッポロビールのロゴマークが入ったジョッキに、氷なしでなみなみと注がれています。

「おにいさんもホッピーですか。ホッピー、美味しいですよねぇ」

 厳つそうに見えた先客が、そう言いながら満面の笑みを投げかけてくれます。なんだ、いい人じゃん。なんだかひと安心で、肩の力もスゥ~ッと抜けます。

「ほんとですねぇ。特に横須賀のホッピーは、焼酎が濃くて飲み応えがありますよね」

 と答えながら、軽くジョッキを持ち上げてご挨拶し、ひと口目のホッピーをゴクリ。ッカァ~~ッ。効くなぁ。

 ホッピーに使う焼酎は、甲類焼酎といって、純粋アルコールを水で割った状態に近い飲み物であるため、無味無臭に近いのです。しかし、その無味無臭であるはずの焼酎がどのくらい入っているかで、ホッピーの味がまるで変わってしまうのが不思議なところ。試しに瓶入りのホッピー(いわゆるソト)だけを飲んでみると、ちっともうまいと感じない。これに焼酎が入れば入るほど、どんどんうまくなってくるんだけど、あるところを過ぎると、焼酎が勝ちすぎてホッピーらしい味わいはなくなってくる。

 ちょうどいい味わいが楽しめる分量の中で、一番焼酎が濃いのが、横須賀あたりの酒場で飲めるホッピーではないでしょうか。だいたいの店で焼酎が120~180mlほど入っているようです。

 そういうホッピーのことを、最近は「横須賀ホッピー」というように「横須賀」の名を冠して呼び表したりしますが、もうひとつ、「横須賀」の地名を冠して呼ばれる、この地の名物が湯豆腐です。

 「横須賀湯豆腐」の特徴は、湯豆腐の上になる面にベッタリと練り辛子が塗られているところ。この店の湯豆腐は、練り辛子を塗った上に、刻みネギ、カツオ節、刻み海苔をトッピングして、醤油をかけたものです。

 我われ首都圏に住んでる人間から見ると、このスタイルの湯豆腐がまさに「横須賀湯豆腐」というイメージなのですが、全国を飲み歩かれている太田和彦さんによると、練り辛子を塗った湯豆腐は、東北あたりでも普通に食べられているものなのだそうです。横須賀だけの特産品(?)ではないんですね。

 この店には、壁などに張り出された短冊メニューと、ホワイトボードに書き出された手書きメニューの、2種類のメニューがあるのですが、ほとんどの品物には値段が表記されていません。値段が書かれているのは牛煮込み(850円)、牛半煮込み(450円)、ぬか漬け(300円)と、サワー類各種が400円であることくらい。ホワイトボードに並ぶ地ダコ刺、真鯛塩焼、子持ちカレイ煮、カキフライなどの品々には値段は書かれていません。『お客さんのほとんどが常連さんだから、値段なんて書く必要ない』ということなのかもしれませんね。

 そんなメニューの中に「かぶおろぬき」という品名が書かれています。なんだろう? さっそくおねえさんに聞いてみると、

「カブが成る前に、葉の部分をお浸しにしたものです」

 とのこと。「おろぬき」というのは、間引きのことなんだそうです。さっそくいただいてみると、細い茎の部分もシャキシャキとおいしくて、いいつまみです。

 おもしろいのはお手洗い。目の前に「急ぐとも、心静かに手を添えて、外に散らすな松茸の露」という狂歌のある店はよく見かけるのですが、この店ではその横に、ひと回り小さな文字で「手を添えてやれども萎えし吾が息子、君が情を今や待たなん」と書き添えられているのです。どなたかもう一首、歌を詠んで、三部作にしてみませんか?

 1時間ほどの滞在は1,100円。値段表記はないけれど、大衆酒場という看板に偽りのない値段でした。どうもごちそうさま。

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「坂戸屋」 / かぶおろぬき / トイレの狂歌

《平成19(2007)年12月26日(水)の記録》

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店情報: 大衆酒場「坂戸屋(さかとや)」(横須賀中央)

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  • 店名: 大衆酒場「坂戸屋」
  • 電話: 046-822-3248
  • 住所: 238-0007 神奈川県横須賀市若松町3-7
  • 営業: 17:00-22:00、日祝休
  • 場所: 京急本線・横須賀中央駅の改札を出て、改札口から直結するYデッキ(大規模歩道橋)を直進方向に突っ切って渡り、階段を下りてさらに同じ方向に直進。100mほど先の「米が浜通り入口」の信号交差点を右に折れ、50mほど先、右手。
  • メモ: 大正4(1915)年創業の老舗。現在の建物は平成5(1993)年に建て替えたもの。二代目女将の荻島清子さんと、お嫁さんの史枝さんが、ふたりで切り盛りしている。店内はカウンター8席ほどと、4人掛けのテーブル席が3つに、奥に小上がりの座敷席がある。コダマのサワーが各種そろっていて、それぞれ400円。メニューのほとんどは値段表記なし。牛煮込み(850円)、牛半煮込み(450円)、ぬか漬け(300円)といった短冊メニューのほかに、ホワイトボードメニュー(値段表記なし)もあり、イカゲソ天、カキフライ、明太子、地ダコ刺、スモークサーモン、真鯛塩焼、赤魚粕漬焼、子持ちカレイ煮、鯖味噌煮、などが並んでいる。(2007年12月調べ)

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戦い終えて夜も更けて … バー「アルフォンソ(Alfonso)」(阿佐ヶ谷)

ホットバタードラム


 立石での飲み会を終えて、京成押上線から都営浅草線・京急線に直通する電車に乗り込み、中央線沿線メンバーは浅草橋で、総武線各駅停車に乗り換えます。立石からの帰り道はいろんなルートがあるんですが、中央線方面だと、1回乗り換えるだけのこのルートが一番楽かな。土曜日11時過ぎのこの時間、電車内はけっこういっぱい。年末の忘年会シーズンだからでしょうか。しかしながら、途中から座ることもできて、うつら、うつらと阿佐ヶ谷へ。

 最後はいつものごとく、阿佐ヶ谷駅近くのバー「アルフォンソ」に寄って、ひとり静かにクールダウンです。

 カウンター7席程度のみ(背後の壁ぎわに若干の補助席もあり)の店内は、先客はふたり。まずはホットバタードラム(ラムをお湯で割ってバターを入れたカクテル)をもらって身体を温めます。

 わが家の近くで、私がよく行く3軒のバー(他は「ペルル」と「ピュアー」)のうち、ここ「アルフォンソ」のマスターは、他のマスターたちの半分くらいの年齢。まだまだ若いのに、考え方はしっかりとしていて、それでいて笑顔も優しく、あたたかい接客で、本当にくつろぐことができる酒場空間を造りあげているのです。

 ホットカクテルであったまったところで、本日最後となる1杯はアイラ島のシングルモルトウイスキー「ラフロイグ」です。この香り、この味。クセになるんですよねぇ。

 それにしても、今日の立石の6軒。すべてはじめて行ったお店だったのですが、それぞれに特徴があって、立石の懐の深さを見せつけられました。

 1軒目の「毘利軒」は、まだ新しいお店ながら、すぐ近くの「串揚100円ショップ」とともに、立石の地に、大阪串揚げ文化を定着させそうですし、2軒目の「江戸っ子」はすでに押しも押されもしない立石の両横綱的な1軒。

 3軒目の「くるま」は、三軒茶屋の「味とめ」などと同じようなメニューの豊富さに驚かされ、4軒目の「蘭州」で立石で人気の餃子を堪能し、5軒目の「鳥ひで」では、立石で初めてとなる刺身をいただきました。特徴のある酒場が多いので、「鳥ひで」のような、言わば普通の酒場に入ったことがなかったのです。

 そして最後(6軒目)は、「酔わせて下町」のFさんが絶賛する「おでんや」でシメ。

 立石は、これらの他にも「ミツワ」や「七つ海」「三平」「ゑびすや食堂」「ホルモン屋」「秀」「鳥久」などがFさんのサイトで紹介されていて、とても興味をそそられる町なのです。沿線にもいい店がたくさんあるようなので、ぜひまた行ってみたい地域ですね。

 あぁ、それにしても今日はよく飲んだ。そろそろ家に帰ってゆっくりと眠りますか。どうもごちそうさま。

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ラフロイグ / 立石の「ゑびすや食堂」 / 立石の「鳥久」」

店情報前回

《平成19(2007)年12月22日(土)の記録》

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酔わせて下町ツアー6 … おでん「おでんや」(立石)

おでん鍋


酔わせて下町」のFさんに、地元・立石を案内してもらうツアー。午後4時から始まったツアーも、すでに午後9時半になり、次のお店が6軒目です。

「自分で店を開くとしたら、ぜひこの横丁に出したいんですよ」

 Fさんがそう語るのは、鳥唐揚げの「鳥房」の奥にある「呑んべ横丁」です。狭い路地の両側に、ずらりと酒場が並び、途中には共同トイレもあるという、昔懐かしき酒場横丁。Fさんが向かったのは、その横丁の「鳥房」側入口の近く(線路側から見ると一番奥)にある、おでんの店、その名も「おでんや」です。なんと分かりやすいネーミングでしょう。

 若い店主が、ひとりで切り盛りする店内は、カウンター8席のほかに、右手小上がりに座卓がひとつという小ぢんまりとした造り。この時間帯、先客はおらず、カウンターにずらりと並んで座ります。

「みんな、飲み物とおでんと、ひとりずつ注文してね」

 ということで、私は瓶ビール(キリンラガー中瓶、450円)と、すじ(200円)と、Y-TABEさんの大好物でもある、ちくわぶ(100円)を取ってもらいます。

 透明感のある出汁は、あご(トビウオ)を使ったものなんだそうです。

 おでんは、こんにゃく、しらたき、ちくわぶ、こんぶ、がんも、とうふが各100円。だいこん、たまご、つみれ、じゃがいも、春菊、ちくわが各150円。はんぺん、あぶらげ、のり、きのこ、ねぎ、すじが各200円。焼もち、きゃべつまき、みず菜が各300円というのが全メニュー。その他に、この出汁を使った、ぞうすい(350円)もできるんだそうです。

「おでんももちろんですが、以外のメニューも、いけるんですよ」

 そう言いながら、Fさんが注文してくれたのは、キーマカレー。大皿にたっぷりと出されたレタスにカレーをのせて、キュウリ、プチトマトと一緒に巻いて食べるのです。これまた、シャクシャクさっぱりと、たくさん飲んだ後にも心地いい一品です。

 最後におでんをもう1品ということで、きゃべつまきをいただいて、終了。

「すごいところがあるなぁ」と思いながらも、なかなか来ることができなかった「呑んべ横丁」。こんな古い横丁にも、ここ「おでんや」のような新しいお店が出てきているんですねぇ。まさに駅伝のたすきリレーのような感じで受け継がれていく下町酒場文化。立石、おそるべし!

 午後4時から午後11時まで、延々7時間、6軒におよぶ、長くて楽しい立石ツアーを終えて京成立石駅で解散です。ご案内いただいたFさん、そして参加されたみなさん、どうもありがとうございました。

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すじ、ちくわぶ / キ-マカレ-のレタス包み / きゃべつまき

《平成19(2007)年12月22日(土)の記録》

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店情報: おでん「おでんや」(立石)

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  • 店名: 「おでんや」
  • 電話: (携帯電話)
  • 住所: 124-0012 東京都葛飾区立石7-1-7
  • 営業: 19:00-04:00、不定休
  • 場所: 京成立石駅の改札(1ヶ所)を出て、左右にある階段のうち、左側の階段を下りて、その先の踏切を横切る道路のところで左折。少し進んで右手の、鳥唐揚げの「鳥房」の角を右折して「呑んべ横丁」に入るとすぐ目の前。
  • メモ: 店内はカウンタ-が8席に、小上がりに1卓で、店内は禁煙。瓶ビ-ル中450、サワ-各種300~350。おでんは、こんにゃく、しらたき、ちくわぶ、こんぶ、がんも、とうふ(以上各100)、だいこん、たまご、つみれ、じゃがいも、春菊、ちくわ(各150)、はんぺん、あぶらげ、のり、きのこ、ねぎ、すじ(各200)、焼もち、きゃべつまき、みず菜(各300)、ぞうすい(350)。おでん以外の肴も充実。(2007年12月調べ)

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酔わせて下町ツアー5 … 大衆酒場「鳥ひで(とりひで)」(立石)

鯨刺


 立石ツアーの5軒目です。この町の何がすごいかというと、本やネットで紹介されているような有名店のみならず、それら以外にも知られざる名店が多いというところ。そのあたりの路地にある店々が、すべてなにやら良さげな空気を漂わせているのです。さすがは下町随一の呑ん兵衛タウンですねぇ。

 今日の5軒目として、Fさんがフラリと入った「鳥ひで」も、まさにそんなお店。テレビドラマで酒場シーンがあると出てきそうな感じの、典型的な昭和風酒場なのです。

 左手がカウンター、右手がテーブル席になっている店内の、テーブル席とカウンター席に分かれて座ります。とはいえ、店主ひとりで切り盛りしている小さな(失礼!)酒場。我われ以外にお客さんもおらず、カウンター席とテーブル席とが背中合わせにくっつきあっていることもあって、実際はひとつのテーブルを囲んでいるのと変わらない状況です。

 さっそく下町の定番“ボール”(焼酎ハイボール、350円)を注文すると、サワーグラスに入った“ハイボールの素”配合の焼酎とは別に、瓶入りの炭酸(ニホンシトロン)が出されます。ニホンシトロンは、泡の勢いがものすごく強い炭酸で、下町のチューハイにぴったりなのです。

 店名の「鳥ひで」からも推察がつくとおり、カウンター上部の、一番目立つ位置に焼き鳥メニューが並んでいます。レバ、とり皮、砂肝の3品がそれぞれ1本100円で、ねぎ間が1本120円。手羽先塩焼はちょっと高くて350円です。

 焼き鳥以外にも、もろきゅう(350円)、なす焼(450円)、新香(350円)、焼おにぎり(450円)、さけ茶漬(550円)などのメニューがあるほか、黒板に日替わりのメニューも書き出されています。

 その黒板メニューに並ぶのは、刺身などの魚介類が十数種類。その中から鯨刺(750円)と帆立貝刺(680円)、そしてシジミの醤油漬(480円)を注文します。

 立石に来ると、もつ焼きとか、鳥の唐揚げとか、おでん、メンチカツなどの名物品がある店に行くことが多くて、魚介類を食べたといえば、ずいぶん前に立ち食いの「栄寿司」で寿司を食べたくらいです。当たり前のことながら、ちゃんとあるんですねぇ、魚介類も。

 最後に山芋のお好み焼き(580円)を注文して、これで終了かと思いきや、

「さぁ、次に行きましょう。次がまたオススメなんです!」って……。

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帆立貝刺 / しじみの醤油漬 / 山芋のお好み焼き

店情報

《平成19(2007)年12月22日(土)の記録》

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店情報: 大衆酒場「鳥ひで(とりひで)」(立石)

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  • 店名: 鳥ひで
  • 電話: (未調査)
  • 住所: 124-0012 東京都葛飾区立石……
  • 営業: 17:00-03:00、月休
  • 場所: (記憶なし)
  • メモ: レバ100、とり皮100、砂肝100、手羽先塩焼350、ねぎ間120、もろきゅう350、なす焼450、新香350、焼おにぎり450、さけ茶漬550などのほか、日替りの黒板メニューがあり、いか納豆450、もつ煮込み400、山芋のお好み焼き580、しじみの醤油漬480、海老シューマイ480、カキフライ800、ほっけ480、紅鮭のハラス焼580、白子750、帆立貝刺680、すみいか刺650、鯨刺750、梅きゅうり480、トマト350など。飲み物はビール(大)550、生ビール480、清酒380、生酒680、焼酎ハイボール350、焼酎ウーロン割350、生レモンハイボール400、焼酎トマトジュース割450、焼酎梅干ハイボール450。ボトルは甲類焼酎(眞露)1,800、麦焼酎2,000、芋焼酎(タイガードラゴン)2,800、ワイン(チリ産・白)2,500。(2007年12月調べ)

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酔わせて下町ツアー4 … 餃子「蘭州(らんしゅう)」(立石)

水餃子


 三栄書房の『TOKIO古典酒場』で対談をさせていただいた橋本さんY-TABEさんやなちゃんや、美人編集長・倉嶋さんたちと共に、Fさんの地元・立石を案内してもらっています。

 今日の4軒目は、これまた前から一度行ってみたかった餃子の店、「蘭州」です。

 うーん。1日のうちに、行きたかったお店を、こんなに回っていいのか。もうきっと酔いすぎて覚えてないよなぁ、と思いつつ、Fさんの後について店内へ。

 店はL字カウンターのほかに、奥にひとつだけテーブル席(6人掛け)があり、みんなでそのテーブル席を囲みます。

 飲み物は、瓶ビール(キリンラガー、500円)に、ボトルの紹興酒(値段表記なし。1杯だと300円)。食べ物は名物の水餃子(350円)に焼餃子(350円)、そして牛すじ(500円)です。

 皮から手作りするという餃子は、特に水餃子のプルルン感がすばらしい。

 水餃子もそうですが、焼餃子もきちんとした味付けがされていて、タレをつけなくてもいいくらいです。なるほど、これは人気があるのが分かりますねぇ。

 しかも、メニューに餃子と牛すじのほかは、ラーメンが数種類あるだけ、というのも潔くていいではありませんか。「これで勝負してるんだぞ!」という、お店からのメッセージがヒシヒシと伝わってきます。

 細くスライスされた牛すじも、さすがに他には餃子とラーメンしかないメニューの中に割って入っただけのことはありますねぇ。紹興酒も進みます。

 さてさて、今日は1軒目が生ビール、2軒目が焼酎ハイボール、3軒目がホッピー、そしてここ4軒目が紹興酒と完全にチャンポン状態です。1種類の飲み物だと、杯を重ねるにつれて味にも飽きてきて、徐々にペースダウンしてくるのですが、こうやってチャンポンにすることで味わいが変わってくると、気分もまた一新して、どんどん飲めてしまうんですよねぇ。あぁーあ、今日も絶対飲み過ぎてしまうに違いない。

 よーし、今日はまだまだ行くぞーっ!

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ビールと紹興酒 / 牛すじ / 焼餃子

店情報

《平成19(2007)年12月22日(土)の記録》

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店情報: 餃子「蘭州(らんしゅう)」(立石)

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  • 店名: 餃子の店「蘭州」
  • 電話: 03-3694-0306
  • 住所: 124-0012 東京都葛飾区立石4-25-1
  • 営業: 18:00-02:00(日祝は -01:00)、月休
  • 場所: 京成立石駅の改札(1ヶ所)を出て、左右にある階段のうち、左側の階段を下りて、左に180度転回し、駅横の道を四ツ木方面に向かった右手。駅を挟んで、イトーヨーカドーの反対側あたり。
  • メモ: ラーメン500、ワンタン500、ワンタンメン600、香菜メン600、叉焼メン750、白飯250、水餃子350、焼餃子350、焼ニラ餃子400、牛すじ500、日本酒400、紹興酒300、ビール500、ジュース200。(2007年12月調べ)

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酔わせて下町ツアー3 … 居酒屋「くるま」(立石)

壁いっぱいのメニュー


 立石での3軒目は、「酔わせて下町」のFさんが「ぜひここの鴨鍋を食べてほしい」と絶賛する、鍋物が自慢の居酒屋「くるま」です。

 広い店内は、右手がテーブル席で、左手は小上がりになった座敷席。鍋物が自慢の店だからか、カウンター席はありません。

 この店には2年半ほど前に、jirochoさんのオフ会で来たことがあって、そのときは小上がり席を中心とした(あふれだしてテーブル席で飲んでいる人たちもいるほどの)大宴会でした。今日は、右手一番奥側のテーブル席を囲みます。

 まずは人数分のホッピーと、件の鴨鍋を注文します。

 東京下町でも、このあたりはどちらかと言うと焼酎ハイボール文化圏、というよりもまさに焼酎ハイボール文化の発祥地帯ですから、どの店も基本は“ボール”(←焼酎ハイボールの略称)なのです。だから古くから続くお店では、ホッピーを置いていないお店のほうが多いのです。

 ここ「くるま」のホッピーは、氷入りのジョッキに、半分くらいまで焼酎が入ったものと、それとは別に瓶入りのホッピー(ソト)が出されるスタイルです。

 鴨鍋は、シメのうどんかラーメンが付いて、1人前が1,800円。メニューには「激安! くるま特選・鴨鍋」と書かれています。使っているのはコラーゲンたっぷりの合鴨のロースなのだそうで、その白身の部分はビタミンA、B2の作用で、コレステロール値を下げるとのこと。そう聞くと、なんだかご利益がありそうに思っちゃいますね。

 この鴨鍋用の鴨肉。薄くスライスされたものが、たっぷりとお皿に盛られているのですが、その薄さと大きさが、まるで鴨肉じゃないみたいです。今までに見たことがあるもので近いのは、羊の肉かなぁ。こんなに大きな鴨肉もあるんですね。

 今日集まったメンバーには、鍋奉行はいなくて、みなさん、どっちかというとまずはお酒が第一といったタイプ(失礼!)。私自身もそうなので、なんだか安心できますねぇ。鴨も野菜も、適当にほうり込みましょう! それでも出来あがったら、きっとうまいに違いない。

 この店は、とにかくメニューの品数が多いのが大きな特徴。壁全体を埋め尽くさんばかりに張り出された、色とりどりで、形もさまざまな画用紙に、およそ居酒屋で思いつくメニューのすべてが書き出されているのです。ナポリタンやミートソースまでありますもんね!

 広いホールを担当しているのは、おかみさん1人。厨房にご主人がいるのでしょうか。

 名物の鍋物は、今いただいている鴨鍋のほかに、ちゃんこ鍋(1,800円)、かき鍋(1,600円)、牛しゃぶしゃぶ、牛すき焼きなどなど。なにしろメニューが多いので、自慢の鍋も埋もれてしまうほどです。

 これだけメニューがあっても、さらに日替りの黒板メニューまであるのが、おもしろいですねぇ。ここには、刺身などが480~680円ほどで書き出されています。

 鴨鍋のほかにも、Fさんがオススメの厚焼玉子(380円)や、サラダなどもたのんで、ホッピー、ホッピー。まだ午後7時前なのに、どんどん出来あがっていきます。

 最後は、鴨鍋に付いてくる、うどんをいただいて終了。さぁ、次はどこだぁーっ!

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みんなでホッピー / 鴨鍋の鴨肉 / できあがった鴨鍋

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厚焼玉子 / サラダ / シメのうどんを入れた鍋

店情報

《平成19(2007)年12月22日(土)の記録》

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店情報: 居酒屋「くるま」(立石)

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  • 店名: くるま
  • 電話: 03-3696-1005
  • 住所: 124-0012 東京都葛飾区立石1-17-6
  • 営業: 夕方(17:00?)-23:00(22:30LO)、(定休日未調査)
  • 場所: 京成立石駅の改札(1ヶ所)を出て、右・左にある階段のうち、右側の階段を下りたところで、右に180度転回し、すぐ先左手の立石仲見世通り商店街に入る。商店街を50mほど進んだところにある四つ角を右に折れた少し先、左手。
  • メモ: タウンページでの業種は「居酒屋、しゃぶしゃぶ料理店」となっており、実際、冬場は鍋物がオススメとのこと。味、ボリュームともにたっぷりの鴨鍋は、シメのうどん又はラーメンが付いて1人前1,800円。壁全面にところせましと貼られた定番メニューのほかに、日替りの黒板メニューもあり。まぐろ刺身650、〆鯖480、酢だこ480、甘エビ480、イカ刺480、ツブ貝480、たこブツ550、かきフライ580、牛刺680、生春巻580、馬刺800、厚焼玉子380、生かき酢物580など。店内はテーブル席のみで、カウンター席はない。(2007年12月調べ)

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酔わせて下町ツアー2 … もつ焼き「江戸っ子(えどっこ)」(立石)

煮込み豆腐入り


「今日、みなさんにご紹介したかった1軒目はここです」

 立石を案内してくださっている、「酔わせて下町」のFさんが、そう言いながら立ち止まったのは、もつ焼き「江戸っ子」の前です。

 やったー。「江戸っ子」は、先ほど入れなかった「宇ち多゛」と並び立つほどの立石の人気店。私も、ぜひ1度来てみたかったお店なのです。

 この店の開店時刻は午後4時半。ところが、ずらりと並ぶサッシの窓越しに見える店内は、開店からまだ30分も経っていないのに、もうほとんど満席なのです。

 店内には、ダブル「コ」の字を変形させたような、一筆書きでウネウネと続くカウンターが張り巡らされていて、そのキャパシティは50人分ほど。一番端っこの、階段の下のような空間に、ポツンとひとつ、4人掛けのテーブル席があり、そこだけが空いています。

「まず、編集長と、はじめて来た人がテーブル席に座って飲みはじめてください」

 と、Fさんが、橋本さんY-TABEさんと私を、先に店内に入れてくれて、焼酎ハイボール(300円)と、Fさんのおすすめである、豆腐入りの煮込み(280円)などの注文まで済ませてくれます。すると、カウンターのお客さんたちがギュギュッとずれてくれて、テーブル席のすぐ横のカウンターに、残るメンバーもみんな、すぐに座ることができたのでした。

 焼酎ハイボールは、この店のほとんどのお客さんが注文している人気の飲み物。みなさん、「ボール」という略称で呼んでいるようです。ハイボールは、アサヒビールのマークが入ったサワーグラスに、氷なしで注がれ、レモンスライスが半枚(半月状)。薄黄色に濁った感じなので、サワー(←レモン風味で、等分が多い割りもの)かと思いきや、味は甘くなくて、おいしいハイボールです。

 煮込みは、シロを中心とした白みそ味。すぐ近く同士なのに、「宇ち多゛」のこってりとした煮込みとは対照的な、あっさりタイプです。しかし、Fさんが一押しするだけあって、これはこれでまた美味しいよなぁ。煮込みの中に入っている豆腐は、数に限りがあるので、早い時間じゃないと食べられないのだそうです。

 もつ焼きは、これまたFさんがおすすめと言う、カシラのタレ焼きと、だんごの塩焼きです。ここのもつ焼きは4本1皿で280円。2本ずつの組み合わせで4本にすることもできるそうですが、組み合わせ方には約束ごとがあるのだそうです。

 煮込みもそうでしたが、いろんなところで「宇ち多゛」(以下「宇」)と、ここ「江戸っ子」(以下「江」)は対照的ですよねぇ。

 「宇」はテーブル席主体なのに、「江」はカウンター席主体。

 「宇」ではほとんどの人が宝焼酎ストレート+梅/葡萄なのに、「江」は金宮ハイボール+薄黄色っぽいの。

 「宇」のもつ焼きは1人前2本で170円。「江」は1人前4本で280円。

 「宇」はもつ焼きのすべてを生(とはいえレバ以外は茹でてある)で食べられるが、「江」はもつ焼きとは別にレバ刺(280円)などのメニューがある。

 はじめてやって来て、パッと見ただけで、これくらいの違いに気づくのですから、実際にはもっといろんな違いがありそうです。近くにありながら、こうやって個性差があるところも、我われにとってはうれしいところ。その日の気分で、あっちに行ったり、こっちに行ったりできそうですもんね。(本格的な常連さんたちは、あちこち行ったりせず、「宇」か「江」のどちらかで固定化されてるんでしょうけど…。)

「お皿に残ったタレは、このキャベツにつけて食べるといいんですよ」

 とFさんがキャベツを渡してくれます。カウンター上には、そこここにザク切りのキャベツが置いてあって、自由に食べていいんだそうです。

 店に入れない人も大勢いるようなので、ここはそれぞれハイボールを2杯ずつ飲んで、40分間ほど滞在しただけで早めに切り上げます。

 今度は、ひとりでゆっくりやって来て、ぜひカウンター席で飲んでみたいですね。

071222d 071222e 071222f
焼酎ハイボール / だんご塩 / かしらタレ

店情報

《平成19(2007)年12月22日(土)の記録》

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店情報: もつ焼き「江戸っ子(えどっこ)」(立石)

  • 店名: もつ焼き「江戸っ子」
  • 電話: 03-3694-9593
  • 住所: 124-0012 東京都葛飾区立石7-1-9
  • 営業: 16:30-21:00、日休
  • 場所: 京成立石駅の改札(1ヶ所)を出て、左右にある階段のうち、左側の階段を下りて、そのまま線路沿いを(青砥方面に)直進。踏み切りで線路を横切る道路の1つめは通り越し、2つめを左折して、1ブロック進んだ左手角。駅からは徒歩3分ほど。
  • メモ: 店内では読書禁止。もつ焼きの味:甘たれ、辛たれ、塩焼。レバ、シロ、カシラ、ナンコツ、アブラは各2本ずつ組み合せ可。タンとハツは2本ずつ組み合せ可。やきとり、つくね、テッポーは組み合せ不可。「立石の天童よしみ」と呼ばれる女将さんも大人気。
    煮込1皿360、レバー1皿360、シロ1皿360、上シロ1皿400、かしら1皿360、なんこつ1皿360、アブラ1皿360、たん1皿360、はつ1皿360、テッポー1皿360、つくね1皿360、やきとり1皿400、耳酢みそ360、厚揚280、トマト280、梅干200、塩ラッキョ200、おしんこ200、モロキュウ200、冷やっこ200、わらび200、豆もやし200、カクテキ200。
    江戸っ子“特製”ハイボール350、キリンラガー(大)600・(中)500、アサヒ黒生ビール380、生ビール(大)730・(中)630、日本酒1合瓶330、菊正宗香り冷酒1本380、ハイサワー380、梅サワー380、青リンゴサワー380、ウーロンハイ380、カテキンハイ380、ウイスキーハイボール350、ウイスキー350、デンキブラン350、三楽ドライ1本380。(2016年5月調べ)

    煮込み1皿320、レバー1皿320、シロ1皿320、かしら1皿320、なんこつ1皿320、アブラ1皿320、たん1皿320、はつ1皿320、テッポー1皿320、つくね1皿320、やきとり1皿360、耳酢みそ1皿320、厚揚1皿250、トマト1皿250、梅干170、塩ラッキョ170、おしんこ170、モロキュウ170、冷やっこ170、わらび170、豆もやし170。
    当店特製ハイボール320、ウーロンハイ350、青リンゴサワー350、梅レモンサワー350、ハイサワー350、カテキンハイ350、生ビール600。(2009年2月調べ)

    焼酎ハイボール300、ウーロンハイ350、カテキンハイ350、梅レモン350、ハイサワー350、青リンゴ350、ダイヤ(甲類焼酎)350、瓶ビール(大)600、(中)500、生ビール(中)600、(黒中)500、日本酒300、デンキブラン320など。もつ焼きは4本280(2本ずつのミックスも可)、煮込み(豆腐入りが人気)280、レバ刺し280、耳酢みそ280など。(2007年12月調べ)

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酔わせて下町ツアー1 … 立ち飲み「毘利軒(びりけん)」(立石)

「毘利軒」店内のビリケン像


 今日は「酔わせて下町」のFさんにお誘いいただいて、東京下町きっての呑ん兵衛タウン、立石(たていし)です。

 集まったのは、三栄書房のMOOK、『TOKIO古典酒場』の美人編集長・倉嶋さんと、対談記事でご一緒させていただいた、橋本さんY-TABEさんやなちゃんに、Fさんの酒友・おふたりを加えた計8人。少人数でも入りにくい立石の酒場に、この人数で入れるだろうか? そんな一抹の不安を抱かせつつも、年末の土曜日、午後4時に京成立石駅改札口に集合して、呑ん兵衛タウンへと繰り出します。

 まず向かったのは、数ある立石の名店の中でも、一番有名であろう、もつ焼きの「宇ち多゛」です。

「おぉーっ、珍しく行列がないぞーっ!」

 と店の前まで行くと、店内から、

「今日はもう売り切れで終了だよー」

 という声。そうかそうか。今日は土曜日だから、店が開くのも早いし、売り切れ仕舞いになるのも早いんですね。この店は、今日のメンバーはみんな行ったことがあるので、入れなくてもOKでしょう。Fさん自身も、

「みんなを案内したい1軒目の店は、まだ開いていないので、それまでの間、どっかで過ごしましょう」

 という程度で「宇ち多゛」をのぞいてみた様子。すぐに次へと向かいます。「宇ち多゛」の先の角を右折すると、左手には共同トイレがあって、その路地の突き当りが、もつ焼き「ミツワ」です。

「ここは、何時からだったっけ? もう飲める?」

 とお店の人に確認してくれるFさんに、お店のおねえさんが「5時からよ」と答えています。右に曲がって、「宇ち多゛」の裏口を通り過ぎると、左手が立ち食いの「栄寿司」。これまた立石のことが書かれたガイドブックには、必ずといっていいくらい登場する人気店です。カウンターのみ20人程度のキャパシティの「栄寿司」は、昼12時から開いているだけあって、この時間帯はびっしりとお客さんでいっぱいの様子。

 突き当りは京成立石駅。そこを右に折れ、線路に沿ってしばらく歩くと、右手が立ち飲みの「串揚100円ショップ」。店名のとおり、串揚げがすべて1本100円(注文は2本から)という、関西風の立ち飲み屋です。ここは午後3時からの営業で、これまたお客さんでいっぱい。とても8人も入れません。

 しかし、店がまだ開いてなくても、開いてるんだけどいっぱいで入れなくても、まったく動じる気配もないFさん。

「ふーん。ダメなら次にいくか」

 ってな調子で、さっさと次に向かって歩き始めます。特急電車も停まらない駅なのに(失礼!)、とにかく酒場は山のようにある。何軒か入れなくても全然気にすることはないのだそうです。

 いっぱいで入れなかった「串揚100円ショップ」から、ほんのちょっと駅方向に戻ったところにあるのが、これまた関西風の串かつを立ち飲みで出す店「毘利軒」です。この店は平成19(2007)年7月の開業だそうですから、まだ開業半年ほどの若いお店。こうやって、新しいお店ができていくということが、酒場にとっていい町であることの証(あかし)のようなものですよね。

 こちらは平日は午後5時開店ながら、土曜・祝日は午後3時からの営業(日曜は定休日)。午後4時過ぎの店内がガラガラなのは、みんな平日の午後5時開店というのが、頭に染み付いているのかも! おかげで10人程度のキャパシティにもかかわらず、8人でスッと入ることができました。

 思い思いに生ビール(350円)やチューハイ(200円)を注文して乾杯すると、Fさんが「エビ食べる人? 牛肉食べる人?」と、この店のオススメ品をいくつか挙げながら、みんなの希望を取ってくれます。

 こちらは1本あたり60円のもの(ポテト、チーズなど)、80円のもの(椎茸、アスパラなど)、100円のもの(レンコン、牛カツなど)、120円のもの(エビ、アジなど)と4種類の串かつがあって、それぞれ2本以上で注文する仕組みです。ひとりで行ったときには、おまかせ5点(玉葱、椎茸、ソーセージ、れんこん、豚かつ、若どりで500円)もいいかもね。

 関西風らしく、目の前にある金属製の器に入ったソースに、どっぷりと1度だけ浸けていただきます。

「アレ、出してくれる?」

 とFさんが言うと、「はいよっ」と店主が出してくれたのはタルタルソース。なんとFさんは、この店にマイ・タルタルソースをキープしてるのだそうです。

「エビは、これがうまいからね。いる人は、これ使ってね」

 店は、夫婦と思しき男女二人で切り盛り中。店名の「毘利軒」は、大阪・通天閣にある幸運の神様、「ビリケン(Billiken)」からとったもの。特徴ある顔立ちの子供の姿をしたビリケン像が、カウンターの上にも置かれています。足のところを掻くとご利益があるんだそうです。

 今日は、さすがにツワモノぞろいだけあって、あっという間に飲み物もおかわりの連発。関西風ならではの土手焼き(1本100円)なども注文しながら、グイグイと飲み進みます。1軒目からこんなにハイペースで大丈夫か!? まだ暗くもなってないんだけど……。

「そろそろ5時になるから、行きますか!」

 というFさんの声に、みんなで残っている飲み物をグッと飲み干します。

「お釣りを渡したりするのがめんどくさいから、ひとり千円ずつね。ちょっと多すぎるけど、お釣りは次に回すから」

 と会計も済ませて店を出ます。

 それにしても「串揚100円ショップ」と「毘利軒」。関西風の串かつ屋が2軒、それぞれ軒を連ねんばかりの近くにあるというのも、都内では珍しいですよね。互いに切磋琢磨しつつ、相乗効果的に串かつ文化が盛り上がっていったら、おもしろいかもしれません。ぜひどちらも頑張ってもらいたいものです。今度は「串揚100円ショップ」にも行ってみなきゃね。

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ソースは2度づけ禁止 / マイタルタルソース / ご近所の「串揚100円ショップ」

店情報

《平成19(2007)年12月22日(土)の記録》

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店情報: 立ち飲み「毘利軒(びりけん)」(立石)

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  • 店名: 串かつ・立ち呑み「毘利軒」(びりけん)
  • 電話: 03-3618-6015
  • 住所: 124-0012 東京都葛飾区立石1-22-6
  • 営業: 17:00-23:00(土祝は15:00-22:00)、日休
  • 場所: 京成立石駅の改札(1ヶ所)を出て、右・左にある階段のうち、右側の階段を下りて、そのまま線路沿いを(青砥方面に)直進。踏み切りで線路を横切る道路も突っ切った先、右手。駅からは徒歩1分ほど。
  • メモ: 2007年7月5日オープン。飲み物は、生ビ-ル350、酎ハイ200、レモンサワー250、ウーロンハイ250、清酒1合170、黒霧島300など。串かつ(注文は2本単位)は、ポテト、ピーマン、オクラ、ミニトマト、チーズ、かぼちゃ、各60。ニンニク、椎茸、玉葱、なす、ソーセージ、ししとう、げそ、アスパラ、えび餃子、ロースハムカツ、舞茸、各80。れんこん、ウズラ、豚かつ、いか、たこ、ラム、さんま、鳥かつ(もも)、牛かつ(和牛)、サイコロステーキかつ、各100。若どり、えび、アジ、ホタテ、中トロ、各120。おまかせ5点(玉葱、椎茸、ソーセージ、れんこん、豚かつ、若どり)500など。他に、大阪風土手焼き(一串)100、牛すじ煮込み200、本日おすすめ200など。公式サイトあり。(2007年12月調べ)

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地元に戻ってハシゴ酒 … 「ペルル」~「満月」~「御天」

「満月」で揚げクワイ


 西武池袋線・練馬駅前からバス1本で西武新宿線・鷺ノ宮駅前へ。東京は、山手線から放射状に外に広がる路線はたくさんあるのですが、山手線と同心円的に広がる路線がないのがつらいところ。練馬-鷺ノ宮間も距離的には近いのですが、電車路線はなくて、バスで移動するか、電車だと、うんと遠回りするしかないのです。

 鷺ノ宮に到着して、いつものようにバー「ペルル」で水割りをいただいたり、近所に住むYさんの開けたワインをいただいたりしながら、ひとしきりくつろいだあと、「満月」です。

 「ペルル」に行ったあと「満月」へと流れるお客さんはけっこう多いのです。普通は、居酒屋(大衆酒場)のあと、締めにバーという流れが多いと思うのですが、「ペルル」→「満月」という流れは、その逆ですね!

 「満月」では、ずらりと並ぶ大皿料理から、季節の揚げクワイ(300円)をもらって、レモンサワー(300円)です。クワイは11~12月頃に旬を迎え、つんと芽が出た状態で調理されることから「芽出たい」食べ物として、おせち料理にも使われる食材です。私は、このクワイ独特のほろ苦さが大好きです。

 お店の人たちや、常連さんたちとワイワイと過ごすうちに、なんだかラーメンが食べたくなり、下井草に移動して「御天」です。時刻は午後11時です。このくらいの時間帯が、一番お腹がすいた感じになるんですよねぇ。

 しかしながら、すぐにラーメンにいくのではなくて、まずはやっぱり玉露ハイ(400円)から。つまみには、茹でたての空豆(200円)をもらいます。それにしても、「満月」でクワイで、こちら「御天」で空豆ですか。冬と初春がいっしょにやって来たような感じですね。

 厨房の中で、すごい勢いでラーメンができていく様子をながめながら飲むのも、また楽しいですねぇ。この店では、仕込み時間が(日のオーダーで)異なる複数のスープをブレンドすることによって、営業時間中はほぼ一定の味のスープが出せるようにしているのだそうです。この強烈なとんこつ臭が、自分も含めて、好きな人間にとっては、たまらない香りなんですよねぇ。

 高校を卒業して、はじめて博多に行ったときには、「なんじゃ、この匂いは!」と、思わず顔をしかめてしまうほどの悪臭に感じていたのに、それから6年間ほど博多で過ごすうちに、自分にとって、なくてはならない香りになってしまったのでした。

 たっぷりと厨房の様子を楽しんだあと、いよいよ自分もラーメン(680円)です。

 ここでは、麺の硬さが、粉落とし、ハリガネ、バリカタ、カタメン(=普通)、ヤワメン、バリヤワ、という6段階から選べるほか、大常連さんたちは「アブラ抜きで」などなどと、不思議な呪文も唱えています。

 私自身は、まだ呪文を唱えられるほど上達していないので、いつも普通のラーメンを注文し、ゴマと紅しょうがを載せ、さらにカウンター上に置かれている、おろしニンニクと、胡椒を入れて食べ始めます。途中で、辛子高菜をちょっと入れてみたりすることもあるかな。この辛子高菜が爆発的に辛いので、入れ過ぎないように注意です。

 博多にいるころは、ラーメン屋台に行くと必ず替え玉(ラーメンの麺だけのおかわり)をもらっていたものですが、さすがに今は、ほとんど替え玉をすることはなく、1杯のラーメンできっちりと終了したのでした。うー、満足。

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「ペルル」で水割り / 「御天」で空豆 / 〆はラーメン

・「ペルル」の店情報前回)/ 「満月」の店情報前回)/ 「御天」の店情報前回

《平成19(2007)年12月21日(金)の記録》

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焼き台の店主と初会話 … もつ焼き「金ちゃん(きんちゃん)」(練馬)

煮込みとビール


 都内での仕事を終えて、久しぶりにやって来たのは練馬の「金ちゃん」です。

 金曜日、午後5時半(開店30分後)だというのに、店内はすでにほぼ満席状態。それだけ地元の常連さんたちが多いということなんでしょうねぇ。

「ひとりなら、ここに座りな」

 入口すぐ右手にある焼き台で、もつ焼きを焼いている店主が、そのすぐ背後のカウンターの端っこの席を指し示してくれます。そこは、串に刺された生のもつ焼きが入ったバット置き場。そのバットを焼き台の近くに移動させて、空間を作ってくれたのでした。

 やぁ、よかった、よかった。まずは入ることができて、ひと安心です。

 すぐに注文を取りに来てくれる、おかみさんに、瓶ビール(サッポロラガー大、480円)と、煮込み(330円)を注文します。同じ値段(330円)で煮込み豆腐もあって、そちらのほうが人気のようですが、今日は豆腐よりもモツが食べたくて、シンプルに煮込みにしてみたのでした。

 店内は向かいあった2本の平行カウンターのほかに、テーブル席がずらりと並び、全体では50人ほど入れるキャパシティです。基本的には、ひとり客がカウンターに、2人連れ以上のグループ客がテーブルに、それぞれ案内されます。

 煮込みをつつきながら、ビールを飲んでいると、さっきまでいっぱいだった焼き台も空いてきた様子。ここぞとばかりに注文したもつ焼きは、カシラ、ハツ、タンの塩焼きを、それぞれ1本ずつ。ここのもつ焼きは1本なんと80円。それでいて、ボリュームもしっかりとしているのです。

 平行カウンターの向かい側に座っているおじさんが、お新香を注文すると、小皿に盛られた白菜漬が出されます。

『へぇ~。白菜のお新香もあるんだ』

 と思いながら、壁のメニューを確認すると、このお新香がなんと100円。これは注文しなきゃいかんですね。

「燗酒(300円)と、お新香(100円)をお願いします」

 飲み物も合わせて注文します。ここの日本酒は「奥の松」という銘柄。ちなみに焼酎(250円)の銘柄は「源氏」です。

 白菜のお新香の100円は、もつ焼き以外では、この店の最安価メニュー。しかし、これだけが特別安いわけではなくて、冷やっこ、トマト、オニオンスライス、おひたしなどが150円。センマイ、山芋千切り、ワカメ酢、じゃがバターなどが、それぞれ200円。いか塩辛や、もずく、ししゃも、月見とろろ、枝豆などが各250円などと、とにかくいろんな品が安いのです。たとえば、ホッピー(350円)に、お新香(100円)と冷やっこ(150円)を注文したとして、総額で600円ですからねぇ!

 燗酒(300円)をおかわりして、2巡目のもつ焼きとして、レバ、シロ、焼き鳥を、1本ずつ(各80円)、今度やタレで焼いてもらうと、このタレがかなり醤油味が効いたもので、ガツなどにも合いそうです。

 焼き物が一段落したのか、店主もちょいと一服。そこで、「阿佐ヶ谷ホルモン」時代の話を伺ってみることにしました。昔、阿佐ヶ谷駅北口に「阿佐ヶ谷ホルモン」というもつ焼き屋があり、ここ「金ちゃん」の店主や、沼袋「ホルモン」の先代、すでに閉店しましたが鷺ノ宮「鳥芳」の女将などが修業した先として知られているのです。現在の「川名」の常連さんの中にも、「阿佐ヶ谷ホルモン」の常連さんだった人が多いのです。

「学生時代にバイトを始めて、6年くらい働いたかなぁ。そのあと、昭和39(1964)年に、この店を開いたんだよ」

 と店主。沼袋「ホルモン」の先代や、「鳥芳」の女将のことも、「同じ釜のメシを食ったからねぇ」と懐かしそうです。

 とそこへ向こうのお兄さんが、イカとナンコツを注文。なんと、この店にもイカのナンコツがあるのかと、私もイカ、ゲソ、ナンコツ(各80円)を注文すると、出てきたナンコツは、イカのナンコツではなくて、普通に豚の軟骨でした。あらら。私の勘違いだったんですね。残念。

 1時間半ほどの滞在は2,230円でした。どうもごちそうさま。

 それにしても、この店にはじめて来てから、もう6年半。今日、はじめて店主と会話を交わしました。

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「金ちゃん」 / カシラ、ハツ、タン(塩) / お新香と燗酒

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焼き鳥、レバ、シロ(タレ) / 燗酒おかわり / ナンコツ、ゲソ、イカ(塩)

店情報前回

《平成19(2007)年12月21日(金)の記録》

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ふわりふわりと酒場浴 … バー「クライスラー(CHRYSLER)」(横浜・日ノ出町)

ウイスキー水割り


 間もなく(2009年6月)開港150周年を迎える横浜は、古くから外国人を受け入れてきた土地だけあって、バーなどの洋風酒場文化がごくごく自然に生活の中に溶け込んでいる町でもあります。

 今日やって来たバー「クライスラー」も、昭和25(1950)年創業という老舗バー。今日もまた界隈の呑ん兵衛たちでにぎわっており、その様子は、大衆酒場そのもの。みなさん、普通にバーにやってきて、当然のようにウイスキーの水割りやハイボール、カクテルなどを注文し、楽しそうに語らって帰っていく。まったく日常的なひとコマなのです。

 そんなカウンターの一角に腰をおろし、ウイスキー(オーシャン・スペシャルオールド)の水割り(420円)を注文すると、いつものとおりブーツ型のグラスに注がれた水割りと、今日はお通しとして柿の種が出されます。この店に来て、お通しが出されたのは、はじめてですね。

 店はバーテンダーの男性と、料理の注文が入ると厨房を担当する女性のふたりで切り盛り。バーテンダーのお兄さんは寡黙で、私もほとんど話したことがありません。お姉さんのほうは、忙しくないときはカウンターの中で話し相手になってくれたりするのですが、今日は料理の注文が多いようで、厨房にべったりで忙しそうです。

 大衆酒場のようにコの字型のカウンターだったら、ひとり客同士で話をしたりもできるのですが、さすがにここはバーらしく、長い直線カウンターなので隣近所同士としか話をすることはできません。私の場所は、カウンターの一番左端で、右どなりは夫婦らしい男女ふたり連れなので、となりと話をすることもなく、静かにチビリチビリ。

 こうやって、ふわりふわりと酔いながら、ひとり静かに過ごす時間もまたいいんですよねぇ。温泉につかっているのと同じような感じで、酒場浴。あぁー、くつろぐよなぁ。

 カランッ。

 飲み切ったグラスの中で氷が音を立てます。それに気がついて、こちらに顔を向けてくれるバーテンダーのお兄さんに、水割りのおかわりをお願いします。

 厨房から、この店の名物でもあるミックスピザ(1,050円)を持って出てきたお姉さんが、横を通り過ぎながら「いらっしゃいませ」と笑顔を向けてくれます。

 ゆっくりと1時間ほど酒場浴を楽しんで、今日のお勘定は1,050円でした。

店情報前回

《平成19(2007)年12月18日(火)の記録》

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モツが鶏で、レバは豚 … 焼き鳥「末広(すえひろ)」(横浜・桜木町)

かわ塩と大タヌキ


 もつ焼き屋が少ない横浜ですが、焼き鳥屋は多いのです。今日やって来たのは、横浜屈指の飲み屋街・野毛にある昭和25(1950)年創業の老舗焼き鳥屋「末広」。店内は左手がL字カウンター14席で、右手壁際に4人掛け×4卓のテーブル席。そして奥が4~8人分ほどの座敷席です。

 いつも外から見ても満席がわかるほど満席で、入れないことが多い店なのですが、火曜日午後6時半のこの時間、カウンターの入口側が2席分空いており、そこにすべり込みます。おそらく、ふたり連れが帰ったところだったんでしょうね。ラッキー!

 すぐに注文を取りに来てくれたお兄さんに、小瓶のビール(キリンラガー、420円)と、モツのタレ焼き(160円×2本)、皮の塩焼き(160円×2本)を注文すると、すぐにビールと、お通し(サービス)のキャベツ漬けが出されます。小皿のキャベツ漬けには爪楊枝が添えてあり、これで突き刺して食べるのです。そういえば店内に割箸などは置いてないですね。箸が入りそうなメニューは冷やしトマトくらいのものなので、そのときだけ出してくれるのかもしれません。

 この店の焼き鳥は、基本的に2本ずつ。2本以上であれば奇数本でも注文できるようです。

 店内はホールを担当しているのが、先ほどのお兄さんと、お姉さんのふたり。カウンターの中にはお父さんとお母さんの、合計4人で切り盛りしています。カウンター内では、お父さんがまん中あたりに陣取って、黙々と肉を切っては串に打つという下ごしらえ作業をしており、それを焼き台のお母さんが焼き上げるという連携で、次々と焼き鳥が焼き上げられていきます。

 よく注文が入っている人気の品はモツとレバ。どちらもタレ焼きで注文する人が多いようです。両者の違いを、目の前の焼き台にいるお母さんに聞いてみると、「モツが鶏で、レバが豚よ」とのこと。モツは鶏レバをはじめ、鶏ハツの内臓がミックスされた状態で串に刺されているのです。

 皮の塩焼きが出てきたところで、大タヌキ(740円)をもらいます。大タヌキというのは日本酒のこと。タヌキの形をした酒器に入れられてくるので、タヌキと呼ばれているし、メニューにもそう記載されているのです。小タヌキもあって、大タヌキのちょうど半額(370円)。店の看板にも、このタヌキ型の酒器のイラストが書かれているほどなのです。

 横浜の焼き鳥屋には、ニンニクを練りこんだような味噌が必ず置かれていて、これを塩焼きの焼き鳥に付けて食べると、いい味わいになるのです。

 このあたりで、お客さんたちが次々にお勘定をして席を立ちはじめて、店内は比較的ゆるやかな状態になりました。なるほどねぇ。午後7時ごろのこの時刻が、開店(午後5時)直後に入った人たちがちょうど1回転する頃合いなのかもしれませんね。

 カウンターのまん中あたりに座っている、常連さんと思しき男性客が、

「今なら1本ずつ焼いてもらってもいいかな?」

 と目の前の店主(お父さん)に聞くと、

「しょうがないな。今なら手が空いてるから、特別だ。何を焼く?」

 なるほど。基本的には2本ずつだけど、今みたいにゆったりした状態の時には1本ずつ焼いてもらえる場合もあるんですね。なにしろ焼き鳥の1本ずつが、けっこうボリュームがあるので、2本ずつだと数種類しか食べられませんもんねぇ。だから、2人連れ以上のグループ客が多いのかな。

 最後に、砂肝を塩焼き(160円×2本)をいただいて、1時間弱の滞在は2,120円でした。

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「末広」 / もつタレ / すなぎも塩

店情報前回

《平成19(2007)年12月18日(火)の記録》

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中華風刺身にモツ料理 … 中華料理「楽園(らくえん)」(横浜・石川町)

中華風刺身


「これが中華風刺身です。これから混ぜてしまいますから、写真を撮る人は今のうちですよー!」

 濱の酒場通・iiさんの言葉に、われもわれもと集まる面々。まるで披露宴のケーキカットのような状況に、これから中華風刺身を仕上げようと準備していた店のおかあさんもビックリの様子です。

 今日は、「帰り道は、匍匐ぜんしん!」の、ここっとさんの発案による、横浜地区での忘年会。iiさんが、昔から行きつけにしている横浜中華街は「楽園」の2階座敷席を予約してくれたのでした。

 集まったのは横浜方面から、そのiiさんに、「Gaily Amaha の 未熟な舌 過敏な腸」のG.Aさん、小田原の泥酔院さん、「HAMAZARE」のsatさんに、酒豪美女・ひろたろうさん。東京方面からは、ここっとさん夫妻に、ここっとさんの妹・ミキちゃん、「Y-TABEのレミング2」のワイタベさん、呑んだフルさん、「宇ち中」のuchidaholicさんに私の12名です。

「予約したときに、中華風刺身はお願いしてるんですが、あとは店におまかせしてますから」

 とiiさん。ここ「楽園」は、海鮮とモツがおいしいと評判の広東料理のお店。今日はモツ好きなメンバーが多いので、楽しみです。

 まずはビールで乾杯すると、1品目として出されたのが白いセンマイとネギの和え物(白灼牛百葉)。センマイと言えば黒いのが当たり前のようになっているのに、こうやって脱色して真っ白になっていると、見た目も美しく、違う食べ物みたいです。

 そして2品目に登場したのが、本日のスペシャル料理。件(くだん)の中華風刺身だったのです。大皿のまん中に盛られた鯛の刺身を取り囲むように、松の実、モヤシ、千切りの生姜とネギ、香菜、そして小さく切ったワンタンの皮を揚げたものが美しく盛られています。これを店のおかあさんが、両手に持った箸とスプーンで混ぜ合わせていき、最後に大皿のまん中にこんもりとまとめたら、できあがり。

 醤油とレモン、胡麻油などで味付けされているようで、カルパッチョのようでもあり、海鮮サラダのようでもあり。香菜(パクチー)の風味もあって、いくらでも食べられそうな刺身です。

 飲み物は、ビールから紹興酒に移行。ボトルごと燗をつけてもらって、飲むときに氷を1個入れて燗冷ましにしていただきます。紹興酒を「燗つけてロックで」飲むというのは、iiさんに教えてもらった飲み方ですが、個人的にはこの飲み方がすっかり定番化し、紹興酒を飲むときはいつもこの飲み方にしているのでした。

 中華風刺身が終わると、ミノ、鶏足、コブクロ、ガツ、ハチノス、フエと畳み掛けるようにモツ料理のオンパレードです。

 東京と比べると、横浜あたりはもつ焼き屋が少ない。その大きな要因がこの中華料理の存在ではないかと思うのです。1859(安政6)年の横浜開港に起源をおく横浜中華街。その中華街で、昔からこれだけおいしいモツ料理を食べることができたために、もつ焼き文化が入り込んでくるすき間がなかったのではないかというのが私の考えなのです。

 モツ料理以外の料理も、もちろん出されます。この店の名物のひとつでもあるマテ貝の炒め物(炒堅貝)は、残念ながら夏場が旬なのでありませんでしたが、代わりに出されたのが牡蠣と厚揚げの煮物。とろみがついてプリッとした牡蠣の食感が絶妙です。青菜炒めは豆苗(とうみょう)。えんどう豆の新芽です。

 横浜地区の面々からの「ぜひ食べたい」というリクエストで追加注文したのが巻揚(まきあげ)。千切りにしたネギ、タケノコ、シイタケを、豚の網脂で細巻き寿司のようにギュッと巻いて、そのまま揚げ、これまた細巻き寿司のように、ひと口大にカットしたものが大皿に並んでいます。中に入っている肉は鶏肉かな。これもまた「楽園」の名物のひとつなんだそうです。

 さらには焼餃子に、蒸した鰻(うなぎ)、最後にレタス炒飯でしめて、3時間におよんだ忘年会もお開きです。ぜいたくに食べて、たっぷりと飲みに飲んでのお勘定は72,000円(ひとりあたり6,000円)でした。うーっ、満腹。

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白センマイとネギ和え / 混ぜ終えた刺身 / ミノとブロッコリー炒め

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鶏足煮込み / コブクロと野菜炒め / 牡蠣と厚揚げ煮込み

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ガツとハチノスとフエの煮込み / 豆苗炒め / 巻揚

071216j 071216k 071216l
焼餃子 / 蒸した鰻 / レタス炒飯

店情報前回

《平成19(2007)年12月16日(日)の記録》

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博多風ざく切キャベツ … ラーメン「御天(ごてん)」(下井草)

ざく切キャベツと玉露ハイ


「博多に居たころは、焼き鳥屋にもよく行ったなぁ」

「そうそう。店に入ると、『いらっしゃいませーっ!!』と言いながら、太鼓をドーンドーンと鳴らしてくれたりするんですよね」

「焼き台の横のほうには、黒じょかに入った湯割り焼酎が置かれてたりね」

「座るとすぐに、ザク切りのキャベツに酢をかけたお皿が出される」

「その上に、間に玉ネギを挟んだ焼き鳥を出してくれるんだ」

「キャベツがなくなってくると、どんどん足されるんですよねぇ。サービス(無料)だったこともあって、キャベツをたっぷり食べてたなぁ」

「ウチにもあるよ、博多の焼き鳥屋さん風のキャベツ。サービスじゃないけど(笑)」

 さっき、地下の「ゴテンズ・バー」で、御天グループ全体の店主である、岩佐俊孝社長と、そんな博多時代の話をしたことを思い出しながらメニューを探してみると、ありました、ありました。ざく切キャベツ(200円)。これですね。

 金曜日、午後11時過ぎの「御天」は、ゆるやかに7割り程度の入り。カウンター席の奥のほうに空きがあったので、そこに座り、件の、ざく切キャベツと、このところ定番化している玉露ハイ(400円)を注文します。

 すぐに出された、ざく切キャベツは、岩佐さんが言ってたとおり、博多の焼き鳥屋で出されてたものと同じスタイルです。これはいいなぁ。博多風に塩で焼いた焼き鳥があれば、ぴったりなんだけど、残念ながら「御天」には焼き鳥メニューはありません。この店のメニューで、このざく切キャベツと一緒に食べておいしそうなのは、牛串(450円)、豚串(350円)などの串焼き類のほか、粗引きソーセージ(600円)とか、ポークソテー(900円)や、黒豚焼餃子(500円)、博多鉄なべ餃子(960円)といった餃子類などでしょうか。

 しかし、せっかくの「御天」。この店でしか食べられない、せん菜(さい)も食べたいので、ざく切キャベツは、せん菜のできあがりを待つ間の前菜として、単独でいただくことにしましょう。

 いつもの、せん菜炒め(550円)だと、ひとりで食べるにはボリュームがあり過ぎて、ラーメンまでたどり着けない可能性があります。他になにか、せん菜を使った軽めのメニューはないのかなぁ、と改めてメニューを確認します。

 カウンター上に置かれた、定番のメニューで、せん菜炒め以外で「せん菜」の文字が入っているのは豚キムチせん菜(800円)のみ。いかにも量も多そうな価格設定ですよねぇ。

 カウンターの上部には、「井草本店おすすめメニュー」という手書きのメニューが張り出されています。ざく切キャベツも、その中に載っている一品なのです。お。こちらには、もち豚のシャブシャブせん菜盛り(500円)なんてメニューがあります。これにしてみましょうか。

 ちなみに、このメニューに載っている他の品物は、海老チリ玉子(600円)、肉野菜炒め(500円)、ジャージャーメン(800円)、空豆(200円)の4種。空豆も、この値段ながら茹でたてが出されるのです。

 もち豚のシャブシャブせん菜盛りは、まず茹でたせん菜がたっぷりと盛られ、その上に豚シャブがずらりと並び、大根おろしがどかんと載せられ、ポン酢醤油。最後に刻みネギがトッピングされています。

 なるほどなぁ。これはこれで美味しいものの、せん菜の持ち味であるシャキシャキ感は、せん菜炒めのほうが強いですねぇ。

 なんてことを思いながらも、すぐにペロリと平らげて、いよいよ最後のラーメン(680円)です。本当は生ニンニク(50円)をトッピングしてもらうと絶品になるのですが、これをやっちゃうと、明日1日中、家族が近寄ってこなくなりますからねぇ。そのくらい強烈なのです。今日は、カウンター上に用意されている、おろしニンニクでガマンしますか。

 このおろしニンニクだって、“生”であることにはかわりないのに、注文を受けてから細かく刻んだ生ニンニクには、かなわないんですよねぇ。

 1時間ほどの滞在は、1,780円でした。どうもごちそうさま。

 下井草駅から電車に乗って、鷺ノ宮に向かう予定だったのに、その下井草駅で、ちょうど帰ってきた酒友・にっきーさんとバッタリ。再び「ゴテンズ・バー」に舞い戻って飲み直したのでした。

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「御天」 / もち豚のシャブシャブせん菜盛り / ラーメン

店情報前回

《平成19(2007)年12月14日(金)の記録》

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ちょいと1杯の予定が … バー「ゴテンズ・バー(GOTEN'S BAR)」(下井草)

ラフロイグ


『飲んで、つまんで、仕上げにラーメン』

 学生時代を過ごした博多では、その一連の流れを、1軒で当たり前のように過ごせる屋台がたくさんありました。最近は都内でも、「ラーメン居酒屋」と銘打った酒場も目にするようになってきました。

 そんな「ラーメン居酒屋」の先駆けと言ってもいい店が、下井草のラーメン屋、「御天」。屋台ではないものの、ガンガン焼酎を飲むことができ、しかも酒の肴も豊富で、最後は本場・博多のものと比べても、決して劣ることがない豚骨ラーメンで締めくくれるのです。

 博多出身の店主(岩佐俊孝氏)は、その昔、東京で一大ブームを巻き起こした豚骨ラーメンの「なんでんかんでん」を、川原氏とともに立ち上げた人。その後、自分の理想とする『飲んで、つまんで、仕上げにラーメン』が実現できるラーメン屋を目指して独立し、ここ「御天」をオープンしたのだそうです。

 そんな「御天」に到着したのは、金曜日の午後8時半。まだ時間も早いので、地下の「ゴテンズ・バー」にも、ちょっと寄っていきましょうか。

 店名からもわかるとおり、「ゴテンズ・バー」も、「御天」の店主・岩佐さんがオーナーとなって開店した焼酎バー。なにしろバーだけに、1階の「御天」よりも多くの種類の飲み物がそろっているのです。その分、料理の品数は少ないのですが、そこはなにしろ同じ店主が経営する兄弟店。「御天」の料理を、「ゴテンズ・バー」まで出前してもらって食べることもできるのです。(さすがにラーメンはダメだろうと思いますが……。)

 トントントンと階段を下りて、「ゴテンズ・バー」の扉を開けると、なんとそこにいたのは当の岩佐さん、その人です。

「やぁ、いらっしゃい!」と笑顔で迎え入れてくれます。

 営業時間が午前3時までの「ゴテンズ・バー」にとって、この時間帯は、まだ早すぎるのか、先客はなし。岩佐さんは、ホールに置かれたダーツをしながら、バーテンダーのリョウちゃんと話をしていたのでした。

「今日は飲まないんですか?」と聞いてみると、

「今日は、これから車で帰る予定なんで、飲めないんですよ」とのこと。その出発時刻までを、ここで過ごす予定なのだそうです。

 リョウちゃんは、少し前からこの店で働くようになった、新しいバーテンダーさん。ロックバンドをやっていて、英国にもしばらく住んだことがあるのだそうです。リョウちゃんがバーテンダーになってから、店内にはロックの音楽が流れるようになり、バックバーにはスコッチなどの洋酒も並ぶようになりました。

 せっかくなので、今日はスコッチをいただいてみましょうか。

「ラフロイグ(LAPHROAIG 10)を、ストレートでお願いします」

 ラフロイグは、スコットランド西岸にあるアイラ島で造られた、シングルモルトウイスキー。この島で作られる、他のシングルモルトウイスキーと同様、強烈な香り、強烈な個性です。この味が、香りが、いったん虜(とりこ)になると離れられなくなっちゃうんですよねぇ。

 店主・岩佐さんは、私とほぼ同年代(1歳違い)。

「博多に居たころに、街中ですれ違ってたかもねー」

 なんて話で盛りあがりますが、同年代にしては、やっぱり岩佐さんはシャキッと若く見える。眼光がするどいから、そう見えるのか。何店舗もを経営する社長だから、顔つき、体つきが引き締まってくるのか。

 ウイスキー1杯で「御天」に上がる予定が、他のお客さんもやって来たりで、ついつい飲みが進み、芋焼酎(不二才)のロックを追加です。ワイワイと過ごすうちに、気がつけばもう午後11時。しぇーっ、2時間半も居ちゃいましたか。

 さぁ、そろそろ地上に出ようっと。お勘定は2千円ほどだったような……。(失念)

「どうもありがとうございます」

 という、美人バーテンダー、リョウちゃんの声に見送られながら、階段を上ったのでした。

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「ゴテンズ・バー」 / 「不二才」ロック / 店内の様子

店情報前回

《平成19(2007)年12月14日(金)の記録》

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正統派大衆酒場(下) … 居酒屋「升本(ますもと)」(虎ノ門)

かき鍋


 虎ノ門の「升本」。私が入ってからも、お客さんたちがひっきりなしにやってきます。

 最初は私ひとりが座っていた8人掛けのテーブルにも、お客さんが案内されてきました。まずやってきたのは3人連れ。私はテーブルの端の席に座っているのですが、その逆側にかたまって座ります。

 店は2階もあるようで、グループ客はどんどん2階に案内されているようです。

 私の斜め前の席にも、会社帰りらしいスーツ姿の男性ひとり客が入ってきました。虎ノ門という土地柄か、この店もスーツ姿の男性客が圧倒的に多い。というか、今、この時点では女性客はまったく見あたりません。店内にいる女性は、キビキビとホールを行き来する店のおねえさんたちだけです。(よく見えないけど、奥の厨房にも女性がいるのかな?)

071214j こうやって8人掛けテーブルに5人が座った状態(右図参照)で、もうこのテーブルは満席扱いとなり、次からお客が案内されることはなくなりました。テーブルの幅が狭いので、向かい側に知らない人が座ると、料理が並びきらないこともあるんでしょうね。こういう配慮も呑ん兵衛には実にありがたい。ゆったりとくつろいで飲むことができます。すき間さえあればギューギューに詰め込もうとする酒場には、ぜひ見習ってもらいたいものです。

 そのうち、1階も、2階も満席になったようで、ウィ~~ンと自動ドアが開いて入ってくるお客さんたちにも、「ごめんなさい。満席です」の声がかかるようになりました。けっこう大箱店なのに、この時間(午後7時前)で満席ですか。年末の金曜日ということもあるのかな。

 さてと。次は、もうひとつのオリジナルブランド酒、「霞ヶ関」(350円)をもらってみましょうか。今度も燗でお願いします。

 お酒は奥にある、上から冷や酒を入れると、下の蛇口まで通る間に燗が付く形式の燗付け器で温められ、丸っこい形状のチロリで運ばれてきます。それをおねえさんが、受け皿を置いたコップに、あふれるまで注いでくれるのです。

 どーれ、「霞ヶ関」をひと口。なるほど。最初に飲んだ「虎ノ門」と比べると、こっちの方が好きかなぁ。「虎ノ門」が普通酒、「霞ヶ関」が本醸造なのかな?

 料理のほうは、先ほどからじっくりとメニューを観察していて、非常に心引かれた、かき鍋(600円)を注文します。ひとり用の鍋物があるというのも、正しい大衆酒場の証(あかし)ですよね!

 すぐに固形燃料が置かれたミニコンロが出され、牡蠣の他に、白菜、ネギ、エノキ茸、豆腐、春菊などが入った鉄製の小鍋がセットされ、着火。生の状態から、ここで煮ていくんですね。こうやって鍋ができあがっていく過程をながめながら飲むのも楽しいもの。クツクツと湯気が立ち始めると、期待がふくらみます。

 できあがった、かき鍋は味噌仕立て。この値段(600円)にもかかわらず、牡蠣が5~6個入っているので、最初はレア気味のものを、まず1個。あぁ、うまいっ。目の前で、コトコト、コトコト煮込まれてるので、ゆっくりと1個ずつ、食べ進むにつれて火の通り具合が深まっていくのも、またおもしろいですねぇ。

 ゆっくりと1時間半ほどの滞在は、1,610円。立派な外観とはうって変わって(?)、店内は、実にみごとな大衆酒場でした。ぜひまた行ってみたいお店です。

071214g 071214h 071214i
ひとり用の、かき鍋 / 霞ヶ関(燗) / できあがった、かき鍋

店情報前の記事(上)

《平成19(2007)年12月14日(金)の記録》

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正統派大衆酒場(上) … 居酒屋「升本(ますもと)」(虎ノ門)

店内のメニュー


 虎ノ門でもう1軒、行ってみたかったのが「升本」です。住所を頼りに向かってみると、どーんと現れた「升本」は、大きなビル。まるで割烹か大規模居酒屋チェーン店じゃないかと思わせる外観です。

『本当にここなの!? 大丈夫かなぁ?』

 そう思いながら近づいて行くと、店の表に、今日の日付けが書かれた、おすすめ黒板メニューが出ている。なになに。ぶり刺身600、かんぱち刺身600、まぐろ中落ち500、ほうぼうの刺身550、生がき500、鯨の刺身500、あじのたたき500、しめさば550、あん肝500、春雨ピリ辛炒め580、かきとほうれん草炒め580、かにクリームコロッケ480、むつの煮付600ですか。

 日付けの入りの手書きおすすめメニューがあり、その中に日々の仕入れを必要とする生ものなどが並んでいて、しかもその値段が500~600円程度と手ごろ。うーむ。このあたりは、正しき大衆酒場風なんだけど、いかんせん外観が立派過ぎるよなぁ。ま、入ってみましょうか。

 ウィ~~ン (←入口の自動ドアが開く音)

「いらっしゃいませ。おひとりさま? こちらへどうぞ」

 どーんと広いフロア内を元気よく飛び回っているおねえさんのひとりが、店内にずらりと並ぶ8人掛けテーブル席のひとつに案内してくれます。

 店内にはカウンター席はなく、ひとり客も、グループ客も、みんなテーブル席に案内されるようです。入口のすぐ近くに、ひとりだけ先客が座っているテーブルがあったので、そこに案内されるかと思いきや、そのとなりの、誰も座っていないテーブルに案内してくれます。

「お飲み物は、なんにいたしましょう?」

 席に座るやいなや、すぐにおねえさんが聞いてくれます。

「お酒の、温かいのをください」

「虎ノ門でよろしいでしょうか」

「はいはい、それで」

 てきぱきと元気で、心地よいですね。改めてメニューを確認すると、日本酒はオリジナルブランドの虎ノ門(280円)、霞ヶ関(350円)からはじまって、浦霞・本醸造(480円)、一の蔵・純米(500円)、開運・特別純米(550円)、神亀・純米(550円)、酔鯨・純米吟醸(580円)など450~600円くらいの価格帯で30種ほどの銘柄が並んでいます。こちらも、酒屋さん(←同じ通りのすじ向いで営業中)が経営している居酒屋なので、銘柄も多いし、安いですね。チューハイ類(370円)や、焼酎(350~500円)、ワイン(フルボトル2,100円)、ウイスキー(280~300円)、さらにはホッピー(480円)まであって、実に幅の広いラインナップです。

 厨房との間にある壁の上部には、これまたすべてに目を通すのが難しいほど多くの料理メニューが並んでいます。たとえば、やきとり(300円)、うるめいわし(300円)、さつま揚(430円)、いわし団子(430円)、板わさ(430円)、たこ酢(480円)、まぐろぬた(450円)、せりおひたし(380円)、出し巻玉子(400円)、うの花(330円)、ほやの塩辛(380円)など、いずれも呑ん兵衛好みのする居酒屋メニューで、値段も250円からはじまって、高くても650円ほど。

 その中から、山陰地方特産のトビウオの竹輪、あごちくわ(380円)を注文します。こういう練り物が、これまた燗酒にピシャリと合うんですよねぇ。

 外観から、居酒屋チェーン店のような雰囲気の酒場をイメージしていたのですが、中に入ってみると、まさに正統派大衆酒場。ホールを埋め尽くす酔客たちでザワザワとにぎやかな雰囲気や、店のおねえさんたちがキビキビと動いている様子もいいですねぇ。

(つづく)

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「升本」の入口 / 虎ノ門(燗) / あごちくわ

店情報

《平成19(2007)年12月14日(金)の記録》

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店情報: 居酒屋「升本(ますもと)」(虎ノ門)

    071214z2
  • 店名: 虎ノ門「升本」(ますもと)
  • 電話: 03-3591-1606
  • 住所: 105-0001 東京都港区虎ノ門1-8-16
  • 営業: 16:30-22:30(1階は22:00LO、2階は21:30LO)、日祝休
  • 場所: 地下鉄虎ノ門駅1番出口を出て、回れ右。虎ノ門交差点方面に向かって、すぐ次の角を左折して、2ブロック半(約60m、徒歩1分強)先、左手のビル。
  • メモ: 1階はずらりとテーブル席が並び、カウンター席はなし。ひとり客も入れ込みでテーブル席に案内される。グループ客は2階に案内されている。
    短冊メニューでずらりと並ぶ料理の品数は、ものすごく多い。たとえば、やきとり(塩・タレ)300、うるめいわし300、えいひれ400、ポテトフライ380、川えびの唐揚げ430、厚揚げ380、ちくわ磯香揚380、やきそば530、豚キムチ炒め500、さつま揚430、玉子焼400、いわし団子430、シュウマイ400、しらすおろし380、まぐろ納豆450、チーズ盛合せ530、あじの南蛮漬400、板わさ430、山芋の千切り400、たこ酢480、まぐろぬた450、かまあげしらす400、鯨ベーコン680、れんこんピリ辛煮350、せりおひたし380、野沢菜350、出し巻玉子400、うの花330、べったら漬380、かにサラダ500、ほやの塩辛380、らっきょう250、エシャレット380、まいたけてんぷら500、あごちくわ380、いわしフライ450、あじフライ500、串かつ550、げそ揚400、肉じゃが500、いわし刺身450、赤貝の刺身550、たこの刺身550、いかの刺身500、まぐろの中落ち500、鯨かつ450、おでん550、まぐろぶつ600(月曜日は300)、名物たこおでん630など。
    飲み物は瓶ビール(大)520、(小)370、生ビール(大)730、(小)500、レモンサワー370、梅サワー370、チューハイ370、ウーロンハイ370、玉露ハイ370、すたち酎370、ホッピー480。日本酒はオリジナルブランドの虎ノ門280、霞ヶ関350をはじめ、浦霞・本醸造480、一の蔵・純米500、開運・特別純米550、神亀・純米550、酔鯨・純米吟醸580など30種ほど。焼酎は二階堂(麦)350、白波(芋)350、黒伊佐錦(芋)450、雲海(蕎麦)350、川辺(米)500、長雲(黒糖)500、ダバダ火振(栗)500、鍛高譚(紫蘇)500など。(2007年12月調べ)

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ずらりと全員スーツ姿 … 居酒屋「鈴傳(すずでん)」(虎ノ門)

「鈴傳」


 霞ヶ関方面での仕事を終えて、やってきたのは虎ノ門の「鈴傳」です。「鈴傳」と言えば、四ツ谷にある立ち飲みもできる酒屋「鈴傳」がありますが、この虎ノ門「鈴傳」も同じ経営者。昭和31(1956)年に、当時は四ツ谷にあった大蔵省が、霞ヶ関に移転し、その頃の常連さん立ちに請われる形で、「鈴傳」も、ここ虎ノ門の地に居酒屋を開店したのだそうです。

 四ツ谷「鈴傳」では、おいしい地酒を安価に立ち飲みできるお店として知られていますが、ここ虎ノ門「鈴傳」も地酒専門店。入口を入るとすぐ左手に4~5人程度用の小さなカウンター席があるほかは、テーブル席がずらり。ひとり客でも、このテーブル席に入れ込みで案内されるのです。(カウンター席は常連さんたちの席になっているようです。)

 まずは瓶ビール(キリンラガービール小瓶、400円)と肉豆腐(550円)をもらってスタートです。

 肉豆腐は、丸皿の中央に、よく煮込まれた豆腐がどんと置かれ、その上に、同じ鍋で煮込まれた豚肉、竹の子(穂先の部分)、糸ゴンニャクなどの具材がたっぷりと載せられた、おふくろの味的な一品。他にも、ポテトサラダ(300円)、漬物(400円)、冷奴(380円)、鮭ハラス焼(600円)、くさや(650円)、まぐろブツ(600円)などの、東京の酒場での定番メニューが並んでいます。

 土地柄もあるんでしょうが、非常に特徴的なのは、お客さんが全員、スーツ姿であることでしょうか。新橋から虎ノ門あたりにかけては、こんな酒場も多いですよね。

 客層としては圧倒的にサラリーマンのグループ客が多いようですが、ひとり客も普通に混ざっており、年配客、女性客も何人かいます。

 店は、奥の厨房に年配の男女がひとりずつ、ホールは若い男女がひとりずつ、そして入口付近のカウンターのところに男性がひとりの、合計5人で切り盛り中です。

 小ビンのビールで喉も潤ったところで、いよいよ日本酒です。さすがに地酒専門店だけあって、壁には、伯楽星・特別純米、駿・純米、十四代・本丸、飛露喜・特別純米、神亀・活性にごり、開運・純米生酒無濾過などをはじめとして、50種類以上の地酒メニューが、正一合あたり350~700円くらいの値付けでずらりと並んでいます。ホールを担当しているおねえさんに、

「お燗にできるのはどれでしょう?」と確認してみたところ、

「手取川(450円)か満寿泉(350円)のどちらかです」

 という返事で、その手取川(山廃)をいただくことにしました。(後でわかったことですが、他のお酒でも燗をつけてもらうことができるようです。)

 お酒を担当しているのは、入口のカウンターのところにいる店員さん。四ツ谷の「鈴傳」にあるのと同じく、上の口からお酒を注ぐと、下の蛇口から燗酒が出てくるタイプの燗付け器で燗をつけ、そのグラスを持ってきてくれます。グラスいっぱいに、なみなみと入ったお酒をこぼすことなく持ってくるのも、なかなかすごいわざですねぇ。

 つまみに、めざし(350円)を追加すると、目のところを串で刺したまま、4尾並んだ状態で炙られた、懐かしいスタイルのめざしが出てきました。この腹の辺りのほろ苦さが、またいいんですよねぇ。

 1時間ほどの滞在は、1,750円でした。どうもごちそうさま。

071214a 071214b 071214c
肉豆腐 / 手取川(山廃)燗 / めざし

店情報前回

《平成19(2007)年12月14日(金)の記録》

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店情報: 居酒屋「鈴傳(すずでん)」(虎ノ門)

【このお店は現在閉店しています】

    虎ノ門・鈴傳
  • 店名: 地酒専門店・虎ノ門「鈴傳」(すずでん)
  • 電話: 03-3580-1944
  • 住所: 105-0001 東京都港区虎ノ門1-2-15
  • 営業: 17:00-22:30、土日祝休
  • 場所: 地下鉄虎ノ門駅2番出口を出て、出たなりの方向(背後に虎ノ門交差点)に桜田通り(国道1号線)を神谷町方面に向かって、次の信号交差点(虎の門一丁目交差点)まで120m(徒歩2分強)ほど進み、その交差点を右折。50m(徒歩1分弱)ほど先、右手。2番出口を出て徒歩3分強。
  • メモ: 昭和31(1956)年創業。ルーツは四ツ谷の立ち飲みもできる酒屋「鈴傳」にあり、四ツ谷にあった大蔵省が虎ノ門に移転した昭和31年に、請われて虎ノ門にも居酒屋を開いたもの。日本酒に力を入れた銘酒居酒屋で、50種類以上の地酒が正一合350~700円くらいで飲める。

    料理はおでん500、肉豆腐550、めざし350、鮭ハラス焼600、くさや650、エイヒレ450、焼とん2本400、鳥串焼2本420、つくね2本250、ままかり450、焼酎梅150、漬物400、冷奴380、塩辛450、山芋漬物550、生揚げ450、牛スジ煮こみ450、モロキュー300、とまと400、アスパラ450、ピリ辛ラッキョウ400、くじらベーコン600、まぐろ納豆600、〆鯖850、いか刺600、あじタタキ600、蛸刺650、まぐろブツ600、鮪刺700などの定番メニュー類のほかに、「本日のおすすめ」と書かれたホワイトボードメニューあり。たとえば、刺身三点盛1,000、合鴨スモーク600、豆腐もろみ漬け450、ほうれん草おひたし450、数の子ワサビ漬け400、まぐろ尾650、イワシ焼400、ホッケ開き600、さんま明太焼450、ポテトサラダ300。

    飲み物はビール大瓶520、小瓶400、黒ビール小瓶400、手取川・山廃450、満寿泉・本醸造350、伯楽星・特別純米550、駿・純米500、十四代・本丸500、飛露喜・特別純米600、神亀・活性にごり700、開運・純米生酒無濾過600など。
  • HTML版(2003年以前): (01.06.25)

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竜宮城めぐり(下) … 「日の出理容院」~「福田フライ」(横浜・桜木町)

「福田フライ」


 都橋商店街を出て、向かいの古いアパートを裏に回ると、そこがバー「日の出理容院」。古い理容院をそのまま使ったこのバーは、店内の証明も薄暗く、まさに隠れ家風。この空間を、女性バーテンダーのメグミさんひとりが切り盛りします。

 この店も、いつも人気は高く、今日もカウンター席はいっぱい。ひとつだけあるテーブル席に座って、角のハイボール(600円)をもらうと、いつものように出される、さや付き落花生。というか、基本的に、この落花生以外のつまみはないお店なのです。

 ゆっくりとハイボール1杯ずつを飲み干して、「日の出理容院」のお勘定はふたりで1,200円(ひとりあたり600円)でした。


 「日の出理容院」を出て、野毛小路をJR桜木町駅方面へ。

 いろいろと通りの名前が出てきますので、ここで野毛の町を簡単に整理しておきますと、野毛は縦横に通りが走り、碁盤目に近い状態になっています。

 JR桜木町駅前から、京急・日ノ出町駅方面に向かって、まっすぐ東西に伸びるバス通りが“野毛大通り”。この通りの北側、「ちぇるる野毛」の裏側を平行に走るのが“動物園通り”です。“野毛大通り”の南側には、“野毛大通り”と並行に、順に“なかどおり”、“野毛小路”と続き、さらに名前の付いてない通りが3本ほどあって、大岡川沿いの“桜通り”まで。

 南北方向は、桜木町駅前の国道16号線を基点に、西側に“野毛中央通り”、“野毛柳通り”、“野毛本通り”、“宮川小路”、“宮川商店街”と続き、日ノ出町駅前を南北に走る、横浜駅・根岸道路へと至るのです。

 この一帯の中に、700軒とも800件とも言われる数の酒場がひしめいているのですからすごいではありませんか。私なんか、まだまだ野毛の入口に入ったばかり、といった感じですね。

 そして、今日の4軒目は、桜木町駅側から入ると、野毛の入口で呑ん兵衛たちを待ち受ける4大有名店のひとつ、立ち飲みの「福田フライ」です。ちなみに他の3軒は、中華の「三陽」、「萬里」の両店に、焼き鳥の「若竹」です。この4軒が、野毛小路の両側に2軒ずつ、それぞれ軒を並べているのです。

 「福田フライ」では、牡蠣やアジなどのフライを、名物の辛いソースで揚げてもらいます。この辛いソースには、ニンニクと唐辛子がたっぷりと入っていて、とてつもなく強烈。明日が仕事の日には食べないことにしているのですが、今日は、Nさんがはじめての「福田フライ」なので、特別です。

 飲み物は、ふたりともウイスキー水割り(450円)。これは300mlボトルの「ニッカブラック天然水割り」で、氷入りのコップと一緒に出してくれるのです。

 自家製の白菜漬(150円)に、辛いソースで作ってもらった白モツの鉄板焼き(350円)ももらって、ふたりで1,830円(ひとりあたり915円)なり。

 4時間ほどの間に4軒の野毛ゴールデンコース。東京方面に帰るNさんと、桜木町駅で別れ、私も帰路についたのでした。


 翌日になってNさんから、

「満員の電車内では顔をそむけられたりしましたが、まるで竜宮城めぐりのような晩でした」

 というメールをいただきました。たしかに「武蔵屋」「日の出理容院」「福田フライ」ともに、女性が切り盛りする酒場だし、「ホッピー仙人」にも強力女性客陣がずらりと並んでましたもんねぇ。うーむ。乙姫さまは誰じゃ……。

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「日の出理容院」 / 落花生とハイボール / 「福田フライ」の白モツ

・「日の出理容院」の店情報前回) / 「福田フライ」の店情報前回

《平成19(2007)年12月12日(水)の記録》

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竜宮城めぐり(上) … 「武蔵屋」~「ホッピー仙人」(横浜・桜木町)

「武蔵屋」の燗酒


 仕事で都内から横浜にやって来たNさん。横浜にはほとんど来たことがないというお話だったので、夜は野毛の町に出かけます。

 まず向かったのは、野毛の繁華街(?)からはポツンと離れた一軒家、酒亭「武蔵屋」です。ここは酔ってると入れませんもんね。1軒目で行かなくてはなりません。

 水曜午後7時の店内は、開店直後から入っていた人たちが、ちょうど一段落した頃合いなのか、比較的ゆったりとしていて、右手6人掛けのカウンター、左手の4人掛けのテーブル席ふたつ、そして奥の小上がりにある4卓の、どこを選んでも二人なら座れる状態のなか、テーブル席を選択します。

 年中、いつ来ても変わらぬ3杯の燗酒、変わらぬ5品の肴、そしてなによりも変わらぬ店の雰囲気がいいですよねぇ。

 今日のおからは、できたてなのかほんのりと温かい。

 はじめてここに来たNさんのために、追加で小肌(こはだ)を注文すると、美しく盛られた小肌には卸し生姜が添えられ、チビッと醤油がかけられている。この調味料の塩梅(あんばい)が実にいいのが「武蔵屋」なんですねぇ。

 「武蔵屋」の肴は、すべての肴が味付け済みで出されます。カウンター上にも、各テーブル上にも、醤油や塩などの調味料類はいっさい置いていないのですが、このあらかじめ付けられた味に対してどこからも文句が出ないのです。これまた、長年変わらず同じ肴を出し続けたことによる完成度の高さなのでしょうか。

 黙って出される酒3杯・肴5品のセット(2千円)を2人前と、追加の小肌(400円)で、ふたりで4,400円(ひとりあたり2,200円)でした。


 「武蔵屋」を出て、「ちぇるる野毛」を回り込むように野毛の街なかに入り、野毛本通りを直進。本日の2軒目は、都橋商店街2階にある「ホッピー仙人」です。午後8時過ぎの店内は、座席はすべて埋まった状態。カウンターの後ろにある空間で、黒生ホッピー(500円)の立ち飲みでスタートです。

 それにしても、今日の「ホッピー仙人」、客層がものすごい。ちゃこさん、ひろたろうさん、ドロンジョさん、ホワイトメリーさんたち、野毛の強力(?)女性陣がずらり。ヒェーッ、こんな夜もあるんですねぇ。

 その後、カウンターの奥が空いたので着席。Nさんは「ここのホッピーはおいしい!」と黒生ホッピーをおかわりし、薫製玉子(100円)も1個ずついただきます。

 1時間ほどのホッピータイムは、玉子代も含めてふたりで1,700円(ひとりあたり850円)でした。

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「武蔵屋」の小肌酢 / 「ホッピー仙人」 / 薫製玉子

・「武蔵屋」の店情報前回) / 「ホッピー仙人」の店情報前回

《平成19(2007)年12月12日(水)の記録》

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初めて食べた生アン肝 … 魚料理「竹よし(たけよし)」(都立家政)

生アン肝


「あまりにきれいなアン肝だったから、生で出してみたんですよ」

 そう言いながら出してくれた生アン肝は、ツヤツヤと光る肌色も美しく、口に入れるとトロリととろける軟らかさ。アン肝は何度も食べたけれど、生で食べるのは初めてですねぇ。

 西武新宿線・都立家政(とりつかせい)駅のすぐ近くにある、魚料理と天ぷらの店「竹よし」では、毎月第2土曜日に予約制・会費制(ひとり5千円)の夕食会をやっており、昨日がその日だったのです。

 今月のテーマ食材はアンコウ。

 普段の営業日にも、アン肝や、アンコウ鍋がメニューに挙がる「竹よし」ですが、普段は、すでに下ごしらえを終えたアンコウの肝や身を仕入れてくるのだそうです。しかし、夕食会のときは、アンコウを丸ごと仕入れて、店でさばきます。予約制なので、材料を歩留まりよく仕入れることができるからです。

 夕食会のときに材料が足りなくなってもいけないので、たいていはちょっとだけ多めに仕入れをしているのだそうで、その余った分があれば、夕食会の翌日、日曜日のメニューとしてもいただけるのでした。

 昨日の夕食会では、7.2キロの北海道産アンコウを使って、刺身、どぶ汁、アン肝、唐揚げ、雑炊が出されたのだそうです。

 どぶ汁も、アンコウの夕食会のときには定番の品。生のアンキモをたっぷりと鍋に入れて炒め、お酒を足し、アンコウの身や野菜類を入れて、味噌で味をつけたもの。水分はアンコウや野菜から出たものだけというのが大きな特徴です。これだけは翌日には食べられなくて、夕食会に参加した人たちだけが食べられる一品です。(ちなみに、普通のアンコウ鍋は、普段の営業日にも食べることができます。)

 生のアン肝に続いて出されたのは、アンコウの刺身。まっ白な身は、外側に近づくにつれてピンク色が増してきて、一番外側に淡く赤いふち取りがあるように見えるのが特徴。タラの刺身にも似た食感なんだけど、アンコウのほうが弾力感が強い。

 今日は普通のポン酢醤油+紅葉おろしに加えて、生アン肝醤油でもいただいてみましたが、カワハギなどと比べると、アンコウは元々の身の味が強いので、そのままポン酢醤油でいただいたほうがいいようでした。あとで思ったことですが、アンコウの身に生アン肝を載せて、それを醤油ではなく塩でいただくと美味しかったのかもね。

 合わせるのは、今日も「菊正宗」の燗酒(350円)。

 燗酒はとても好きな飲み物で、できればいろんなお店で燗酒を飲みたいところなのですが、残念ながら燗酒のおいしい酒場は非常に少ないというのが実情です。いろんな地酒をそろえている店でも、燗ができるのは、それ専用の普通酒1銘柄のみで、しかもそれが不味(まず)かったりするのです。これらを料理と一緒に出すと、料理に合わないどころか、逆に料理の味を損なわせてしまいます。こういうお酒を出している酒場もをさることながら、造ることそのものを止めないかぎり、日本酒業界は自分で自分の首を絞めているようなものだと思うんですけどねぇ。

 ここ「竹よし」では、一番普通の燗酒が「菊正宗」の上撰(本醸造酒)。これを正一合の徳利に入れて、湯煎で燗をつけてくれるのです。店主ひとりで料理も燗づけもやらないといけないので、たまーにちょっと熱燗になっちゃったりするのも、またご愛嬌もの。そういう燗付け方法なので、店に置いている地酒類もすべて燗でいただくことが可能です。

 刺身に続いては、アンコウの唐揚げです。これも普段営業のときもメニューに載ることの多い、この店の冬場の名物料理のひとつですが、夕食会翌日の今日は、いつもよりも新鮮なアンコウ七つ道具(柳肉、卵巣、ひれ、胃袋、えら、皮、ほほ肉)が材料です。

 こういう油ものにも合うところが、本醸造酒のおもしろいところ。本醸造酒は日本酒発酵の最終段階である醪(もろみ)の段階で、醸造アルコールを加えて酒質を調整したもので、酒税法上は日本酒ですが、製法から考えると混成酒(リキュール)にあたるかもしれない飲み物です。

 どのくらいの比率で混成されているかを既存のお酒のカクテルに置き換えてみると、アルコール度数15度の純米酒20に対して、アルコール度数25度の甲類焼酎3を加え、水2を加えて混ぜ合わせてできる、アルコール度数15度の飲み物ということになります。

 この比率を一升瓶(1,800ml)のお酒で考えてみると、純米酒が1,440ml(8合)、焼酎が216ml(1.2合)、水が144ml(0.8合)という割合になります。

 少量の焼酎をウーロン茶で割ったのをウーロン割りと呼ぶのと同じように、少量の焼酎を日本酒で割った、焼酎の日本酒割りと言えるかもしれません。だから、唐揚げのような油ものや、もつ焼きや、コロッケ、サラダ類などの、現在の大衆酒場で出される料理にも合うのかもしれませんね。

 他のお客さんたちとの会話も楽しく、気がつけばもう9時半。4時間以上も、くつろいじゃいましたか。お勘定は4,400円でした。

 次回の夕食会は1月12日(土曜日)、テーマ食材は寒ブリの予定だそうです。

アンコウ刺身 生アン肝醤油で刺身 アンコウ唐揚げ
アンコウ刺身 / 生アン肝醤油で刺身 / アンコウ唐揚げ

店情報前回

《平成19(2007)年12月9日(日)の記録》

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