正統派大衆酒場(下) … 居酒屋「升本(ますもと)」(虎ノ門)
虎ノ門の「升本」。私が入ってからも、お客さんたちがひっきりなしにやってきます。
最初は私ひとりが座っていた8人掛けのテーブルにも、お客さんが案内されてきました。まずやってきたのは3人連れ。私はテーブルの端の席に座っているのですが、その逆側にかたまって座ります。
店は2階もあるようで、グループ客はどんどん2階に案内されているようです。
私の斜め前の席にも、会社帰りらしいスーツ姿の男性ひとり客が入ってきました。虎ノ門という土地柄か、この店もスーツ姿の男性客が圧倒的に多い。というか、今、この時点では女性客はまったく見あたりません。店内にいる女性は、キビキビとホールを行き来する店のおねえさんたちだけです。(よく見えないけど、奥の厨房にも女性がいるのかな?)
こうやって8人掛けテーブルに5人が座った状態(右図参照)で、もうこのテーブルは満席扱いとなり、次からお客が案内されることはなくなりました。テーブルの幅が狭いので、向かい側に知らない人が座ると、料理が並びきらないこともあるんでしょうね。こういう配慮も呑ん兵衛には実にありがたい。ゆったりとくつろいで飲むことができます。すき間さえあればギューギューに詰め込もうとする酒場には、ぜひ見習ってもらいたいものです。
そのうち、1階も、2階も満席になったようで、ウィ~~ンと自動ドアが開いて入ってくるお客さんたちにも、「ごめんなさい。満席です」の声がかかるようになりました。けっこう大箱店なのに、この時間(午後7時前)で満席ですか。年末の金曜日ということもあるのかな。
さてと。次は、もうひとつのオリジナルブランド酒、「霞ヶ関」(350円)をもらってみましょうか。今度も燗でお願いします。
お酒は奥にある、上から冷や酒を入れると、下の蛇口まで通る間に燗が付く形式の燗付け器で温められ、丸っこい形状のチロリで運ばれてきます。それをおねえさんが、受け皿を置いたコップに、あふれるまで注いでくれるのです。
どーれ、「霞ヶ関」をひと口。なるほど。最初に飲んだ「虎ノ門」と比べると、こっちの方が好きかなぁ。「虎ノ門」が普通酒、「霞ヶ関」が本醸造なのかな?
料理のほうは、先ほどからじっくりとメニューを観察していて、非常に心引かれた、かき鍋(600円)を注文します。ひとり用の鍋物があるというのも、正しい大衆酒場の証(あかし)ですよね!
すぐに固形燃料が置かれたミニコンロが出され、牡蠣の他に、白菜、ネギ、エノキ茸、豆腐、春菊などが入った鉄製の小鍋がセットされ、着火。生の状態から、ここで煮ていくんですね。こうやって鍋ができあがっていく過程をながめながら飲むのも楽しいもの。クツクツと湯気が立ち始めると、期待がふくらみます。
できあがった、かき鍋は味噌仕立て。この値段(600円)にもかかわらず、牡蠣が5~6個入っているので、最初はレア気味のものを、まず1個。あぁ、うまいっ。目の前で、コトコト、コトコト煮込まれてるので、ゆっくりと1個ずつ、食べ進むにつれて火の通り具合が深まっていくのも、またおもしろいですねぇ。
ゆっくりと1時間半ほどの滞在は、1,610円。立派な外観とはうって変わって(?)、店内は、実にみごとな大衆酒場でした。ぜひまた行ってみたいお店です。
ひとり用の、かき鍋 / 霞ヶ関(燗) / できあがった、かき鍋
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