正統派大衆酒場(上) … 居酒屋「升本(ますもと)」(虎ノ門)
虎ノ門でもう1軒、行ってみたかったのが「升本」です。住所を頼りに向かってみると、どーんと現れた「升本」は、大きなビル。まるで割烹か大規模居酒屋チェーン店じゃないかと思わせる外観です。
『本当にここなの!? 大丈夫かなぁ?』
そう思いながら近づいて行くと、店の表に、今日の日付けが書かれた、おすすめ黒板メニューが出ている。なになに。ぶり刺身600、かんぱち刺身600、まぐろ中落ち500、ほうぼうの刺身550、生がき500、鯨の刺身500、あじのたたき500、しめさば550、あん肝500、春雨ピリ辛炒め580、かきとほうれん草炒め580、かにクリームコロッケ480、むつの煮付600ですか。
日付けの入りの手書きおすすめメニューがあり、その中に日々の仕入れを必要とする生ものなどが並んでいて、しかもその値段が500~600円程度と手ごろ。うーむ。このあたりは、正しき大衆酒場風なんだけど、いかんせん外観が立派過ぎるよなぁ。ま、入ってみましょうか。
ウィ~~ン (←入口の自動ドアが開く音)
「いらっしゃいませ。おひとりさま? こちらへどうぞ」
どーんと広いフロア内を元気よく飛び回っているおねえさんのひとりが、店内にずらりと並ぶ8人掛けテーブル席のひとつに案内してくれます。
店内にはカウンター席はなく、ひとり客も、グループ客も、みんなテーブル席に案内されるようです。入口のすぐ近くに、ひとりだけ先客が座っているテーブルがあったので、そこに案内されるかと思いきや、そのとなりの、誰も座っていないテーブルに案内してくれます。
「お飲み物は、なんにいたしましょう?」
席に座るやいなや、すぐにおねえさんが聞いてくれます。
「お酒の、温かいのをください」
「虎ノ門でよろしいでしょうか」
「はいはい、それで」
てきぱきと元気で、心地よいですね。改めてメニューを確認すると、日本酒はオリジナルブランドの虎ノ門(280円)、霞ヶ関(350円)からはじまって、浦霞・本醸造(480円)、一の蔵・純米(500円)、開運・特別純米(550円)、神亀・純米(550円)、酔鯨・純米吟醸(580円)など450~600円くらいの価格帯で30種ほどの銘柄が並んでいます。こちらも、酒屋さん(←同じ通りのすじ向いで営業中)が経営している居酒屋なので、銘柄も多いし、安いですね。チューハイ類(370円)や、焼酎(350~500円)、ワイン(フルボトル2,100円)、ウイスキー(280~300円)、さらにはホッピー(480円)まであって、実に幅の広いラインナップです。
厨房との間にある壁の上部には、これまたすべてに目を通すのが難しいほど多くの料理メニューが並んでいます。たとえば、やきとり(300円)、うるめいわし(300円)、さつま揚(430円)、いわし団子(430円)、板わさ(430円)、たこ酢(480円)、まぐろぬた(450円)、せりおひたし(380円)、出し巻玉子(400円)、うの花(330円)、ほやの塩辛(380円)など、いずれも呑ん兵衛好みのする居酒屋メニューで、値段も250円からはじまって、高くても650円ほど。
その中から、山陰地方特産のトビウオの竹輪、あごちくわ(380円)を注文します。こういう練り物が、これまた燗酒にピシャリと合うんですよねぇ。
外観から、居酒屋チェーン店のような雰囲気の酒場をイメージしていたのですが、中に入ってみると、まさに正統派大衆酒場。ホールを埋め尽くす酔客たちでザワザワとにぎやかな雰囲気や、店のおねえさんたちがキビキビと動いている様子もいいですねぇ。
(つづく)
・店情報
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