酔わせて下町ツアー1 … 立ち飲み「毘利軒(びりけん)」(立石)
今日は「酔わせて下町」のFさんにお誘いいただいて、東京下町きっての呑ん兵衛タウン、立石(たていし)です。
集まったのは、三栄書房のMOOK、『TOKIO古典酒場』の美人編集長・倉嶋さんと、対談記事でご一緒させていただいた、橋本さん、Y-TABEさん、やなちゃんに、Fさんの酒友・おふたりを加えた計8人。少人数でも入りにくい立石の酒場に、この人数で入れるだろうか? そんな一抹の不安を抱かせつつも、年末の土曜日、午後4時に京成立石駅改札口に集合して、呑ん兵衛タウンへと繰り出します。
まず向かったのは、数ある立石の名店の中でも、一番有名であろう、もつ焼きの「宇ち多゛」です。
「おぉーっ、珍しく行列がないぞーっ!」
と店の前まで行くと、店内から、
「今日はもう売り切れで終了だよー」
という声。そうかそうか。今日は土曜日だから、店が開くのも早いし、売り切れ仕舞いになるのも早いんですね。この店は、今日のメンバーはみんな行ったことがあるので、入れなくてもOKでしょう。Fさん自身も、
「みんなを案内したい1軒目の店は、まだ開いていないので、それまでの間、どっかで過ごしましょう」
という程度で「宇ち多゛」をのぞいてみた様子。すぐに次へと向かいます。「宇ち多゛」の先の角を右折すると、左手には共同トイレがあって、その路地の突き当りが、もつ焼き「ミツワ」です。
「ここは、何時からだったっけ? もう飲める?」
とお店の人に確認してくれるFさんに、お店のおねえさんが「5時からよ」と答えています。右に曲がって、「宇ち多゛」の裏口を通り過ぎると、左手が立ち食いの「栄寿司」。これまた立石のことが書かれたガイドブックには、必ずといっていいくらい登場する人気店です。カウンターのみ20人程度のキャパシティの「栄寿司」は、昼12時から開いているだけあって、この時間帯はびっしりとお客さんでいっぱいの様子。
突き当りは京成立石駅。そこを右に折れ、線路に沿ってしばらく歩くと、右手が立ち飲みの「串揚100円ショップ」。店名のとおり、串揚げがすべて1本100円(注文は2本から)という、関西風の立ち飲み屋です。ここは午後3時からの営業で、これまたお客さんでいっぱい。とても8人も入れません。
しかし、店がまだ開いてなくても、開いてるんだけどいっぱいで入れなくても、まったく動じる気配もないFさん。
「ふーん。ダメなら次にいくか」
ってな調子で、さっさと次に向かって歩き始めます。特急電車も停まらない駅なのに(失礼!)、とにかく酒場は山のようにある。何軒か入れなくても全然気にすることはないのだそうです。
いっぱいで入れなかった「串揚100円ショップ」から、ほんのちょっと駅方向に戻ったところにあるのが、これまた関西風の串かつを立ち飲みで出す店「毘利軒」です。この店は平成19(2007)年7月の開業だそうですから、まだ開業半年ほどの若いお店。こうやって、新しいお店ができていくということが、酒場にとっていい町であることの証(あかし)のようなものですよね。
こちらは平日は午後5時開店ながら、土曜・祝日は午後3時からの営業(日曜は定休日)。午後4時過ぎの店内がガラガラなのは、みんな平日の午後5時開店というのが、頭に染み付いているのかも! おかげで10人程度のキャパシティにもかかわらず、8人でスッと入ることができました。
思い思いに生ビール(350円)やチューハイ(200円)を注文して乾杯すると、Fさんが「エビ食べる人? 牛肉食べる人?」と、この店のオススメ品をいくつか挙げながら、みんなの希望を取ってくれます。
こちらは1本あたり60円のもの(ポテト、チーズなど)、80円のもの(椎茸、アスパラなど)、100円のもの(レンコン、牛カツなど)、120円のもの(エビ、アジなど)と4種類の串かつがあって、それぞれ2本以上で注文する仕組みです。ひとりで行ったときには、おまかせ5点(玉葱、椎茸、ソーセージ、れんこん、豚かつ、若どりで500円)もいいかもね。
関西風らしく、目の前にある金属製の器に入ったソースに、どっぷりと1度だけ浸けていただきます。
「アレ、出してくれる?」
とFさんが言うと、「はいよっ」と店主が出してくれたのはタルタルソース。なんとFさんは、この店にマイ・タルタルソースをキープしてるのだそうです。
「エビは、これがうまいからね。いる人は、これ使ってね」
店は、夫婦と思しき男女二人で切り盛り中。店名の「毘利軒」は、大阪・通天閣にある幸運の神様、「ビリケン(Billiken)」からとったもの。特徴ある顔立ちの子供の姿をしたビリケン像が、カウンターの上にも置かれています。足のところを掻くとご利益があるんだそうです。
今日は、さすがにツワモノぞろいだけあって、あっという間に飲み物もおかわりの連発。関西風ならではの土手焼き(1本100円)なども注文しながら、グイグイと飲み進みます。1軒目からこんなにハイペースで大丈夫か!? まだ暗くもなってないんだけど……。
「そろそろ5時になるから、行きますか!」
というFさんの声に、みんなで残っている飲み物をグッと飲み干します。
「お釣りを渡したりするのがめんどくさいから、ひとり千円ずつね。ちょっと多すぎるけど、お釣りは次に回すから」
と会計も済ませて店を出ます。
それにしても「串揚100円ショップ」と「毘利軒」。関西風の串かつ屋が2軒、それぞれ軒を連ねんばかりの近くにあるというのも、都内では珍しいですよね。互いに切磋琢磨しつつ、相乗効果的に串かつ文化が盛り上がっていったら、おもしろいかもしれません。ぜひどちらも頑張ってもらいたいものです。今度は「串揚100円ショップ」にも行ってみなきゃね。
ソースは2度づけ禁止 / マイタルタルソース / ご近所の「串揚100円ショップ」
・店情報
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