豚ぷらつまみに一級酒 … 大衆酒場「佐原屋(さわらや)」(御徒町)
御徒町(おかちまち)にやってきました。この駅のまわりには、私が行ったことがあるお店だけでも「槇島商店」や「味の笛本店」などの立ち飲み屋がずらりと並んでいる他、北にはアメ横が、西には上野広小路から湯島にかけての酒場もあって、呑ん兵衛のアクセス開始駅としてもいいのです。
そんな御徒町駅のガード下にあるのが、昭和22(1947)年創業の老舗大衆酒場「佐原屋本店」です。入口は狭いものの、中は意外と奥行きがあって広い。
店内は、ちょっと変形のコの字型カウンターだけですが、普通のコの字型カウンターと違うのは、コの字の内側にお客さんが座るというところ。うなぎの寝床のように奥に伸びた店内の左右と奥に、それぞれ壁に向かって座るカウンターがあるのです。
入口から見て、左手奥は厨房スペースになっていて、その部分だけはコの字カウンターが途切れているため、実際の形状は、左右が逆の「リ」(上が入口側)のような形ですね。短いカウンターの部分は、お客が少ない間は荷物置き場として使われているようです。
カウンターの中(つまりカウンターと壁のすき間)には、人が行き来できる空間があり、そこに女将母娘が入り、ふたりでカウンター内を取り仕切っています。コの字の内側、ホール部分には女性がひとりいて、厨房でできあがる料理を運んでくれます。そして厨房の中には男性と女性がひとりずつ。全体としては5人で切り盛りしているようです。
もっと面白いのは天井。屋形船の天井のように真ん中が高くなっていて、その高くなった真ん中に、店の入口から奥まで、ずらりと蛍光灯が並んでいるのです。こんな造りの店は、ほかに見たことがないなぁ。
カウンターの前にずらりと並んだ椅子は、昔懐かしき木製の丸椅子。お客さんたちが足を乗せる、カウンター下のレンガは、擦り切れて小さくなっていて、店の歴史を感じます。
そのカウンターの奥のほうに陣取り、まずは小瓶のビール(サッポロ黒ラベル小、300円)をもらって、名物のひとつ、湯豆腐(200円)を注文します。
注文を受けてからレンジでチンして作る湯豆腐は、揚玉と鰹節をトッピングした「佐原屋」独自のスタイル。冷奴をレンジでチンすると湯豆腐になるんですね! 今度、単身赴任寮でもやってみよっと。
小瓶のビールは、小ぶりのグラスに3杯分程度。飲み始めの喉潤しにちょうどいいくらいの分量です。そのビールを飲み干して、メニューに「一級酒(300円)」とある日本酒を「あったかいの」で注文すると、こちらは湯せんで燗をつけてくれて、最初の1杯は「はいどうぞ」と女将さんがお酌してくれます。
湯豆腐がまだ半分以上残っているものの、燗酒の注文に合わせて豚ぷら(600円)も注文すると「豚ぷらは、塩? 天つゆ?」と確認が入ります。うーん。どっちも良さそうだなぁ。ちょっと迷って、初回は、まず天つゆで食べてみるかと、天つゆをセレクトします。
豚ぷらは、豚肉の天ぷらのこと。ポークソテーとか、豚カツにするような豚肉の1枚肉に衣をつけて、じっくりと天ぷらにしたものが出されます。この豚ぷらが、ことのほか美味しくて、熱いうちにハフハフと食べ進みます。
お客のほとんどはスーツ姿のサラリーマン。たまたまかもしれませんが、現在は女性客はひとりも居ません。ひとり客も何人かいるようですが、ほどんとは2~3人連れ。なにしろカウンター席しかないので4人以上のグループは話がしにくいですからね。カウンターの中にいる女将さんや娘さんが、ちょいと話しに加わったりしてくれるのも人気の理由なんでしょうね。
燗酒(300円)をおかわりして、つまみには、この店に来るといつも注文しているピーナッツみそ(100円)をもらいます。このピーナッツみその100円というのは、納豆(100円)と並ぶ、この店の最安値のつまみです。
ピーナッツみそは、千葉ではあたり前にあるらしい食品で、ピーナッツを味噌と水飴で練ったものなんだそうです。ご推察のとおり、非常に甘いのですが、不思議とつまみにもなるのです。粘り気が強いので、一粒づつ引き剥がすようにしながらいただかないといけないので、つまみが長持ちするのもいいですね。
「佐原屋」という店名も、千葉の佐原出身だから、という話も聞いたことがあるので、ピーナッツみそも創業当時からのこの店の名物なのかもしれませんね。
1時間ほどの滞在は、3品と3杯で1,800円でした。どうもごちそうさま。
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