海鼠・帆立・蟹・雲丹 … 焼き鳥「川名(かわな)」(阿佐ヶ谷)
酒の肴として昔から愛されてきた塩辛。その塩辛を食べるのは、ひとしきりお腹も膨らんだあと、チビチビだらだらと飲み続けるときだろうと、私自身は思っていたのです。
ところが、先日、なにかの本を読んでいたところ「塩辛を一番最初に食べるのがいい」と書いてありました。昔から発酵食品(タンパク質が分解されてできるペプチドやアミノ酸)の旨みに慣れ親しんできた日本人は、最初にアミノ酸系の旨みが入ってくると、舌の表面にある味蕾(みらい)が活性化して、その後に入ってくる食べ物の味を感じやすくなるんだといいます。食事の最初に味噌汁で舌を洗うのも、これと同じ効果なんだとか。
『へぇ、そんなこともあるのか。今度、最初に塩辛を食べる、ってのもやってみるか』
なぁーんて思っていたところへ、今日、「川名」にやってきてみると、日替りのホワイトボードメニューに海鼠腸(このわた、420円)なんてのが並んでいる。海鼠腸と言えば、その字のとおり海鼠(なまこ)の腸(わた)を塩辛にした高級食材。そこらの居酒屋に行くと、お猪口の底のほうに、ちょっとだけ入ったものが800円も900円もするほどのものです。ちょうどいい機会なので、これをもらいましょう。
しかし、いかに「川名」と言えども、海鼠腸だけでお腹が膨れるほどの量は絶対に出てこないだろうから、もう1品、何かいただいておきましょう。海鼠腸とも釣り合いがとれそうな浜焼きホタテ(252円)にしますか。
出てきた海鼠腸は、予想どおり器の底のほうにちょびっと。でもその器が、お猪口ではなくて、小鉢というところが、さすが「川名」ですねぇ。
どろりとした塊に見える海鼠腸を、箸でツンツンとつついて探ると、ツゥーッと長い1本の腸がひっかかります。これを舌の上にのせて、上あごとにギューッと押しつけながら、舌の上、各部になすりつけるようにすると、ドーンと広がる磯の風味と深い旨味。ックゥ~~ッ。素晴らしい!
が、しかーし。今飲んでいるチューハイ(336円)には、残念ながらまったく合わない。なにしろ、店に入るなり、ホワイトボードメニューを見る前に、このチューハイをたのんじゃいましたからねぇ。店に入ってくるときには、今日はチューハイ+煮込みでいく予定だったのです。海鼠腸がメニューにあるのを見て、急きょ予定を変更しちゃったからなぁ。
仕方ない。チューハイはチェイサーにしておいて、地酒(黒牛、462円)ももらいましょう。本当はこの「黒牛」の燗酒があるとベストなんですけどねぇ。「黒牛」は冷酒としてしかいただけないのでした。
さすがに日本酒と塩辛の相性は抜群。酒が肴を、そして肴が酒をと、とても幸せな好循環スパイラルに突入して、フワリと酔いもまわってきます。
浜焼きホタテは、ホタテの身(貝柱+貝ヒモ)を丸ごと醤油味で煮冷ましたものが10粒ほど。これで252円って、ホント!? これまた日本酒にぴったりです。
「はい。これも食べて」
と、この時間、店内にいるお客さんたちに振る舞われたのはケジャン(コチュジャンで浸けた塩辛)風のワタリガニ。手に持ってバリバリといただくと、殻の部分も軟らかくなっていて、爪先の部分しか残らないほど。これはチューハイもいけますねぇ。
さらにもう1品出してくれたのが、なんと粒うに! こりゃ「黒牛」(462円)もおかわりをもらわなきゃ。
一番最初に塩辛をいただいたら、舌が活性化するかどうかを確かめようとした今回でしたが、たたみ込むように登場する海の幸の先導役を立派につとめてくれたようです。それにしても、お通しのイチゴにはじまって、海鼠腸に、帆立に、蟹に、雲丹。なんと贅沢な「よじかわ」でしょう。
午後6時まで、ゆっくりと2時間の滞在は1,932円でした。
イチゴとチューハイ / 海鼠腸(このわた) / 浜焼きホタテ
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コメント
もつ焼き金ちゃんの隣町の桜台にも川奈と魚がし寿しがありますんでどぞ~
投稿: 名無し | 2008.02.19 02:57
川奈は改札を出て南側20m直進。
魚がし寿しは北側に出て百円ショップの角に入って20m。
地元で評判の「葉隠れ」は北側直進30m、パチンコ屋の並び。
そして更に北側出て左側線路沿いに「ラーメン二郎」この店は検索してから行って下さい。
投稿: 名無し | 2008.02.19 03:09
>名無しさま
近いのにあまり行くことができていないのが西武池袋線沿線。ご紹介いただいた桜台あたりにも、ぜひ出かけたいと思っています。どうもありがとうございます。
投稿: hamada | 2008.02.24 19:50