懐かしき黒じょか焼酎 … 焼き鳥「家康(いえやす)」(博多)
久しぶりの博多への出張で、学生時代によく行っていた戦国焼鳥「家康」にやってきています。
瓶ビールとともに注文した焼き鳥は、「福岡流」の、串に刺した肉の間に生玉ねぎがはさまれたスタイル。毎朝7時から、福岡市城南区にある、戦国焼鳥「家康」のセントラルキッチンで、全店舗分を手作りで串刺ししているんだとか。間に玉ねぎが入っているのは、冷凍ものでない証拠でもあるんだそうです。
さぁそして、「家康」と言えばもうひとつ忘れてはならないのが、黒じょか(焼酎を直燗(じかかん)するための酒器)で出される焼酎の湯割り。昔は銘柄なんて書いてなかった(デフォルトで「白波」だった)ように思うのですが、今は芋焼酎が「霧島」と「黒霧島」、麦焼酎が「麦飯石」、米焼酎が「花懐石」、さらに蕎麦焼酎が「そば作」と、5種類の中から選べるようになっていて、それぞれ368円。お湯割りのみならず、ロックやストレートでもらうこともできるようです。
今回は「黒霧島」をお湯割りでもらうことにします。
注文と同時に、焼き台の端っこに置かれる黒じょか。しかしそれも1分程度。すぐにその黒じょかに、壁際の燗づけ器から、焼酎の湯割りが注がれ、「お待たせしました」と出されます。
なるほどなぁ。燗は別につけておいて、それを冷めないように温めた黒じょかに入れて出してくれる、という仕組みなんですね。
昔はもっと大きな黒じょかが常に焼き台の端っこにのっかっていて、お湯割りを注文すると、その黒じょかからコップに注いでくれたような記憶があるのですが、もしかすると、昔からこのスタイルだったのかもなぁ。
でも、この黒じょか1つ(368円)に、コップ2杯分ほどの焼酎が入ってるのはうれしいですね。
さらにもうひとつ、これまた「福岡流」かもしれないのがトン足(210円)です。注文すると、丸1個分の豚足がドンと焼き台の上に置かれて、ゆっくりと塩焼きで焼きあげられていきます。焼きあがったところで、バラバラにさばいて、お皿に盛り、新しいお手拭きとともに出してくれるのです。
新しいお手拭きが出されるのは「どうぞ手づかみで食べてください」ということ。ワシッと手づかみにして、他の塩焼きの焼き鳥同様に、キャベツの酸っぱいタレをつけながらいただきます。
やぁ、この味、この味。豚足はこうでなくっちゃ。
温めたことで皮のあたりの脂分もジュワッと唇にまとわりつきます。それをクイッと焼酎の湯割りで流すのです。
長年、こういう豚足に慣れ親しんできたので、就職してからよその土地で、茹でさました冷たい豚足に酢味噌をつけて食べたときは驚いたものでした。(今では、そのスタイルも好きですが…。)
3階建てのこの店は、各フロアがそれぞれ独立した別の店舗になっているようです。ここ1階が第14号店でカウンターとテーブル席、2階が第15号店でカウンターと座敷席、そして3階が予約専用の第16号店で座敷のみ。ただし、入口は同じなので、まずはみなさんこの店に入ってくる。すると、ねじり鉢巻の店長が「いらっしゃいませー」と挨拶をしながら、人数と希望に応じて1階に招き入れたり、2階に案内したりするのです。
この店長が鼻髭に、低い位置で捩り鉢巻きと、見た目はかなり怖いのですが、次々とやってくるお客さんへの気配りも素晴らしく、実に居心地がいいのです。その店長をサポートしているのは、中国人らしき若い男女ふたり。店長の一所懸命さが彼らにも伝播しているようで、お客さんと接する態度も気持ちいい。
そんな心地よさにどっぷりとひたりながら、黒じょかもおかわりして午後11時過ぎまで。ゆっくりと1時間半ほどの滞在は、ビール大瓶+黒じょか2つに、焼き鳥6本+トン足で1,840円と、お勘定もまた昔のとおり安いのです。
「ありがとうございましたーっ!」 ドーン、ドーン
打ち鳴らされる太鼓の音に見送られながら、店を後にします。思い出として美化されていたわけではなくて、本当にいいお店だったんですねぇ。なんだかとっても嬉しいなぁ。
焼き台の黒じょか / トン足は焼き台で炙って / さばいてくれる
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