今日は普通の切り方で … 「豚の味珍(ぶたのまいちん)」(横浜)
「カシラを、今日は普通のスライスでください」
横浜駅西口・狸小路(たぬきこうじ)にある「豚の味珍(まいちん)」は、醤油ベースの独自の和風ダレでじっくりと煮込み冷ました豚の頭、耳、舌、胃、足、尾の6種(各700円)をつまみに、お酒を飲むことができる人気店。
狸小路を挟んで、それぞれ2階建ての本店と新店(支店)が向かいあうように建っていて、今日は本店の2階に来ています。
料理の仕込などは一括でやっているようで、メニューも同じなのですが、本店と新店、そして1階と2階は、それぞれ独立経営で、それぞれに厨房スペースが付いていて、その場でお勘定をする仕組みです。
店の大きさを具体的な数値で調べてみたことはありませんが、感覚的には新店1階が一番小さくて、本店1階、本店2階、新店2階という順に大きくなっている感じです。本店も新店も、1階はカウンター席のみで、2階になるとテーブル席が加わるのです。
カウンター10席ほど+テーブル1卓(4席)ほどの本店2階は、今日も満席模様。ひとりで切り盛りするベテラン店長(常連さんたちは『キョウさん』と呼ぶ)が、かろうじて空いていたカウンター角の席を指し示してくれます。
この席は、大きなネタケースの裏側にあたるため、最後まで空いていることが多いのです。個人的には、丸のままのネタがじっくりと観察できる上に、静かに飲むことができるので、好きな席です。
その席に腰を落ちつけながら、まずは瓶ビール(今日はアサヒスーパードライ中瓶、500円)と辣白菜(ラーパーツァイ、300円)に、冒頭のカシラ(豚の頭肉)を注文したのでした。
この店で最初にカシラを注文したのは、濱の酒場通・iiさんに連れて来てもらった2年程前のこと。「この食べ方が美味しいんですよ」と、カシラのブツ切りを腐乳(フニュウ、150円)で食べるという方法を教えてもらい、それ以来、カシラといえばブツ切りでいただいていたのでした。
ところが、昨年末頃にやって来たときに、となりのカップルが注文した普通のカシラ(チャーシュー状にスライスしたもの)を見ると、これもまた美味しそう。考えてみると、一度もこの普通の食べ方で食べたことがないことに気がついて、今日は、原点に立ち返って、普通のカシラを注文してみたような次第なのです。
ネタケースの中のカシラは、まるでボーンレスハムのような形をしています。豚の頭あたりのいろんな肉を煮込んで、寄せ集めた状態で、ハムの形に整形されたもののようです。それぞれの肉のすき間は、煮込み汁がゼラチン状に固まったもので埋めつくされていて、薄くスライスすると、その断面にいろんな肉の切り口が現れて、とても美しい。
これを、練りガラシを酢で溶いて、ちょっとラー油を加えたタレにつけていただくと、口の中いっぱいに肉の旨味が広がります。なにしろ煮込み汁のゼラチンが、言ってみれば煮こごりのようなものですからねぇ。しかるのちに、ぐっと噛みしめると、カシラ肉ならではの弾力感が味わえるのです。
うーっ。こりゃ、ヤカンですね。ウーロン茶と一緒にください。
ヤカンというのは焼酎(350円)のこと。銘柄的には、普通の宝焼酎25度なのですが、これがなにやらアラビアンな形をした金属製の水差しで注がれるので、だれ言うともなくヤカンと呼ばれるようになったもののようです。
ウーロン茶は、缶入りのものがそのまま出されて、130円。冷たいのと、温かいのを選ぶことができます。この他に、グラスや氷を別にもらって、焼酎を割って飲んでいる人も多いのです。
私は、焼酎にはカウンター上に置かれている梅シロップを入れて、梅割りとして飲んで、ウーロン茶はチェイサーとしていただきます。
タン(豚の舌)も、いつもはブツ切りでいただいているのですが、これまた標準的なスライスでいただいてみましょうか。
タンは、丸ごとタンの形のままネタケースにスタンバイされていて、注文に応じて、それを2~3個くらい取り出してスライスし、美しく皿に盛り付けてくれます。
こちらもまた、スライスにはスライスなりの美味しさがありますねぇ。
ヤカンをもう1杯いただいて、1時間半ほどの滞在は3,030円でした。どうもごちそうさま。
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