ブドウ・葡萄・ぶどう … バー「ピュアー(PURE)」(野方)
新橋の「三州屋」のあと、それぞれ牛久方面(東京から見て北東)、船橋方面(南東)、横浜方面(南西)に帰るという、見事なまでにバラバラの地域に住んでいる3人と別れ、ひとりでやって来たのは野方(東京から見て北西)のバー「ピュアー」です。
そろそろ日付けが変わろうかという店内は、この近くにお住まいの大常連ご夫妻と、男性ひとり客の3人が歓談中。私もカウンターの手前側に座り、出されたおしぼりで手を拭いながら、飲み物メニューを眺めます。
すでにお腹はいっぱいなので、デザート的な甘い飲み物をいただいたあと、ビシッと強いスピリッツ(蒸留酒)で金曜日を締めくくりますか。
ここ「ピュアー」には、いつも何種類もの果物が置いてあって、その果物を使ったフレッシュ・フルーツ・カクテルをいただくことができるのです。今日はブランデーとブドウを使った細雪(840円)や、ジンとイチゴのストロベリーフィズ(730円)、テキーラとパインのメキシカン(730円)、ウォッカとグレープフルーツのブルドッグ(730円)などが、ホワイトボードの手書きメニューにリストアップされています。
そんな中から「食後に」と注記されている細雪(ささめゆき)を注文すると、カウンター内の果物搾り器で、たっぷりのブドウをギューッと搾って、円錐状に広がった、細長いオシャレなグラスでカクテルを出してくれます。
うわっ。甘ぁーーっ。
完熟したブドウのジュースって、こんなにも甘いんですね。まさにデザートにピッタリです。ブランデーが入っていることを忘れてしまうほど、お酒っぽさを感じません。
お通し(310円)として鴨の燻製を出してくれますが、この甘いカクテルには、つまみは要らないですね。あとで注文する予定のスピリッツ用にとっておきましょう。
このところ寒い日が続いているので、ホワイトボードメニューにもホットカクテルが名を連ねています。定番のホット・バタード・ラム(680円)に、ポートワインやレモンで作るホット・アメリカン・レモネード(580円)、そしれバーボンを温かい牛乳で割ったホット・カウボーイ(680円)です。ホット・カウボーイも美味しそうですねぇ。
さぁ、それじゃいよいよスピリッツをいきますか。今日、ホワイトボードに書き出されているスピリッツは3種類。グラッパ(730円)、キャプテンモルガン(ラム、580円)、ズブロッカ(ウォッカ、480円)です。もちろん、ホワイトボード以外にも、ウイスキーやバーボン、ブランデー、ジン、ラム、テキーラ、ウォッカなどが各種そろっているのですが、今日は最初にブドウのカクテルをいただいたので、ブドウで通しますか。
「グラッパをお願いします」
ブランデーグラスに注いでくれるグラッパは、ブドウの搾りかすを醗酵させたアルコールを蒸留して作った、言ってみればブドウ焼酎のようなもの。ブランデーがブドウそのものを醗酵させて作ったアルコール(=ワイン)を蒸留して、さらに樽で熟成させたりするのと比べると、ずいぶん粗っぽい飲み物なのですが、食事の最後の最後に、ガツンとアルコールを感じたいときにピッタリのお酒でもあるのです。
私がグラッパというお酒を知ったのは、今から10年程前に、仕事でイタリアに行ったときのこと。
往きのアリタリア航空機内で、まわりをイタリア人たちに囲まれながら、けっこう立派な機内食をいただいたのですが、そのときにあれやこれやとワインを飲んだあと、客室乗務員の男性が「イタリアでは食後にこのお酒を飲むんだ。あなたも飲んでみなさい」と注いでくれたのがグラッパだったのです。
いやぁ、それにしても今日のグラッパは、香りの分かりやすいブランデーグラスに注がれていることもあって、一段と強烈に感じますねぇ。
グラッパの香りは、どっちかというとガツンと鼻の奥を刺激するアルコール臭。ブランデーやワインなどのような、ブドウの濃厚な香りはしないのです。作為的に、ブドウっぽい香りを付けているグラッパもあるらしいのですが、個人的にはこういういかにも「ブドウ焼酎!」みたいなグラッパが好きですねぇ。
ゆっくりと1時間ほどくつろいで、今日のお勘定は1,880円。ブランデー+ブドウのカクテルに始まり、グラッパで締めるという、ブドウづくしのバー・タイムでした。
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