店主自ら大衆酒場好き … やきとん「秋元屋(あきもとや)」(野方)
日曜日は「よじあき」(=土日の開店時刻である午後4時に「秋元屋」に行くこと)の予定だったのですが、自宅を出発するのが遅れてしまい、店に着いたのは午後4時半。「今日はダメかなぁ」と思いつつも、店の入口のところにいる店主に「ひとりです」と申告すると、「じゃ、そこのテーブルに相席で入ってください」と、テラス席左側のテーブルを指し示してくれます。
土日は、15席あるコの字カウンターは開店と同時に、開店を待っていたお客さんたちで埋まってしまい、入れないひとり客は、表のテラス席に2卓あるテーブル席(各4人掛け)に入れ込みで座るのです。
今日もテラス右側のテーブル席は、定員を超える5人のひとり客(常連さんたち)が囲んでおり、左側にも男性がふたり座っています。この時期、防寒用のビニールシートがあって、外からは左側のテーブル席に入れないので、常連さんたちが座っているテーブルと、カウンターの後ろ側のすき間を縫うように、奥のテーブル席に入れてもらいます。
開店から30分ほど経っても、焼き台はまだフル操業のようなので、まずは焼き台を使わない料理の、煮込み玉子入りに、飲み物は瓶ビール(サッポロラガー大瓶)をもらってスタートです。
「秋元屋」の焼き台は、4年前の開店当初から現在のサイズで、どんなに客が多くなっても変えていません。焼き方ひとりの気配りが、ちょうど行き届くサイズなんだそうです。
極論すれば、もつ焼きは、豚の臓物などを一口大に切って、串を打って焼くだけ、という単純な料理なのですが、そういう単純な料理だけに、ちょっとした差が大きく結果に響いてくる料理とも言えるようです。仕入れも、下ごしらえも、串打ちも、焼きも、そしてタレも。どこかの手を抜くと、たちまち味の評価となって跳ね返ってくるような、ある意味、怖い料理なのです。
ここ「秋元屋」は、店主自らが、無類の大衆酒場好き、もつ焼き好きで、自分が理想とする酒場を目指して、この店を開店したということもあって、もつ焼きもさることながら、他の料理も、それぞれ大衆酒場好きにはたまらない逸品に仕上がっていて、開店4年にして、すでに「西武線に秋元屋あり」と言われるほどの名店になっているのでした。
志を高くして店をやっていけば、開業数年の新しい酒場であっても、老舗酒場と伍していけるといういい例ではないかと思います。
「焼き物も聞いておきましょうか?」
そう声を掛けてくれるタッちゃん(店を手伝っているおにいさん)に、ガツとテッポウを1本ずつ(各100円)醤油でお願いし、ついでに氷なしの黒ホッピー(三冷黒、380円)ももらいます。
もつ焼きの味つけは、基本的には塩かタレ(塩焼きかタレ焼き)なのですが、ここ「秋元屋」には、操業当時から味噌ダレもあります。これは、店主の修業先だったもつ焼き屋の名物だったのだそうで、開店時にその味噌ダレも受け継いだのだそうです。私の記憶では、最初の頃はもうちょっと甘い味噌ダレだったように思うのですが、今はピリッと辛味も入って、どのもつ焼きにでも合うような味噌ダレになっています。
そして、先ほど注文した「醤油」は、素焼きで焼いたもつ焼きに、最後にさっと醤油をかけて仕上げる焼きかた。ガツやテッポウ、牛ミノなどに、とてもよく合う味つけだと思います。
相席させていただいたみなさんとの話も盛り上がり、気がつけばもう午後6時。超満員の中、1時間半も長っ尻しちゃいましたか。そろそろ腰を上げましょう。お勘定は1,590円でした。
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