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山盛りおでんが四百円 … 大衆酒場「みたかや酒場」(菊川)

おでん盛合せと燗酒


 私の今年の酒場巡りのテーマは「じっくりと」。私自身、お酒はそれほど強いほうではないので、「せっかくこの土地に来たんだから」と、その近くにある、あちこちの酒場を巡ると、どの酒場の印象も希薄になってしまいがちだし、最後のほうの酒場は記憶さえない状態になってしまうのです。それゆえ、最初の1軒に気合いをこめて「じっくりと」、というわけです。

 そんなわけで今日の「じっくりと」は、先ほど行った南砂の「山城屋」だったのですが、この地域に来るともう1軒、行っておきたい酒場がある。酒場詩人・吉田類(よしだ・るい)さんオススメの「みたかや酒場」です。すでに「山城屋」にじっくりと行った後なので、今回は下見程度ということで行ってみましょう。

 「山城屋」のある清洲橋通りを、清澄白河(きよすみしらかわ)方面に向かうこと30分ほど。途中には、それぞれいい感じに鄙(ひな)びた実用洋食の「七福」や、やきとりとお食事の「松屋」、中華洋食の「ことぶき本店」などと、なにやら呑ん兵衛心をくすぐられるようなお店も多くて、「みたかや酒場」に到着する前から、すでに「このあたりも近いうちに再訪しなきゃなぁ」という気分が芽生えてきます。

 目指す「みたかや酒場」に到着したのは、午後7時前。

 紺地(こんじ)に白で「みたかや酒場」と染め抜かれた横長いのれんをくぐって店内に入ると、うなぎの寝床のように細長い店内は、その奥行き方向に細長い変形コの字カウンター(縦の辺がうんと長い)が走り、入口あたりからはよく見えませんが一番奥にテーブル席も(1卓だけ?)あるようです。

 あいにくのみぞれ模様ということもあってか、店内のお客はそれほど多くなく、先客は4~5人ほど。私も、入口近くの男性2人連れと、ひとり客の間、ちょうどカウンターの角のあたりに腰掛けて、まずは燗酒を注文します。

 下町酒場なのでホッピーか酎ハイと行きたいところですが、なにしろシンシンと降る雨(みぞれ混じり)の中を30分近く歩いてきたので、身体が冷えきっているのでした。

 すぐに出された燗酒は、大徳利で500円。お猪口に一杯クゥ~ッと飲んで、人心地つきます。大徳利を両手で包み込むようにすると、冷えた手も暖まっていいですね。

 さて、つまみ。ここに座ってから気がついたことですが、この店のメニューはカウンターの背後の壁などに張り出されていて、それがけっこう店の奥のほうにあるのです。したがって、入口近くのこの席からはちょっと見えにくい。今日のオススメが書き出された黒板も、店の奥のほうにあって、こちらも残念ながら見えにくい状態。料理はだいたい250~600円といったところで、400円台くらいが多いのかな。

 そんな中から、おでん盛り合せ(400円)を注文すると、店主が大きな丸皿に大根、はんぺん、ちくわぶ、玉子、コンニャク、つみれ、昆布に、数種類のさつま揚げなど、10品程度のおでんを盛り合わせて出してくれます。うーん。この量で400円というのは、これまで食べてきたおでんの中でも最安値かも!

 熱々で湯気の立つおでんをつつきながらいただく燗酒のうまいこと。

 店は、さっきおでんをついでくれた物静かな店主と、ニコニコと元気のいい、ふくよかな(失礼!)おかみさんの二人で切り盛りされている様子。ご主人が刺身などの料理を担当し、おかみさんが主として店内の接客などを担当されてるんですね。

 男性常連客の多い下町酒場の常で、常連さんたちから下ネタもばんばん飛び出すのですが、おかみさんはニコニコ笑顔のまま、いったんはその話を受け止めつつも、するり、さらりと話題を切り換えていきます。このワザ(話術)は、実にみごとなものですねぇ。その様子をここで文章で紹介しても、うまくニュアンスが伝わりにくいと思います。ぜひお店で実体験してみてください。

「最後におにぎり(1個200円)をもらおうかな」と入口近くの二人連れ。

「ひとり1個ずつ、2個でいいのね?」

 そう確認したおかみさん、まずは丼にたっぷりと熱々ご飯をついで、それに具を入れたら、手のひらに取って、両手でふんわりと握ります。なにしろ丼いっぱいのご飯なので、おかみさんの両手の中に収まるわけはなく、ちょうど手毬(てまり)を両手で丸めているような状態から、徐々に大きな三角形に整形されていきます。その大きなおにぎりを、それに負けないくらい大きな海苔で巻いたらできあがり。このボリュームで200円は素晴らしいなぁ。シメに注文する人が多い一品なんだそうです。

 このおにぎりにも引かれたものの、今日は10品ほどのおでんで、もう満腹。これ以上、入りそうにありません。1時間ちょっとの滞在は900円。

「雨だから足元気をつけてね」

 と笑顔で見送ってくれるおかみさんとご主人に、「ごちそうさま」と声を掛けつつ店を後にしたのでした。

 今度は、この店にもじっくりとやってきたいですね。でも、おでんのみならず、どの料理も1品あたりのボリュームがけっこうあるようなので、今度は複数人で来たほうがいろいろと楽しめるかもしれませんね。

店情報

《平成20(2008)年2月9日(土)の記録》

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