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酔ってても料理は上手 … もつ焼き「石松(いしまつ)」(中野)

店内の様子


 門前仲町の駅で地下鉄東西線に乗り込み、終点・中野に到着したのは、日付けが変わった午前0時過ぎ。

『この時間帯なら、もしかすると入れるかな』

 と向かった先は、もつ焼きの「石松」です。まわりの店はすでに閉店し、後片付けも終えている状態の中、「石松」の灯りだけが煌々と……、と言いたいところですが、「石松」はふだんの営業時間中も、店の外には照明は灯っておらず、焼き台の窓が開いているかどうかしない限り、開いてるのか開いてないのかもわからないような状態。まわりの灯りが消えた、この時間でも、近くに寄ってみるまで開いてるのかどうかのの確認ができないのです。

 やぁ、開いてる開いてる。でも席が空いてない。カウンターの中の補助席にまで、お客さんが座っている状態です。さすがですねぇ。この時間帯でも、いっぱいだったか!

「いいですよ。ここに入ってください。私が中に入りますから」

 と、席を譲ってくれるのはクマさんです。

「えっ。そんな。悪いですから…。私、後ろに立って飲みます」と遠慮しますが、

「いやいや。今日はマスターも気持ちよく酔ってらっしゃるので、そろそろ手伝いに入らないといけないんですよ」とクマさん。

 へっ? と見ると、キープのキンミヤ・ボトルを出してくれつつ、「何で飲む?」と聞いてくれるマスターの目はとろりんと、かなりすわり気味。ほんとだ。けっこう飲んだんですねぇ!

 ときどき「どんなお店が好きですか?」と聞かれることがあって、「店主の一所懸命さがビンビンと伝わってくるようなお店です」と答えることが多いのです。

 ひるがえって「石松」。「明日は営業?」と聞いても「うーん。まだ分かんない」。夕方、近くの飲み屋でバッタリと会って、「今日はお休みなんですか?」と聞くと、「このあと、気が向いたら開けるかも……」と、なんだか全然やる気がなかったりします。

 ところが、このマスターが作る料理がうまいときたから困ったもんなのです。

 事前の仕込みがめんどくさいから、その場で大きな塊から切り出して下ごしらえをして焼くようになったと思われるもつ焼きも、逆にその鮮度ゆえの美味しさが、この店の大きな特長となって輝いているし、気分が乗ったときにしか作らないもつ煮込みも、それゆえにいつ食べられるか分からない「幻の煮込み」として賞賛されているのです。

 黒ホッピー(ソト)をもらって、キンミヤを割って飲み始めると、まず出されたお通しはコブクロ刺しです。このコブクロ刺しからして、とても酔っ払って作ったとは思えないよなぁ。

 カウンターの中で、ゆらゆらと揺れながら支度をしているマスターに、「今、何を作ってるんですか?」と聞いてみると、「これ? これはハツの脂(あぶら)のところ。いる?」という返事。さっそく便乗注文して、私もはじめて食べる「ハツの脂のところ」をもらいます。

 筋肉だけかと思っていたハツ(心臓)にも、脂の部分があるというのも驚きですねぇ。取れる量も少ないのか、肉だけではなくて間にシシトウを挟んで焼かれます。

 続いては、これまた便乗注文でタン塩。酔ってても焼き加減や、味付けがちっとも狂わない(ように私には思える)のも素晴らしいところ。タンの焼きあがりも絶妙です。

 しかし、さすがに酔ってるだけあって、なんだかマスターの動きが遅いのです。ゆっくりと下ごしらえして、ハツの脂を食べてから、次のタン塩に至るまでが、約30分。すでに午前1時を回りました。この時間でも、店内が満席近い状態なのは、ゆっくり、ゆっくりと出てくるもつ焼きを、お客さんたちもじっと待ってるからなんですね。

 こんな時間なのに予約の電話まで掛かってきて、やってきたのは、大常連の藻塩(もしお)さんことSさんです。お久しぶりです。Sさんがレバ刺しを注文したところに便乗して、私もレバたれを注文します。

 そしてまたまた待つこと約30分。別に何もしないで待ってるわけではなくて、カウンターの中で洗い物をしているクマさんや、Sさんや、他のお客さんたちと話をしながら飲んでるので、30分なんてすぐに過ぎちゃうのです。(もし腹が減ってる人だったら、待てないかもねー。)

 このレバたれが、これまた絶妙のプリプリ感を残した焼き上がりなのです。なんで酔っててもこの状態に仕上げられるんだろう。串に刺して焼いてるレバの内側が見通せてるに違いない。

 本当は、もうちょっと「石松」のもつ焼きを食べたかったのですが、次をたのむとまた30分ほどかかるので、今日は断念。午前2時過ぎまで、2時間ほどの滞在は、お通しのコブクロ刺しと、ホッピー(ソト)、もつ焼きが3本で800円でした。

 ま、こんな感じで、儲けようなんて気はまったく感じられず、ときには今日のように酔っ払って店をやったりするマスターですが、その人がらと、天才的な料理のうまさに引かれて、私も含めて、大勢の「石松」ファンがやって来るのでした。

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コブクロ刺し / ハツの脂のところ / タン塩 / レバたれ

店情報前回

《平成20(2008)年3月15日(土)の記録》

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 「路傍」を出て、さらに中野5丁目の深部へ。そろそろ早稲田通りに出るかというあたりにあるのが、もつ焼きの「石松」です。  カウンター7席だけの小さな店内は、水曜・午後10時40分のこの時間帯も、まだほぼ満席ですが、一番入口のところが空いていて、そこに入ることができました。  ちょっと喉も渇いたので久しぶりに瓶ビール(サッポロ黒ラベル中瓶、500円)からスタートすると、お通しは、さっと炙った牛ハツの... [続きを読む]

受信: 2008.06.15 09:24

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