飲めや歌えの辰巳新道 … スナック「エコー」(門前仲町)
「東京古典酒場」第4弾(2008年4月10日発売)の座談会の流れで、座談会出席者5人で門前仲町にやってきています。牛もつ煮込みの「大坂屋」、『チューハイ1発!』と元気のいい「だるま」を経て、次に向かったのは「だるま」の筋向かいにある、古い酒場街、辰巳(たつみ)新道のスナック「エコー」です。
「あら、いらっしゃい。久しぶりねぇ、元気だった」
ほぼ1年ぶりにやってきたのに、まるで昨日のことのように迎えてくれるママさん。いつ来ても、前とちっとも変わらない人がいて、ちっとも変わらない酒があって。
「前のキープが残ってるわよ」
ありゃ。本当にちっとも変わらない、去年のキープボトル(いいちこ)まで残ってました。
スナックというのも、おもしろい業態で、飲み物は瓶ビールか、ボトルキープの焼酎かウイスキー。そして、たいていの場合はメニューはなくて、座って飲んでるとチマチマと乾きものなどが出てくる。お腹がすいてるときは、そう伝えれば、焼きそばを作ってくれたり、玉子焼きを作ってくれたりと融通もきく。
ほとんどのスナックにカラオケ装置が置かれていて、歌が途切れることがないくらいの店も多いようです。
そしてお勘定は、ある意味、不明朗会計ながら、地域によってほぼ相場は決まっていて、一人あたり3千円から5千円くらいのところが多いかな。店におねえさんがいたり、たのんでもないのにフルーツの盛り合せが出てくるタイプのお店の場合は、安くても一人あたり8千円くらいから、という感じでしょうか。かなり不明朗ながら、驚くほど高くもないというのも、スナックという業態が継続している理由のひとつだろうと思います。
今日のメンバーは、みなさんそれぞれ酒場に関する情報をネット上に発信している人たちだけあって、辰巳新道の成り立ちなどに関しても興味津々。
東京大空襲で、ほとんど更地の状態になったこの界隈では、大通り沿いに次々に露店が展開していって、闇市が形成されてきました。その後、区画整理で立ち退かないといけなくなった露店のために、この地域の材木屋さんが、土地を提供してくれたのだそうです。
これが辰巳新道の始まりで、昭和28(1953)年のこと。それ以来、55年の歴史を刻んでいるのです。隠れ家にやって来たように感じる、横丁の風情がいいんですよねぇ。
ひとしきり話も伺ったところで、「いいちこ」の新しいボトルを入れて、飲めや歌えの大騒ぎ。そんなみんなの様子を見ながら、ママさんがちょいとギンナンを炙ってくれたりします。まさに正しきスナックの姿ですねぇ。
「そろそろ電車がなくなりそう!」
と腰を上げたのは午後11時半。お勘定は5人でちょうど1万円(ひとりあたり2千円)にしてくれました。あまり来れないのに、いつもどうもありがとうございます。>ママさん
ご一緒させていただいたみなさんのサイトは、次のとおりです。(五十音順)
・「橋本健二の居酒屋考現学」
・「やなちゃんの大阪一人酒の日々」
・「酔わせて下町」
・「Y-TABEのレミング2」
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