最初のホッピー短冊! … 大衆酒場「河本(かわもと)」(木場)
都内での仕事を終えて、木場の「河本」にやって来たのは午後6時前。平日(木曜日)だし、今日はシトシトと雨模様だったこともあってか、「河本」の店内はとても静かで、先客は4人ほどしか居ません。こんな「河本」も珍しいですよねぇ。
まずはいつものようにホッピー(300円)と、煮込みの玉子入り(300円)をもらって飲み始めます。おろっ。しばらく来ない間に、煮込みは300円に値上がりしたんですね。ちなみに煮込みの玉子入り(ニコタマ)は、実は正式なメニューにはない隠れメニューですので、こっそりと注文しましょうね。
それにしても平日の「河本」に来るのは、本当に久しぶり。平日は、かけじょうゆ(まぐろ)や、しめさば、ホタルイカなどの刺身類があるのがうれしいところ。ニコタマに続いて、さっそくそのホタルイカ(400円)をいただくと、ぷくんと美味しそうに膨らんだホタルイカが、丸いお皿にずらりと12ハイ!
口の中にホタルイカの濃厚な味わいが広がったところで、グビッとホッピーです。うーん。ここのホッピーは本当においしいんですよねぇ。
私の中でのホッピー・ランキングの二大巨頭は、ここ「河本」と、横浜の「ホッピー仙人」。両者とも、氷なしで、決められた量の焼酎に、瓶入りホッピーを1本入れるという、非常に基本に忠実なスタイル。この基本の作り方が、やっぱり一番おいしいように思います。
「ここのホッピーは冷やし方も違うからね」と向うに座る常連さんが教えてくれます。焼酎は床に置かれた水冷の冷蔵庫で、ホッピーは壁際にある普通の冷蔵庫で冷やしてるんだそうです。「よそで飲むホッピーは冷え過ぎてることが多いよね」と常連さん。
そういえば「ホッピー仙人」でも、冷蔵庫の中で冷やす段を変えるくらい、温度管理には気を配っています。ホッピーを一番おいしく感じる温度というのがあるんでしょうね。
「この店は、いつからホッピーを出してるんですか?」と聞いてみたところ、
「うちは昭和23(1948)年から。その頃はホッピーが60円、煮込みは20円だったわね」
と事もなげに答える女将の真寿美さん。昭和23年といえば、ホッピーが発売された年ではありませんか!
「そうなのよ。たまたま日本橋の酒屋さんがホッピーを扱うようになってね。うちにも入れるようになったのよ。あの隅にあるポスターがその頃のものなんですって。ホッピーの社長さんも、ここにいらしたときには懐かしそうに見てるわよ」
そう教えられて見た先には、たしかにいかにも古そうな(失礼!)ホッピー短冊が貼られています。マジックで現在の価格(300円)が記入されているものの、まわりの絵柄はとってもシンプル。なるほどなぁ。これが最初のホッピー短冊ですか。
それにしても、「河本」と言えばホッピーという強烈なイメージがあるんですが、昭和7(1932)年の創業当時から、昭和23年にホッピーが発売されるまでの16年間は、ホッピーはなかったわけですよねぇ。その時代の「河本」はどんな酒場だったんだろうなぁ。それも気になったりします。
さてと、次は何をもらおかな。あれっ。まだおでん(300円)もあるんですか?
「今年のおでんは明日までよ」と真寿美さん。
なんとなんと。そうなると今期最後のおでんをいただいておかないといけないですねぇ。
「じゃ、おでんを、おまかせでお願いします」
おでん鍋から、ちくわぶ、がんもどき、大根、しらたき、つみれ、の5つがお皿に盛り付けられます。これで300円というのも驚きです。あぁー、うまいなぁ。
「そういえば、のれんが変わったんですってね。これが新しいのれん?」
「お客さんが生地(きじ)を買ってきてくれてね。あんちゃん(真寿美さんの弟さん)が正月休みに作ったのよ」と真寿美さん。
「今日は、なんで店の中にあるんですか? 雨だから、新しいのれんが濡れないようにしてるの?」
「立派な生地だから、雨に濡れるとすごく重くなるのよ。アハハ」
なるほど! 雨で汚さないというんじゃなくて、重くなって出し入れがしにくくなる、というのがその理由だったんですね!
7時過ぎまで、1時間強の滞在は1,600円でした。どうもごちそうさま。
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