3週目のクリーム帆立 … 酒亭「善知鳥(うとう)」(阿佐ヶ谷)
「今日のクリーム漬け帆立は漬け込んで3週間のものです」
コクのある美味しい燗酒をいただきながら、肴(さかな)を選んでいると、店主の今(こん)さんから、そう声がかかります。ぜひそのクリーム漬け帆立をいただきましょう!
クリーム漬け帆立は、生の帆立の貝柱を、卵黄と油に浸け込んで、3~4週間ほど寝かしたものなんだそうで、見た目は小皿に盛られたポテトサラダといった感じ。添えられた黒七味をちょっと振りかけていただくと、濃厚な帆立の旨みが口の中いっぱいに広がって、燗酒と合うこと合うこと。
ここ「善知鳥」は珍味類や、青森の名物料理を軸として、日本酒を美味しくいただくための料理がずらり並んでいるのが大きな特長のひとつ。カウンター内の壁に張り出されたメニューを紹介すると、
ズワイ内子(ズワイ蟹の卵の塩辛)、生カラスミ(干した物ではありません)、タラバ内子(タラバ蟹の卵の塩辛)、莫久来(ばくらい。ホヤとコノワタの和え物)、くちこ(干しこのこ。ナマコ卵巣の干物)、海鼠腸(このわた。ナマコ腸の塩辛)、エビ味噌(1日3名様限定)、烏賊ゴロ(イカの腸のみの塩辛)、苦ウルカ(鮎の腸のみの塩辛)、つぶウニ(甘塩漬け。アルコール未使用)、焼きカゼ(青森で焼きウニのこと)、フジツボ(カニやエビと同じ甲殻類)、
梅水晶(鮫軟骨とトビコの梅肉和え)、メフン(鮭の血合いの塩辛)、鮑酒盗(刻んだ鮑とカツオの腸を漬けたもの)、白作り(白酒や魚醤で漬けた塩辛)、沖漬け(ホタルイカ)、黒作り(イカ墨で漬けた塩辛)、牡蠣塩辛(下北産カキ使用)、ホヤ塩辛(むつ湾産赤ホヤ使用)、白魚塩辛(小川原湖産白魚使用)、鯖昆布〆、鮭飯寿し(サケをもち米で漬けた物)、鰊切込み(ニシンを米と麹で漬けた物)、
嶺岡豆腐、あけがらし、冷トマト、川のり(1日4名様限定)、大山豆腐(1日4名様限定)、塩納豆、ポテトサラダ、霜降桜刺(南部駒使用)、白モツ煮(八甲田牛モツ使用)、青森おでん(青森市の名物。生姜味噌ダレで)、煎餅汁(南部地方の郷土料理。南部煎餅と色々な野菜、山芋と肉等の煮物)、にんにくカレー(田子ニンニク使用。丸ごとニンニク入り)
という合計36品。これらの他に、メニューには載っていないクリーム漬け帆立なども置いている奥深さなのです。自家製のものが多いようなので、食べごろになるのを見計らってメニューに載せるんでしょうね。
今日、最初にいただいたお酒は「天穏」の純米酒。「燗の温度を上げて、このお酒の持つ苦みを出してみました」と言いながら出してくれます。苦味と旨味は、舌の上では同じような辺りが担当しているらしくて、ちょっとした苦味があると、旨味もまた感じやすくなるようなのです。
その「天穏」に合わせる今日のお通しは、湯葉の煮物。小さな舟型の器で出されます。
2本目として「燗酒で、同じくらいコクがあるものを」とお願いすると、出してくれた日本酒は、「喜久酔」の生酒です。っくぅ~っ。効くなぁ。
そして、この2本目となる燗の生酒に合わせたつまみが、冒頭のクリーム漬け帆立だったのでした。
2時間ほど燗酒を楽しんで、今日は2,200円でした。どうもごちそうさま!
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