ここが牛乳割の元祖? … やきとん「高木(たかぎ)」(西巣鴨)
門前仲町から、地下鉄大江戸線、三田線と乗り継いで、やってきたのは西巣鴨にある大正11(1922)年創業の老舗やきとん屋、「高木」です。
明治通りに面して、木製の引き戸が6枚並ぶ入口には、入口いっぱいの横幅で「やきとん」と書かれた大きなのれんがかかっています。
「どの引き戸を開ければいいんだろう?」と一瞬迷いながらも、まん中あたりの引き戸を開けて店内へ。店内は左手にコの字型(コの下側が入口)のカウンターがあり、右手壁際には4人掛けテーブル席がずらりと並んでいます。
土曜日、午後8時過ぎの店内はテーブル席はほぼ満席ながら、カウンター席はゆったり気味。そんなカウンターの一角に陣取って、焼酎(250円)と牛乳(170円)をもらいます。
今では比較的ポピュラーな飲み物になった焼酎の牛乳割りですが、私が知っている限り、元祖はこのお店ではないかと思います。今から50年ほど前に、あるお客さんから「焼酎と一緒に牛乳を出してくれ」という注文があって、牛乳を置くようになったのだそうです。
冷蔵庫で冷された焼酎(25度のもの)が1合のグラスにたっぷりと注がれ、それとは別に瓶入りの牛乳と、空の1合グラスが出されます。この空のグラスのほうで、自分の好きな割り合いで焼酎と牛乳を混ぜ合わせるのです。
こうやって飲むと、牛乳のコクに誤魔化されてしまうのか、焼酎の強さをほとんど感じません。気が付かないうちに酔っているという、とっても危ない飲み物なのです。
つまみのほうは、まずはこの店の名物のひとつ、豚煮込みをもらいます。煮込みは1杯が430円、半杯が220円。今日は後からやきとんも食べたいので、半杯のほうにしておきましょう。
豚煮込みは、カウンター内の大鍋で煮込まれていて、その内容はテッポウ(直腸)を主体とした豚の腸のみ。味噌をベースとした味付けです。カウンター上には、そこここに刻み玉ねぎがたっぷりと入った丼が置かれていて、豚煮込みの上に、自分が好きなだけ玉ねぎをかけていただくのです。トロトロととっても軟らかく煮込まれたテッポウと、シャキッとした玉ねぎの食感がいいバランスです。
この店に前に来たのは平成15(2003)年のこと。そのころ、この店で出してたのは、牛のシマチョウ(直腸)の煮込みで、ものすごく弾力のある食感が絶品だったのです。しかし、同年末に米国初のBSEが確認され、日本でも米国産牛肉の輸入差し止めをしたりしたことを受けて、豚の煮込みに切り替えたのだそうです。
お店の側からすると、煮込みに9時間半を要していた牛に比べ、豚は2時間で煮込めてしまうので、ずいぶん楽にはなったのだそうですが、やはり牛のあの食感にはかなわないところもありますねぇ。この店の大きな名物だっただけに、残念です。
焼酎と牛乳のセット。残しておいた半分ずつで2杯目の牛乳割りを作り、つまみはいよいよやきとんです。やきとんは1本が110円。1本ずつ注文できます。今日はアブラとタンハツ、コブクロを塩焼で1本ずついただきます。タンとハツではなくて、それらを混ぜ合わせたタンハツになっているところが面白いですね。
店は、昭和5年生まれの二代目店主・高木陽三さんと、三代目となる息子さん。そして、それを手伝う男女2~3人で切り盛りしており、カウンター中央部にある焼き場は三代目が担当します。
やきとん、煮込み以外にも、お新香や、冷やしトマト、生かぶみそ、枝豆、冷奴などのサイドメニューが14種類ほど、それぞれ230~330円で用意されています。
1時間ほど楽しんで、今日は970円でした。どうもごちそうさま。
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