ちょうど創業60周年 … 酒寮「さいき」(恵比寿)
「おかえりなさぁ~いっ!」
恵比寿にある酒寮「さいき」の入口引き戸を開けると、今日も元気な声で迎えてくれます。金曜日の夜とあって店内は満席模様ですが、カウンター中央部に一人分の空きがあり、そこに入れてもらうことができました。
まずは瓶ビール(サッポロ黒ラベル大瓶、700円)をもらうと、今日のお決まりお通し3品セット(1,300円)は平政刺、稚貝酒蒸し、ロールキャベツの3品です。お通し3品は、けっこうボリュームもあって、普通に飲んでる分には、これだけで十分なほどです。
昭和23(1948)年創業の「さいき」は、今年でちょうど創業60年。この建物自体も、創業の翌年、昭和24年の築だそうですから素晴らしい。恵比寿もどんどん都会化してきて、まわりの店が次々と変わっていく中、60年間変わらず愛され続けるというのはすごいことだと思います。
お客さんたちは、年配の常連さんたちももちろん多いのですが、三十代後半くらいの若い常連さんたちもいるのが頼もしいですよねぇ。常連さんたちは店主の那(くに)さんとの会話を楽しむために、カウンター内に置かれた那さんの椅子に近い、カウンターの入口付近に座りたがります。
もちろん料理も美味しいのですが、カウンターをはさんで交わされる、那さんと常連さんたちとの丁々発止のやり取りが本当におもしろくて、一番の酒の肴になるのです。
ビールを飲みおえたところで、今度は「一ノ蔵」を燗でもらい、つまみは串カツ(450円)を追加します。
昔から、多くの作家が通った店としても有名で、現在も立松和平(たてまつ・わへい)さんや、我らが太田和彦(おおた・かずひこ)さんたちがやってくるお店でもあります。今日も、立松和平さんが、奥様とともにやって来られて、ふたつくらい横のカウンター席で飲みはじめます。花見の帰りなんだそうです。
私のほうは、今度は同じ「一ノ蔵」を凍結酒でいただきます。これは「一ノ蔵」を、一升瓶のまま冷凍庫で凍らせたもので、シャカシャカとグラスに山盛りまで注いでくれます。こうやっていただく日本酒は、まるでアルコールっ気を感じることなく、シャーベットのように気持ちよく飲めて(食べれて?)しまうのです。もちろん後からガッツリと効くことは言うまでもありません。気をつけて飲まなきゃね。
毎日のメニューは、カウンター奥の黒板に書き出されます。今日は鯨竜田揚げ1,200、鯨ベーコン1,200、エイヒレ煮付け850、エボ鯛干物950、レバ炒め850、ヤリイカセロリ炒め850、関鯖開焼900、子持ちシシャモ800、小肌750、海老しんじょう揚げ850、カキフライ850、串カツ450、砂肝唐揚650、カニクリームコロッケ700、平政あら煮900、ヤリイカ煮付け750、あじフライ450、真子がれい一夜干し650、キャベツ炒め600、湯どうふ700、冷奴650、タコキムチ600など。その他に、短冊で張り出される定番メニューとして、らっきょう650、トマト400、だし巻き玉子650、銀杏800、お新香450、うど酢味噌750などが並びます。
もう1杯、凍結酒をいただいて、午後10時半まで、2時間ちょっとの滞在は、3,800円。預けておいたカバンを出してくれたおねえさん(ユリさん)に、
「行ってらっしゃぁ~いっ!」
と見送られながら、駅へと向かったのでした。うーむ。そろそろ凍結酒が効きはじめたかな。
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