昼前から楽しむ鯉と鰻 … 大衆酒場「まるます家(まるますや)」(赤羽)
長男(中学3年生)の参観日で板橋方面に出かけ、そのまま保護者会に出席するというカミサンを残し、ひとり赤羽に向かいます。赤羽に到着したのは午前11時半。まだ午前中なのに飲めるというのが赤羽のすごいところですねぇ!
向かったのは、赤羽駅近くにある鯉とうなぎの「まるます家」です。この店は朝9時からの営業で、しかも月曜(月曜が祝日の場合は翌火曜)定休とあって、土日祝日でも平日と変わることなく朝から飲める(食事もできる)大衆酒場なのです。
うーむ。朝から開けてる店も店ならば、この時間帯でもほぼ満席という、この地域の呑ん兵衛さんたちも素晴らしい。魚心あれば水心と言いますが、まさにこうやって朝から飲みに来てくれるお客さんが大勢いて、朝から開いてる店があるという、どっちが鶏(にわとり)で、どっちが玉子かは分かりませんが、呑ん兵衛にとっての好循環(なのか!?)スパイラルができあがってるんですね。
かろうじて空いていた、Wコの字カウンターの手前側角に座り、まずは瓶ビール(サッポロラガー大瓶、500円)と、名物の鯉のあらい(400円)、そしてエビステーキカツ(400円)を注文します。
すぐに出されるのは鯉のあらい。とても美しいピンクの身を一切れとって、酢味噌につけていただくと、シャッキリといい歯応えだこと!
看板メニューの鯉料理は、ほかにも鯉こく(みそ汁、300円)、鯉生刺(600円)、鯉のうま煮(650円)があります。
そしてエビステーキカツ。名前が豪華な割りに、値段が400円と安いこの一品は、小さな海老の身をギュッと集めて、厚さ1センチ程度、長さは丸いお皿にちょうど載るくらいの長方形に整形して、パン粉をつけてカツにしたもの。揚げあがってから食べやすいように5分割し、キャベツの千切りと練り辛子、マヨネーズを添えて出してくれます。熱々のうちに、ウスターソースをかけていただくのが美味しいんですよねぇ。
まだお昼前だというのに、店内にはすっかりできあがっているおじさんたちもたくさんいて、夜の大衆酒場とほとんど変わりはありません。しかも、お客さんも途切れることがなく、いまや入口あたりで空席待ちをしている人たちもいる状況です。
私の隣にいたおじさんがお勘定をして席を立つと、次に待っているお客さんはふたり連れ。
「はい、お待ちはおふたりさんね。んーと、どうしようかな…」
と店内を見渡すおかあさん。パッと見渡すと、私の隣のほかに、Wコの字カウンターのまん中も1席空いている状態です。ということは私があそこに移れば、次に待ってるふたり連れがここに座れるってことですね。
「じゃ、私が向こうに移りましょう」
とおかあさんに声をかけると、
「すみません。ありがとうございます。じゃ、おふたりさんここへどうぞ」
そう言いながら、コップやお皿などを移してくれます。新しい場所で瓶ビール(サッポロラガー大瓶、500円)をおかわりし、つまみにはカルシウム(うなぎの中骨、350円)を追加します。
こうやって、席を譲りあったりしながら飲むのも大衆酒場らしいところでしょうか。私だけではなくて、あちこちで自主的に席をずれたり、ひとり客の人が別の場所に移ったりしながら、待ってる人たちみんなが早く楽しめる状況を作り出しているのです。だから、この店には中途半端にあいてる空席が少ないんですね。このあたりも名店と言われる所以(ゆえん)ではないでしょうか。
1時間ほどの滞在は2,150円でした。どうもごちそうさま。
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コメント
赤羽は昔工場が多く、夜勤帰りの工員さんたちが仕事帰りに一杯やれるように早朝から店が開いていたようです。
飲みつぶれて玄関先で寝込んでしまったお父さんを叱責する
おかみさんの声なんかも、珍しくはなかったと、赤羽根育ちの同僚は言っております。
ですから始めからちゃんと早朝需要があり、それをよしとする飲兵衛が他の地域からも集まり始め、工場が移転し仕事帰りのお父さんたちがいなくなっても、早朝開店が残ったという事でしょうか。
投稿: くら | 2008.08.08 16:21