今夜は中野でハシゴ酒 … 「北国」「石松」(中野)
金曜日。都内での仕事を終えて中野で途中下車。午後6時過ぎのこの時間は、まだとても明るくて、まるで昼間の続きのようです。そんな明るい街なかを歩いて、南口の路地の中にある昭和32(1957)年創業の老舗酒場、「北国」にやってきました。
午後6時が開店時刻の「北国」は、少し前に開いたばかり。それでも店内は、毎日やってくる常連さんたちで半分くらいは埋まっています。
去年まで店を手伝っていた、女将さんの姪(めい)のユミさんが、今年から手伝うのをやめたので、店は女将さんひとりで切り盛りという状態ではありますが、そのユミさんが、
「他人じゃないんだから、忙しいときにはほっとけないじゃない」
と言いながら、ほぼ毎日のようにお客さんとしてやって来られて、女将さんが大変そうなときにはちょっとサポートしたりしてくれるのです。今日もカウンターの奥のほうにユミさんご夫婦の姿が見えます。女将さんがややご高齢なだけに、ユミさんも心配なんでしょうね。
カウンターの一角に腰を下ろして、まずは瓶ビール(キリン一番搾り大瓶)をもらうと、お通しには削り節がたっぷりとのった冷奴が出されます。
子供の頃は豆腐は、味がないように感じて、あまり好きではなかったのですが、大人になって酒を飲むようになるにつれ大好物に変身していきました。飲み始めの一品として豆腐が出されると、これだけで立派なつまみにもなるし、お腹にもやさしいしで、まったく言うことなしの肴(さかな)です。
しばらく飲むうちに、カウンター席は満席になってきました。
となりのお客さんから、小田原あじ(400円)の注文が入ったので、私もその小田原あじを便乗注文します。小田原あじは、小田原沖で3月から6月ごろに水揚げされるあじなのだそうで、小田原あじという特別な名称がつくほど美味しいあじなんだそうです。
開いたアジが2枚、熱々で焼きあがってきたところで、飲み物はウイスキー(サントリー・ホワイト)の水割りに切り替えます。ここの水割りには、半月状のレモンスライスが1杯ごとに1個ずつ入れられて、レモンスライスの枚数で何杯飲んだかわかるようになっているのです。
2時間弱の間に、大瓶ビールとウイスキーの水割りを2杯いただいて、今日は2,150円でした。どうもごちそうさま。
◆ ◆ ◆
「北国」を出て、今度は中野駅の北口側に飲み屋街に入り、向かった先はもつ焼きの「石松」です。午後8時過ぎという「石松」にとっては早い時間帯でありながらも、金曜日ということもあってか、すでに店内はほぼ満席で、見知った顔もちらりほらり。
キープしているキンミヤ焼酎をお茶割りで飲み始めると、すぐに出されたお通しは牛ハツの刺身です。
「石松」の店主(マスター)は、このところ牛ハツにはまっているらしく、お通しにも牛ハツが出されることが多いのです。しかし、さすがに店主が力を入れているだけあって、この赤身の美しさはどうですか! 6枚並んだ刺身のすべてが、同じ色、同じ肉質で、プリリとその色艶を誇っています。ックゥ~ッ、うまいっ!
その牛ハツの炙りも作るということで、それにも便乗です。牛ハツの炙りは、ある程度大きなかたまりのままの牛ハツを、そのまま炭火で炙って、それをスライスしたもの。生とはまた違った、炙りならではの食感が楽しめるのです。
さらには定番の牛ミノや、最近「秋元屋」でも出されるようになった“カシラのアブラ”の元祖・石松版ももらいます。
入口側に座っている大常連のSさんが、店の奥のトイレに行くついでに、
「今日はクリカラ焼き(230円))があるようなので、絶対に食べたほうがいいですよ。塩もタレも、うまいです!」
と教えてくれます。それはぜひいただかなければなりますまい。塩とタレで1本ずつお願いします。
クリカラ焼きは、ウナギの身を皮ごと縦にさいて、くねくねとうねるように串に刺して焼き上げたもの。この形が、倶利迦羅龍王(くりからりゅうおう)という竜が、剣に巻きついている様子に似ているのでクリカラ焼きと呼ばれるんだそうです。
もしかすると「石松」の店主には、串に刺された肉の中が見えてるんじゃないかと思うくらい絶妙な焼き加減の「石松」のもつ焼きですが、このクリカラ焼きもそれとまったく同様で、まさに絶妙な火の通り具合です。たしかにこれは美味しいや!
見知ったみなさんたちとワイワイと過ごすうちに、気がつけば10時前。明日も飲み会の予定なので、今日はこのくらいで切り上げますか。どうもごちそうさま。お勘定は1,080円でした。
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