幻の?居酒屋名店三昧 … 大衆酒場「河本(かわもと)」(木場)
木場の「河本」は昭和7(1932)年の創業。現在の建物は終戦後、昭和21年に建てられたもので、今年で築62年となります。コの字カウンターのみ15席分ほどの店内を切り盛りするのは女将の真寿美さんと、その弟さんで通称“あんちゃん”の二人です。最寄り駅からも近くなく、ほとんどの人が素通りしてしまいそうな目立ちにくい立地に加えて、午後4時から8時までの、たった4時間しか営業しないにも関わらず、営業時間中はいつも満席状態が続く人気店です。
ほとんどの客が注文するホッピー(400円)は、その発売が開始された昭和23年から取り扱っているのだそうで、まさに元祖中の元祖。キンミヤ焼酎は水冷で冷やし、瓶入りホッピーは普通の冷蔵庫で冷やすというこだわりが、絶妙の美味しさを生み出します。これまた名物である煮込み(300円)との組み合わせがベストマッチで、もつ(腸)の裏側にたっぷりとついたフルフルゆれる脂肪がたまりません。それ以外にも、品数は少ないながらも、かけじょうゆ(マグロぶつ、400円)や、やっこさん(小100円、大200円)のほか、冬場のおでん(300円)と、呑ん兵衛好みする肴が並んでいるのです。
毎日のようにやってくる常連さんたち同士の、毒舌の効いた軽妙なやり取りもまた、この店の名物のひとつ。テレビもない店内ながら、まったく退屈することもありません。気をつけないといけないのは、すいすいと飲みやすいホッピーが実によく効くということ。ふと気が付くとすっかり酩酊の世界に突入しているということもしばしばなのでした。
もしも「東京 居酒屋名店三昧」に、「河本」の記事を載せることができたら、こんな感じの紹介をさせていただきたかったですねぇ。残念ながら「河本」は、あんちゃんから「これ以上お客さんが増えたら、常連さんたちに迷惑がかかる」というお話があり、取材(カメラマンによる撮影や、メニュー取材等)はNG。記事を載せることもできなかったのでした。
そのかわり、改めて取材する必要がない「ひとり呑み」には、ここ「河本」の記事も載せさせていただいて、今日はお店にも1冊献本。あんちゃんに、ニッコリと受け取ってもらえて一安心です。
今日は吉田類(よしだ・るい)さん、「TOKIO古典酒場」の倉嶋編集長とともに、門前仲町の「大坂屋」で飲んだあと、2軒目として、ここ「河本」にやってきたのでした。
店に着いたのは午後7時前。閉店まであと1時間しかないものの、店内はまだまだ満席模様。みんながちょっとずつずれてくれたりして、なんとか3人で並んで着席し、ホッピー(400円)で乾杯し、かけじょうゆ(400円)に、やっこさん小(100円)です。
以前、この近くに住んでいた類さんには、まわりの常連さんたちからも「類ちゃん」「類ちゃん」と声がかかります。類さんも、久しぶりに会う常連さんたちとの話に大忙しです。
最後に黒ホッピー(400円)を1杯ずつもらって、約1時間の滞在は3人で2,900円(ひとりあたり970円ほど)でした。どうもごちそうさま。
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