丸い氷でオンザロック … バー「エンジェル(ANGEL)」(都立家政)
「氷がもったいないから、同じものをおかわりとおっしゃる方が多いんですよ」
と、ニッコリと微笑むのは都立家政にあるバー「エンジェル」の店長兼女性バーテンダー。
図星。まさにそのとおりの理由で、私も2杯目となるマッカラン12年(800円)のオン・ザ・ロックをお願いしたのでした。その2杯目のロックを作ってくれながら出たのが、冒頭のセリフです。
この店のロック・アイスは、店長自ら手作りした、まん丸アイス。
ロック・グラスの内径とほぼ同じ大きさの、まん丸ロック・アイスを1個、コロリとグラスに入れて、そこにウイスキーをついでくれるのです。
同じ体積を持つ物体の中で、表面積が一番小さいのが球形。単位体積(1)あたりの表面積は、たとえば立方体の6に対して、球は約4.8と、20%ほど表面積が少ないのです。
この表面積の小ささが、氷の溶けにくさにもつながり、長持ちして、ウイスキーを薄めない氷になるらしいのですが、それよりもなによりも、見た目が美しいですよね。
最近は、氷を作るときからまん丸に作ってしまえる装置や器もあるらしいのですが、そういったもので作る真球度の高い氷よりも、こうやって手作りされた、表面にでこぼこのある氷のほうが、見た目にはより美しいと感じます。そのでこぼこした部分に照明が微妙に反射して、万華鏡のようにいろんな光り方をするからでしょうか。あるいは作った人の一所懸命さが、その形から伝わってくるからでしょうか。
「手が空いてるときに作るんですけど、1日に7個分くらいしか用意できないんです」
へぇーっ。そんなにも手間ひまのかかるものなんですね。そう聞くと、ますます1杯では止められない。
というか1杯(シングル)だと、丸い氷の底のほうしかウイスキーに触れないので、最初から2杯分の量(ダブル)を入れてもらっておけばよかったんですね。今度からはそうしなくっちゃ。
今日、「エンジェル」にやって来たのは午後9時40分。ちょうど1ヶ月前にオープンしたばかりの新しいお店なので、まだあまり人にも知られておらず、金曜日の夜ながら先客は5人ほど。とは言え、カウンター8席のみの小さな店内なので、私も入って6人になると、もう75%の充足率です。(ひとり増減するたびに、12.5%ずつ増減します!)
まずは喉の渇きを癒(いや)すためにソルティ・ドッグ(ウォッカとグレープフルーツのカクテル、800円)をもらって、それを飲みながら「さて、2杯目は何にするかなぁ」と検討していたところ、近くに座っている人の注文したオン・ザ・ロックのまん丸氷に魅せられて、私もマッカランのオン・ザ・ロック(800円)を注文したのでした。
同じお酒を飲んでも、家で飲むのと、バーで飲むのとでは違う味に感じるのは、あながち雰囲気の違いによる気のせいだけではなくて、こうやって時間をかけて手作りした丸い氷の有無などによる実質的な違いも大きいのかもしれませんね。
ゆっくりと2時間ほどくつろいで、ソルティ・ドッグとマッカラン2杯でのお勘定は2,400円(800円×3杯分)でした。
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