酒好き店主が自ら開業 … 居酒屋「いし井(いしい)」(新橋)
新橋あたりで飲み歩くことが多いという酒友から、「酒と肴(さかな)のおいしい店ができたよ」という話を聞いて、今日はそのお店、「いし井」にやってきました。店は烏森(からすもり)神社の参道から、小さな路地に入ったところにあります。
「いし井」という電灯看板の横に、木戸の入口。他には窓もなく、店内の様子をうかがい知ることはできません。うーむ。これは敷居が高く感じるなぁ。
えいっ! と気合を込めて引き戸を開けて店内へ。
「いらっしゃいませ」と迎えてくれるのは、店主と、アルバイトらしき女性の二人。店内は、入口のすぐ左手がカウンターと厨房スペースになっており、右手が手洗いと日本酒の冷蔵庫。奥に進むと4人がけと6人がけのテーブルが、それぞれひとつずつあるフロアという、全体でも16席ほどの小ぢんまりとした造りです。
「こちらにどうぞ」と通されたのは、カウンター席の中央あたり。入口側には男性二人連れが、奥側にはカップルがいて、その間に空いている2席のうちの1席です。奥のテーブル席にも、両方ともお客さんが入っていて、店内はほぼ満席の状態です。
ちょうど目の前に球磨(くま)焼酎の一升瓶があったので、その球磨焼酎(500円)ををロックでもらうと、お通し(680円)として、おから、高野豆腐、三つ葉のおひたしの3点盛りが出されます。いやいや、お通しからして呑ん兵衛好みのする品々が並んで、嬉しいではありませんか。
「おすすめの「いし井」で飲んでます」というメールを携帯から送ると、新橋の別の店で飲んでいたという酒友たち3人が、すぐに「いし井」に移ってきてくれて、ちょうど帰るところだったカウンターのお客さんと入れ替わりに、カウンターに並んで座ります。
この店の店主は、酒好きがこうじて脱サラし、しばらく築地で修業をしたあと、昨年(2007年)末にこの店を開いたんだそうです。店主の作った公式サイトにも、「酒好きによる、酒好きの為のお店」というのが店のコンセプトであることが謳(うた)われており、全国から厳選した日本酒を仕入れ、魚には旬の天然物をそろえ、自家製の燻製を出すという「こだわり」が書き記されています。
日本酒好きの酒友たちがそろったところで、飲み物も上喜元(650円)、豊盃(800円)などの日本酒に移り、料理のほうも自家製のアユの燻製(500円)や、二つの味が味わえるポテトサラダ(600円)などを出してもらいます。
酒好き、酒場好きの人が、自らオープンした店にはいい店が多いのです。パッと思いつくだけでも、野毛の「ホッピー仙人」、野方の「秋元屋」、阿佐ヶ谷の「善知鳥」に「燗酒屋」、最近では西荻窪の「みちのくらさん」や、築地の「ねこ屋」などなど。『こういう酒場で、こういう酒を、こういう肴で味わいたい』というものを、自らがお客であった時代にたっぷりと感じ取っているので、他の呑ん兵衛たちにも支持されるお店造りができるのかもしれませんね。好きこそものの上手なれ、なんて言いますが、本当にそのとおりかもしれません。
続いては、もろきゅう(500円)をもらって、日本酒は美少年喜多蔵(550円)、石鎚(650円)、東力士夏にごり(900円)、来福雄町(1,050円)です。飲むほどに珍しいお酒、いいお酒が飲みたくなったりするんですよねぇ。
2時間ほど楽しんで、お勘定は4人で10,070円(ひとりあたり2,520円弱)でした。どうもごちそうさま。今度は築地の天然魚も食べなきゃね。
・店情報
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コメント
「美少年」て、今巷で噂のアレですか?
いや本当、昨今は何を信じていいのかわからないですね。
投稿: 桜台 | 2008.09.30 21:08
>桜台さま
コメントありがとうございます。『天網恢恢(てんもうかいかい)疎にして漏らさず』となってほしいですね。
投稿: 浜田信郎 | 2008.10.05 11:44