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〔コラム〕 せんべろな酒場、せんべろな飲り方

「やき屋」のメニュー


 先週(9月2日)号の「週刊SPA!」に「1000円でベロベロに酔える![せんべろ居酒屋]名店ガイド」という特集が載りました。

 千円で飲めるとなると、料理もさることながら、飲み物も安くなければなりません。千円で飲めるかどうかは、むしろ飲み物の値段が決め手といってもいいくらいなのです。飲み物が200円台位じゃないと、2品と2杯で千円以内におさまりませんものね。

 そんな「せんべろな酒場」の中で、酒場としてのクオリティも十分高くておすすめなのが、次の5店+アルファです。


1.立ち飲み「やき屋(やきや)」(荻窪)

 平成11(1999)年7月に創業した、荻窪駅北口の立ち飲み屋。八戸直送の新鮮なイカ料理を中心としたつまみのほとんど(22品中20品)が170円均一。

 まずはホッピー(320円)を飲みながら、名物・いかなんこつ焼(170円)を食べ、次にかの太田和彦さんもおかわりしたという自家製いか塩辛(170円)で、日本酒「北の誉」(1合250円)をキュッとやっても910円です。

 刺身類も、普通のイカ刺身(170円)や、イカミミ刺身(170円)、ゲソわさ(170円)と各部位がそろっているほか、冬場だけの名物であるイカ大根(170円)なんて、イカよりもイカらしく煮込まれた大きな大根がドーンと入ってボリュームたっぷり。あぁ、今年も冬が待ち遠しい。


2.大衆酒場「斎藤酒場(さいとうさかば)」(十条)

 東京・北区の赤羽、十条、東十条を結ぶトライアングル地帯も、酒場マニア垂涎の名酒場がそろっているエリアです。そんな中、「せんべろ酒場」の雄として、中島らもさんの「せんべろ探偵が行く」の中でも「おれの町内に引っ越してきてくれたら一番いい」と紹介されているのが、昭和3(1928)年創業の老舗大衆酒場、「斎藤酒場」です。

 この店の日本酒は、なんと1合が160円。その日本酒を2本もらって、名物のコロッケと串カツのセット(220円)とポテトサラダ(200円)を食べても740円にしかならないのです。こんなに安いならもう1本と、さらに3合目となるお酒をもらっても、まだまだ900円。なかなか千円に届かないのでした。


3.もつ焼き「宇ち多゛(うちだ)」(立石)

 名酒場がそろっているということでは、北区トライアングル地帯に負けてないのが京成立石を代表とする下町エリア。なかでも立石の「宇ち多゛」は、毎日、毎日、開店前から閉店まで、行列が絶えることのない人気もつ焼き店です。設定された閉店時刻は午後8時ながら、それより前に品切れ閉店となることが多くて、土曜日などは夕方をなるのを待たずに終わってしまうほどだというから驚きです。

 この店では、よく出るメニューのほとんどは180円、もしくは180円の倍数に価格設定されていて、安いうえに計算もしやすい仕組みです。

 焼酎の梅割り(180円)を2杯ほどいただきながら、人気のもつ煮込み(180円)にお新香(180円)、そしてもつ焼き(各種2本で180円)を1皿もらって、2杯と3品でも、900円ですんでしまうのですから、連日の長蛇の列も納得できますよね。


4.市民酒場「みのかん」(神奈川)

 横浜には、酒屋で立ち飲みできる(角打ち)店も数多く残っていて、安く楽しむことができるのですが、今日ご紹介するのは、横浜中央卸売市場の近くにある普通に座って飲む大衆酒場「みのかん」です。

 まわりに飲食店がない中に、ポツンと1軒現れるのが、看板に“市民酒場”と書かれた「みのかん」です。サービスで出されるお通しは、年中変わらずおでんが2品。1杯240円の酎ハイも焼酎の量が半端ではなく、それとは別に瓶入りの炭酸が出され、自分で割りながら飲む仕組みです。

 人気のもつ煮(260円)とポテトサラダ(250円)などをつつきながら、ゆうに2杯分程度はあるその酎ハイを飲めば、これですっかりいい気持ち。お勘定は750円です。さらにもう1杯、酎ハイ(240円)を追加してもお勘定は990円。これだけ飲めば、よそで飲むほぼ4杯分相当となり、まさにベロベロになってしまいます。

 市場が近いこともあり、まぐろ刺身(400円)や、いか刺身(270円)などの刺身類も非常にコストパフォーマンスが高いのです。


5.立ち飲み「いこい」(赤羽)

 おそらくコストパフォーマンスが都内随一ではないかと思われるのが、北区赤羽にある、立ち飲みの「いこい」です。メニューには1品110円の料理がずらりと並ぶほか、酎ハイも1杯180円。マグロ刺身(130円)に、人気のおから(110円)をもらって、焼ハイ(180円)を2杯飲んでも、600円にしかならないのです。

 この店には、これまで何度か足を運んでいるのですが、ひとりで行ったときも、そうでないときも含めて、ひとり分の支払いが千円を超えたことは、今までにありません。この店で2千円以上飲み食いしようとすることは、けっこうなチャレンジになるかもしれませんね。


 このほか、門前仲町の「魚三酒場(うおさんさかば)」も行列のできる人気店で、コップ酒(180円)2杯と、マグロぶつ(230円)と、あら煮(50円)で640円。さらにホタテ刺身(300円)まで追加してもまだ千円以内(940円)でおさまるという激安店です。

 それ以外にも四ツ木の「えびす」や、南千住の「大坪屋(おおつぼや)」など、特に下町方面を中心に「せんべろ酒場」は多いので、ぜひ行ってみてください。

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コメント

写真は「やきや」ですね。最近行っていません、引っ越してから聖地巡礼が滞りがちで残念です。

今週は久しぶりに西荻窪「戎」にいきました。30分滞在で980円。

追伸:SPAタイトルに魅せられて購入
最近、「婚活」とかいって気合いいれて結婚活動するらしいです。

投稿: ebisu | 2008.09.06 06:29

ebisuさん
 ごぶさたしており、すみません。中央線沿線ツアーもやらなきゃ、ですね! またメールしまーす。

投稿: 浜田信郎 | 2008.09.07 21:06

斉藤酒場の近くに住んでいるので、時々ロムさせていただいています。

7日の東京新聞に「ひとり呑み」の書評が出ていたので、そちらも興味深く読ませていただきました。

投稿: びんちゃん | 2008.09.08 11:25

hirozoと申します。
何度かお会いしたことがありますが、こちらへのコメントは初めてです。

昨日、みのかんの口開け(朝10時)に行きました。
酎ハイは270円になったようです。ハイボール190円は変わっていないでしょうか。

煮込みは前日の残りがない限り12:30ぐらい、マグロもそれくらいの時間でないと食べられないようです。たこはありました。

投稿: hirozo | 2008.09.09 11:36

>びんちゃんさま

 書評の件、お知らせいただきありがとうございます。その後、宇ち中さんがネット上にも掲載されていることを調べてくれて、私も読むことができました。
http://www.tokyo-np.co.jp/book/shohyo/shohyo2008090703.html

 佐藤洋二郎さんのコメントが素晴らしすぎて、ちょっと恥ずかしいです。


>hirozoさま

 ご無沙汰いたしております。「もつ焼く煙に誘われて…東京下町」も拝見してますよー!

 みのかんの酎ハイ、値上げしたんですね。情報、ありがとうございます。私もまた近いうちに出かけてみたいと思います。

投稿: 浜田信郎 | 2008.09.15 19:57

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