大正12年創業の老舗 … おでん「お多幸(おたこう)」(銀座)
銀座八丁目にある、おでんの「お多幸」にやって来ました。
すでに古典的な名著となった感もある、なぎら健壱(なぎら・けんいち)さんの「東京酒場漂流記」(1995年、ちくま文庫。元になった単行本は1983年発売)でも、ここ「お多幸」が紹介されていて、以前から気にはなっていたのですが、実際に来たのは今日が初めてです。
同じ銀座にあるおでんや同士で、『安いのが「お多幸」で、高いのが「やす幸」と、名前とは逆』なんてことも言われてるらしく、この「お多幸」は、どっちかと言えば大衆向けのおでん屋さんと言えそうです。それに比べると「やす幸」は接待などに使うための、高級料理屋さんという位置づけなのでしょうか。
その「お多幸」。店内は右手がどーんと奥に伸びるカウンター席で、左手の壁際がずらりとテーブル席。奥に座敷席もあって、全部で130人くらい入ることができる大箱店です。
テーブル席に座り、燗酒(菊正宗、450円)と、おでんは盛り合せ(950円)を注文すると、赤い器で出されたのは、串だんご(300円)、豆腐(200円)、ふくろ(450円)、大根(250円)の4品盛り。単品で注文すると1,200円のところが950円ですから、2割ほどお得になる勘定ですね。
おでん盛り合せを注文するお客さんが多いので、他の人たちのも見てみると、盛り合せの組み合わせはいろいろとあるようで、人それぞれ、って感じです。何人かで来て、盛り合せを何人前か注文しているグループには、それぞれ別々の組み合わせにしてくれたりしているようです。
おでん1品が200円から450円という価格帯なので、「安い」という感じではありませんよね。「銀座にしてはリーズナブル」といったところでしょうか。
ところでこの「お多幸」。都内各地に何軒か同名の店があるのですが、チェーン店だったり、グループ店だったりするわけではなさそうです。
銀座の「お多幸」にしても、この「お多幸」銀座八丁目店などは、大正12(1923)年創業の「町田屋グループ」というグループで、他に新宿、田町、神田、茅場町にも店があります。創業の地は銀座4丁目だそうです。
「野田屋グループ」以外には、ご飯の上におでんの豆腐をのせた「とうめし」が名物の日本橋の「お多幸」や、「新橋お多幸」の他、上板橋(03-3931-9610、板橋区上板橋1丁目27-7)などにも同名の店があるようです。
自家製のいか塩辛(320円)をもらって、燗酒(450円)をおかわりし、1時間ほどの滞在はふたりで2,170円(ひとり1,085円)でした。
・店情報
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