松茸とハモの土瓶蒸風 … 小料理「燗酒屋(かんざけや)」(阿佐ヶ谷)
和服に割烹着の美人女将の店、「燗酒屋」にやってきました。この店は真夏(7月と8月)は土日が休みだったので、平日は横浜に短距離単身赴任している私は、なかなか来ることができなかったのです。
開店時刻の午後5時に合わせて店に出かけると、口開け直後にもかかわらず、すでにL字カウンターの手前短辺のところと、店の奥へと向かう長辺の奥側には、それぞれ男性ひとり客が座り、飲み始めています。
私も長辺手前の位置に座り、「まず冷酒をいただきたいんですけど」とお願いすると、奥の冷蔵庫から3~4本の一升瓶を持ってきてカウンターの上に並べ、それぞれ銘柄と種類(本醸造とか、吟醸とか)を説明してくれます。ここの女将は、お客が来るたびに、手間ひま惜しまず、こうやってすべての日本酒を見せて説明してくれるのです。
そんな中から根知男山(ねちおとこやま、620円)をもらうと、今日のお通し(500円)は岩もずくと新子の酢の物です。いやぁ、この夏は新子を食べそびれたかと思っていたのですが、ここで出会えてよかったです。
前回も前々回も、女将はメガネ姿だったのに、今日はメガネじゃありません。
「アレルギーの季節はコンタクトができないからメガネなんですよ」と女将。
なるほど、そういう理由でしたか。
ひとり、またひとりとお客さんも増えてきて、ひとりで切り盛りする女将はもう大忙し状態。燗酒をあっためるときや、過熱が必要な料理を作るときは、コンロの横にぶら下がっているタイマーをピピッとセットして、そのタイマーが鳴るまで間に、刺身を引いたり、酢の物を出したり、冷酒を出したりと、いろんなことが同時進行です。
そんな状態にも関わらず、お客さんとの会話も絶やさないところがものすごい。しかも、新しいお客さんが入ってくると、相変わらず一升瓶をずらりと並べて説明してくれるのです。
和服に割烹着の美人という姿形だけではなくて、こういうところも人気の理由なんでしょうねぇ。
冷酒でいただいた根知男山(ねちおとこやま、620円)は、燗で飲んでも美味しいということで、2杯目は燗をつけてもらうことにし、料理のほうは、黒板にずらりと並んだメニューの中から、松茸と鱧の土瓶蒸風(880円)を選択します。
松茸と鱧の土瓶蒸風は、土瓶ではなくて、一人用の土鍋で作られます。なるほど、だから土瓶蒸“風”と、「風」の字が付いているんですね。
「はい、お待たせしました。熱いから気をつけてくださいね」
と言いながら、カウンターの目の前に松茸と鱧の土瓶蒸風が出てきました。松茸(まつたけ)と鱧(はも)もさることながら、海老、しめじ、豆腐に三つ葉と、具沢山。ダシがまた美味しくて、これだけすすっても燗酒のつまみになります。
骨切りされた鱧の身に、スライスされた松茸をのせて、両方を一緒にパクリ。ふわんとした鱧に、しゃっきりとした松茸。しつこさを感じさせない鱧の脂に、鼻の奥から漂ってくる松茸の香り。松茸と鱧のしゃぶしゃぶのシンプルさもいいですが、いろんな具材とともに煮た土瓶蒸風もまたいいですねぇ。
今宵は1時間半ほど楽しんで、お勘定は2,620円でした。どうもごちそうさま!
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