焼き鳥1本60円から … 焼き鳥「鳥やす本店(とりやすほんてん)」(高田馬場)
昭和42(1967)年の創業以来、高田馬場で40年以上営業を続けている人気焼き鳥店、「鳥やす本店」にやってきました。
あいにくの雨の中、飲み屋街(さかえ通り)の一番奥という立地条件にも関わらず、金曜午後8時の店内はほぼ満席。かろうじてひとり分が空いていたカウンター席に案内されます。
店内は、入口を入るとすぐ左手に2階へと上がる階段があり、その奥、右手がカウンター席、左手はテーブル席がずらりと並んだ広いフロアになっていて、けっこうな収容人数です。
これだけ大箱店なのに、いつもほぼ満席という人気の理由は、なんといってもその値段の安さにあります。たとえば看板メニューの焼き鳥も、もつ(鶏レバー)、砂肝などが1本60円。正肉、はつ(鶏ハツ)、ぼんちりなどが1本70円。手羽先、つくねなどが1本80円という、前時代的な価格設定なのです。
席に案内されると、すぐにお絞りと定番のお通しである小おろし(大根おろし+うずら玉子、60円)が出されます。
メニューには『通は「大おろし」で食う』という文字がおどり、『塩焼の手羽先・ぼんちり等は山盛りの大根おろしと一緒に食べると油が中和されてサッパリし、最高です』と注記されています。入店時に「大おろしでお願いします」と声をかければ、お通しの小おろしを大おろし(180円)に変えてもらうことができるのだそうです。
実際、ふたつくらい横に座っているおにいさんは、最初から大おろしをもらって食べはじめ、途中でその大おろしをおかわりしてたほどでした。
「まずはお飲み物からうかがいます!」
席に座るやいなやという感じで、店のおにいさんの元気な声が響きます。
「チューハイをお願いします」
メニューを見る間もなくそう注文すると、すぐに出されたチューハイ(350円税別)は、サワーグラスに氷とともに入れられた、焼酎と炭酸だけの非常にシンプルなスタイルです。チューハイを出してくれたおにいさんは、背後でレシートを片手に注文取りのスタンバイです。
「焼き鳥の盛り合わせと、煮込みをお願いします」
焼き鳥は単品2本ずつからの注文ながら、盛り合わせ(490円税別)にすると7種類の焼き鳥(もつ(レバー)、すなぎも、はさみ(ネギ間)、はつ、ぼんちり、てばさき、つくね)を1本ずつ盛り合わせてくれるのです。
焼き鳥は、カウンター内の焼き台にずらりと並んで焼かれているのですが、なにしろ1階も2階も満席状態の客の入り。こんな勢いで焼いているのにけっこう待たされてしまうのです。
その待ち時間の間に食べようと注文した煮込み(300円税別)が、予想どおり、あっという間に登場します。
この店には「煮込み」と、「もつ煮込み」(300円税別)という、二つの煮込みメニューの2種類がります。今回選んだ「煮込み」は、メニューにも『手羽先と野菜の煮込み。鳥やすといえばコレです』と注記されている名物品。鶏ガラを長時間コトコトと煮たスープで、手羽先と根菜類(主として大根で、ニンジンも少し)を煮込んだ、具だくさんの絶品スープなのです。冷たいチューハイに熱い煮込み、淡白なチューハイに濃厚な煮込みと、温度もコクも相反するバランスで、双方がぐいぐいと進みます。
カウンターの上にずらりと並んでいる「富翁」の一升瓶を見てみたところ、これが上撰(本醸造)の「富翁」で、値段は320円(税別)。本醸造酒にしては比較的リーズナブルなので、焼き鳥盛り合わせが出てきたタイミングで、この「富翁」を燗酒でいただくと、底に蛇の目模様のついた大ぶりのぐい飲みに、金属製のチロリで温められた酒が注がれます。
焼き鳥7本で、1合の燗酒を飲み終えて、1時間弱の滞在は1,600円(1,520円+消費税)でした。どうもごちそうさま。
「鳥やす本店」の入口 / お通しとチューハイ / 手羽先と野菜の煮込み
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