〔コラム〕 単身赴任のひとり呑み … 「武蔵屋」(横浜・野毛)
平成13(2001)年10月1日に始まった、横浜での単身赴任生活も、丸7年を終えて、この10月から8年目に突入しました。
都内に勤務しているときは、仕事帰りに、自宅に着くまでの間のワン・クッションとして、ひとりで酒場に寄ることが多かったのです。会社で大勢の人と共に過ごし、家庭で家族と共に過ごす。それはそれで非常に楽しい時間なんだけど、その途中にポツンと1時間ほど、ひとりで過ごす時間が欲しかったというのがその理由です。
ところが! 単身赴任生活になると、会社を出れば、その瞬間からもうひとり。こうなると、「少しだけひとりで過ごす時間を持つ」ということが目的で酒場に向かうのではなくて、「単身赴任の夕食を兼ねて」ということが主目的になってきました。
それでは、単身赴任の夕食を兼ねた理想的な酒の飲み方とは、どんな飲み方なのか。
実は7年も過ごしてきながら、そんなことを考えながら飲んだことは、ほとんどありませんでした。自宅にいるときも、単身赴任しているときも、自分の好きなものを好きなように食べながら飲むだけ。そんな飲み方だったのです。
単身赴任を始めた当初は、単身赴任寮に食堂が付いていたのですが、利用者が減ってきて途中からケータリングのお弁当に変わり、そうなるとますます利用者も減少し、ついにはそのお弁当もなくなってしまいました。そんなわけで、現在の私の食生活は、飲みに出るのも含めて外食中心の毎日になっています。
外食の問題点は単純に考えると野菜不足に脂肪過多。そしてついつい塩分を採りすぎてしまうこと。
そういえば、焼き鳥も、もつ焼きも、刺身も、それぞれ好物なのでワシワシ食べるけど特に野菜はとっていません。酒に合うつまみは、たいてい塩っ気もよく効いてますもんね。
そして飲み物。アルコール飲料は、エンプティ・カロリーと呼ばれていて、身体には蓄積しないなんて言われてますが、それも適量(日本酒換算で3合程度)までのこと。それより多い量を飲むと、アルコールを分解する過程で出る脂肪の元となる成分で作られた中性脂肪が消費しきれなくなって、脂肪肝や内臓脂肪の増加、肥満、高脂血症、高尿酸血症、高血圧などを引き起こすようになるんだそうです。我われ呑ん兵衛には、実に怖い話ですねぇ!
塩分控えめで、低カロリー・高タンパク。野菜もとれて、お酒は3杯以内。そんなキーワードで、パチッとひらめいたのが、野毛の老舗酒場、「武蔵屋」です。
ここは年中いつきても肴(さかな)は、玉ねぎの酢漬け、おから、たら豆腐、納豆、お新香の5品。そしてお酒はピッチリと3杯までと決まっているのです。動物性タンパク質は、たら豆腐に入っているタラの切り身、1切れだけ。玉ねぎとお新香以外は、すべて大豆製品(納豆、豆腐、おから)という徹底ぶりです。
ここで5品と3杯を飲んで、「なるべくまっすぐ帰ってください」というおばちゃんの言葉どおり、まっすぐに帰れば理想的な「お酒も含んでの単身赴任の夕食」となりそうな気配です。
さっそくやってみました。
とはいえ、仕事終わりに店に入ると、まずはやっぱりビールを飲みたいので、最初は小瓶のビールを1本もらうと、つまみには小皿の豆菓子が出されます。喉も潤ったところで、いつもの5品と3杯。しばらくぶりにやってきた「武蔵屋」は、いつもとちっとも変わっておらず、身も心もゆったりとくつろぎます。
小上がり座敷の一番手前にある、小さな二人用卓で1時間ちょっと過ごして、お勘定は2,600円。ちょっと値上がりしたのかな。
いつもはここから「ホッピー仙人」や「日の出理容院」などに向かうのですが、ぐっとガマンしてまっすぐ寮へと帰ります。
満腹ではありませんが、お腹がすいてるという状態でもない。酔い心地もちょうどいい具合です。翌朝、目がさめると胃もたれ感もなく、酔いもまったく残っていません。なるほど。これくらいの飲み方が健康的なんですね。でも、ストイック過ぎて、おもしろ味には欠けるよなぁ。この課題、もうちょっと考えてみたいと思います。
| 固定リンク | 0
コメント