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2008年11月

〔コラム〕 古典酒場ほろ酔いと~く

photo by Ebisu


 昨日、11月29日(土)、市ヶ谷の「ハーミテイジきくや」で、第2回目となる「古典酒場ほろ酔いと~く」が開催され、私も出演させていただきました。大勢のみなさんにお越しいただき、本当にありがとうございました。とても楽しい会となりました。

 会場でお約束したとおり、私がご紹介させていただいた酒場を、時間の都合でご紹介できなかったお店も含めて、改めて掲載いたしますのでご確認ください。


  1. ホッピーがおいしく飲める店


    • 河本」(木場): 焼酎(ナカ)は水冷冷蔵庫で、ホッピー(ソト)は業務用の冷蔵庫で冷やすという、こだわりの温度管理。ホッピーとベストマッチの牛もつ煮込みや、冬場だけ食べられるおでんも大人気のお店です。

    • ホッピー仙人」(横浜・桜木町): ホッピーにほれ込んだ仙人(=店主)が開いた、ホッピー専門バー。焼酎も数種類あるほか、泡盛やジン、ラムなどのホッピー割りも楽しめます。冬場にはヌクッピーという温かいホッピーカクテルが出されるほか、お酒の飲めない人用にはヌキッピーというノンアルコールカクテルも用意されています。

    • 」(京成立石): 泡立ち抜群の生ホッピーが楽しめるお店です。


  2. お気に入りの酒場


    • やき屋」(荻窪): 安くて美味いイカ料理が人気の立ち飲み屋。八戸直送の新鮮なイカ料理は、ほぼ全品が170円。

    • 川名」(阿佐ヶ谷): とにかく店主が一所懸命。野菜たっぷりの豚軟骨もつ煮込みや、玉子タクワン焼、ニラ玉、キムチ玉子焼、トマト玉子焼と種類の多い玉子料理も美味。

    • 武蔵屋」(横浜・桜木町): 老姉妹が営む、通称「三杯屋」。お酒は桜正宗の燗酒で、1杯目に玉ネギ酢漬け、おから、たら豆腐が、2杯目には納豆が、3杯目にはお新香が出されて終了。

    • 大坂屋」(門前仲町): 大正13(1924)年創業の、串刺しの牛もつ煮込みの店。濃厚なコクがやみつきになる。そのもつを、玉子入りスープに絡めて食べるとさらに美味。

    • まるます家」(赤羽): 味や値段もさることながら、おばちゃんたちが元気で明るいのも大きな特長。朝7時から開いている。

    • 秋元屋」(野方): 自ら大衆酒場好き、もつ焼き屋好きの店主が、平成16(2004)年に開いた店。味噌ダレのやきとんや、豊富なサイドメニューも大人気。


  3. 独り酒で行きたい店


    • じっくりと老舗の雰囲気を味わいたい … 「伊勢藤」(神楽坂)、「武蔵屋」(横浜・桜木町)、「鍵屋」(鶯谷)、「斎藤酒場」(十条)、「江戸一」(大塚)、「金田」(自由が丘)など

    • 美人女将の店はひとりでなくっちゃ! … 「ねこ屋」(築地)、「燗酒屋」(阿佐ヶ谷)など

    • 安くて美味しい店はひとりでサクッと回転よく … 「やき屋」(荻窪)、「いこい」(赤羽)、「宇ち多゛(うちだ)」(京成立石)、「西口やきとん」(浅草橋)など

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品川駅近くの酒場横丁 … もつ焼き「マーちゃん」(品川)

もつ煮込み


「東京の肉の台所(東京都中央卸売市場食肉市場)のお膝元なのに、いい店がないよなぁ」

 いつもそう思っていたJR品川駅周辺。近年は新幹線は停まるは、高層ビルは林立するはで、我われが好むような大衆酒場は絶滅してしまったに違いないと、ほとんどあきらめた地域だったのです。

 ところが、昨年11月に出版された「TOKIO古典酒場 闇市・横丁編」(三栄書房)に、品川駅のすぐ近くにある横丁(酒場街)が紹介されているではありませんか。

 紹介者は、「東京裏路地“懐”食紀行」(ちくま文庫)の著者、藤木TDCさんとブラボー川上さんのお二人です。さらに今年の4月には、その続編の「まぼろし闇市へ、ふたたび 続東京裏路地“懐”食紀行」(ミリオン出版)も出版され、この中にも同じ横丁が登場しているのです。

 今日は、どちらの本でも紹介されているもつ焼きの「マーちゃん」に向かいます。

 場所は品川駅港南口をまっすぐに降りて、ロータリーの向かい側にある「吉野家」の裏側あたりなのですが、なにしろ狭い路地が入り組んでいる地帯で、その路地への入口が分からない。ぐるっとそのあたりを回りながら、パチンコ屋の横の、人がすれ違えるかどうかというほどの狭い路地に入り込むと…。

 おぉぉぉーっ。あったあった!

 なんとまぁ、品川駅の酒場街はこんなところにありましたか! しかも、マニア垂涎の酒場群がずらりとならんでいます。いやぁ、絶滅してなかったんだ(涙)。

 やぁ。ここが「マーちゃん」だ。アルミサッシの入口引き戸が渋いなぁ。

 感激に浸りながら、あたりの様子や、「マーちゃん」の様子を眺めていると、2~3人連れのサラリーマンが続々とやってきて、吸い込まれるように「マーちゃん」に入っていきます。現在、午後6時半。のんびり眺めていたら、満席になってしまう。急がなきゃ。

「いらっしゃいませ。おひとりさん? カウンターにどうぞ」

 入口は店の左端に近い位置にあり、入ると目の前に横長くカウンターがあり、その中にいるおにいさんから声がかかります。店内は、このカウンター席の他に、右手から右奥にかけて、壁に沿って回り込むようにテーブル席が配置されていて、すでに全テーブルにお客さんがついている状態で、続々とやってくるグループ客は、みなさん2階の席に案内されています。

 まずはチューハイ(320円)をもらって、ここに来たらぜひ食べてみたかった、もつ煮込み(400円)を注文します。

 もつ煮込みはカウンター内の大鍋で煮込まれていて、注文を受けて、両側に持ち手のついたアルミのひとり鍋についでくれます。内容はシロ(豚の腸)がほとんどで、コンニャクがちょっと。一緒の鍋でよく煮込まれたジャガイモがごろりと入っているのがおもしろいなぁ。

 藤木TDCさんとブラボー川上さんが、どちらの本でも「昔ながらの臭い煮込み」と書かれているので、どんなに臭いかとおそるおそる口に運びますが、これは旨みを残した、鮮度の高いもつの香り。あんまり臭くは感じないんだけどなぁ。むしろ美味しいよ。私が、もつ臭さに慣れちゃってるのかなぁ。(帰りに電車に乗ったときに、自分の服がとってももつ焼き臭いと感じたので、もつ焼き独特の香りは、他の店よりも強いんだろうと思います。)

 1階にも2階にも大勢のお客さんが入っているので、目の前の焼き台は、もつ焼きが途切れることがありません。焼き台の大きさは幅90センチくらいで、「秋元屋」や「ホルモン」などの焼き台と同じくらいかな。これで2フロアをまかなうんだから大したもんです。

 2階席からの注文は、カウンターの中のインターホンで伝えられ、その横の小さなエレベータで注文の品が2階へと届けられる仕組みです。

「もつ焼きは1本ずつでも注文できるんですか?」

 焼き台を担当しているおにいさん(おそらくこの人が店主)に聞いてみると、「はい、大丈夫ですよ」とニコヤカな返事。第1陣としてナンコツとタンの塩焼きを、第2陣でレバとシロをたれ焼きで注文すべく、まずは第1陣をお願いします。

 もつ焼きはタン、ハツ、カシラ、シロ、レバ、ナンコツ、コブクロ、ガツのそれぞれが1本110円。ピーマン、ししとうなどの野菜類(110円)もあるほか、ニンニク(150円)、豚トロ(140円)、つくね(140円)などもラインナップされています。

 チューハイ(320円)をおかわりして、焼き上がりを待つ間にお新香(300円)をもらうと、お新香は盛り付けが終わった状態で冷蔵庫の中に保存されていて、仕上げに味の素をパラリと振りかけて出してくれます。味の素にも昭和の香りを感じますねぇ。このお新香がまた、キュウリが2列に、大根1列(5切れ)とニンジン3切れとけっこうボリュームがよくて、結論から言いますと、これですっかり満腹になって、もつ焼きの第2陣は注文できませんでした。

 第1陣のもつ焼きもできあがってきました。タンの間には、玉ねぎが1片ずつはさんであって、お皿にはニンニク味噌を添えてくれています。もつ焼きも大きくていいですねぇ。

 1時間ほど楽しんで、お勘定は1,560円。

 煮込みやもつ焼きの美味さもさることながら、品川にこういう一角があることが分かったことがうれしいですねぇ。今度は何人かでやってきて、もっといろんなものを食べなきゃね!

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「マーちゃん」 / お新香 / ナンコツとタン(塩)

店情報

《平成20(2008)年10月28日(火)の記録》

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店情報: もつ焼き「マーちゃん」(品川)

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  • 店名: もつ焼き「マーちゃん」
  • 電話: 03-3471-5027
  • 住所: 108-0075 東京都港区港南2-2-2
  • 営業: 17:30-23:00(22:30LO)、土日祝休
  • 場所: 品川駅港南口をまっすぐに降りて、正面の横断歩道を渡り左へ。「吉野家」の前を通過して、すぐ突き当たる大通りを道成りに右に曲がり、角のパチンコ屋「GAIA」ビルの先の狭い路地を右に入る。路地の曲がりにそって、くねくねっと進んだ右手角。
  • メモ: お飲物:サッポロ生ビール(中)550、サッポロビール(大)540、エビス黒ビール(小)390、清酒会津ほまれ300、ハイサワー340、酎ハイ320、ウーロンハイ340、ホッピー350、黒ホッピー350、いも焼酎360、むぎ焼酎340、ウイスキー320。
    もつ焼・串物:タン110、ハツ110、カシラ110、シロ110、レバ110、ナンコツ110、コブクロ110、ガツ110、ピーマン110、ししとう110、にんにく150、豚トロ140、つくね140、
    一品料理:もつ煮込み400、自家製おしんこ300、自家製らっきょう350、マルちゃんさば水煮缶350、冷やしトマト330、もろきゅう300、梅きゅう300、マカロニサラダ320、ウインナー350、ガツ酢360、さつま揚げ300、生揚げ330、いわし丸干330、こまい生干420、エイヒレ400、なす焼400、オニオンスライス300、エシャレット350、しらすおろし320、なめ茸おろし320、チーズ300、めざし300、あご丸干320、たたみいわし290。(2008年10月調べ)

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ハイボールを湯呑みで … 立ち飲み「泡(あわ)」(中野)など

「泡」のハイボール


 渋谷の「鳥竹」を出て、すぐ近くの「博多天神」で豚骨みそラーメン(500円)を食べたあと、自宅が近くのにっきーさんと一緒に中野へ。

 あれっ!? こういうシーンはついこの間もありましたよねぇ。

 渋谷の「富士屋本店」で飲んで、「博多天神」で豚骨みそラーメンを食べたあと、にっきーさんと二人、中野に帰ってきて「おかやん」から「石松」へと飲み歩きました。ちょうど3週間前のことです。今日も行きますか!?

「その前に、1軒、ぜひご紹介したいお店があるんですよ」

 そう言いながら、中野駅北口ロータリーの向う側にある狭い路地に入っていくにっきーさん。後について路地に入ると、すぐ左手の立ち飲み店に入っていきます(午後11時半)。

「「泡」という店名のとおり、ハイボール専門の立ち飲み屋なんです」

 へぇ。中野も、私が行ったことがある店だけでも「魚屋よ蔵」「パニパニ」、そして先日の「おかやん」と、いい立ち飲み屋が続々と出現してきていて、まだまだ留まる様子はありません。うれしいなぁ。

 さっそくハイニッカ(280円)をもらうと、いかにも和風の湯呑みで出されるハイボール。あはは。これもおもろいではありませんか。

 ウイスキーは、このハイニッカのほか、ブラックニッカ、角、ホワイト、レッド、トリスなどのハイボールがそれぞれ280円。オールドや、各種バーボン、梅酒などのハイボールは380円です。

 料理も、おでんが1品80~180円のほか、冷しトマト120円、冷奴150円、ソーセージ150円などなどが並んでいます。そんな中からチーザ(150円)という、カマンベール味とチェダー味のクッキーをもらって、ポリポリと齧りながらハイボールです。

 さっくりと1~2杯のハイボールを飲んだあと、今日も大勢の人でにぎわう「おかやん」へ(午前0時15分)。あん肝ポン酢(400円)や、ぷっくら肉厚の焼きしいたけ(300円)で、愛媛の地酒「石鎚(いしづち)」(雄町純米、500円)をいただきます。なんか「徳多和良」(北千住)にも通じるような、味のいい立ち飲み屋です。

 ここまで来ると、次は「石松」ですね(午前1時20分)。なんと今日は幻の煮込みもあったばかりか、以前はフォークグループ「ガロ」で、今は伊勢正三、太田裕美とともに「なごみ~ず」で活躍されている大野真澄さんもとなりで飲んでいてびっくりです。

 すっかりできあがって、「石松」のとなりのバー「クライベイビー(Cry Baby)」へ(午前2時半)。音楽(ロック?)ファンが集まるバーなんだそうです。

 飲み終わって自宅に帰りついたのは午前4時前。あぁ、なんともよく飲んだ1日であったことよ。

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「泡」の店内 / チーザ / 「おかやん」

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地酒・石鎚 / あん肝ポン酢 / 焼きしいたけ

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「石松」の煮込み / 「クライベイビー」 / ハイボールとお通し

・「泡」の店情報/「おかやん」の店情報前回)/「石松」の店情報前回

《平成20(2008)年10月25日(土)の記録》

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店情報: 立ち飲み「泡(あわ)」(中野)

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  • 店名: 立ち飲み「泡」
  • 電話: (不明)
  • 住所: 164-0001 東京都中野区中野5-63-2
  • 営業: 16:00-01:00、無休
  • 場所: 中野駅北口ロータリーを向こう側に渡り、立ち食いそば「かさい」の横の狭い路地を入った左手。
  • メモ: ハイボール(280円):角、白角、黒角、レッド、ホワイト、トリス、黒トリス、ハイニッカ、ブラックニッカなど。ハイボール(380円):IWハーパー、オールドクロウ、フォアローゼス、各種梅酒など。生ビール350、ホッピー480。料理:冷奴150、冷トマト120、キムチ120、イカ塩辛280、エイヒレ250、いわしみりん280、オムライス(3P)300、燻製チーズ(2P)300、ソーセージ150、ちゃーしゅー300など。おでん:たまご120、大根100、こんにゃく100、ちくわ100、牛すじ180、串はんぺん150、がんも(小)80、魚河岸ボール100、きんちゃく120など。ハイボールのお供:キスチョコ(ハーシー)100、柿ピー100、チーザ(カマンベール味&チェダー味)150、ハートチップル200、ミニサラミ3個100、木の実(自家燻製)300。(2008年10月調べ)

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すずめ焼きで快気祝い … 焼き鳥「鳥竹(とりたけ)」(渋谷)

雀焼(タレ、塩)


 飲み仲間のここっとさんが階段でころんで軽い記憶喪失になっていたのだそうで、今日はその快気祝いで渋谷の「鳥竹」です。

 メンバーは、ここっとさんご夫妻のほか、ワイタベさんにっきーさん宇ち中さんと私の6人。

「午後6時に、地下の座敷が開くのと同時に店に入るから、遅れないように!」

 という幹事の指示にしたがって、5分ほど前に店に到着してみると、なんとそこにはすでに10人以上の行列が! 昼前から開店している1階、2階も満席で、みなさん地下が開く午後6時を待っているようです。うーむ。こんなことは初めてですねぇ。しかし、早めに到着したにっきーさんが行列の前のほうにいてくれて、無事に座敷席を囲むことができました。(我われ以外も、並んでいた人たちはみんな入ることができました。)

 まずは大瓶のビール(サッポロラガー、662円)でスタートすると、お通しとして鶏モツとコンニャクの煮物が出されます。

 冬場は、肝なべ(1,260円)、皮なべ(1,155円)などの鍋物を注文することも多いのですが、それは忘年会シーズンにとっておいて、今日は焼き物を中心に注文です。

 串焼きは、ぎんなん(420円)、みょうが(336円)に、首肉(347円)、そり(368円)、ボンボチ(368円)。これがそれぞれ1本あたりの単価なので、高いっちゃあ、高いのですが、1本あたりのボリュームもけっこうなものなので、なんとなく納得しているような次第です。ひとりだと、2本くらいで満腹になってしまうかもしれません。

 ワイタベさんの注文で、はじめて食べたのがみょうが。半分に割ったミョウガの切り口に味噌を塗って焼いたものが、鎌倉の「田楽」を彷彿とさせていいですねぇ。これは美味いや。

 飲み物のほうは「いいちこ」のボトル(2,940円)でもらって、ソーダ(315円)で割って酎ハイにして楽しみます。

 串焼き以外にも、どかんと大きいもも焼き(788円)や、唐揚げ(840円)。さらには笹身ぬた和え(525円)や、鶏の煮こごり(525円)。そして極めつきは雀焼(すずめやき、651円)です。1串に2羽を、タレ焼きと塩焼きの両方でいただきます。

 たっぷりと鳥料理を楽しんだ後は、カブ、キュウリ、ナス、キャベツ、ニンジン、たくあんなどが盛り合された上新香(525円)や、なめこ椀(336円)や豆腐椀(315円)をもらってしめくくり。

 午後10時半まで4時間半も楽しんで、お勘定は6人で27,520円(一人あたり4,600円弱)でした。

 そうそう、ここっとさんのこと。彼女の名誉のために付け加えておきますと、酔ってころんだのではなくて、真っ昼間にちょっと階段を踏み外したものです。打ちどころが悪かったのか、ほんの数日間、ここ2年間くらいの記憶がなくなったのだそうです。

 彼女とご主人は、もともと同じ会社の人ですが、うんと仲良くなって結婚に至ったのは、まさにここ2年以内の出来事。ちょうどその頃の記憶だけがスポッと抜け落ちちゃって、「あなたはどうしてここにいるの? 私の夫だと言って、私のことをだましてるんじゃないの!?」みたいな状態になっちゃったんだそうです。

 しかし、数日間のご主人の献身的な看病で、すぐに記憶も元どおりに戻り、ここっとさんご自身も、新鮮な気持ちで、改めてご主人に惚れなおしたとのことです(笑)。

 なにはともあれ、この程度の笑い話ですんで、良かった良かった。

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店の前の行列 / お通しと瓶ビール / ぎんなん

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煮込み / みょうが / もも焼

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唐揚げ / 首肉、そり、ボンボチ / 笹身ぬた和え

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煮こごり / 上新香 / なめこ椀

店情報前回

《平成20(2008)年10月25日(土)の記録》

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西東京のもつ焼きの祖 … 炭火串焼「宝来家(ほうらいや)」(新宿)

こぶくろ刺し(混ぜた後)


「この店には絶対に行っておかなけりゃ!」

 ずっとそう思いながら、なかなか来ることができていなかった新宿の「宝来家」にやってきました。

 同行者は生レモンサワー(420円)を、私は小瓶のビール(サッポロ黒ラベル、320円)をもらって乾杯すると、すぐに出されるお通し(320円)は春雨の酢の物です。

 ここ「宝来家」は、新宿駅西口の北側に広がる新宿西口商店街(通称:思い出横丁)内に2軒あって、中央の古い通り(仲通り)沿いにある「第一宝来家」が創業の地の小さいお店(1階12席、2階12席の計24席)で、線路際(旧・やきとり横丁)の「第二宝来家」が大きいお店(1階22席、2階34席の計56席)。今日は「第二宝来家」のほうに来ています。

 なぜこの店に来てみたかったのかというと、この店こそ戦後の新宿にもつ焼きを持ち込んだ、言ってみれば西東京のもつ焼きの祖といった存在の店なのです。

 もつ焼きを始めるようになった経緯については「宝来家」初代店主である金子正巳(かねこ・まさみ)さんが著したの自叙伝、「やきとり屋行進曲―西新宿物語」に詳しく書かれていて、現在は「宝来家」の公式サイト内でも公開されています。

 肴(さかな)には特製もつ煮込み(370円)と、一番人気のつまみだという子袋刺し(470円)を注文します。

 あっという間に登場したのは特性もつ煮込み。豚のもつ(シロやガツなど)を、みそ味で煮込んだものが小鉢に一杯。刻みネギがトッピングされています。もつだけのシンプルさがいいですねぇ。

 子袋刺しは、小さい子袋をさっと茹でて、小さく刻んだものが小鉢にたっぷり。こちらも刻みネギがどんとトッピングされています。

「醤油をかけてかき回して食べてください。ちょっと多めにかけるくらいがいいと思います」

 とカウンターの中にいるおにいさん(現店主)が、ニコニコと声をかけてくれます。

 言われたとおりに醤油をかけ回し、ぐりぐりとかき混ぜていただくと、練り辛子もピリッと効いて、実にいい味わいです。なるほど。これは人気ナンバーワンというのもうなずけますねぇ。

 2杯目として、私はバイスサワー(320円)を、同行者はクエン酸サワー(320円)という怪しげな飲み物を注文します。バイスサワーの“バイス”とは、“梅酢”から来ているらしく、おそらく本当の梅を使っているわけではないんでしょうが、それっぽい味わいをかもし出しています。一方のクエン酸サワーはすっぱい味。メニューには「お疲れさんにクエンさん」と書かれています。

 カウンター上段の大皿にたっぷりと作られている自家製ポテトサラダが美味しそうで、さっそく1人前(420円)取り分けてもらうと、コロコロしたかたまりの残ったじゃが芋がいい食感。具として入っているリンゴの甘さもいいですねぇ。昔懐かしいポテトサラダです。

 3杯目は、二人とも生レモンサワー(420円)をもらって、看板メニューの炭火串焼きは、牛はつスタミナ焼き(2本320円)と、かた子袋(1本120円)を2本です。

 牛はつスタミナ焼きは、牛はつ刺しにするハツを小さく刻んで串を打ち、ピリッと甘辛いタレで焼き上げたもの。かた子袋は、豚の子袋の硬いところ、荻窪の「カッパ」でリンゲル(膣)として出されるのと同じ部位ですね。

 ここのもつ焼きは、たん、はつ、レバ、かしら、あぶら、なんこつ、こぶくろ、かた子袋、つぶ子袋、がつ、しろ、てっぽう、ちれ、の各種が1本120円。それぞれ2本以上から注文できます。

 さっくりと1時間ほどの滞在は、ふたりで4,680円(一人あたり2,340円)でした。どうもごちそうさま。

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小瓶ビールとお通し / 特製もつ煮込み / こぶくろ刺し(混ぜる前)

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バイスサワー / クエン酸サワー / 自家製ポテトサラダ

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生グレープフルーツサワー / 牛はつスタミナ焼き / かた子袋

店情報

《平成20(2008)年10月25日(土)の記録》

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店情報: 炭火串焼「宝来家(ほうらいや)」(新宿)

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  • 店名: 炭火串焼「第二宝来家」
  • 電話: 03-3344-3117
  • 住所: 160-0023 東京都新宿区西新宿1-2-5
  • 営業: 16:30-24:00(土祝は15:30-23:00)、日・連休の祝日休
  • 場所: JR新宿駅西口を出て右へ。パレットビル(さくらや)の先を右折し、突き当たりペットショップを左折して、線路沿いの思い出横丁(旧・やきとり横丁)に入った3軒目。
  • メモ: 昭和22(1947)年創業。現在は、思い出横丁内に第一宝来家、第二宝来家の2軒で営業中。
    飲物:〔ビール〕サッポロラガー大瓶540、アサヒスーパードライ大瓶540、サッポロ黒ラベル小瓶320、エビス黒ビール小瓶380、生ビール420、〔焼酎〕酎ハイ320、ウーロンハイ370、焼酎お湯割り・水割り320、焼酎ロック・ストレート320、レモンサワー320、ライムサワー320、梅サワー320、巨峰サワー320、青リンゴサワー320、バイスサワー320、クエン酸サワー320、カルピスサワー320、とまとサワー320、梅干サワー320、バイスロック420、生レモンサワー420、生グレープフルーツ420、博多の華(飲みきりのハーフボトル)1,680、梅酒ロック420、梅酒サワー420、梅酒水割り420、芋焼酎(風憚)470、黒糖焼酎(里の曙)780、〔日本酒〕日本酒(二合)530、冷酒(300ml)630、冷酒(上善水如720ml)2,600、にごり酒370、一の蔵(グラス)630、雪の松島(グラス)630、〔ウイスキー〕シングル320、ダブル530、水割りボトル530、〔ソフトドリンク〕コーラ260、ウーロン茶260、カルピス。
    炭火串焼き:〔もつ焼き(各1本120円、2本以上から注文)〕たん、はつ、レバ、かしら、あぶら、なんこつ、こぶくろ、かた子袋、つぶ子袋、がつ、しろ、てっぽう、ちれ、〔他串焼き〕豚バラ串焼き2本320、若鶏串焼き2本260、鳥皮串焼き2本260、ネギまぐろ串焼き2本420、牛はつスタミナ焼き2本320、〔野菜焼き〕ネギ120、ししとう120、しいたけ120、ぎんなん2本320。
    串焼き以外の料理:〔焼き物〕うるめいわし370、厚揚げ焼き370、さつま揚げ焼き370、子持ちししゃも420、いわしの丸干し420、はんぺん焼き420、いかげそ焼き470、寒さば焼き470、はたはた丸干し530、ほっけ焼き580、〔揚げ物〕ポテトフライ370、メンチカツ370、ニンニク揚げ370、手羽先唐揚げ420、肉じゃがコロッケ470、串カツ470、若鶏の唐揚げ580、カキフライ(冬季限定)580、〔お刺身〕こぶくろ刺し470、牛はつ刺し470、和牛せんまい刺し470、馬刺(熊本産の赤身肉)580、和牛れば刺し680、くじら刺し740、〔一品料理〕冷やっこ260、キムチ320、もずく酢(沖縄産)320、いかの塩辛320、お新香盛り合わせ(自家製ぬか漬け)370、特製もつ煮込み370、もろきゅう370、ピータン420、エシャーレット420、自家製ポテトサラダ420、豚耳420、月見470、冷やしトマト530、あじの南蛮漬530、たらどうふ(冬季限定)530、豚足580、山かけ580、焼きおにぎり3個580。
    公式サイトあり。(2008年10月調べ)

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〔コラム〕 ホテルのバーは安全で安い

広島「メイフラワー」にて


 麻生首相の言葉どおり「ホテルのバーは安全で安い」ので、はじめてひとりでお酒を飲みに行くときや、知らない町でお酒を飲むときなどに最適なのです。

 『安全』という面では、なにしろホテルという空間の中にありますので、バーの外部もホテルのスタッフのみなさんに守られているし、バーの中もバーのスタッフのみなさんが切り盛りしているということで、二重の防御になっています。私自身、ホテルのバーでは、あまり変な酔っ払いは見たことがありません。

 『安い』という点ではどうでしょうか。

 絶対的な値段で言うと、大衆酒場や街場のバーと比べて安いということはありません。ゆったりとした空間や、先に述べたような安全な空間で過ごせる割りには『高くない』、というのが正直なところでしょう。

 もっと言えるのは『過剰に高くない』、つまり『はじめての場所でもぼられることはない』という安心感ではないでしょうか。

 たとえば銀座でホステスさんが付くようなバー(なのか?)に行くと、座っただけでひとりン万円、なんてことになりますが、帝国ホテルの「オールドインペリアルバー」に行っても、ホテルオークラの「ハイランダー」に行っても、ウイスキーやカクテルは1杯が1,500円前後で、メニューに明示されている値段以外に消費税(5%)・サービス料(10%ほど)を見ておけば、それより高くなることはない。支払いのときに絶対にびっくりすることのない酒場なのです。

 これは地方のホテルだろうと、海外のホテルだろうと、ほぼ同じ。そのホテルが高級であればあるほど、そのホテルのバーは相対的に安く感じます。

 宿泊客にとってみると、ホテルのバーやレストランは、そこに滞在している間は一番身近な飲食場所です。街場のバーやレストランが「ハレ(晴れ)」の世界だとすれば、ホテルのバーやレストランは「ハレ(晴れ)」と「ケ(褻)」の中間的な位置づけになってもらっていないと困るわけです。

 つまり、ホテルの外部からやって来る人にとっては、ちょっとおしゃれな「ハレ(晴れ)」の世界であって欲しいし、ホテルに宿泊している人にとっては、日々を過ごす「ケ(褻)」の世界であって欲しいということなんですね。

 このところ、広島方面に出かけるときによく宿泊するのが、広島駅に直結した「ホテルグランヴィア広島」。ここでも就寝前に行くのは、そのメインバー「メイフラワー」です。身体を包み込むような座り心地の、ゆったりとした椅子に腰を下ろし、カクテルの1~2杯もいただくと、旅の疲れもほぐれていきます。カクテルを2杯いただいても、お勘定は2,300円ほどというのも嬉しいではありませんか。

「ひとり呑みもしてみたいんだけど、大衆酒場は敷居が高いなぁ」

 と思っている方は、まずはホテルのバーにいらっしゃってみてはいかがでしょうか。基本的にひとりで宿泊しているお客さんも多いホテルのこと。ひとりでふらりとバーに入ってくるお客さんは多いので、まったく違和感なく迎えてもらえるはずです。

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おでんのシーズン到来 … 大衆割烹「ほ里乃家(ほりのや)」(鷺ノ宮)

「ほ里乃家」


 西武新宿線・鷺ノ宮(さぎのみや)駅の改札を出て、左に下りた先にある赤ちょうちんの店が、今年で創業40年となる大衆割烹「ほ里乃家」です。コの字カウンターの最後の1辺が途中で止まったようなJ字カウンター12席分程度の小ぢんまりとした店を、店主夫婦で切り盛りします。

 金曜日、夜10時過ぎの店内はゆるやかに満席気味で、あっちにポツリ、こっちにポツリと、1席ずつ何個か空いたすき間のひとつに入れてもらって、まずはいつものように瓶ビールから……、あれっ!? ホッピー(350円)がある!

「ホッピー、はじめたんですか?」

「そうなんですよ。お客さんからご希望があって」と店主。

 ならば今日は、ビールじゃなくて、まずはそのホッピーをいただいてみましょう。

 ホッピーは、チューハイやウーロンハイと同じように、氷入りのサワーグラスに定量の焼酎が注がれ、そのあとサワーグラスいっぱいまで瓶入りのホッピーが注がれてできあがり。1杯分、飲み切りのスタイルで出されます。なるほど、ナカ(焼酎部分)とソト(ホッピー部分)が分離されている方式ではないんですね。これにはちょっとガッカリです。ま、出始めたばかりだから、今後に期待ですね。

 今日のお通し(200円)は味付けモヤシとインゲン。それをつまみながら、1品目の料理として銀杏(ぎんなん、350円)を注文します。

 すべての料理がJ字カウンターの中で作られるので、料理ができあがっていく様子を見ながら飲めるのもこの店のいいところ。殻付きの生の銀杏は、まずペンチのような器具で1個1個、パチンと割れ目を入れてから、焼き上げる工程に入ります。待つことしばし、焼きたての熱々が目の前に出てきました。

 アッチッチ、アッチッチと殻を剥きながらいただくのが楽しいんですよねぇ。

 2杯目の飲み物として、「剣菱(けんびし)」(340円)を燗でいただきます。古川修(ふるかわ・よしみ)さんのブログ記事で、手作りで造られているという「剣菱」のことが紹介されて以来、この店のように「剣菱」を置いている店では、それをいただくようにしているのです。

 銀杏も食べ終えて、次にいただくのは、この店の看板メニューでもあるおでんです。看板に“おでんとやきとり”と書かれているため、この店を外からしか見たことのない、うちのカミサンなんかは、「あの店はおでん屋さんである」と認識しているくらいです。しかしながら、実はおでんが出されるのは寒い季節だけ。今年もまたおでんの季節がやってきたんですね。

 おでんは豆腐と玉子をいただきましたが、写真に撮ると両方とも白いので、あまりビジュアルじゃないですねぇ。さっきおでんをもらうときに、他に大根やハンペンも考えたのですが、これらもすべて白色なので、もし全部たのんでたらおもしろい写真になってただろうなぁ。

 1時間ほど楽しんで、お勘定は1,440円。ということは、おでん2品が200円だったんですね。どうもごちそうさま!

081024g 081024h 081024i
ホッピーとお通し / ぎんなん / おでん(豆腐と玉子)

店情報前回

《平成20(2008)年10月24日(金)の記録》

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醤油ベースのタレ焼き … もつ焼き「ホルモン」(沼袋)

テッポウ、ガツ(タレ)


 高田馬場で西武新宿線に乗り換えて7分。沼袋(ぬまぶくろ)のもつ焼き「ホルモン」にやってきました。

 金曜、午後9時前の店内は、閉店まであと1時間にもかかわらず、ほぼ満席に近い客の入り。2列平行カウンターのうち、駅に近い側は満席なので、奥側に入ると、カウンターの一番奥あたりに空席がありました。まずはひと安心です。

 おろっ。この店も値上がりしたんですね。1本100円だったもつ焼きが、110円に、10円値上がりしています。そして、以前は隠れメニュー、あるいは裏メニュー的な存在であった“ちょい焼き”が、正式にメニューに明記され、レバ、コブクロのそれぞれが1本120円と、こちらは20円アップとなりました。聞けば8月からこの値段になったんだそうです。

 最初はいつものように、大瓶のサッポロラガービール(500円)とお新香(110円)をもらって、正規のメニューになったレバとコブクロの“ちょい焼き”(1本120円)を、それぞれ2本ずつ注文します。

 店は店主夫妻で切り盛りしており、ご主人は店の入口側にある焼き台を定位置として、そして奥さんは通常は店の奥の間にいて、お互いに2列のカウンター内を行き来しながら注文を受けたり、料理やお酒を出したりするのです。

 私の注文も、瓶ビールとお新香は、奥の間にいる奥さんが、そして“ちょい焼き”は焼き台のご主人が焼き上げて出してくれます。

 ほとんどの人が注文するお新香は自家製らしく、今日はカブとキュウリの漬物です。遅い時間だと売り切れてしまっていることも多くて、人によっては最初から「お新香ダブルで!」と2人前注文しておくほどなのです。

 “ちょい焼き”は、串に刺した新鮮なレバやコブクロを、文字通りちょっとだけ焼いたもので、おろし生姜と刻みネギを添えて、醤油か、好みによってはポン酢醤油をかけて出してくれます。これも、この店ならではのもつ焼きですよねぇ。割箸もいっしょに出されるので、串からはずして、ひと切れずつ刻みネギをのせながらいただきます。

 “ちょい焼き”が残りわずかになったところで、普通のもつ焼きを注文します。もつ焼きは、ハツ(心臓)、ガツ(胃袋)、タン(舌)、タマ(睾丸)、カシラ(頬肉)、ナンコツ(喉骨)、コブクロ(子宮)、ヒモ(腸)、レバー(肝臓)、テッポウ(直腸)、マメ(腎臓)、オッパイ(乳房)、アブラ(内臓脂)、チレ(脾臓)、ヒラ(腸と直腸の間)の15種類。このほかに、椎茸(しいたけ)や、うずらの卵、生揚げなどもあって、すべて1本110円です。

 もつ焼きの中でも、オッパイやアブラなど脂肪分の多いものは鮮度が命。古くなると脂独特の臭みが出てくるのです。この店のものはいつも鮮度抜群で、臭みなんて感じたこともなく、脂そのものの甘みをたっぷりと味わうことができます。

 今日もそのオッパイとアブラに、カシラを、それぞれ1本ずつ塩焼きで注文し、飲み物も焼酎(230円)に切り替えて、カウンター上に置かれた梅エキスをちょいと垂らしていただきます。(ちなみに焼酎は、こうやってストレートや梅割りなどで飲むほか、水割りやクワ茶割り(それぞれ370円)などで飲むこともできます。)

 もつ焼き以外のメニューは、今いただいているお新香(110円)のほか、やっこ(260円)にトマト(260円)に、もつ煮込み(310円)くらいと、種類は少ないのですが、いずれも人気の品。真っ白なやっこと、真っ赤なトマトは、見た目にも美しいのです。

 もうちょっともつ焼きを食べたいところなのですが、そろそろ閉店時刻(午後10時)が近づいてきました。最後に、このところ醤油焼きで注文することが多かったテッポウとガツを、それぞれタレ焼きでいただいてみることにします。

 ここ「ホルモン」は、練馬の「金ちゃん」や、今はなき鷺ノ宮の「鳥芳」と同じく、かつて阿佐ヶ谷駅近くにあった「ホルモン」で修業したもつ焼き屋のグループ。このグループの共通点は、焼き台をはさんで奥に伸びる2列平行のカウンターや、醤油味をベースにしたタレの味。

 この店では、今の店主の代になってから、お客さんたちの好みに合わせて、タレに少し甘みを加えてきたそうなのですが、基本は醤油ベース。テッポウやガツともよく合うのではないかと思って、今日はタレ焼きでたのんでみたのです。

 焼きあがってきたテッポウとガツは、思ったとおりいい味わいです。醤油焼きもいいですが、タレ焼きもいいですねぇ!

 その2本を食べ終わり、焼酎を飲みきったところで閉店時刻です。ちょうど1時間ほど楽しんで、今日のお勘定は1,870円でした。どうもごちそうさま。

081024a 081024b 081024c
「ホルモン」 / コブクロとレバのちょい焼き / お新香(カブとキュウリ)

081024d 081024e 081024f
焼酎 / アブラ、カシラ、オッパイ、卵付きコブクロ、ハツ下(塩) / 注文票

店情報前回

《平成20(2008)年10月24日(金)の記録》

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もどりカツオを刺身で … 伊勢料理「志摩(しま)」(横浜)

戻りかつお刺身


 横浜駅の近く(とは言うものの歩くと10分以上かかるところ)に、安くて量の多い魚料理屋があると聞いて、飲み友にも付き合ってもらって、二人でやってきました。量が多い店は、ひとりで来ると1~2品しか食べられませんもんね。

 総席数180席という店内にはテーブルがずらりと並んでいるほか、奥には座敷席もあるようで、入った瞬間に「広い!」と感じます。

 ちょっと出遅れたため、店に着いたのは午後8時前。ピークタイムを迎える時間帯ではありますが、平日だし、なにしろ客席数が多いので、まだまだ余裕で4人用のテーブル席に案内されます。

 まずは持参したホットペーパーのクーポン券(内容は月替り)で、サービスの生ビールをもらって乾杯すると、お通し(315円)として少量のブリ照焼きが出されます。

「今日のおすすめメニューはこちらです」

 店のおにいさんがホワイトボードに手書きされたメニューを持ってきて、横のイスに立てかけてくれます。その中から、あん肝(630円)と、戻りかつお刺身(630円)、そしてカキフライ(840円)を注文します。

 予想どおり、まっさきに出てきたのはあん肝。小鉢にたっぷりと盛られており、あん肝好きの友人は「これはすごいっ」と、最初から大喜び状態で、飲物も白ワイン(カリテラ・シャルドネのミニボトル、600円)を注文です。

 続いて戻りかつお刺身。ぶ厚く切られた刺身がたっぷりと8切れで630円というのは、これまた安いですよねぇ。私自身は、カツオは春の初ガツオよりも、脂ののった秋の戻りガツオのほうが好きなので、カツオはむしろ秋に注文することのほうが多い魚です。私は燗酒(日本盛二合、580円)をいただきます。メニューには、各地の地酒もたくさん並んでいるのですが、残念ながら燗酒にできるのは「日本盛」だけなんだそうです。

 そして冬場になると必ず食べたいカキフライ。大きなお皿のまん中に、ドカンとサラダが盛られ、その周りに放射状に8個のカキフライが並びます。いやいや。これもうまそうじゃ。熱いうちにハフハフしながらいただきましょう。

 最初の3品をいただいて、お腹も落ち着いたところで、ちょっとつまみつまみした料理もいただいてみましょうか。ホワイトボードの16品のほか、テーブル上の「本日のおすすめ」という手書きメニューに約30品。さらに通常の印刷メニューに80数品に、壁にも短冊メニューと、全体で150品近くの料理メニューが並ぶ中、注文したのは定番の玉子焼き(370円)と牛すじ煮込み(475円)です。

 飲み物も地酒にシフト。友人は「呉春」(735円)を、私は「黒龍」(735円)を選ぶと、受け皿付きのグラス(正味1合)にたっぷりと冷酒をついでくれます。

 まわりのお客さんたちを見ても、目の前にずらりと料理を並べて、ワイワイと楽しそうなグループばかり。ほとんど帰る人がいません。

「お料理のほう、ラストオーダーになります」

 午後10時になって、料理がラストオーダーの時刻を迎えました。この後、お酒が10時半でラストオーダーになり、11時閉店だそうです。

 もうお腹もいっぱいなのですが、ラストオーダーと言われると、ついついなにか注文したくなっちゃうんですよねぇ。

 食事ものは、焼きおにぎり(210円)や、普通のおにぎり(しゃけ・おかか・梅、各1個265円)、茶そば(525円)、稲庭うどん(525円)、五目ぞうすい(525円)、お茶漬け(しゃけ・梅・のり、各525円)、手こね寿司(735円)、特上にぎり寿司(1,050円)など。稲庭うどんで〆ることにしました。

 閉店時刻の11時まで、ゆっくりと3時間ほど楽しんで、ふたりで6,750円(ひとりあたり3,375円)。店の外へ出てみると、すでに入口のまわりは明日のランチタイム用に向けた飾り付け(?)に模様替えされています。ずらりと並ぶ大きな短冊メニューが迫力だなぁ。今度は、昼も来てみたいですね。

081022a 081022b 081022c
生ビールとお通し / ホワイトボードメニュー / あん肝

081022d 081022e 081022f
白ワイン / 燗酒(日本盛) / カキフライ

081022g 081022h 081022i
玉子焼き / 牛すじ煮込み / 「呉春」

081022j 081022k 081022l
「黒龍」 / 稲庭うどん / 店はランチ用に模様替え

店情報

《平成20(2008)年10月22日(水)の記録》

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店情報: 伊勢料理「志摩(しま)」(横浜)

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  • 店名: 伊勢料理「志摩」
  • 電話: 045-323-5636
  • 住所: 220-0004 神奈川県横浜市西区北幸2-9-30 リバースチールビルB1
  • 営業: 11:30-14:00 & 17:00-23:00(22:00LO)、日祝休
  • 場所: 横浜駅西口を出て、向かい側にある横浜ベイシェラトンホテルの左側の道(地下から行く場合は9番または10番出口)を、横浜駅から遠ざかる方向に進む。道成りにやわらかく左に折れながら信号交差点に突き当たる(左手前にサンクス)ので左へ。2~3ブロック進み、右前方にホテルコスモ横浜がある信号交差点を右へ。次の信号交差点(北幸交番前。手前左手にセブンイレブン)を左に折れて、二つ目のビルの地下1階。駅西口を出て徒歩15分(820m)ほど。
  • メモ: 昭和29(1954)年創業。カウンター8席、テーブル78席、座敷94席で総席数180席の大箱魚料理店。ボリュームたっぷりが売りで、ランチタイム(ごはん、納豆、玉子が食べ放題で700~800円)にも近隣のサラリーマンたちが押しかける。
    料理:〔刺身〕サザエ刺身1個525、タコ刺身630、イカ刺身735、活鯵の刺身840、活鯵のたたき840、カンパチ840、タイ840、平目薄造り840、平目刺840、タイラガイ945、しもふり馬刺し1050、特上まぐろ中トロ刺身1260、生ウニ1575、刺身盛り合わせ1575、特上刺身盛り合わせ2625、〔煮物〕牛すじ煮込み475、新じゃが煮630、サバ味噌煮735、穴子煮こごり735、イカ丸煮735、豚角煮840、とこぶし煮1050、〔野菜〕冷しトマト315、生野菜サラダ525、ポテトサラダ525、グリーンアスパラ630、カニサラダ840、〔焼物〕焼なす370、サザエつぼ焼き1個525、帆立貝焼き2個630、イカ丸焼735、サバ塩焼き735、焼きハマグリ735、若鶏梅肉焼き735、銀ダラ味噌漬け735、イカ一夜干し735、ゆり根ホイル焼き840、本日のカマ焼き840、うなぎ(白焼き)1050、うなぎ(蒲焼き)1050、〔一品料理〕出し巻き玉子焼き370、冷奴420、お新香420、もずく酢475、茶わん蒸し(2人前より)525、ホタルイカ塩辛525、自家製イカ塩辛525、タコキムチ630、カニ玉子とじ840、生ウニ玉子とじ840、あさり酒蒸し840、あさりバター840、銀杏840、酢の物盛り合わせ840、〔揚げ物〕タコ唐揚げ525、揚げ出し豆腐525、自家製さつま揚げ630、キス天ぷら735、マグロ立田揚げ735、くじら立田揚げ735、若鶏唐揚げ735、海老天ぷら840、カニかき揚げ天840、穴子天ぷら840、川エビ唐揚げ840、天ぷら盛り合わせ1260、〔お食事〕あら汁160、あさり汁265、焼きおにぎり210、おにぎり(しゃけ/おかか/梅)1個265、茶そば525、稲庭うどん525、五目ぞうすい525、お茶漬け(しゃけ/梅/のり)525、手こね寿司735、特上にぎり寿司1050。
    お飲み物:〔芋焼酎〕一刻者石蔵甕貯蔵(720mlボトル)3675、紅一刻(720mlボトル)3150、さつま司(720mlボトル)3150、こく紫(720mlボトル)3150、黒霧島(900mlボトル)3250、〔麦焼酎〕知心剣(720mlボトル)3150、志摩(900mlボトル)2310、特撰かのか(720mlボトル)2310、光年(720mlボトル)2310、神の河(720mlボトル)3150、〔割り物〕水割りセット(氷+水)210、玉露茶(1L)525、ウーロン茶(1L)525、〔ビール(アサヒスーパードライ)〕生ビール中525、ビール中瓶525、フリー(ノンアルコール小瓶)420、〔サワー〕レモンサワー420、うめサワー420、ライムサワー420、青りんごサワー420、グレープフルーツサワー420、玉露ハイ420、ウーロンハイ420、〔焼酎(水割り・お湯割り・ロック)〕芋焼酎420、麦焼酎420、〔果実酒(ソーダ・ロック)〕梅酒420、巨峰酒420、あんず酒420、ライチ酒420、〔日本酒〕松竹梅「豪快」(中徳利)580、松竹梅「生」(300ml)685、松竹梅白壁蔵「生もと純米」(640ml)2100、〔ワイン〕カリテラ・カベルネ(赤、ハーフボトル)1080、カリテラ・シャルドネ(白、ハーフボトル)1080、ジュナール・メルロー(赤、750ml)1890、ジュナール・シャルドネ(白、750ml)1890、白ぶどう酒(ハーフボトル)840、〔ウイスキーボトル〕ブラックニッカクリアブレンド2500、スーパーニッカ5250、〔ウイスキーグラス〕シングル370、ダブル525、Dハイ500、〔ソフトドリンク〕コーラ265、オレンジジュース265、ウーロン茶265、カナダドライジンジャーエール265。
    〔地酒(正味一合)〕百寿(新潟)630、千寿(新潟)735、紅寿(新潟)735、碧寿(新潟)840、萬寿(新潟)1365、浦霞(宮城)630、酔心(広島)630、西の関(大分)630、美少年(熊本)630、高清水(秋田)630、真澄(長野)630、黒龍(福井)735、出羽桜(山形)735、天狗舞(石川)735、〆張鶴(新潟)735、土佐鶴(高知)735、呉春(大阪)735、男山(北海道)735、銀盤(富山)735、立山(富山)735、初亀(静岡)735、八海山(新潟)840、雪中梅(新潟)945、越乃寒梅(新潟)1155。
    〔本日のおすすめ品(手書きの日替りメニュー、2011年12月10日の例)〕平目刺身・薄造り840、本マグロ中トロ刺身1,260、生ウニ刺身1,575、生ダコポン酢735、牛たたき735、活鯵刺身・たたき840、特上にぎり寿司1,050、しもふり馬刺1,050、タラバガニ3,990、とこぶし煮1,050、穴子煮こごり735、鯨竜田揚735、鮪竜田揚735、うなぎ蒲焼・白焼1,050、新じゃが煮630、ぶり大根840、鮭ハラス焼630、大むつ煮840、手造りさつま揚630、里いも煮付420、自家製出し巻玉子焼370、野菜天婦羅630、蓮根はさみ揚735、メゴチ天婦羅735、ハゼ天婦羅735、桜海老かき揚630、白魚かき揚630。(2011年12月調べ)

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今シーズン初の鍋もの … 居酒屋「やまと」(浅草橋)

「やまと」


 浅草橋での2軒目は、今度は駅の東側に回って、居酒屋「やまと」です。先ほどの「西口やきとん」が駅の西口北側に位置するのに対して、こちらは東口南側にあって、駅をはさんでちょうど点対称といった感じです。ここ「やまと」は、このところ飲み仲間たちのブログでよく見かけるお店で、浅草橋にやってきたらぜひとも来てみたいお店の1軒だったのです。

 店内は長いテーブル席がいくつか並んでいて、そこに入れ込み式にお客さんが入っています。土曜日、午後7時過ぎの店内はザワザワと満席状態。

 店は店主夫婦とその娘さんといった雰囲気の3人が切り盛りしており、「もうちょっとしたら空きそうなんですけど」と娘さん。空いたら携帯に電話してもらうということで近くの、すぐ近くの立ち飲み屋、「ぶたいちろう」でホッピーなどをいただきながら空席待ちです。

 20分ほどで席が空いて、再び「やまと」へ。入口左手の長テーブルの一角を囲んで、特大の酎ハイ(340円)をもらって乾杯です。この特大の酎ハイ。ビールの大ジョッキになみなみと入っていて、女性だと持ち上げるのも大変なほどの重さです。しかも、土曜日は飲み物がサービス価格になっていて、普段なら440円の特大酎ハイが、土曜日は340円なのです。この特大酎ハイだけでなく、すべての飲み物が「土曜日のサービス価格」になっているのが嬉しいではありませんか。大瓶のビールも、普段でも400円と安いのに、土曜日だと350円ですからねぇ!

 壁にずらりと並ぶ料理メニューのほとんどは250~350円ほど。飲み物も安いけど、料理も安い。そんな中から、しらすおろし(250円)とセロリ(250円)に、鉄火巻(250円)をいただきます。

 まわりのテーブルを見ると、鍋物をつついているグループが多い。壁のメニューを確認すると、今シーズンの鍋物は10月1日から始まったのだそうで、あんこう鍋(1,400円)、ちゃんこ鍋(950円)、たらちり鍋(900円)、かき鍋(900円)、鳥鍋(900円)、豚肉鍋(900円)と湯豆腐(600円)が並んでいます。

 鍋物は1人前から注文することができるんだそうで、ちゃんこ鍋(950円)を1人前注文すると、鍋からあふれんばかりに、カキ、タラ、鶏肉などが盛り上げられています。これはすごいっ。

 我われのとなりの男性2人連れは、もう何年もこの店に通っている常連さんなんだそうで、あんこう鍋(1,400円)を1人前注文すると、当たり前のように鍋の出汁(だし)の一部を丼に移して煮始めます。なるほど、こうすると煮えてきて具が下がってきても、出汁があふれることがないんですね。勉強になります。

 こうやって鍋物を注文すると、最後にご飯と玉子のセット(280円)をもらって雑炊でしめることができるのです。残念ながら、我われはすでに満腹で、雑炊まで行きつくことができませんでした。

 午後9時半まで2時間ちょっとの滞在は、3人で4,020円(ひとりあたり1,340円)でした。いやぁ、この店もすばらしい。

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しらすおろしとセロリ / 酎ハイと特大酎ハイ / 鉄火巻

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ちゃんこ鍋 / となりはあんこう鍋 / 最後は雑炊で〆る

店情報

《平成20(2008)年10月18日(土)の記録》

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店情報: 居酒屋「やまと」(浅草橋)

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  • 店名: 居酒屋「やまと」
  • 電話: 03-3861-9884
  • 住所: 111-0053 東京都台東区浅草橋1-10-14
  • 営業: 17:00-24:00、日祝休
  • 場所: JR総武線・浅草橋駅の東口(地下鉄ならA3出口)を出て、目の前の通り(国道6号線・江戸通り)を右へ、総武線のガードをくぐる。ガードをくぐった先(浅草橋駅前信号交差点)を右に折れ、次の小さな交差点(左手角が立ち飲み「ぶたいちろう」)を左に折れた先、右手。駅から徒歩2分ほど。
  • メモ: 飲物:生大440、生中330、ビール大400、酒・大徳利350、ウイスキーW400、酎ハイ220、特大酎ハイ440、コーラ200、ウーロン茶200、追加氷(大)200、(小)100。 料理:もつ焼3本280、レバ3本280、しろ3本280、たん3本280、つくね3本300、とり皮3本300、焼鳥3本300、豚肉串3本300、煮込み350、鉄火巻250、カッパ巻250、奈良漬巻250、お新香巻250、納豆巻250、馬刺450、サバ塩焼350、しらすおろし250、おしんこ250、セロリ250、もろきゅ250、奴250、ガツ味付250、生野菜350、エイヒレ300、レバ刺250、手羽餃子350、玉子納豆250、豚足400、ニラ玉300、ニラレバ350、串かつ350、鳥唐揚300、チキンかつ300、ポテトフライ250、まぐろ納豆300、いか納豆300、いか刺300、いか焼300。 冬場の鍋:あんこう鍋1400、ちゃんこ鍋950、たらちり鍋900、かき鍋900、鳥鍋900、豚肉鍋900、湯豆腐600、ライス・玉子280。 定食(各450):煮込み、まぐろ、チキンカツ、ニラレバ、サバ塩焼、ニラ玉。 土曜日のサービス:生大390、生中290、ビール大350、酒・大徳利280、酎ハイ170、特大酎ハイ340、ウイスキーW350。(2008年10月調べ)

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元気が良くて明るくて … 「西口やきとん(にしぐちやきとん)」(浅草橋)

昨日のカレーとフランスパン


「昨日のカレーにフランスパンを付けて、これが『西口やきとん』のバリューセットだ。どうですか、バリューセット!」

 あはは。バリューセットはいいなぁ。こっちにもそれをひとつお願いします。

 今日は浅草橋駅の西口にある、昭和48(1973)年創業のやきとん屋、「西口やきとん」にやってきました。同行者は、伊野さんにっきーさんのお二人です。

 値段が安くて味がいいのはもちろんのこと、とにかく店のおにいさんたちが元気が良くて、明るいのがこの店の大きな特長のひとつ。北の「まるます家」(赤羽)か、東の「西口やきとん」か、といった元気の良さで、とても居心地がいいのです。

 今日も開店時刻の午後5時よりも5分ほど早く店に到着したところ、すでに店内に何組かのお客さんが入っていて、我われ3人も奥のテーブル席のひとつに案内されました。

 さっそくレモンハイボール(通称ボール、280円)をもらって乾杯すると、店のおにいさんから、「今、炭火を熾(おこ)しているところなので、しばらくは焼き物以外でお願いしますね」という説明があり、冒頭のようなおすすめをいただいたのでした。

 壁には「本日の日替り小皿」という手書きメニューが掲げられていて、そこにフライドポテト(150円)、とまと煮(150円)、昨日のカレー(100円)、漬けきゅうり(100円)、もやしのナムル(100円)といった品が並んでいます。

 昨日のカレー(100円)も、この「本日の日替り小皿」の中の一品で、小皿からあふれんばかりのカレー(ルーのみ)が出されます。これを別にもらったフランスパン(1本100円)にのせていただくのです。セットにしたから安くなるというわけではないのですが、おにいさんがおもしろ可笑しくバリューセットと称しているのです。そのおにいさんの呼びかけで、ほとんどのテーブルのお客さんが昨日のカレーとフランスパンを注文しています。

 その他にも、火を使わなくていいレバ刺し(1本100円)を3本に、名物の塩煮込み(150円)、そしてこれまた「本日の日替り小皿」からトマト煮(150円)をもらいます。ここは看板メニューのやきとんもさることながら、塩煮込みやトマト煮といった煮込み類もおいしいのです。しかも小皿にたっぷりといっぱいで150円というのが嬉しいではありませんか。どちらも、モツの煮込みで、塩煮込みはさっぱりとした塩味で、大根やニンジン、竹の子などの野菜類も一緒に煮込まれています。トマト煮は、その名のとおり、トマト味のもつ煮込みです。

 レバ刺しは、串焼きにするレバーを、焼かない状態で出してくれるもので、添えられたニンニク味噌でいただきます。このニンニク味噌が、これだけでもお酒がグイグイ飲めそうな逸品です。

 ボール(280円)もおかわりしながら、今度は焼いたフランスパン(1本100円)をもらって、名物の皿ナンコツ(150円)です。この皿ナンコツをフランスパンの上にのせて食べるのが絶品なのです。

「焼き物もOKですよ」

 というおにいさんの声に、この店ならではのやきとんである、白獅子(しろじし)と赤獅子(あかじし)を、それぞれ3本(1本100円)ずつ注文します。

 白獅子というのはカシラのアブラの部分とシシトウを交互に串に刺して焼いたもので、仕上げに先ほどレバ刺しに付いていたのと同じニンニク味噌が添えられます。赤獅子は、ハツとシシトウを交互に刺して焼いたもの。白獅子は確かに白く、赤獅子は確かに赤いのがわかりやすいですねぇ。

 「本日の日替り小皿」がおいしいので、さらにモヤシのナムル(100円)や漬けキュウリ(100円)も追加します。

 前回いただいた焼酎のココア割りは、残念ながら現在は休止中なんだそうで、最後に牛乳割り(300円)をいただいてしめます。

 開店から2時間ほど楽しんで、お勘定は3人で5,640円(ひとりあたり1,880円)でした。どうもごちそうさま。

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「西口やきとん」 / レモンハイボール / レバ刺し

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塩煮込み / トマト煮 / フランスパン(焼き)

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皿ナンコツ / 白獅子 / 赤獅子

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もやしのナムル / 漬けきゅうり / 牛乳割り

店情報前回、同じ日の伊野さんの記事

《平成20(2008)年10月18日(土)の記録》

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〔コラム〕 今夜もハシゴ酒 (荻窪・下井草編)

「やき屋」


 金曜日の帰り道は、ほぼ毎週と言っていいくらいハシゴ酒。普段はどうしても翌日が気になって、深酒しにくいものですが、金曜日だけは例外です。「もしひどい二日酔いになったとしても、土日の休みの間になんとか回復することができそうだ」という安心感もあって、実に楽しく、しかも盛大に飲めるのです。

 今日も横浜での仕事を終えて、湘南新宿ラインから中央線を経由して、荻窪へと帰ってきました。今夜はここ荻窪からハシゴ酒のスタートです。

 1週間の仕事を終えて、「やれやれ」という1軒は、行きつけの、失敗のない店が望ましい。疲れて帰ってきて、いきなり嫌(いや)な思いをするのは避けたいですもんね。

 今日の1軒目として選んだのは、荻窪駅北口にある立ち飲みの「やき屋」です。ここは私が大好きな酒場の1軒。もう少し自宅に近いか、自宅への経路上にあれば、もっと通えるのにと、いつも残念に思っているお店なのです。

 なにがすごいって、八戸直送の新鮮なイカ料理の数々がすべて170円均一(ホタテとシメサバの2品だけが、これよりちょっと高い)で、しかも美味しいのです。

 今日もまずは瓶ビール(アサヒスーパードライ中瓶、400円)と、イカの足の付け根の部分を焼いた、イカなんこつ焼き(170円)から始めて、飲み物を徳利の燗酒(北の誉、250円)に切り換えて、自家製のイカ塩辛(170円)。燗酒をおかわりして、これまた自家製の漬物(170円)とイカミミ刺身(170円)をいただきます。

 1時間ほど立ち飲んで、ビール1本にお酒が2本、そして料理が4品で、しめて1,580円というんだから、なんとも嬉しいではありませんか。

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イカなんこつ焼き / お新香 / イカミミ刺身

・「やき屋」の店情報前回

            ◆   ◆   ◆

「カッパ」


 1軒目でうまくスタートが切れたら、心地良い酔いも手伝って、2軒目はもうどこでも大丈夫。よーし。じゃ今日は、このところいつ来ても満席で入れたことがない、もつ焼き「カッパ」に向かってみましょうか。

 午後9時過ぎの「カッパ」は、すでに焼き台担当が大将から、おねえさんに代わっているものの、コの字カウンター席の一角が空いています。やぁ、まずは入れて良かった良かった。

 2軒目なのでちょっと強力なお酒を、ということで焼酎(300円)をもらって、つまみには名物のレバ刺しをタレ塩(100円×2本)をもらいます。

 ここのもつ焼きは、1種類2本(100円×2本)が基本単位。あえて指定すれば1本ずつ焼いてもらうこともできますが、ほとんどのお客さんは2本ずつもらっているようです。

 レバ刺しというのは、もつ焼きのレバを焼かずに生のまま出してくれるもので、タレ塩とお願いすると、まずそのレバをタレに浸けてから、塩をパラパラっと振ってくれます。こうやって味をつけると、甘いレバから、ちょっと苦めのレバまで、どのレバでも美味しくいただくことができるのです。

 さらにお新香(200円)をはさんで、トロ(直腸、100円×2本)と、ヒモ(腸、100円×2本)を味を指定しないで注文すると、どちらもタレ焼きで出てきました。

 久々の「カッパ」は、1時間弱の滞在で1,100円。やぁ、満足、満足。

 お酒の量的にも、お腹の膨れ具合的にも、この辺で切り上げて帰れるとちょうどいいのに。と冷静に判断できるのは酔ってないときの話。ここまでお酒が入ってくると、1週間の仕事を終えてヤレヤレなんて気持ちはどこへやら。すっかり気分も高揚し、もう矢でも鉄砲でも持ってこい状態です。頭の中も「さぁ、次はどこへ!」ということしか考えていないのでした。

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レバ刺(タレ塩) / トロ(タレ) / ヒモ(タレ)

・「カッパ」の店情報前回

            ◆   ◆   ◆

「こいくちや」


「そう言えば、荻窪駅前(中央線・丸の内線)から下井草駅前(西武新宿線)に行くバスが出てたよなぁ」と駅前ロータリーへ。4番乗り場からバスに乗り込むと、15分ほどで下井草駅前に到着です。

 下井草で向かったのは、先日初めてやってきた「こいくちや」。飲むほどに、酔うほどに、強いお酒、こってりとした料理が欲しくなってくるんですよねぇ。

「いらっしゃいませ。こちらにどうぞ」

 と「こいくちや」の店主に案内されたのは、「ペルル」の常連さんでもある、TOMファンさんのとなりです。前回ここに来たときにもTOMファンさんがいらっしゃって、親しくお話させていただいていたのを店主が覚えてくれていて、今日もそのとなりに案内してくれたようです。さすがですねぇ。

 ホッピー(380円)をもらって、料理は数々の大衆鉄板焼きがほぼ280円均一の中から、「本日のおすすめ」にラインナップされている椎茸のツナマヨ焼き(280円)を注文します。目の前の大きな鉄板で焼き上げられる料理がいいんですよねぇ。

 さらにホッピーのナカ(焼酎のおかわり、250円)をもらって、日付けが変わる直前までの1時間半ほど楽しく過ごし、お勘定は1,060円でした。

 3軒目ともなると、飲む量も食べる量も少なく、しゃべってばかり。お店にはすっかりご迷惑をおかけいたしました。

081017g 081017h 081017i
「こいくちや」 / ホッピー / 椎茸のツナマヨ焼き

・「こいくちや」の店情報前回

            ◆   ◆   ◆

「ゴテンズバー」


 そんなご迷惑をかけておいて、これで帰るかと思いきや、次に向かったのは同じ下井草にある焼酎バー「ゴテンズバー」です。この土地に来たら、この店にも行っとかなきゃ、っていうところがあるんですよねぇ。しかもここで、この店の常連さんであるにっきーさんとも合流です。

 午前1時半近くになって、地下の「ゴテンズバー」から、地上のラーメン屋「御天」へと移動して、ツブ貝や、大好物のせん菜炒め(550円)で、抹茶ハイなどをいただいてから、最後にラーメンに、別皿で生ニンニクをもらってしめます。この生ニンニクを入れると入れないとでは、豚骨ラーメンの味がうんと変わりますからねぇ。

 午前3時までたっぷりと7時間、5軒のハシゴ酒でした。

 金曜日はいいねーっ!!

081017j 081017k 081017l
つぶ貝煮 / せん菜炒め / ラーメン

・「御天」の店情報前回

《平成20(2008)年10月17日(金)の記録》

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三連休の中日を楽しむ … 「竹よし」(都立家政)~「秋元屋」(野方)

真ダラ生白子


 毎月第2土曜日は「竹よし」の夕食会。季節ごとの旬のテーマ食材をいただきながら、おいしい日本酒をたっぷりといただけるのです。夕食会は、会費5千円の完全予約制なので、歩留まりよく、いい食材を仕入れることができるのだそうです。

 もうひとつの裏技(?)が、夕食会の翌日の日曜日に「竹よし」に出かけること。昨日の食材が運良く残っていれば、夕食会用のいい食材をいただくことができるのです。

 昨日、10月11日(土)の、第80回目となる夕食会のテーマ食材は、北海道でとれた活けじめの真ダラ。6.7キロの大物だったのだそうです。このタラが、刺身や昆布〆(こぶじめ)のほか、あら煮、おじやで。そしてたっぷりの白子は生食と天ぷらで出されたのだそうです。副食材は松輪の秋サバで作った棒鮨(ぼうずし)に、アンキモ豆腐とカニミソ豆腐。うぅーっ、酒じゃ、酒じゃ、酒持ってこーい! って感じですね。

 で、翌日の今日はどうかな。メニューには北海産・真ダラの昆布〆(700円)や、白子生食(600円)、真ダラの肝(きも)酒蒸し(600円)、そして松輪の秋サバの刺身(700円)といった昨日の食材が載っています。やぁ、良かった良かった。

 となりに座る大常連のTmさんが冷酒(高清水300ml、600円)で松輪の秋サバをいただいているので、私は瓶ビール(アサヒスーパードライ中瓶、500円)を1本いただいて喉を潤した後、燗酒(菊正宗、350円)と真ダラの白子生食(600円)をもらいます。白子を生で食べられることはあまりありませんもんね。

 さて、ここで今後の夕食会のご紹介です。

 第81回は、11月8日(土)にすでに終了しています。テーマ食材はカワハギ、副食材はクジラでした。第82回は12月13日(土)の17:00からで、食材はアンコウの予定です。なんと言ってもアンコウ鍋かな。そして第83回は年が明けて1月10日(土)の17:00から。新春スペシャル食材は寒ブリの予定だそうです。これまた楽しみですね。

 閑話休題。今日は三連休の中日(なかび)とあって、「竹よし」はお客さんも多く、まるで昨日の夕食会の続きのようにワイワイと盛りあがります。

 私もさらに真ダラの昆布〆(700円)ももらって、燗酒(菊正宗、350円)もどんどんおかわりです。

 ふと気がつけばもう8時。燗酒5本(5合)で3時間も長尻(ながっちり)してしまい、お勘定は3,750円でした。

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ビールとお通し / 松輪の秋サバ / 今日の刺身盛り合せ

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真ダラのきも酒蒸し / ニラと玉子炒め / 真ダラの昆布〆

・「竹よし」の店情報前回

            ◆   ◆   ◆

豚足の炙り


 「竹よし」で、真ダラを堪能しつつ燗酒を5合ほどいただいたものの、そこは三連休の中日(なかび)の気楽さ。もう1軒、近くのやきとん屋、「秋元屋」に行ってみることにします。

 「秋元屋」に到着したのは午後8時20分。うわぁーっ。店の表のテーブル席までお客さんであふれ返らんばかりの盛況ぶりではありませんか。さすが沿線の人気店ですねぇ。

 しかし、店の外で待っている人まではいない状態なので、「ひとりですけど…」と声をかけてみると、「奥のテーブル席で相席になりますけどいいですか?」とすぐに入れてもらうことができました。ラッキー!

 5本の燗酒で、口内も甘ったるくなってるので、ここは一発、三冷ホッピー(380円)で行きますか。つまみもまずは、さっぱりとお新香(200円)です。

 そこへ、近くのお客さんから「豚足の炙(あぶ)りを!」という注文が飛びます。ほぉ。豚足(300円)は炙ってもらうことができるんだ。

 学生時代に福岡にいたとき(今から30年近く前)は、豚足と言えば炙って出てくるのが普通だったのに、こちら東京では、たいていの場合、ゆでて冷ました豚足なんですよねぇ。それもそれで好きなんだけど、炙った豚足も捨てがたい。私もさっそく豚足の炙り(300円)を便乗注文します。

 こうやって炙ることで、より脂ギッシュになった豚足を、口のまわりをテカテカさせながらかじって、焼酎でグイッと流す。ックゥ~~ッ。たまりませんなぁ。

 三冷ホッピーをもう1杯もらって、やきとんは、ガツとテッポウの醤油焼きに、チキンボール(つくね)の塩焼きを1本ずつ注文します。

 午後9時半まで、1時間ちょっとの滞在は1,760円でした。やぁ、よく飲んだ。

081012g 081012h 081012i
「秋元屋」 / ホッピーとお新香 / やきとん

・「秋元屋」の店情報前回

《平成20(2008)年10月12日(日)の記録》

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ここはもうビストロだ … やきとん「山利喜(やまりき)」(森下)

山利喜もりもり店


 料理研究家の伊野さんと行く下町酒場ツアー。今日の2軒目は森下の老舗やきとん屋、「山利喜」です。

 大正13(1924)年創業の「山利喜」は、今年で創業84年。昭和27(1952)年に建てた建物(本館)に、昭和60(1985)年と平成5(1993)年に、それぞれ改装工事をほどこして現在に至っていたのですが、このたびついに建て替えることとなって、今年(2008年)の8月2日(土)に本館での営業を終え、翌週、4日(月)から解体作業が始まったのだそうです。

 平成14(2002)年にオープンした、すぐ近くの新館は変わらず営業しているので、我われもまずは新館を目指しますが、これがまたとんでもない満席状態で、かなり待たないと入れそうにありません。

 それじゃと次に向かったのが、本館建て換えまでの間の仮店舗として、今年の8月20日(水)に、これまたすぐ近くにオープンした仮店舗、「山利喜もりもり店」です。来年、新築の本館がオープンするまでの間しか営業しないこのお店は、カウンターとテーブル席が数卓の、合計25人ほどの小さいキャパシティ。その狭さゆえに、店内は満席状態ながら、外に並んで待っている人はいない状態で、我われが先頭です。

 少し待って店内に入り、名物の煮込み玉子入りと、下町の定番であるキンミヤの酎ハイからスタートです。

 ざっとメニューを確認して、本館や新館と大きく違うのは看板メニューの“やきとん”がないことです。

 ここ「山利喜もりもり店」は、元々、「もんじゃもりもり」というお好み焼き(もんじゃ焼き)屋さんだったお店を、ほとんど居抜きの状態で使っているのだそうです。だから仮店舗の店名も「もりもり店」なんですね。

 そんなこともあって、炭火焼の焼き台までは用意できなくて、やきとんメニューがないんだろうと思います。

 その代わりといってはなんですが、ここ「山利喜もりもり店」には、『一人前おまかせ3本、醤油ベースの特製たれ・ピリ辛ソース・柚子胡椒お好みで』とメニューに注記されている“ゆでとん”(450円)というメニューがあります。

 これは串を打って下ゆでした状態の“やきとん”を、焼かずにそのまま出してくれるもので、たとえて言えば「宇ち多゛」(立石)の、生(なま)に近いものです。

 煮込み玉子入り(ガーリックトースト2枚付きで700円)も、本館・新館では素焼きの皿で熱々に仕上げられるのに対して、ここ「もりもり店」では白い器で出されます。味はきっと同じなんでしょうが、どうもあの素焼きの熱々じゃないと、「山利喜」の煮込みのような気がしませんねぇ。

 その後、注文したもので、かろうじてやきとん屋さんらしいものは、ガツ刺し生姜醤油(500円)くらい。その他は、自家製・田舎風テリーヌ(ハーフサイズ、560円)や、イワシと野菜とトマトのマリネ(600円)、マッシュルーム入りオムレツ(600円)、ラクレットチーズとじゃがいものガレット(500円)、和牛ローストビーフ(西洋わさび付、600円)、鴨のそぼろとレタスの生春巻き(1本400円)と、とてもここが下町のやきとん屋さんだとは思えないような品々です。

「これはもうビストロだよねぇ」

 と言いながら、飲物もグラスワイン(600円から)に切り換えます。『ワインはその日ごとに変わりますのでスタッフに気軽にお尋ねください。基本的に安・旨ワイン達です。』と書かれているグラスワインも、ものによって、1杯が600円、900円、1,100円、1,300円と、色々とそろっていて、洋風の料理に合わせることができるようになっています。

 閉店時刻の午後9時半まで、ものすごく酔っ払うまでワインを飲んで、今日のお勘定は5人で21,880円(ひとりあたり4,376円)でした。どうもごちそうさま。

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煮込み玉子入り / 酎ハイとお通し / 自家製・田舎風テリーヌ

081011j 081011k 081011l
ガツ刺し生姜醤油 / イワシと野菜とトマトのマリネ / ゆでとん

081011m 081011n 081011o
マッシュルーム入りオムレツ / ラクレットチーズとじゃがいものガレット / 赤ワイン

081011p 081011q 081011r
和牛ローストビーフ / 鴨のそぼろとレタスの生春巻き / 地図(公式サイトより)

  • 店名: 山利喜もりもり店
  • 電話: 03-3633-1638
  • 住所: 135-0004 東京都江東区森下2-24-3
  • 営業: 16:00-21:30(21:00LO)、日祝休
  • 場所: 地下鉄森下駅A5出口すぐ。
  • メモ: 「山利喜」本館を改築する間の仮店舗。やきとんはない代わりに、ここでしか食べられない新メニューもある。公式サイトあり。
    〔飲物〕ビール:生ビール・キリン樽生・グラス380、中生550、瓶ビール・キリンラガー(大瓶)620、黒ビール・恵比寿ビール黒(小瓶)500、 ホッピー:ホッピーセット480、ナカ(焼酎)280、ソト(ホッピー)200、 焼酎:酎ハイ(レモン、梅干、ウーロン、緑茶)380、湯割り(レモン、梅干、ウーロン、緑茶)450、 本格焼酎(ロック、水割り、お湯割で):麦焼酎・中々(宮崎)600、芋焼酎・風譚(ふうたん、鹿児島)600、熟成麦焼酎・こしゅん(福岡)800、熟成芋焼酎・百年の孤独(宮崎)1200、麦焼酎ボトル・伝説(鹿児島)2800、琉球泡盛・黒真珠(石垣島、5年古酒)700、 特選ワイン:グラスワイン(ロゼ、白、赤)600~、ボトルワイン(ロゼ、白、赤)3000~、 全国特選銘酒(正一合、すべてのお酒をお燗にできます。):南部美人・辛口本醸造(岩手)650、うきたむ・吟醸(山形)650、鶴の友・本醸造(新潟)650、磯自慢・本醸造(静岡)800、醸し人九平次・純米吟醸(愛知)800、十四代本丸・本醸造(山形)900、花垣・5年古酒・純米(福井)800、など。
    〔料理〕ゆでとん(一人前おまかせ3本、醤油ベースの特製たれ・ピリ辛ソース・柚子胡椒お好みで)450、煮込み(ガーリックトースト2枚付)650、煮込み玉子入り(ガーリックトースト2枚付)700、ラクレットチーズとじゃがいものガレット500、イタリア・パルマ産生ハム(長期22ヶ月熟成プロシュート)800、クレソンサラダ400、青菜のおひたし350、鯛とホタテのサラダ600、鴨のそぼろとレタスの生春巻き(1本)400、豆腐よう(沖縄直送)400、炙りベーコンのポテトサラダ400、ガツ刺し生姜醤油500、本まぐろ小とろ刺身または中オチ700、こはだ酢600、かつを刺し・たたき700、鯛酒盗和え480、イワシと野菜とトマトのマリネ600、ポテトチーズ焼き650、自家製・田舎風テリーヌ(ハーフサイズ)560、自家製・サーモンハラス燻製600、和牛ローストビーフ(西洋わさび付)600、スーパー・ブードック(こだわりホットドック)500、マッシュルーム入りオムレツ600、など。(2008年10月調べ)

・「山利喜」の店情報前回

《平成20(2008)年10月11日(土)の記録》

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開店は午後4時だった … 大衆酒場「だるま」(門前仲町)

鳥あみ焼


 料理研究家の伊野さんが、このところ下町大衆酒場にも興味を持たれているということで、今日は門前仲町にやってきました。

 お付き合いいただくのは、山の手に住みながら下町・立石のもつ焼き「宇ち多゛」に通いつめる宇ち中(うちちゅう)さんと、下町・江東区在住で、おでん屋と下町大衆酒場をこよなく愛するKさんの、合わせて4人のパーティーです。

 門前仲町駅の出口で午後4時に待ち合わせ、まず向かったのは牛煮込みの「大坂屋」です。濃厚なコクが病みつきになる煮込みを、ぜひ伊野さんにもぜひ味わってもらおうと、今回の下町コースの1軒目として設定したのでした。

 ところが!

 開店時刻の午後4時を回っているにも関わらず、店が開いていないばかりか、中で開店準備をしているような気配もありません。「大坂屋」は本日臨時休業のようなのです。

 うーむ、どうしましょう。宇ち中さんやKさんと「大坂屋」前で善後策を練ります。

 この近くで午後4時から開いている酒場では、木場の「河本」のコッテリ煮込みもまたおすすめなのですが、ここからちょっと距離があるし、開店と同時に満席になっている可能性が高いのです。

 このすぐ近くの「魚三酒場」も午後4時開店だけど、こちらも開店と同時に満席になって、表に待ち行列ができるほどなので、今行ってもむずかしいだろうなぁ。

 月島まで歩いて行って、「岸田屋」に並んで開店(午後5時)を待つというのもいいかもね。

 そんな話をしながら、ふと見ると、すぐ近くの大衆酒場「だるま」の入口が開いているようです。

「あれ? 「だるま」って、午後5時開店じゃなかったっけ?」

 と言いつつも、店に近づいて行ってみると、すでに親父さんも、おかみさんもスタンバイできている様子です。

「もう入っていいですか?」

「どうぞどうぞ。いらっしゃいませ」

「この店は、5時開店かと思ってたんですけど…」

「4時には開けてますよ。テーブルでもカウンターでも、お好きなところへどうぞ」

 なんとそうでしたか。ちっとも知りませんでした。縦の辺が長いコの字カウンター(コの字の下側が入口)の、奥の角をはさむように4人で並んで座り、まずはチューハイ(400円)4発からスタートです。

 この店では、注文した飲み物や料理の数を示すのに、1発、2発、……と、「発」で表すのです。これは、近くの商船大学の学生たちがそういう言い方をしていたのが、店のローカルルールとして定着したもの、と言われています。

 そして、ここ「だるま」のもうひとつ、大きな特長は、料理一品一品の量が多いことです。これもやっぱり商船大学の学生さんが多かったり、近くにあった造船所からのお客さんが多かったりしたからかもしれません。料理の値段は1品400~800円くらいと、下町大衆酒場にしてはむしろ高い部類にはいるのですが、ひとりでやってきたら1品たのめばもう十分で、2品も注文したら、もてあまし気味になってしまうほどの量なのです。

 今日は4人いるので、まずはこの店の名物品を3品ほどいってみましょう。牛もつ煮込み(600円)と、サラダ盛合せ(600円)、串カツ(600円)です。

 この辺りは牛もつ文化圏なのか、先ほどの「大坂屋」も「河本」も、そして「岸田屋」も、煮込みはどこも牛もつです。

 この店に来たら、ほぼいつも注文するサラダ盛合せは、ポテトサラダ、マカロニサラダ、トマトサラダの3品を一皿に盛り合せたもの。肉がやわらかい串カツも大人気です。

 昨日、東中野の居酒屋をご紹介いただいたEさんも合流し、総勢5人となって、チューハイ(400円)をおかわりし、煮こごり(450円)や、鳥つくね焼(600円)、鳥あみ焼(800円)を追加します。

 鳥つくね焼や、鳥あみ焼は、この春この店に来たときに、「酔わせて下町」のFさんが、「この店に来たら、これをたのまなきゃ」と教えてくれたもので、これらもこの店の名物品だったのでした。前から知ってればもっと食べてたのになぁ、と思うくらい美味しい2品なのです。

 残念ながら予定の「大坂屋」には入れなかったものの、美人おねえさんもやってきて、今日も元気いっぱいの「だるま」で2時間ほど楽しんで、お勘定はひとり2千円ほどでした。

 入口に陣取る親父さんにご挨拶をして、「だるま」を後に次へと向かいます。

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チューハイ / 牛もつ煮込み / サラダ盛合せ

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串カツ / 煮こごり / 鳥つくね焼

店情報前回

《平成20(2008)年10月11日(土)の記録》

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イチジクや柿の天ぷら … 和酒バー「しもみや」(東中野)

十月の天ぷらと「奥播磨」


 東中野在住のEさんに連れて行ってもらう、東中野の居酒屋。2軒目は、1軒目の「かんじ」と東中野駅の途中にある和酒バー「しもみや」です。

 東京農業大学醸造学科卒業の店主・下宮さんが、ご夫妻で営業する、カウンター10席のみの小さなバーは、“和酒バー”という肩書き(?)のとおり、日本酒や焼酎を中心とする“和のお酒”を2百本以上取りそろえた、ものすごいバーなのです。

 実は、この店にやって来たのはこれで2回目。最初のときも、やっぱりEさんに連れてきてもらったのですが、落合のおでん屋、「多幸兵衛」で、Eさんややなちゃんたちと日本酒をしこたま飲んだあと、二次会としてこの店にやってきて、さらに日本酒をしこたま飲んだので、ブログ記事を書けるほどの記憶が残っていなかったのでした。

 その後、「東京 居酒屋名店三昧」の出版にあたって、おいしい日本酒をこよなく愛するjirochoさんが、この店の記事を書かれたこともあって、ぜひもう一度行ってみなければと、Eさんにもお願いしていたのでした。

 なにしろカウンター10席のみなので、今日も事前に予約をしての入店です。

「燗酒でおすすめのものをお願いします」

 燗酒好きの私に、Eさんも合わせてくれて、まずは燗酒にしておいしいお酒を選んでもらうと、店主が出してくれたのは「大倉」(奈良)の山廃特別純米酒です。

 お通しとして出されたのは、茹でたてのジャガイモです。皮がついたまま茹であげた小さなジャガイモを、スパッと二つにカットし、ちょいと味噌を添えただけのシンプルな料理が、日本酒にズバリとマッチします。

 店主の奥さんが、「季節のおすすめ」と書かれた手書きのメニューを出してくれながら、「北海道の天然ししゃも(3尾1,000円)がおすすめよ」と教えてくれます。

 そのししゃもの他にメニューに並んでいるのは、むかごの素揚げ(700円)や、ぎんなんの素揚げ(700円)などの季節もの5~6品と、「本日のお刺身」として、インドマグロ(2,200円)、博多のヒラマサ(1,800円)、明石のタコ(1,400円)の3品が並びます。1人前1,500円からの刺身盛り合せもあるようです。

 そんな中から、奥さんおすすめの天然ししゃもと、十月の天ぷら(1,200円)を注文すると、まずは専用の魚焼機(上火だけで魚を焼く装置)で、絶妙な焼き具合に調理されたししゃもが出されます。北海道の本物(?)のししゃもは、身が美味いんですよねぇ。

 燗酒2本目は、「もうちょっと甘くないの」とお願いしたところ、「奥播磨」(兵庫)の純米・山田錦八割磨きを出してくれました。

 日本酒も焼酎も、いろいろと種類がありすぎて、ここの店主や、「善知鳥」(阿佐ヶ谷)の店主のように、こうやってガイドしてくれる人がいなければ、なかなかいいお酒にありつけないような感じですよねぇ。ご自分でたくさんの酒類を飲んでる方であれば、「私はこれ!」と、すんなりと決められるのかもしれませんが…。

 十月の天ぷらも出てきました。レンコンやナス、インゲン、サツマイモなどの他に、イチジクや柿の天ぷらもあるのがおもしろい。こんなの初めて食べました。

 最後は「竹鶴」(広島)の熟成純米原酒・八反をいただいて、2時間ほどの滞在は、ふたりで7,600円(ひとりあたり3,800円)でした。

 帰りに、今日いただいたお酒を「貴方の銘酒カード」に書いて手渡してくれました。本当は前回のカードを持ってきていれば、それに書き足していってくれるんだそうです。自分がこの店で何をいただいたのかが、累積的にわかるカードになるんですね。次回、忘れずに持ってこなくっちゃ。

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お通しと「大倉」 / 北海道の天然ししやも / 「竹鶴」

店情報

《平成20(2008)年10月10日(金)の記録》

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店情報: 和酒バー「しもみや」(東中野)

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  • 店名: 和酒バー「しもみや」
  • 電話: 03-3363-7878
  • 住所: 164-0003 東京都中野区東中野1-52-18
  • 営業: 18:00-02:00(01:30LO)(日は -01:00(00:00LO))、第1・4水休
  • 場所: JR中央線・東中野駅の東口南出口の階段を降りて右へ。道成りに徒歩約3分(160mほど)の右手。
  • メモ: カウンターのみ10席。全国の地酒各種1合が600~2000ほど。料理はその季節ごとのおすすめメニュー。たとえば、北海道の天然ししやも(3匹)1000、むかごの素揚げ700、ぎんなんの素揚げ700、栃尾の油揚げ700、徳島風冷やっこ700、十月の天ぷら(いちじく、レンコン、なす、柿ほか)1200、本日の刺身:インドマグロ2200、博多のヒラマサ1800、明石のタコ1400、刺身盛り合せ・お一人様1500~。公式サイトあり。(2008年10月調べ)

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シンプルに焼きアサリ … 居酒屋「かんじ」(東中野)

焼きアサリ


 中央線沿線の酒場にはよく出かけるのですが、ポツンとブラックホールのように抜け落ちているエリアが、東中野駅近辺の酒場です。ずいぶん昔(7年以上前)、駅近くの立ち飲み「丸小」に行ったくらいでしょうか。

 そんななか、飲み仲間のEさんが東中野に住んでいるということがわかり、今日はEさんに東中野の酒場をご紹介いただくことになりました。

 横浜での仕事を終えて、中央線・東中野駅に到着したのは午後8時過ぎ。東口南側(東口1)でEさんと合流し、駅前の道を中野坂上(南側)方面に向かうと、すぐそこにあるのがボリュームたっぷりの料理、中でも鉄板麺(ポーク鉄板焼ライス)が人気の「大盛軒」です。

 そこから南下すること約5分。セブンイレブンの正面にある居酒屋「かんじ」が、Eさんのこの日のおすすめの1軒です。のれんをくぐると、その先は2階へと続く階段になっていて、店は2階にあります。

 ここは刺身など魚介類を中心に、160種類ほどの料理が安価に楽しめる老舗居酒屋なのだそうで、入り口を入るなり、左手の壁にずらりと縦横に並ぶ短冊メニューに圧倒されます。店内は入り口から見て左側にテーブル席、正面から右手にかけてがカウンター席、そして右に回りこむようにして、先ほど上がってきた階段の上部にあたる大きなスペースが座敷席という、けっこう大きな造りです。

 地元の人気店なんだそうで、この時間帯もお客さんでいっぱいですが、ちょうど空いていたカウンターの角あたりの席に案内され、瓶ビール(アサヒスーパードライ大瓶)をもらって乾杯すると、すぐにお通しの煮物(酢豚風の味付け)と、トマトと貝割れのサラダが出されます。

 Eさんによると、このトマトのサラダはお店からのサービス品で、そのときどきで用意しているちょっとした料理を、ちょこちょことみんなに出してくれるんだそうです。

 壁にもずらりとメニューが並んでいるのに、テーブル上には手書きのその日のおすすめメニューも置かれています。今日のおすすめメニューは、カツオの刺身(850円)やサンマの刺身(850円)、アジたたき(1,000円)、生ガキ(5個、950円)などの刺身類のほか、イカ団子(700円)やサンマ団子(650円)、ゲソ団子(550円)、エビかき揚天(800円)、タラ白子天(850円)などの揚げ物類、そうかと思うと牛あみ焼(1,200円)、馬タン塩焼(950円)や牛すじ煮込(650円)などの肉類や、ピザ(950円)、生ハムサラダ(650円)といった洋物(?)まで並んでいます。

 今回選んだメニューは、焼きアサリ(650円)と、季節の牡蠣フライ(900円)の2品です。

「アサリの酒蒸しや、バター炒めというのはよく見かけるけど、焼きアサリというのは珍しいよねぇ」

 と言いながら注文した焼きアサリは、まさにアサリを殻ごと焼いただけのシンプルなもの。このシンプルさが美味さにつながるんですよねぇ。

「焼いたアサリっておいしいねぇ!」

 なんて話しているところへ牡蠣フライもできあがってきました。大きなカキがどーんと5個。タルタルソースに櫛切りのレモン、そして練り辛子も添えられています。

 最初の1個は、さっとレモンを絞りかけて、熱々のうちにハフハフと。2個目はタルタルソースをたっぷり絡めて、ジュワーっとジューシーにいただきます。

「私はいつでも来れるから、もう1個どうぞ」

 とすすめてくれるEさんのお言葉に甘えて、3個目の牡蠣フライにはとろりとしたソースをかけて、練り辛子もちょいとつけていただきます。どういう食べ方をしても美味じゃのう!

 1時間ちょっと楽しんで、お勘定はふたりで3,340円(ひとりあたり1,670円)でした。鍋物もおいしいとのことなので、ぜひまた鍋も食べにきたいと思います。よろしくお願いします。>Eさん

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「かんじ」 / ビールとお通し / 牡蠣フライ

店情報

《平成20(2008)年10月10日(金)の記録》

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店情報: 居酒屋「かんじ」(東中野)

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  • 店名: 居酒屋「かんじ」
  • 電話: 03-3365-0064
  • 住所: 164-0003 東京都中野区東中野1-35-1
  • 営業: 17:00-02:00、日祝休
  • 場所: JR中央線・東中野駅の東口(新宿寄り)改札を出て右(東口1出口)の階段を下りたら、右方向へ道成りに歩くこと約5分(250mほど)、右手の2階。店の向かいにセブンイレブンがあるのが目印。
  • メモ: 刺身など魚介類を中心に、160種類ほどの料理が安価に楽しめる老舗居酒屋。定番の短冊メニューがずらりと並ぶほか、手書きの日替わりメニューもおかれる。カツオ刺身850、いか団子700、子持ち白魚唐揚750、子持ち白魚玉子とじ750、金目鯛煮2400、ぎんなん650、エビかき揚天800、こまい一夜干700、いたや貝串焼750、里芋あんかけ650、サンマ立田揚750、さんま刺身850、穴子天ぷら700、ピザ950、生ハムサラダ650、牛あみ焼1200、あじタタキ1000、あじフライ、松たけ天ぷら900、生ガキ(5個)950、カキフライ900、サンマ団子650、セロリレモンづけ550、ゲソ団子550、牛の串焼700、クジラ立田揚800、小あじ南蛮漬600、馬舌塩焼950、タラ白子天850、小茄子揚出し600、舌塩1000、牛すじ煮込650、焼あさり650、アスパラ豆腐400、新もの・いくら正油700、にしん親子焼550など。(2008年10月調べ)

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〔コラム〕 燗酒のおいしい季節がやってきた

武蔵屋

 立冬も過ぎて、いよいよ寒い季節がやってきました。寒さそのものは厭(いや)なんだけど、呑ん兵衛にとっては「林間に酒を煖め紅葉を焼く」(白楽天)という詩もあるくらい、燗酒がおいしい季節ですよねぇ。

 しかしながら、普通においしい燗酒を飲むことができる居酒屋が意外と少ないのも、これまた悲しい事実。今回は、私が知っている酒場の中で、燗酒がおすすめの店を抽出してみました。

 燗酒ということで、まっさきに思い出す酒場が横浜・桜木町(野毛)の「武蔵屋」です。この店の飲み物は日本酒(「桜正宗」上撰)と瓶ビール(キリン一番搾り)しか置いていなくて、黙って座れば「桜正宗」の燗酒が出されます。しかも飲めるのは、ひとり3杯限り。このため通称「三杯屋」とも言われているほどです。つまみも年中変わらず、玉ネギ酢漬け、おから、タラ豆腐、納豆、お新香の5品が出されるのですが、これらのつまみと「桜正宗」燗酒との相性が、これまた抜群なのです。

 他の店では絶対に飲めないだろうなぁ、というような燗酒を出してくれるのが、阿佐ヶ谷の「善知鳥(うとう)」です。お酒によって燗の温度を変えるのはもちろん、一度、かなり高い温度で燗をつけてから、まるでワインをデキャンタージュするようにツツゥ~~ッと別の器に移し変えながら温度の調整をしたり、徳利を両手で包み込んで微妙な温度の調整をしたりと、それはそれは興味深い燗酒が楽しめるのです。ずらりと並ぶ自家製の珍味類も「善知鳥」の大きな特長です。

善知鳥 伊勢藤 ふくべ
善知鳥 / 伊勢藤 / ふくべ

 囲炉裏に埋め込んだ専用の燗づけ器で、じっくりと燗をつけてくれるのが神楽坂の老舗、「伊勢藤(いせとう)」です。この店にはビールも置いておらず、酒は「白鷹(はくたか)」一本槍。潔(いさぎよ)いですよねぇ! お通しで出される日替りの一汁四菜が、燗酒によく合うのです。

 樽酒(菊正宗)を燗で楽しめるのが、東京駅八重洲口近くにある酒亭「ふくべ」です。この店には樽酒のみならず、全国各地の日本酒が並んでいて、どのお酒を選んでも、燗で注文をすれば、お燗番のおにいさんが慣れた手つきで燗をつけてくれるのです。ここのクサヤをつまみながらいただく、燗の樽酒がうまいんですよねぇ。

 自由が丘の「金田」もまた燗酒がおいしいお店。辛口の「菊正宗」、甘口の「花の井」、そして旨口(?)の「白鷹」の3銘柄が選べます。ずらりと百種類近く並ぶ料理は、見た目も非常に美しいのです。

金田 鈴傳 江戸一
金田 / 鈴傳 / 江戸一

 安い値段で、美味しい日本酒が楽しめるのが、四ツ谷にある、酒屋に併設された立ち飲み屋「鈴傳(すずでん)」。「燗でください」と注文すれば、カウンター内の燗づけ器であっという間に燗をつけてくれます。

 その他、大塚の「江戸一」や、門前仲町の「浅七」、鶯谷(根岸)の「鍵屋」なども燗酒のおいしいお店です。新しいところでは阿佐ヶ谷の、その名も「燗酒屋」。和服に割烹着の女将が、きっちりと美味しい燗をつけてくれるのです。

浅七 鍵屋 燗酒屋
浅七 / 鍵屋 / 燗酒屋

 さぁ、この冬も燗酒だ!

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日曜恒例の夕食前散歩 … やきとん「秋元屋(あきもとや)」(野方)

カシラアブラ、コブクロ、テッポウ(味噌)


 日曜日の夕食前散歩。今週は「よじあき」(=開店時刻の午後4時に「秋元屋」)です。

 わが家は、二人の子供たち(高2と中3)はもちろんのこととして、カミサンもお酒を飲まない(飲めない)ので、夕食を食べ終わるのが早いのです。「いただきます」と箸を取ってから、だいたい30分くらいで「ごちそうさま」となってしまいます。

 このため、私だけが晩酌を楽しもうとすると、最初に喉を潤すために開けた1本のビールを飲み終わらないうちに、他のみんなの食事時間が終わってしまうのでした。

 この食事ペースをなんとか合わせることができないかということで始めたのが、日曜日の夕食前散歩なのです。家族そろって夕食を食べる前に、私ひとりが近所の酒場で軽く晩酌を済ませてしまって、帰宅して風呂に入ったあと、家族みんなで食卓を囲もうというのが夕食前散歩のねらいです。

 日曜日の午後3時ごろにわが家を出発し、近所の図書館で借りていた本の返却や、新しい本の貸し出し手続きをして、午後4時には、ちょうど開店時刻となる「川名」か「秋元屋」を目指すのです。

 地理的な要因(行きやすさ)から、中野区立図書館に行くときは「秋元屋」に、杉並区立図書館に行くときは「川名」に向かうのがいつものパターンで、今日の場合は中野区立図書館経由で「秋元屋」です。

 店に着いたのは、午後4時2~3分という時刻ながら、すでに店内はほぼ満席状態。コの字カウンターの、入口側の角の部分にかろうじて座ることができました。

 「秋元屋」がオープンしたのは、平成16(2004)年1月30日のこと。まだ創業5年にも満たないのに、すでに沿線の、というよりも東京の西部地域屈指の大人気店になっているのです。

 店主(秋元さん)ご自身が酒場好きなので、自分の理想とする酒場を自分で作り上げていくうちに、こうやって人気店になっていったんでしょうね。まさに「好きこそものの上手なれ」ということだろうと思います。

「まずは飲み物からうかがいますっ!」

 と爽やかな笑顔を見せてくれる三浦さん(店のおにいさん)に、瓶ビール(サッポロラガー大瓶、550円)をお願いして、そのビールが出されたところで、やきとんの注文です。

「レバ、カシラアブラ、コブクロ、テッポウを、1本ずつ味噌でお願いします!」

「はいよっ!」と三浦さんの小気味よい返事がかえります。

 ここのやきとんは、基本的に1本が100円で、うれしいことに1本ずつから注文することができるのです。

 味付けは、基本的には塩、タレ、味噌ダレの3種類で、なかでもピリッとパンチの効いた味噌ダレは「秋元屋」オリジナルです。

 やきとんの焼き上がりを待つ間用に、お新香(200円)をもらうと、今日のお新香は、キュウリ、ニンジン、大根、キャベツに、インゲンも混ざった自家製5品盛り。こういったサイドメニューの充実もまた「秋元屋」の人気の理由です。

 そこへ、ふらりと入ってこられたのは「古典酒場」の座談会でもご一緒させていただいているワイタベさんです。年間1,300軒以上の酒場を飲み歩くというワイタベさんは、東京都内も隈(くま)なく探訪されており、このあたりにもときどきいらっしゃるのです。

 やきとんが焼き上がってきたところで、飲み物を三冷(さんれい)ホッピー(380円)に切り換えます。

 この店のホッピーは、普通にホッピーと注文すると、氷入りのジョッキに焼酎が注がれ、それとは別に瓶入りのホッピーが出されて、値段は同じく380円。これに瓶入りのホッピーを入れると、ホッピーテイストな焼酎カクテルができあがります。普通に作って、ソト1ナカ2(ホッピー瓶1本に対して、ジョッキの焼酎2杯分)くらいのホッピー割りが作れるのです。

 “三冷ホッピー”と注文した場合は、ジョッキに氷が入らなくなる代わりに、冷凍庫からよく冷えたジョッキが出され、よく冷えた焼酎が注がれます。これに加えて、よく冷えたホッピーが出されるので、三つのよく冷えた要素、ということで「三冷」なのです。この場合、ジョッキの残ったスペースに、ちょうど瓶入りホッピー1本分が入りますので、割り合いでいうとソト1ナカ1状態になります。

 その三冷ホッピーで、おいしく焼けたやきとんをいただいて、1時間ちょっとの滞在は、席料100円が加算されて1,630円でした。どうもごちそうさま。ワイタベさん、お先に。

 さぁ、これから家族で夕食だ!

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瓶ビールとお新香 / レバ(味噌) / 三冷ホッピー

店情報前回、同じ日のワイタベさんの記事

《平成20(2008)年10月5日(日)の記録》

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この春開業した人気店 … 立ち飲み「おかやん」(中野)

ちょい呑み処「おかやん」


 渋谷でシメのラーメンまで食べたはずなのに、にっきーさんと二人、中野方面に向かううちに「もう1軒、寄って帰りますか」なんて話になるのが呑ん兵衛ですよねぇ。二人で中野駅で下車します。

「おすすめの立ち飲み屋さんがあるんですよ。今年の4月にオープンしたばかりの新しい店なんですけどね…」

 と言いながら、にっきーさんが連れて行ってくれたのは、中野駅北口から歩いて3分ほどのところにある立ち飲みの「おかやん」です。

 人気の「ふくちゃん」のとなりに位置する「おかやん」も、間口は「ふくちゃん」と同じくらいで6~7人も立てばもういっぱいといった幅しかありません。しかし、そこから縦・横に細長いテーブル席を配置して、そこにも人が立てるように工夫しているため、全体としては10数人は立てそうなキャパシティになっています。

 店を切り盛りするのは、ニコニコ笑顔の若い店主夫婦。料理やお酒の素晴らしさもさることながら、このお二人の心地好い接客が、この店の人気の大きな理由なんだろうというのが、にっきーさんの分析です。

 バックバー(カウンターの中の壁)に並ぶ一升瓶の日本酒(1杯500円)の中から、私は神亀(しんかめ)の「ひこ孫」を、にっきーさんは「悦凱陣(よろこびがいじん)」を選ぶと、店主が受け皿付きのグラスになみなみと注いでくれます。

 この他の酒類のメニューは、生ビールとホッピーが同額の400円。チューハイやグラスワインは300円、梅酒各種が400円、各種焼酎は300円から、という価格設定になっています。

 全体的に低い価格設定のなか、ホッピーの高さが際立ちますが、今春のホッピー(ソト)の大幅な値上げに呼応するように、木場の「河本」でもホッピーが300円から400円に値上げしたので、仕方のない流れなのかもしれません。こうなると荻窪「やき屋」の300円から320円に値上げという、超小幅の値上げ率(7%弱)が、とてもありがたく感じます。

 料理は、カウンターの上にずらりと並んだ短冊メニューに、おひたし(400円)、つけもの(300円)、玉子焼(300円)などの定番ものが掲げられているほか、カウンター上に手書きで日付け入りの「おかやんオススメ」メニューがあり、こちらには、かつおたたき(500円)や、〆サバ(400円)、やなぎだこブツ(400円)、海鮮納豆(400円)などの生もの類や、つるむらさきと木の子おしたし(300円)や、いか大根煮(300円)といった季節の料理、そしてシメの鯵(あじ)茶漬け(500円)などが並んでいます。

 そんな数々の料理の中から、石川芋きぬかつぎ(400円)と甘海老昆布〆(500円)を注文します。

 閉店時刻の午前0時半まで、1時間弱立ち飲んだあと、さらにもつ焼きの「石松」で、カシラのアブラのところや、牛ミノ串をいただいて、午前2時ごろまでたっぷりと楽しんだのでした。うーむ。シメのラーメンのあとに、こんなに飲み食いするとは……。

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おかやんオススメメニュー / 石川芋きぬかつぎ / 甘海老昆布〆

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「石松」のお通し / カシラアブラ / 牛ミノ

・「おかやん」の店情報 / 「石松」の店情報前回

《平成20(2008)年10月4日(土)の記録》

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店情報: 立ち飲み「おかやん」(中野)

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  • 店名: ちょい呑み処「おかやん」
  • 電話: 03-3389-7702
  • 住所: 164-0001 東京都中野区中野5-61-11
  • 営業: 17:00-00:30(土日は16:00- )、月休
  • 場所: 中野駅北口を出て右へ。ロータリーを回り込むように左に折れ、突き当りの「ブリック」のところも道成りに折れながら進み、その次の、右手角の「ウロコ本店」のところを右折した先、右手。
  • メモ: 平成20(2008)年4月オープンの立ち飲み屋。生ビール400、ホッピー400、日本酒500、チューハイ300、焼酎300より、梅酒各種400、グラスワイン(赤・白)300、泡盛300より、ソーセージ500、じゃこ天300、エイヒレ300、おひたし400、もろきゅう300、つけもの300、玉子焼300、鶏ハム300、砂肝スモーク300、珍味300より、黒糖わらびもち300、など。このほか、毎日手書きで書き出される「おかやんオススメ」メニューがあり、たとえばある日のメニューは、くじらベーコン500、かつおたたき500、〆サバ400、やなぎだこブツ400、スミいか刺400、甘海老昆布〆500、海鮮納豆400、まぐろとアボカドわさび醤油400、地鶏とネギのゆずこしょう和え400、いか下足焼き300、鶏皮キムチ炒め400、もつ煮込豆腐400(煮玉子付500)、ハーブソーセージ500、塩豚の網焼400、ポテトサラダ300、つるむらさきと木の子おしたし300、アスパラ胡麻和え400、石川芋きぬかつぎ400、いか大根煮300、丹波黒豆の枝豆400、うりの浅漬け300、エシャレット300、鯵茶漬け500、など。(2008年10月調べ)

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お誕生日おめでとう! … 立ち飲み「富士屋本店(ふじやほんてん)」(渋谷)

「富士屋本店」で一次会


 結婚されて1年半ほどたち、このところ主婦業も板についてきた様子のここっとさん。そのここっとさんの誕生日祝いに、ここっとさんご夫妻、飲み仲間の呑んだフルさん、にっきーさん宇ち中さんとともに、渋谷の立ち飲み屋、「富士屋本店」にやってきました。

 店内をぐるりと取り囲む、およそ60人分の立ち飲みカウンターは、今日もほぼ満員状態。立地条件の悪い地下にあるにもかかわらず、日祝と第4土という定休日をのぞいて、いつもいっぱいなのです。

 「富士屋本店」といえば、昔はビール(大瓶・生中ともに450円、小瓶は280円)と日本酒(寒梅280円、一ノ蔵 400円)のほかはウイスキーくらいしか置いていない店だったのに、いつの間にやら焼酎も充実しているのです。サッポロ焼酎360ml瓶(600円)のほかに、4合瓶の麦焼酎(和ら麦、1,800円)や芋焼酎(からり芋、2,000円)なども置いていて、それをロックや水割り、湯割り、さらには炭酸をもらってハイボールにしたり、ホッピー(ソト、200円)をもらってホッピー割りにして飲むことができます。

 老舗ながら、そのときどきの嗜好に合わせて、大きくぶれない範囲で、ゆるやかにメニューを変えていく。

 昔から通いつづけているお客さんから見れば、いつもと変わらぬお酒や料理が楽しめて、新しく来たお客さんには、その人が他の店で楽しんでいたお酒や料理を提供することができる。この懐(ふところ)の深さが人気店には必要なんでしょうね。

 今日も乾杯のビールの後は、焼酎と炭酸、それにレモンをもらって、チューハイ(生レモンハイ)を作って楽しみます。

 合わせる料理は、「本日のおすすめ品」と書かれた豚キムチ炒め(350円)など。

 料理のほうも、定番のハムキャベツ(300円)やマグロ中落ち(350円)、ごぼう天(250円)などのほか、日替りの黒板メニューとして、アジ、イワシ、イカのフライや天ぷら(各400円)や、シメサバ(350円)、シャケかま焼き(400円)、開きサンマ焼き(300円)、ミックスフライ(ホタテ、イカ、サーモン、500円)、しいたけ天(250円)などの品々が並びます。

 キャッシュオンデリバリー(品物と引き換えに料金支払い)でさっくりと立ち飲んだあと、独身時代のここっとさんが二日とあけずに通っていたほどの行きつけの店、ダイニングバー「コング」に向かったものの満席で入れず、近くの「ジョイタイム」というファミレスのようなお店で二次会をすると、ワインのボトル(980円)を入れたり、焼酎サワー(各種280円)をもらったりして、けっこう大量に飲み食いしたものの、お勘定は6人で6,530円と、ひとり1,100円ほど。さすがに若者の町・渋谷は安いですねぇ。

 渋谷駅前で解散し、同じ方向に帰るにっきーさんと、渋谷駅近くのラーメン屋、「博多天神」で、みそラーメン(500円)を食べてみると、もともとちょっとあっさり目の「博多天神」の豚骨スープに、味噌のコクが加わって、とてもいい味わいに大変身。とてもいいシメのラーメンとなりました。

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富士屋本店 / ジョイタイム / 博多天神(右が味噌)

店情報前回

《平成20(2008)年10月4日(土)の記録》

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生ホッピーのおいしさ … 酒処「秀(ひで)」(立石)

生ホッピー


 宇ち中(うちちゅう)さんと一緒に京成立石にやって来て、ぜひ行ってみたかったのが生ホッピーの飲める店、「秀」です。「秀」は「宇ち多゛」から見ると線路の反対側(北側)、「鳥房」や「おでんや」などがあるエリアの一角、もつ焼きの「江戸っ子」の向かい側にあります。

 生ホッピーとは言うものの、樽の中に詰められているのは普通の瓶のホッピーと同じもの(*)で、通常はよく冷えたジョッキに、これまたよく冷えた焼酎を規定量(通常70mlほど)を入れた上に、生ビールサーバーからホッピーを注ぎます。

 こうやって生ビールサーバーを使ってホッピーを入れることで、とてもきめ細かい泡が立つのが、生ホッピーの最大の売りどころ。とても瓶入りのホッピーと同じものとは思えないようなホッピーの味が楽しめるのです。

 実は瓶ビールと生ビールも状況は似ていて、ビール工場に見学に行くと、瓶詰めも樽詰め(生ビール用)も、同じ銘柄の生ビールであれば同じ生ビールが詰められているのです。違いは生ビールサーバーを使って注ぐかどうかという点です。

 ただし、生ビールが製法として「生」である(熱処理していない)のに対して、ホッピーは製法的には「生」ではないと思います(*)ので、「生ホッピー」というのは「生ビールサーバーで注がれたホッピー」の略語であると認識するのが正しいのかもしれませんね。(メーカーであるホッピービバレッジの公式サイトにも、現在は「生ホッピー」あるいは「樽生ホッピー」の記載はありません。「生ホッピー」というのは、あくまでも俗称と考えるのがいいようです。)

(*: 「古典酒場 銀座昭和浪漫編」の「ホッピー酒場店主座談会」の中で、ホッピービバレッジの加藤木工場長が『樽は火を通さないわけではないんです。通してはいるんですが、時間が短いんですね。持ち味、旨味を残すために。』という話をされてます。それをチルドの状態で運搬するそうです。そんなわけで、瓶ホッピーと樽ホッピーは中身も少し違うんですね。)

 ホッピーもビールも、瓶から注ぐ場合には、その泡はまわりの空気を巻き込んだ泡になります。ところが生ビールサーバーで注ぐ場合には、サーバー内の泡立て機能で泡が作られるため、泡の中には空気は混ざりません。つまりホッピーであればホッピー分100%の、ビールであればビール分100%の泡になるのです。泡までホッピー、泡までビールの状態になるんですね。

 さぁ、ここで考えていただきたいのがホッピーの成分です。ホッピーのアルコール分は0.8%程度と、ほとんどアルコールが含まれていません。ということは、生ホッピーのクリーミーできめ細かい泡の中にも、アルコールはほとんど含まれていないということなんです。

 生ホッピーをグイッと飲んだときに、普通のホッピーと比べて(アルコール度数が)軽く感じるのは、この泡のせいなんだろうな、と私は思っています。

 泡の下の液体の部分は最初に入れていた焼酎と混ざり合いますが、泡のところは焼酎と混ざらないですものね。

 生ホッピーの泡の軽快感(ライト感)に惑わされてグイグイと飲んでいると、液体部分の濃さ(アルコール度数)は普通のホッピーと同じですので、あとでガッツリと効くことになってしまいます。気をつけないと危ない飲み物です。

 さて、ここ「秀」でも他のホッピーを扱っているお店と同じく、生ホッピーは今年5月に入ってから、これまでの380円から450円に、一気に18%の値上げとなったのだそうです。ホッピー自体がかなり値上げしたらしいので、仕方がないといえば仕方がないのですが、もはや『安いからホッピー』とは言えない焼酎の飲み方になっちゃいましたねぇ。

 そんな高級(?)生ホッピーを飲みながら、つまみは「宇ち中」ブログでもよく目にした、ボリュームたっぷりのコーンバター(390円)です。

 生ホッピーの後は、この店のオリジナル・チューハイである秀ハイ(ひではい、300円)とメンチカツ(300円)をもらって、2時間ほどの滞在はふたりで3千円弱でした。

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店内の様子 / コーンバター / メンチカツ

店情報

《平成20(2008)年10月3日(金)の記録》

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店情報: 酒処「秀(ひで)」(立石)

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  • 店名: 酒処「秀」
  • 電話: 03-5670-8739
  • 住所: 124-0012 東京都葛飾区立石7-2-11
  • 営業: 17:00-22:30(22:00LO)、木休
  • 場所: 京成立石駅の改札を出て左に降り、線路沿いの道を青砥、京成高砂方面に、交差する道路も突っ切りながら進む。二つ目の踏み切りのところを左折して約50m、バス停の手前を左折した先、右手。(向かいはもつ焼きの「江戸っ子」)
  • メモ: びんビール(キリンクラシックラガー大)600、日本酒(大)550、日本酒(小)280、アサヒ樽詰生ビール(中)550、生ホッピー(白・黒・ハーフ&ハーフ)450、秀ハイ300、ハイボール(焼酎)280、梅肉ハイボール330、ウイスキーハイボール330、電気ブランハイボール330、レモンサワー300、グレープフルーツサワー300、クエン酸サワー300、巨峰サワー300、ラムネサワー330、梅酒サワー350、杏露酒380、ウーロンハイ300、お茶ハイ300、ウコン茶ハイ330、コーヒー酎(自家製炭火焼)300、デンキブラン250、コークハイ350、梅酒ロック280、黒霧島(芋)400、さつま五代(芋)400、百秀(芋)450、ラムネ250、コカコーラ250など。
    串かつ330、メンチかつ300、ポテトサラダ280、もつ焼き(タン、ハツ、レバ、シロ、カシラ)1本110で2本より、豚なんこつ煮280、マカロニサラダ280、ハムかつ300、ポテトフライ280、クラゲポン酢380、もずく酢380、じゃがいもとソーセージ炒め450、ニラレバ炒め430、ホールモン炒め400、大根サラダ330、スティックサラダ350、じゃがいもベーコン炒め430、コーンバター390、タコのから揚げ380、鳥ひざナンコツ揚げ380、あじフライ300、レバかつ300、中華クラゲ280、和牛スジ煮込み380、豚もつ煮込み300、チャンジャ330、豚刺(タン、ハツ、ガツ、レバ、コブクロ)各280、三点盛(豚レバ刺・タン刺・ハツ刺)480、二点盛(豚ガツ刺・コブクロ刺)320、自家製しめさば480、豚ハラミとネギ炒め390、ゴーヤのおひたし280、お口さっぱり紅しょうが0、青とうしょうゆ漬け20、マヨネーズ30など。(2008年10月調べ)

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〔コラム〕 やきとり(焼きとん)の歴史を探る

鶏の焼鳥


「東京で焼きとん(=豚のモツ焼き)を食べるのはなぜでしょう?」

 そんなご質問をいただいて、さっそく調べてみることにしました。他の土地には、豚のモツを食べるという文化はあまりないんだそうです。(もっとも、最近は「東京発の食文化」として地方にも伝搬している例もあるようですが…。)

 天武天皇が675年に「肉食禁止令」を出して以来、江戸時代まで、日本では食肉が禁じられていましたが、実際には野鳥や鶏は食用に用いられていたようで、江戸時代初期(1643年)の料理書に、すでに焼き鳥の記述があります。

 明治以降、食肉の禁止は解かれますが、焼き鳥は庶民には手の届かない高級な料理だったようです。

 一方で、明治政府が誕生すると、東京には外国公館も集まり、牛乳や食用肉の需要が高まってきます。政府は百万人とも言われる下級武士の失業対策もあって、酪農を推奨し、主が国元に帰って空家同然になっていた屋敷の跡地などで酪農が始まりました。

大はし ちょうどこの頃、明治10(1877)年に創業したのが『名物にうまいものあり北千住 牛のにこみでわたる大橋』という狂歌でもおなじみの「大はし」です。浅草の「神谷バー」も、同じ頃、明治13(1880)年の創業です。

 麹町などを中心に、都心部はどんどん酪農地帯へと変身していき、明治21(1888)年には、東京は日本一の酪農王国(牛の頭数で見た場合)になったのだそうです。

 武蔵大学社会学科・橋本教授の近著「居酒屋ほろ酔い考現学」(毎日新聞社、2008年)によると、そんな明治26(1893)年に出版された「最暗黒の東京」(岩波松五郎)に、次のような煮込みと焼鳥の記述があるそうです。

  • 煮込: これは労働者の滋養食にして種は屠牛場の臓腑、肝、膀胱、あるいは舌筋等を買い出してこれを細かに切り、片れんとなして田楽のごとく貫串し、醤油に味噌を混じたる汁にて煮込みし物なり。一串二厘……。

  • 焼鳥: 煮込と同じく滋養品として力役者の嗜み喰らう物。シャモ屋の包厨より買出したる鳥の臓物を按排して蒲焼きにしたる物なり。一串三厘より五厘、香ばしき匂い忘れがたしとして先生たちは蟻のごとくにたかって賞翫す。

 煮込みが牛のモツで、焼鳥が鳥(シャモ)のモツではありますが、この時代に現在の焼きとんの原型ができあがっていたことがわかります。

 その後、明治の終わりごろに、『やきとりといって、牛豚のモツを串に刺し、タレをつけて照り焼きにして食わせる町の屋台店が夜になると現れてきた』ということが「いかもの・奇味珍味」(角田猛、1957年)に書かれていて、いよいよ今のものと近い焼きとんが、名前も「やきとり」として登場したことが分かります。

ライオン銀座 この頃に創業した「やきとり屋」がどこなのかわかりませんが、酒場としては、明治32(1899)年創業の「恵比寿ビヤホール」(のちの「銀座ライオン」(銀座))や、明治38(1905)年創業の「みますや」(神田)などが登場してくる時代です。

 そんな中、大正12(1923)年に、東京を大地震が襲います。関東大震災です。この震災から復興していくときに、やきとり(=焼きとん)が安価で手軽な酒のつまみとして屋台などで扱われるようになり、じわりじわりを広がっていったのだそうです。

 大正15(1926)年創業の「山利喜」(森下)や、大正11(1922)年に屋台で創業し、昭和4(1929)年に今の場所に店を開いた、やきとん「高木」(西巣鴨)などが、この時代にできた焼きとん屋さんです。南千住の「大坪屋」(大正12(1923)年創業)、門前仲町の「大坂屋」(大正13(1924)年)などもこの頃に創業したお店です。

高木 大坪屋 大坂屋
高木 / 大坪屋 / 大坂屋

 次にやってきた大きな波は昭和20(1945)年の終戦です。モツが戦後の統制品でなかったことや、新参者でも参入しやすい業態だったこともあり、やきとりは闇市を中心に、大衆的な食べ物として大きく普及し、徐々に東京全体に広がっていったのだそうです。

 創業順に並べると、昭和21(1946)年が「宇ち多゛」(立石)、昭和22(1947)年が「宝来家」(新宿)、昭和24(1949)年が「千登利」(池袋)や「鳥茂」(新宿)、昭和26(1951)年が浅草の「千代乃家」、そして昭和27(1952)年が荻窪の「鳥もと」と、もつ焼き、やきとりの名店が勢ぞろいです。

宇ち多゛ 千登利 千代乃家
宇ち多゛ / 千登利 / 千代乃家

 明治の終わりに生まれた焼きとんの文化が、関東大震災と、終戦という、2回にわたる壊滅的な破壊をきっかけとして、東京中に広がっていったのです。

 昭和30年代に入って、食肉用のブロイラーが登場し、やっと鶏の値段も安くなり、全国的に大衆焼き鳥屋も増えていきます。つまり、この時代になるまでの間は、やきとりと言えば、ほぼ焼きとんだったということですね。

 そして今、焼きとんは「安くて美味しい食べ物」として、雑誌などでも特集が組まれるほどになっていて、かつてお客の中心であったおじさん族のみならず、女性や、若い人たちも押し寄せているような状態。人気の焼きとん屋では、連日、行列が絶えないほどです。

 後の世に「バブル経済後の長引く不況によって、関東大震災、終戦に次ぐ、第3回目に焼きとん文化が拡大した時代」と記憶されるようになるのかもしれません。

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