西東京のもつ焼きの祖 … 炭火串焼「宝来家(ほうらいや)」(新宿)
「この店には絶対に行っておかなけりゃ!」
ずっとそう思いながら、なかなか来ることができていなかった新宿の「宝来家」にやってきました。
同行者は生レモンサワー(420円)を、私は小瓶のビール(サッポロ黒ラベル、320円)をもらって乾杯すると、すぐに出されるお通し(320円)は春雨の酢の物です。
ここ「宝来家」は、新宿駅西口の北側に広がる新宿西口商店街(通称:思い出横丁)内に2軒あって、中央の古い通り(仲通り)沿いにある「第一宝来家」が創業の地の小さいお店(1階12席、2階12席の計24席)で、線路際(旧・やきとり横丁)の「第二宝来家」が大きいお店(1階22席、2階34席の計56席)。今日は「第二宝来家」のほうに来ています。
なぜこの店に来てみたかったのかというと、この店こそ戦後の新宿にもつ焼きを持ち込んだ、言ってみれば西東京のもつ焼きの祖といった存在の店なのです。
もつ焼きを始めるようになった経緯については「宝来家」初代店主である金子正巳(かねこ・まさみ)さんが著したの自叙伝、「やきとり屋行進曲―西新宿物語」に詳しく書かれていて、現在は「宝来家」の公式サイト内でも公開されています。
肴(さかな)には特製もつ煮込み(370円)と、一番人気のつまみだという子袋刺し(470円)を注文します。
あっという間に登場したのは特性もつ煮込み。豚のもつ(シロやガツなど)を、みそ味で煮込んだものが小鉢に一杯。刻みネギがトッピングされています。もつだけのシンプルさがいいですねぇ。
子袋刺しは、小さい子袋をさっと茹でて、小さく刻んだものが小鉢にたっぷり。こちらも刻みネギがどんとトッピングされています。
「醤油をかけてかき回して食べてください。ちょっと多めにかけるくらいがいいと思います」
とカウンターの中にいるおにいさん(現店主)が、ニコニコと声をかけてくれます。
言われたとおりに醤油をかけ回し、ぐりぐりとかき混ぜていただくと、練り辛子もピリッと効いて、実にいい味わいです。なるほど。これは人気ナンバーワンというのもうなずけますねぇ。
2杯目として、私はバイスサワー(320円)を、同行者はクエン酸サワー(320円)という怪しげな飲み物を注文します。バイスサワーの“バイス”とは、“梅酢”から来ているらしく、おそらく本当の梅を使っているわけではないんでしょうが、それっぽい味わいをかもし出しています。一方のクエン酸サワーはすっぱい味。メニューには「お疲れさんにクエンさん」と書かれています。
カウンター上段の大皿にたっぷりと作られている自家製ポテトサラダが美味しそうで、さっそく1人前(420円)取り分けてもらうと、コロコロしたかたまりの残ったじゃが芋がいい食感。具として入っているリンゴの甘さもいいですねぇ。昔懐かしいポテトサラダです。
3杯目は、二人とも生レモンサワー(420円)をもらって、看板メニューの炭火串焼きは、牛はつスタミナ焼き(2本320円)と、かた子袋(1本120円)を2本です。
牛はつスタミナ焼きは、牛はつ刺しにするハツを小さく刻んで串を打ち、ピリッと甘辛いタレで焼き上げたもの。かた子袋は、豚の子袋の硬いところ、荻窪の「カッパ」でリンゲル(膣)として出されるのと同じ部位ですね。
ここのもつ焼きは、たん、はつ、レバ、かしら、あぶら、なんこつ、こぶくろ、かた子袋、つぶ子袋、がつ、しろ、てっぽう、ちれ、の各種が1本120円。それぞれ2本以上から注文できます。
さっくりと1時間ほどの滞在は、ふたりで4,680円(一人あたり2,340円)でした。どうもごちそうさま。
小瓶ビールとお通し / 特製もつ煮込み / こぶくろ刺し(混ぜる前)
生グレープフルーツサワー / 牛はつスタミナ焼き / かた子袋
・店情報
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