品川駅近くの酒場横丁 … もつ焼き「マーちゃん」(品川)
「東京の肉の台所(東京都中央卸売市場食肉市場)のお膝元なのに、いい店がないよなぁ」
いつもそう思っていたJR品川駅周辺。近年は新幹線は停まるは、高層ビルは林立するはで、我われが好むような大衆酒場は絶滅してしまったに違いないと、ほとんどあきらめた地域だったのです。
ところが、昨年11月に出版された「TOKIO古典酒場 闇市・横丁編」(三栄書房)に、品川駅のすぐ近くにある横丁(酒場街)が紹介されているではありませんか。
紹介者は、「東京裏路地“懐”食紀行」(ちくま文庫)の著者、藤木TDCさんとブラボー川上さんのお二人です。さらに今年の4月には、その続編の「まぼろし闇市へ、ふたたび 続東京裏路地“懐”食紀行」(ミリオン出版)も出版され、この中にも同じ横丁が登場しているのです。
今日は、どちらの本でも紹介されているもつ焼きの「マーちゃん」に向かいます。
場所は品川駅港南口をまっすぐに降りて、ロータリーの向かい側にある「吉野家」の裏側あたりなのですが、なにしろ狭い路地が入り組んでいる地帯で、その路地への入口が分からない。ぐるっとそのあたりを回りながら、パチンコ屋の横の、人がすれ違えるかどうかというほどの狭い路地に入り込むと…。
おぉぉぉーっ。あったあった!
なんとまぁ、品川駅の酒場街はこんなところにありましたか! しかも、マニア垂涎の酒場群がずらりとならんでいます。いやぁ、絶滅してなかったんだ(涙)。
やぁ。ここが「マーちゃん」だ。アルミサッシの入口引き戸が渋いなぁ。
感激に浸りながら、あたりの様子や、「マーちゃん」の様子を眺めていると、2~3人連れのサラリーマンが続々とやってきて、吸い込まれるように「マーちゃん」に入っていきます。現在、午後6時半。のんびり眺めていたら、満席になってしまう。急がなきゃ。
「いらっしゃいませ。おひとりさん? カウンターにどうぞ」
入口は店の左端に近い位置にあり、入ると目の前に横長くカウンターがあり、その中にいるおにいさんから声がかかります。店内は、このカウンター席の他に、右手から右奥にかけて、壁に沿って回り込むようにテーブル席が配置されていて、すでに全テーブルにお客さんがついている状態で、続々とやってくるグループ客は、みなさん2階の席に案内されています。
まずはチューハイ(320円)をもらって、ここに来たらぜひ食べてみたかった、もつ煮込み(400円)を注文します。
もつ煮込みはカウンター内の大鍋で煮込まれていて、注文を受けて、両側に持ち手のついたアルミのひとり鍋についでくれます。内容はシロ(豚の腸)がほとんどで、コンニャクがちょっと。一緒の鍋でよく煮込まれたジャガイモがごろりと入っているのがおもしろいなぁ。
藤木TDCさんとブラボー川上さんが、どちらの本でも「昔ながらの臭い煮込み」と書かれているので、どんなに臭いかとおそるおそる口に運びますが、これは旨みを残した、鮮度の高いもつの香り。あんまり臭くは感じないんだけどなぁ。むしろ美味しいよ。私が、もつ臭さに慣れちゃってるのかなぁ。(帰りに電車に乗ったときに、自分の服がとってももつ焼き臭いと感じたので、もつ焼き独特の香りは、他の店よりも強いんだろうと思います。)
1階にも2階にも大勢のお客さんが入っているので、目の前の焼き台は、もつ焼きが途切れることがありません。焼き台の大きさは幅90センチくらいで、「秋元屋」や「ホルモン」などの焼き台と同じくらいかな。これで2フロアをまかなうんだから大したもんです。
2階席からの注文は、カウンターの中のインターホンで伝えられ、その横の小さなエレベータで注文の品が2階へと届けられる仕組みです。
「もつ焼きは1本ずつでも注文できるんですか?」
焼き台を担当しているおにいさん(おそらくこの人が店主)に聞いてみると、「はい、大丈夫ですよ」とニコヤカな返事。第1陣としてナンコツとタンの塩焼きを、第2陣でレバとシロをたれ焼きで注文すべく、まずは第1陣をお願いします。
もつ焼きはタン、ハツ、カシラ、シロ、レバ、ナンコツ、コブクロ、ガツのそれぞれが1本110円。ピーマン、ししとうなどの野菜類(110円)もあるほか、ニンニク(150円)、豚トロ(140円)、つくね(140円)などもラインナップされています。
チューハイ(320円)をおかわりして、焼き上がりを待つ間にお新香(300円)をもらうと、お新香は盛り付けが終わった状態で冷蔵庫の中に保存されていて、仕上げに味の素をパラリと振りかけて出してくれます。味の素にも昭和の香りを感じますねぇ。このお新香がまた、キュウリが2列に、大根1列(5切れ)とニンジン3切れとけっこうボリュームがよくて、結論から言いますと、これですっかり満腹になって、もつ焼きの第2陣は注文できませんでした。
第1陣のもつ焼きもできあがってきました。タンの間には、玉ねぎが1片ずつはさんであって、お皿にはニンニク味噌を添えてくれています。もつ焼きも大きくていいですねぇ。
1時間ほど楽しんで、お勘定は1,560円。
煮込みやもつ焼きの美味さもさることながら、品川にこういう一角があることが分かったことがうれしいですねぇ。今度は何人かでやってきて、もっといろんなものを食べなきゃね!
・店情報
| 固定リンク
コメント
このあたり昼間食事にいくことはありました(過去形)。夜はスタート早くしないと混んでいて残念の三乗状態です。
個人的には「わかなし」というディープ系韓国料理の店がお勧め。(吉野家の反対側あたり)夜は予約入れないと入れません。そんな訳で安心できる中央線沿線で飲んでいます。
投稿: ebisu | 2008.11.30 12:10