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〔コラム〕 ちくま文庫から「居酒屋礼讃」発売!

文庫版「居酒屋礼讃」


 このサイトのタイトル「居酒屋礼賛」が、森下賢一さんの名著「居酒屋礼讃」からきていることは、これまでにも何度か書いてきましたが、絶版となっていた「居酒屋礼讃」が、このたび筑摩書房から文庫本として出版されることになりました。(12月12日発売予定)

 おそれ多いことに、その森下賢一さんからご指名をいただいて、不肖・私が文庫本の解説を書かせていただいているのです!

 森下さんの「居酒屋礼讃」に触れて、酒場巡り・酒場記録の世界に入った私にとって、これほど光栄なことはありません。自分の本が出版されたとき以上にドキドキしながら、この文庫本のできあがりを待っていたのでした。

 単行本としての「居酒屋礼讃」が毎日新聞社から出版されたのは今から16年前、平成4(1992)年のことでした。

『日本の赤ちょうちんの居酒屋は、今まであまり評価されることもなかったが、しかし、イギリスのパブやフランスのカフェ、アメリカのバー、スペインのバールなどに十分匹敵する、ひとつの完成した飲酒文化であり、多くの人々の人生に、生き甲斐を与えてきたという立派な功績もあるとぼくは思う。』

『およそ古いものは何でも粗末にする日本では、ゾラの「居酒屋」のような名作も書かれることもなく、また、居酒屋をテーマにした鑑賞にたえる写真集もあまりなく、多くの居酒屋は消えていこうとしている。』

『ぼくはこの本が、赤ちょうちんへの挽歌となって欲しくはない。しかし、とにかくぼくが好きな居酒屋とパブへのオマージュ(賛辞)として、片思いの歌として、書いておきたかったのだ。』

 これが「居酒屋礼讃」の冒頭部分に書かれている、森下さんの思いです。

 酒場を評価したり、欠点を指摘したりするのではなく、酒場を愛する気持ちをそのまま片思いの歌として綴る。これは非常に重要なことだと思います。私自身も、この森下さんの思いに共感して、そのタイトルを拝借しているこのサイトでも、できるだけそういう文章になるように心がけているところです。

 今回の文庫化にあたって、「居酒屋礼讃」の後半の大部分を占める「首都圏酒場見聞録」の部分が全面的に改訂されています。単行本のときの掲載店のすべてに森下さんご自身が実際に足を運んで改訂されたんだそうです。

 その結果、前回からの連続掲載は半数以下。30軒以上の店が、今回の文庫本で新たに登場しています。この中には、知らなかったお店もたくさんあります。この文庫本を手に、それらのお店を訪問しなきゃね!

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コメント

浜田さん、お世話になります。
海外のそれと比較して、日本の赤ちょうちんの『居酒屋文化』と言うものが
「一般的に認識されていない」と言うことは、私も常日頃感じておりました。
赤提灯に代表されるように、何かサラリーマンおやじのストレスの捌け口のような
ネガティブなイメージが染み付いているように思います。
個人的な感慨として、そこへ足を運んで時間を過ごす事で、一日のリセットをして
翌日の活力にする事で『人生の生甲斐』に繋がっている部分があると思います。
人生はリセットできませんからね。発売日に購入して拝読させて頂きます。
では、浜田さんも年末年始のお酒シーズンに入りますが、ご自愛下さい。

投稿: 桑田(kuwata18m) | 2008.12.07 18:18

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