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こんなところに名店が(前編) … もつ焼き「高松屋(たかまつや)」(雑司が谷)

「高松屋」


 今から1年ちょっと前、鬼子母神近くのそば屋、「和邑」で開催された「和服で蕎麦を愉しむ会」に出席したとき、そのすぐ近くに、とても気になるもつ焼き屋があったのです。

 店の名は、もつ焼き「高松屋」。ネットで調べてもほとんど情報はなくて、かろうじて見つけた「chokomaの日記」というブログには、『どんどん品切れが出てきて結局八時前には暖簾を下ろしてました。はは~ん。だからいつも開いてるのか閉まってるのかわかんなかったんだ~』なんてことが書いてあります。

 これは気合いをこめて、開店直後に行かなければ! ということで、土曜日の今日。満を持して「高松屋」へと向かったのでした。

 事前情報がまったくないので、何時に店が開くのかもわからない。早めにオープンする店もあるので、ひとまず午後4時半頃を目指して店に行ってみたところ、まだ開いていません。せっかくここまで来たので、鬼子母神堂や、他に良さそうな店がないかどうかなどを散策して、午後5時に再び店の前へ。まだ開いていない。うーむ。大通り(明治通り)に出て、近くの古本屋で30分ほど過ごして、また「高松屋」へ。やったー。今度は開いてました。午後5時半の開店なんですね。

 白字で「もつ焼」と書かれた紺の暖簾(のれん)をくぐり、入口引き戸をガラリと開けて店内へ。「いらっしゃいっ」と迎えてくれるのは、カウンターの中にいる親子と思しき男性ふたり。店内はL字で12人ほど座れるカウンター席があるほか、奥には小上がりの座敷席があって、そこに4人掛けの座卓が2卓置かれています。

 開店直後なのに、すでにカウンターの奥側には年配の男性客がふたり。私もそのふたりから2席ほど空けて手前に座ります。

 奥のおふたりはちょうどもつ焼きの注文をしているところ。年齢からして、かなりの常連さんかと思っていたのですが、どうもそうではない様子。ふたりでその辺を歩いていて、たまたま酒場があったから入ってきた、みたいな風情です。

「やきとりは5本ずつたのむの?」とふたり連れのおじさん。

 そうそう。私もそれが聞きたかった。壁のメニューには、もつ焼きは5本で600円と書かれていて、レバ、タン、ハツ、カシラ、シロ、ナンコツという6種類が、その横に書き出されているのです。もしかすると1品5本ずつ注文しないといけないのかなぁ、なんてちょっと心配になっていたところだったのです。

「いえ。1本ずつでかまいませんよ」と答える店のおにいさん。

「ふーん。それじゃ、やわらかいところを3本ずつちょうだい」

「はい、わかりました」

 もつ焼きは、カウンターの入口にある焼き台で、親父さんが焼き始めます。

「お飲み物は何にしましょう?」と、今度は私にたずねてくれます。

「瓶ビールをお願いします」

「キリンとサッポロがありますが」

「じゃ、サッポロで」

 すぐにサッポロ黒ラベル大瓶(550円)の栓が抜かれ、お通し(サービス)として小皿に盛られた塩豆が出されます。

「焼き物は順番にお聞きしますから、しばらくお待ちください」とおにいさん。

 小さな焼き台で、少量ずつ、親父さんがじっくりと目を凝らしながら焼くんですね。これは期待が持てます。

 壁のメニューにある肴(さかな)は先ほどのもつ焼きの他には、コブクロ(180円)と厚揚げ(450円)のみ。後はビール、日本酒、サワーなどの飲み物があるだけ。潔いほどシンプルです。

 先客ふたりのもつ焼きが焼き上がり、おにいさんが「お待たせしました。何を焼きましょう」と声をかけてくれます。

「タン、ハツ、ナンコツと、あとコブクロを、塩で1本ずつ」

 はじめての店では、まずタンやハツなどの、肉っぽいモツを注文して様子を見ることが多いのです。それらで変な臭いを感じたりする場合は、レバやシロなどの本格的な内臓系は避けたほうがいいということになります。

 ナンコツはその店の下ごしらえの丁寧さなどが比較的わかりやすい一品です。コブクロは、これだけが他のものとは別メニュー、別価格になっていたので、試しにたのんでみたような次第です。

「コブクロは味付きなので、それで焼きますね」とおにいさん。「はい、それでお願いします」

 目の前で一所懸命焼いてくれる親父さんの姿を眺めながら待つことしばし。ハツ、ナンコツ、タンが出され、すぐにその上に焼きあがったコブクロものせてくれます。あわせて出される小皿には、醤油っぽい漬けダレ。

「よろしければ、塩焼きのものを漬けて食べてみてください」とおにいさん。

 どれどれと、さっそくタンを漬けて食べてみると、ニンニク醤油っぽい、コクと風味のあるタレ。おぉっ。これはいいですねぇ。横浜あたりの焼き鳥屋で、ニンニク味噌が出されますが、ニンニク醤油というのは初めてです。

 ハツには、表面に隠し包丁というんでしょうか、浅い切り目が数本走っていて、プリプリ感を保ったまま、非常に食べやすい仕上がりになっています。ナンコツもいいですねぇ。

 コブクロの味付けは、これまた醤油系。これまで他の店で、ガツ醤油やテッポウ醤油は好んで食べてきましたが、コブクロ醤油というのも合うんですね。これも初めて知りました。

後編に続く)

081220a 081220b 081220c
瓶ビールと塩豆 / 上がコブクロ / 下はハツ、ナンコツ、タン(塩)

店情報

《平成20(2008)年12月20日(土)の記録》

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(前編からの続き)  店には、いかにも常連さんらしき男性ひとり客が、ひとり、またひとりと入ってきて、カウンター席を埋めていきます。常連さん同士はお互いによくこの店で顔を合わせるようで、入ってくるなり、「おぉ。昨日、あれからどうした?」なんて会話を交わしています。  ほとんどのお客さんが注文するのは瓶ビールかハイサワー(400円)。すぐとなりのおじさんは燗酒(350円)を飲んでいます。 「焼き物、た... [続きを読む]

受信: 2009.02.01 14:13

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