分厚い弾力、あなご天 … 大衆酒場「栄屋(さかえや)」(横浜市・日ノ出町)
祝日前日の火曜日。横浜の古い酒場を訪ねようと、飲み友達とともにやってきたのは、昭和23(1948)年創業、長者町(ちょうじゃまち)の老舗大衆酒場、「栄屋」です。
6卓しかない店内ながら、奥のほうの2卓は荷物置場風に使われていたりすることもあって、通常(常連さん以外)はだいたい手前4卓(16名分)のテーブルに座ります。
午後8時前のこの時間帯、先客は2組。その2組が左側のテーブルを使っているので、我われは右側の真ん中のテーブルに座り、まずは瓶ビール(キリンラガービール大瓶、610円)をもらって乾杯すると、お通しには小さな冷奴が出されます。
ここ「栄屋」で、絶対にはずせない肴(さかな)が、穴子の天ぷら(630円)です。活きた穴子をさばきたて、揚げたてで出してくれる穴子天は、ひと切れひと切れが大きくて、しかも分厚いのが特長。天つゆにジュッとつけて、ハフハフといただくと、その弾力感に驚かされる一品なのです。
「穴子天は絶対に食べなきゃね。穴子天のための腹を残して、他のつまみを食べよう」
とメニューを選びます。なにしろ、ひとりで来ると穴子天だけで満腹になってしまうほどのボリュームなので、今日のように二人以上で来たときじゃないと、いろいろとはつまめないのです。
「栄屋」でおすすめなのは海の幸。今日のメニュー(黒板に手書き!)には、めじまぐろ750、殻付カキ(4個)700、カキフライ700、カキ天650、鯨さしみ700、マグロ刺900、スミイカ650、活たこ刺600、たいら貝700、ひらめ刺750など、40品ほどが並んでいます。
いつもは、マグロ刺の900円が一番高いくらいなのですが、なんと今日は活たらば(1パイ)4,000円なんてのが並んでますねぇ! だれかの予約なのかな!?
そんな中から、ヒラメの刺身(750円)と、ほうれん草のおひたし(300円)をもらって、飲み物は「東龍」(純米酒、550円)の燗酒に切り換えます。
右手の手前のテーブルには、若い男性ひとり客が、しばらくして右手奥の、ちょっと狭い席にも常連さんらしき、年配の男性ひとり客が入って、祝前日らしいにぎわいになってきました。入口テーブルのおにいさんのところに運ばれていった殻付カキ(4個700円)の、なんと立派なこと!
「カキもいいねぇ。こっちもカキももらおうか?」
「殻付きもいいけど、カキ天(650円)もいいよねぇ」
「そうそう。カキ天にも引かれてたんだ。でも穴子天とかぶるからなぁ」
「カキ豆腐鍋ってのもあるよ」
なぬ? どれどれ、と見てみると、入口近くの張り紙メニューに、とらふぐちり(4,500円)、カキ豆腐鍋(1,800円)、鳥豆腐鍋(1,700円)の三品が並んでおり、さらにその横に小さく「御一人様用小鍋(カキ豆腐鍋、鳥豆腐鍋)各900円」と書かれています。
おぉ、いいですねぇ。たっぷりと鍋だと、それでお腹いっぱいになってしまう可能性がありますが、ひとり用の小鍋だと大丈夫そうです。
さっそくそのひとり用のカキ豆腐鍋(900円)と、合わせて穴子天(630円)も注文すると、「おっ。穴子天いく? じゃ、こっちも穴子天ね」と周りの3テーブルからも相乗り注文が入ります。さすがは人気の名物品ですね!
燗酒をおかわりしつつ、待つことしばし。カキ豆腐鍋が用意され、コンロにカチンと火がつけられると、追いかけるように穴子天も出てきます。実にいいタイミングですねぇ。ハフハフと穴子をいただいているうちに、カキ豆腐鍋もできあがるという寸法ですね。
今日も絶品の穴子天をいただいて、カキ豆腐もペロリ。メニューには書いてないけれど、「雑炊はできるんですか?」と確認してみると「できますよ」ということで、最後はきっちりと雑炊でしめて、1時間半ほどの滞在は二人で5,740円(ひとり2,870円)でした。
うぅーっ。満足じゃー。どうもごちそうさま。
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