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野毛入口を守る関所? … 立ち飲み「福田フライ(ふくだふらい)」(横浜市・桜木町)

アジとカキのフライ


 桜木町(さくらぎちょう)の駅を出て、「野毛ちかみち」という地下道(地下鉄・桜木町駅の入口でもある)を抜けると、そこが横浜の一大飲み屋街、野毛(のげ)です。

 どこに踏み込んでも飲み屋がずらりという地域ながら、私が定番としているのは「武蔵屋コース」と「野毛小路コース」の2ルートです。

 前者の「武蔵屋コース」は、昭和21(1946)年創業の一軒家の老舗酒場、「武蔵屋」で飲むときにたどるルートで、「野毛ちかみち」を、桜木町駅を背中にして右前方のエスカレータで抜けて、動物園通りを進んで「武蔵屋」に出ます。

 後者の「野毛小路コース」は、逆に「野毛ちかみち」の左前方のエスカレータを抜けて、ブリーズベイホテルの手前を右折して野毛小路に入るルートです。ブリーズベイホテルの横のチマチマっとした飲み屋街を抜けて、小さな四つ角を越えると、その先の両側にいつも人があふれているお店が見えてきます。左手が餃子・ラーメンの「三陽」で、右手が立ち飲みの「福田フライ」(店の置き看板は「フライ屋」)です。

 この2軒に、「三陽」の向こうどなりの焼き鳥の「若竹」、「福田フライ」の向こうどなりの餃子の「萬里」を加えた4軒が、まるで野毛入口を守る関所のような感じで、我われ呑ん兵衛を迎えてくれるのです。

 「福田フライ」の前までやってくると、店の表近くに据え付けられたフライヤーで、一所懸命フライを揚げているお母さんの姿が見えます。チラッとこちらを見て、知ったお客さんだとわかると満面の笑顔で迎えてくれるのがとても嬉しいところです。そのお母さんに「こんばんは」と声をかけて、空(す)いているカウンターの奥側に入り込みます。

 ここ「福田フライ」の創業は昭和23(1948)年ごろ。最初は先ほど通ってきた四つ角あたりで、屋台で営業していたんだそうです。創業者のご主人が亡くなったあと、その奥さんであり、現在の女将である福田サダ子さんが引き継いで店を切り盛りしてきました。

 この店に最初にやって来たころ(2003年7月)には、店全体が車庫(ガレージ)のような造りになっていて、そこに突っ込んだ屋台を、少しだけ店の表側に出すことによって、奥側にも人が立てる空間を作って営業しているような状態でした。

 その2年後くらい(2005年8月)に2度目の訪問をしたときには、すでに息子のノブさんも手伝うようになり、店も現在の、メイン立ち飲みカウンターと、壁に作り付けのサブ立ち飲みカウンターを有する、しっかりとした立ち飲み屋さんの形態に改装されていました。しかしながら、フライヤーまわりは以前のまんまのものをそのまま使っているというところが嬉しいではありませんか。

 創業の味はフライ(串揚げ)と自家製の漬物(ぬか漬け)で、これを店の表側を担当するお母さんが切り盛りします。店の奥側は、息子・ノブさんの領域で、新鮮な魚介類の刺身や、煮物、焼き物。さらにはモツ煮込みや、鉄板で作るホルモン炒めや、隠れメニューのハンバーグやハヤシライス、焼きそばなどもあって、幅広い選択肢で楽しめるようになっています。

 お母さんとノブさんの居る場所は、こうやって店の表と奥に分かれていますが、お客として店に行った場合には、どこに立とうがお母さんの料理も、ノブさんの料理も楽しむことができることは言うまでもありません。ただし、新鮮な魚介類にタバコの灰がかかったりするのを防ぐため、奥のノブさん前のカウンター席のみ「禁煙コーナー」になっていますので、タバコを吸う人はご注意くださいね。

 そんなわけで、今日は瓶ビール(キリンラガー大瓶、600円)をもらって、まずはお母さんに揚げてもらうアジ(150円)とカキ(140円)からスタート。自家製の漬物は、季節の白菜漬け(150円)をもらいます。

 ホワイトボードにずらりと手書きされた魚介類のメニューからは、ブリあら煮(500円)を注文すると、ノブさんが、その場でコトコトと煮上げてくれます。脂ののったブリの旨みがたまりませんねぇ。飲み物は酎ハイ(400円)をいただきます。

 そこへやってきたのは、この店の大常連さんでもある、「銀座とハマで飲んでます。」のハルさんです。この店に来ると、必ず酎ハイ(400円)を飲んで、売り切れてなければカボチャ(140円)を揚げてもらうというハルさんは、今日もその組み合わせでスタートし、さらにノブさんにアイナメの刺身(500円)も注文です。

 ハルさんやノブさんとお話ししたり、新メニュー開発用に仕入れたというタコの卵をいただいたりしながら、ゆっくりと1時間ほど立ち飲んで、今日のお勘定は2,040円でした。どうもごちそうさま。

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白菜の漬物 / ブリあら煮 / タコ卵の醤油漬け

店情報前回

《平成21(2009)年2月12日(木)の記録》

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コメント

浜田さん初めまして。野毛の関所ですか、言い得て妙です。福田フライは週末が休みだった頃に良く飲みに行きました。確かにおばさんは店の前を通りかかると笑顔で挨拶してくださいます。最近は去年の4月に行ったきりです。私はポテトとかネギをウスターソースで食べるのが好きです。酒はその日の天候にも寄りますが、冷えるときはとっくり形した一合瓶の熱燗を飲むのが最高です。カウンターの随所にぶら下がっているタオルがいい感じなんですが、あれを使えない若手がいまして、なんとも修行が足らないですよね。福田フライや萬里で下地をつけてパパジョンに突入していた頃もありましたが、ママもパパも天国へ召されてからは野毛も遠くになってしまいました。武蔵屋も行かなくなると客筋も変わっておばさんも私なんか忘れてしまっていて敷居が高くなってしまいました。あんなに飲みに通ったのに・・・
浜田さんは横浜に単身赴任だとか。横浜市民としては一杯お供させていただけると幸いです。ちなみに14日のほろ酔いトークには参加します。

投稿: のびやん | 2009.03.09 11:59

2009年6月20日 福田フライが忘れられず、土曜出勤の帰りに遠回りして野毛経由で国分寺に帰ってしまいました。

レバーとアサリが美味しかったです。
http://ebi.air-nifty.com/interest/2009/06/20090620-ac57.html

投稿: ebisu | 2009.06.22 00:17

いつも楽しく拝見させて頂いています。

こちらで気になっていた野毛に一昨日初めて行きました。(一人で)

結局6軒のはしご酒(三軒はホッピー仙人で知り合った方と)

野毛の魅力に取り付かれてしまったのでどちらかでお会いした時はよろしくお願いします。

投稿: standingbar | 2009.10.05 17:13

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 昨日に続いて、今日も野毛(のげ)にやってきました。まずは野毛の関所とも言われている「福田フライ」に立ち寄ります。  火曜日、午後6時半の「福田フライ」はお客さんでいっぱい。ずらりと並ぶ立ち飲み客の間をすり抜けるように、一番奥まで進み、今日はテレビ前に置かれた、招き猫の乗ったテーブルで飲むことにします。  今日は最初から酎ハイ(400円)をもらって、つまみにはクジラ(190円)と、前に来たときに、... [続きを読む]

受信: 2009.04.12 08:39

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