官能的なまでのマグロ … 居酒屋「牧野(まきの)」(蔵前)
「酔わせて下町」のFさんたちと行く2軒目は、「わかば」から春日通りに出て、蔵前に向かって(西に)歩くこと約10分。いかにも古びた厩橋(うまやばし)交番跡の先にある居酒屋「牧野」です。
まわりには他の店がないところに、黒々と大きく「牧野」と染め抜かれた暖簾と赤ちょうちん。外観だけで唸ってしまうすばらしさです。
ここ「牧野」は、太田和彦(おおた・かずひこ)さんの「居酒屋味酒覧〈第二版〉」や、ゲンダイネットの記事を読むにつけ、ぜひ来てみたかった課題店だったのです。
その「味酒覧2」で、『マグロは築地マグロ専門卸し最上級「石宮」の品で、氷塊を置いた見事な盛りつけの赤身とトロの清潔な香り、濃厚なコクに絶句する。これは超一流の鮨屋にゆく品なのだ』と紹介されているマグロの刺身は、メニュー上には値段が書かれておらず、時価。
さっそく注文してみると、噂にたがわぬものすごいマグロが、たっぷりと14切れ。ひと切れ、ひと切れが大きいなぁ。以前、「酒の高橋」で、「マグロは大きく切らなきゃ」という話を聞きましたが、ここのも本当に大きい。
その大きい刺身を、ひと口でいただくと、心地よい弾力感のあと、やわらかい身の甘さが口の中に広がります。うーん。なんという食感。硬すぎず、やわらか過ぎずの絶妙なバランスですねぇ。
「時価」が怖いこのマグロながら、「アル中ハイマー日記」の記事によると2千円前後だろうという分析です。マグロぬた(850円)も人気の品のようです。
さて「牧野」。昭和16(1941)年創業といいますから、今年で創業68年。店内は、入口を入ってすぐの土間に6人掛けのテーブル席が2卓。左手の畳の小上がりに2人掛けのテーブルが4卓の合計20席。今日もほぼ満席ですが、いつ来ても満席気味という店内を、おばちゃん二人(姉妹)が切り盛りします。
最初に瓶ビール(キリンラガー大瓶630円)を注文すると、すぐに出される小皿のお通しは、柿の種と、斜めにカットしたチーズがひと切れ。このお通しが、ここ「牧野」の定番の品なんだそうです。
マグロが出たところで、燗酒(徳利300円)に切り替えて、根三つ葉わさび和え(600円)ももらいます。
店の奥の黒板に手書きされているメニューには、とんかつ(850円)や、とんかつ中(1,200円)、海老フライ(1,400円)、チキンかつ(700円)などの揚げ物のほか、いかさし(800円)、まだこ(850円)、しゃこ(950円)、こはだ(850円)、山かけ(850円)といった魚介類、もろきゅう(350円)、トマト(350円)、うるめ丸干(500円)、チーズ(250円)、やっこ(400円)などが、合わせて25品ほど並んでいます。時価なのは、先ほどのマグロと、寄せ鍋の2品のみ。それ以外は価格明記です。
トイレもまた、上部に設置された木製のタンクから降りる紐をひっぱると、水が流れるレトロなタイプ。トイレから戻ってみると、Fさんが支払いを済ませてくれてました。ありがとうございます。>Fさん
・店情報
| 固定リンク | 0
コメント
残念なことですが、牧野は2015年12月を以て閉店しました。
投稿: 森谷 健 | 2016.11.10 11:16