日本一シークが出る店 … もつ焼き「ブウちゃん」(金町)
「おそらく日本一シークワサーハイが出るお店だと思いますよ。ほとんどの人がシークを飲んでます」
シークという愛称で呼ばれるほどのシークワサーハイ(300円)は、4~5年前に沖縄出身のお客さんの声で始めた品。それが今や、この店を代表する人気ドリンクになっているのです。
このシークの特徴は、下町酎ハイと同じく、氷が入ってなくて、焼酎が濃いところ。もちろんこの店にも酎ハイ(290円)はあって、その作り方と同じように、かなり濃い目の、甘くないシークワサーハイが作られます。
考えてみれば、どんなカクテルを作るときにも、酸味と甘味は基本ですよね。ここのシークも、アルコール度数が高いのに、シークワサーの酸味とほのかな甘味でいくらでも飲めそうな飲み物に仕上がっています。しかも氷なしだから、最後まで味も濃さも変わりません。
今日は、「ワイタベのレミング2」のワイタベさんに、金町(かなまち)にある昭和33(1958)年創業のもつ焼き屋、「ブウちゃん」に連れてきていただきました。
現在の店主・坂井志朗(さかい・しろう)さんは、お父さんのあとを継いだ二代目。「ブウちゃんアミーゴス」というフラメンコバンドを主宰するフラメンコギターの名手として、年に1度、コンサートを開いているそうです。
その店主を、ワイタベさんたち常連さんはパパと呼びます。一緒にお店をやっている奥様はママ。ママはフラメンコを踊ります。
お二人がフラメンコ(スペインの芸能)好きだからか、アホ焼き(80円)というメニューもあります。アホ(ajo)というのはスペイン語でニンニクのこと。店内では「(店主)このアホだれだ?」「(客)あぁ、アホは俺だ」なんてやり取りが交わされるんだと笑いながら話してくれます。
ワイタベさんは、高砂や柴又で飲んでから、午後9時半以降にこの店にくることが多いんだそうです。この店の閉店時刻は午後10時なのですが、その時間までに入っていれば大丈夫とのこと。
「どの時間帯に来ても、だいたい込んでるんですが、入れないことはないですね」とワイタベさん。
その理由はカウンターの椅子がベンチシートであることにもよるようです。込んできても、ひとり5センチずつ寄ってもらうと、もうひとりくらいはすぐに入れるようになるんだそうです。
ワイタベさんは、この店に来るとカシラとアブラは必ずたのんで、あとは気分によってシロやレバ、タンなどをもらうんだそうです(もつ焼きは1本80円)。塩・タレもその日の気分次第。冬場はもつ煮込み(360円)から入ることが多いとのことで、今日もそのもつ煮込みから入ります。
もつ煮込みは冬場(11~3月)だけの、しかも1日20人前だけの限定品。あっさりと醤油味で、シロやアブラのほか、大根やコンニャクが一緒に煮込まれています。アブラの甘みがいいですねぇ。このあっさりスープは、ラーメンにしても美味しそうです。
焼き物は、ワイタベさんおすすめのアブラと、店主おすすめのシロ(店主のおすすめはタレ)、そして1日12~15本くらいしかないという大ガリ(店主のおすすめは塩)を焼いてもらいます。
大ガリというのは、豚の喉仏(のどぼとけ)の部分なんだそうで、豚1頭から串4本分しかとれないとのこと。1日12~15本でも、3~4頭分なんですね。すぐに売り切れる品だそうです。
野菜系のメニューが多いのもこの店の特長のひとつ。冷しトマト、おしんこ、かくや(古漬)、ワサビのくき漬、もやしキムチ、ねぎぬた、パリパリキャベツの元気漬、ガツキュウ和え、とろろめかぶ、ほうれんそう、いんげん、ブロッコリーマヨネーズ、なめ茸おろし、しらすおろしなどのそれぞれが300円です。
そんな中から、ワイタベさんおすすめのお新香を注文すると、カウンターの中のぬか床から、大根、ニンジン、カブ、キュウリ、昆布、大根の葉などのぬか漬を掘り出して、盛り合せてくれます。これで300円は安いなぁ。
曜日変りのメニューもあるんだそうで、たとえばポテトサラダ(300円)は火曜日と木曜日だけの限定品。今日、土曜日は厚揚げのふっくら焼きの日。2本4切れで300円です。
「この店に通い続けるのは、パパとママの人柄かな。人に対する当たりがやわらかくて、居心地がいいんですよ。値段も安い。シーク2杯ともつ焼き5本でちょうど千円になるんですが、私はそんなに食べないほうなので、ここで千円払うことはめったにないんです」と語ってくれるワイタベさんでした。
・店情報
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コメント
いつも楽しく拝見させて頂いてます。
3月21日、私もブゥちゃんで呑んでいましたよ。
普段はビール&日本酒の私も、ここのシークは思わずお代わりしてしまいました。
投稿: りんりん | 2009.04.23 00:34