週に四日は品川に通う … もつ焼き「石松(いしまつ)」(中野)
中野駅北口に広がる呑ん兵衛タウン、中野五丁目。その中野五丁目の一番北の端、早稲田通りに抜ける直前にあるのが、もつ焼きの「石松」です。よく見ると、店の上部に小さく「もつ焼き 石松」と書いてあるものの、店の表には特に照明もなく、電灯看板もない。知った人でなければ、たどり着くのさえ難しいお店なのです。
わざとそうしたかのように目立たなくしているのに、カウンター7席だけの店内は、ほぼいつも満席。今日もかろうじて滑り込んで、キープしているキンミヤ焼酎(1,500円)を出してもらって、お茶割りです。
瓶ビールや生ビール、1杯売りのホッピーなどもあるのですが、この店のほとんどのお客さんは、キンミヤをボトルキープして飲んでいるのです。ボトルキープの場合も、もちろんホッピー(外)をもらうこともできますが、多くの人はカウンター上にどんと置かれているお茶のペットボトルでお茶割りにするのでした。
この店での注文の仕方は、便乗注文とか相乗り注文といって、今、店主が作ろうとしているものを、「それ私も!」とたのむのが基本。ときどき手伝いの人が入るものの、たいていは店主ひとりで切り盛りしていて、しかも、注文を受けてから下ごしらえをして串に刺し、焼き上げるという工程をたどるため、すぐに食べようとすると、今作っているものを注文するのが一番早いのです。
しかも、何を食べてもはずれはないので、店に入ってから出るまで、ズゥ~ッと便乗注文を繰り返していても、美味しいモツ料理が堪能できるのでした。
今日は、入ったときに下ごしらえをしていたのがレバー。もちろん便乗注文でレバ刺しをもらいます。
「石松」の開店時刻は午後7時から8時の間くらい。以降、満席状態がずっと続いて、店が閉まるのは午前3時から4時ごろ。店主はそれから店を片付けて、自宅に戻って仮眠程度に睡眠をとり、昼を過ぎるころに起き出します。それから品川の食肉市場に買い出しです。
もつ焼きは鮮度が命。週に四日(月・火・水・金)は品川に出かけるんだそうです。
しかも、ここの店主は品川まで電車で通います。行きは軽いものの、帰りは大きなクーラーボックス二つにたっぷりのモツ。これを肩から提(さ)げて帰ってくると、もう夕方の開店時刻です。
「本当は仕込みをして開店時間を迎えたいんだけど、仕込みの時間が取れないんですよ」と店主。
そこへ、ふらりとやって来たのは「アル中ハイマー日記」のにっきーさんです。職場が横浜のにっきーさんは、今日のように、夜11時を過ぎてからこの店に来ることが多いんだそうです。
「遅くまで開いてるのが本当に嬉しいですよね。何でも美味しいし、居心地がいい。そしてなにより安いです」
と、この店に通いつめる理由を話してくれます。このくらいの時間にやってきて、黒ホッピー(外)を出してもらって、キープボトルの焼酎を飲み、もつ焼きを3~4本。1時間程度で帰るのがにっきーさんの定番コース。もつ焼きは、レバ、カシラ、つくね、牛ミノや、ハラミ辛子醤油を食べることが多いのだそうです。
ボトルをキープしていれば、だいたい千円前後で済むので、本当に安くて美味しいお店なのでした。
なにしろ小さな店なので、行く場合には、ひとりか二人で行きましょうね。
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