老舗を受け継ぐ重圧感 … バー「R(アール)」(横浜市・桜木町)
野毛のバー「R」の創業は昭和21年ごろと言いますから、創業60年を超える老舗です。もともとは喫茶店として始まったんだそうです。
平行する2本の路地に挟まれるように建つ「R」の造りも、建物こそ新しくなっているものの、昔のままの構造。どちらの路地にも入口扉があり、その両側の入口を結ぶように、店を貫く直線カウンターが伸びます。カウンターの背後にはデンとピアノが置いてあって、その奥は割りと大き目のテーブル席。
きわめてオーセンティック(本物、正統的)なバーですが、オーセンティックであっても、まるで大衆酒場風にゆっくりとくつろいで楽しめるのが、日本のバー文化発祥の地・横浜ならでは。この店もまったくそのとおりで、カウンターでは中年のご夫婦や、毎晩のように立ち寄っているらしい常連さんたちが静かにグラスを傾けています。
現在の店主・塚田浩司さんは、みなとみらいの横浜ロイヤルパークホテルのメインバー、「ロイヤルアスコット」に勤めた後、独立して後継者のなかったこの店を継いだのだそうです。
「ホテルのバーに居るころから、いつかは独立したいと思っていましたが、こんな老舗を継ぐとは思っていませんでした」
と語ってくれる店主は、まだ35歳という若さ。
「先代がやっていたころの[R]には来たことがないので、自分なりにやってるんですが、昔のお客さんたちにもかわいがっていただいて、よく“変わらないね”とおっしゃっていただくんですよ」
この店を継いで3年目。老舗のバーを受け継いだからには、自分の代でつぶさないようにしなければ、というプレッシャーも感じているそうです。
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